すばらしい液体
『腐り果てる前の亡者たちの箱庭』、
雪原の門番の先、旭にとって新たなステージ、
灰色の地面、果てしない崖、底、落ちたら即死、緑の苔や、
朽ち果てた亡者の骨達、洞窟、
見上げるとつららのような刺々しい岩の天井、
薄暗い亡者たちの最後の墓場、
消えゆく 最後の灯火、人を模した石のようなもの、
地蔵と言うべきだろうか。
「なにこれ、なんのオブジェ?」
「あ、ばかッ、説明してる最中だろ、離れろッ、」
「へ?」
びゅびゅっっと人を模した石でできたなにかの
大きくあいた口から白い液体が噴き出る、もちろんそれは旭の体に着床する、
「やっえっなにこれっさいってぇッッ」
旭はその若干の粘り気のある白い液体に『最低』の烙印を告げる。
「おまえなぁ、それは防具の耐久を落とす液体だ、
食らったら耐久がまだあっても見た目一時的に服が溶けるぞ」
「えっあっうそっ、さいいっってぇぇッッッ」
龍人の指摘の通り旭の防具の耐久値はまだある、
しかし徐々に透けていき乳首やらおっぱいやら下腹部やらが露わになる、
旭は必死で両腕と手で隠す、
「きっと散って逝った男たちの願望がこれを創りだしたんだろうな、
素晴らしい、ありがとう、そしてありがとう」
龍人は半泣き状態で男たちの願望を具現化したその装置に、
男たちの残滓に感謝を二回述べた、大事なことなので二回述べた。
「龍人あんたなんで早く言わないのよっ、まさっかぁぁ~~っさいってぇぇッッッ」
旭の狂気にも満ちたその眼光に、旭の髪の毛が、
某風の谷の女性が怒り狂う前のようにブワッとする、龍人は恐怖し尻込みする。
「んんんんなわけ無いだろっ
お前が勝手に人が説明してるところに
勝手にはしゃぎだしてぶっかけられたんだろっ自業自得だろッッッ」
龍人は必死に武器を持たない左手を前に突き出し右に左にぶんぶん旭を静止させるように動かす。
「いいやちがうっ絶対心の奥底で、深層心理の奥底で、
いや その脳筋の脳みその前面で、浅瀬で、
遅かれ早かれ期待してたでしょっわかってるんだからねッッ」
「ぎくっ、そん、そんなことないぞ、でも知ってるなら当然だろ?、
僕だって男の子だよ、健全な青少年たちに夢を与える、
31才のライトノベル作家だったんだよ? 僕と契約して魔法少女になろうよっ」
「はぁ、ネタ挟まなくていいから…まぁいいけど、で、これなんなの、
どうすればいいの?
このふざけた男たちの幻想はぶち壊せるの? ぶち壊せばいいの?」
旭は呆れながらも冷静になったようだ。
とにかくこの幻想をぶち壊す、イマジンブレイカーをすればいいのかと龍人に問う、
「まぁ基本はな、たまにびっくりするところにあったりするから気をつけろよ、
あと武器の耐久値の消耗もしっかりあるから、
サブ武器でリーチあるの使ってもいいしな、その辺は臨機応変だ」
「なるほど、あっやっと戻った、虎徹改あれば楽だったなぁ、
言ってもしょうがないけど」
旭は悔いる、継式 虎徹改のリーチはかなり長い、安易に破壊できたであろう。
「今頃この世界の何処かでドロップして、誰かが持ってるかもな、」
「そうなの?」
「この世界は常に進化し続けてる、俺達然り、BOSS然り、この世界然り、
虎徹の進化もこの世界の進化だ、それは飛散したとしても、いつか世界の常識になる、」
「ふうん、」
「昨日のBOSSも技が増えてた、
最後の技なんて俺も初見だった。だから油断は大敵だ。
俺もちょっと油断してたが、
まぁ虎徹改は特殊だからドロップには有資格者にって言うお題目がつくがな、」
「なるほどねぇ」
旭はアイテムストレージを開き、装備の項目を弄る、
「ともかく旭ちゃんア◯カツモード」
旭は装備を変更する、それは『堅牢な斧』初期主力だった元相棒である。
「まぁ気をつけてやれよ、敵も出てくるんだ、
俺は俺に襲ってくる敵くらいは相手するが、」
「わかってる、よし、」
旭は一呼吸すると、スイッチを入れ替える。
「死んじゃえぇぇぇッッ
この妖怪白い液体吐き吐きエロ地蔵めぇぇぇッッッ
さっきは良くもやったなぁぁぁぁッッッ」
パッコンパッコン動かぬ哀れな地蔵を次々と粉砕、攻撃していく、
「…(そんなに液体ぶっかけられたのが気に障ったのか? 親でも殺されたのよ?)」
「(まぁいいや、黙っとこう ニヤリ)」
龍人は旭の後をゆっくりと追いながら悪い顔をする。
龍人は大体どの位置に白い液体吐き吐き地蔵がいるかは把握している。その時は近い。
「えっなにっ? えっどこからっさいってぇっなんなのよもうっ」
再び食らう、白い液体、
それは横たわり、既に破壊されてると見間違う、男たちの意地、
男たちのロマンのために、地蔵は寝そべっていた。
まるで現世で歩道橋で女子高生のスカートの中が見え…以下略、
そう想ってしまう男子学生のような、それは意味犯罪のような、
しかしそれでも求めざる得ない、プライドなど地獄の底に捨ててきた。
パンツをただ見たいバトルサイボーグのような、
そう語りかけるようなややニヤけたようにも見れる地蔵の顔である、
「このっ変態地蔵ッッ龍人のおちんちんっ」
旭はもう隠す気もないのかおっぱいをぷるんぷるんさせながら地蔵を斧で砕く、
「なっおまえっ」
「やめろっこえーだろっ想像しちゃうだろ、想像力豊かなラノベ作家だったんだぞっ」
「なーにがラノベ作家よ、もう何年経ってると思ってるのっよッッ」
また一つ地蔵は粉砕される。
「龍人のおちんちんっぶった切っちゃえッッ」
「おまえもっおまえもっ」
スタミナ管理などお構いなしに斧を振るい裸族のまま地蔵を粉砕する旭。
「ッッッ気をつけろっカエルが来るぞ」
「は? カエル?」
龍人の指摘通り旭は生物の影に埋まる、
「きゃっ」
カエル、正式名称、フロッグブロック、でかいカエル、
長い舌を武器に生者を地面に叩きつけたり、口の中で転がしたり、
腹を硬化させて体当たりしてくる、
得意技は粘液飛ばし、その粘液は地蔵と似ているが、一部違う、
「なにこれっまたっ透けてるっ溶けてるぅっダメージもあるしッッ
この舌っやだっあっあっ何処触ってんのよっ」
旭はまたぶっかけられ、
ようやく地蔵の白い液体の透過状態から戻ったのだが
あっという間にまた裸族に戻る。
そしてカエルの下で胴体を捕まれ上空に持ち上げられる、
「いいぞっもっとやれッッッカエルっ俺は一向に構わんッッッ」
龍人は身を乗り出し左手でガッツポーズを決める、
「いてっなにしやがるっ旭っ」
旭は手に持っていた斧を投擲する、
それは龍人の左後頭部に見事命中を果たす。
「見てないで助けなさいよっ
まったくっどうせ昨日あの後自分でシコシコしてたんでしょっっ、
それとも仕返しのつもりっ、男らしくさっさと助けなさいよッッ」
「なっっなに言ってやがるっしょうがないだろっ、
俺だって男だぞっ、あそこで寸止めくらったらするだろっ、
人の所作だッッ、心はまだ14才の青少年なんだよッッ、男の子なのっ、
おまえだってされるの想像してオナってたんだろッッ絶対そうだろッッ」
「なななな、なに言ってるのよっ昨日はすぐ寝たわよっ
ドキドキして眠れなかったけどッ、そりゃちょっとは手を伸ばしたけど、
ってなに言わせるのよっこの変態ッ、脳筋ッッ、馬並みち◯ぽっ」
「おまえなに言ってやがる、馬ほども有るわけ無いだろっ
標準より少し大きい程度だッッこの朝ガキッッ」
「あっ、そーいうこと言うの、いまさら『朝ガキ』に戻るの、
これはカッチーン旭ちゃんカッチーン、
馬並だろうが短小包茎だろうがああそう、
さいってぇっもうしらないっあっちいけっ」
「滅茶苦茶言ってるぞ、少し冷静になれ、それになっ、」
「あっ」
龍人が指摘する前にカエルは旭を口の中に誘う、
「なにこれぇぇぇぇぇぇぇ口の中でシェイクされるゥゥッッッ」
旭はカエルの口の中でぐるぐるかき回されている。
「はぁ…、あほらしい、じゃあな、達者でな旭」
「ちょっとちょっと助けなさいよっ助けてください、龍人さまぁぁぁ」
若干籠もった声がカエルの口内から龍人に伝わる、
「しょうがねぇな、」
龍人は左手で自身の首筋を撫でながらようやく大剣ヴォルファングを構え、
カエル、フロッグブロックとの間合いを詰め攻撃を仕掛けた。
「ふぅぅ助かったぁ、ひどい目にあった」
旭は立ちながらグデンと両の肩を落としうなだれる、
「おまえ少しは隠せよ、丸見えだぞ、下まで」
「えっあっちょっとなにこれ、あれっ足が動かないッッ嘘でしょっ」
旭の足先とそれに接着する地面が同じ色の灰色になっている。
「ああ、こいつの粘液は何故か、
足元が地面とくっついたようにコンクリブロックみたいに固まるんだ、
しばらくはそのままだな、狂人な意志で立ち向かえば動くことは可能だ、
通常攻撃モーションも通常回避モーションも起こせはする、」
「めっちゃ恥ずかしいんだけど、ちょっと見ないでよっあっちいっててよぉ、変態っ」
旭は全裸のような形でしゃがみ込み、あっちいけっと龍人に言い放つ。
「いいのか? ほら、お前が騒ぎ立てるから二匹追加できてるぞ」
龍人の言うとおりぴょんぴょん二匹のカエルが交互に飛びながらが二人に近づく、
「えっあっちょっまたぁぁぁぁッッッ」
旭はカエルの舌にまた捕まってしまう、
「っあああああ、舌が気持ち悪いよぉッッッっ」
ジタバタジタバタ足や手を動かすが舌で持ち上げられ何もできない旭、
「あーあー、やれやれ、昨日のあいつは何だったんだよ…」
「龍人ぉぉッッッ」
旭が半泣きで救助を懇願する。そんな声音の『龍人』を呼ぶ声、
「わかってるよッッ」
龍人はカエル、フロッグブロックをもう二匹討伐する。




