告白
「…あれ?」
「起きたか」
「龍人…私…」
雪原の門番の先のフィールド、まだ雪が少し残る休憩ポイント。
旭は龍人に介抱され灼熱の黒鉄城攻略時のような軽装で、毛布にくるまった状態だった。
「もう夜だ、疲れてるなら無理して起きなくていいぞ」
「…そっか、倒した後人の『所作』で倒れちゃったんだ、まだまだだなぁ」
本来攻撃等で気絶することはシステム上ありえない、だが、
あまりの疲労度と緊張からの開放で彼女の心と体はそれを選んだのだ。
「おまえな、まだまだじゃねーぞ、あんなん俺でもできん、」
「いや、行為自体は何度か試せばできなくはないが、
あの状況で、お前のステータスで成功させる自信がない、まったくない、」
「そっか、少しでも龍人超えられたんだね、よかった」
「…よかった…じゃねえ……」
覚悟と、自信と、確信と安心がなければ龍人にはできない、
不安と、恐怖と、生と死の間で初対戦であの行為、
それは龍人ではできない、彼は『史上最強の臆病者』、
意味『利口』、
備えすぎてステータスを上げすぎた臆病者の脳筋であるからである。
「ごめん…だって、そうしないと『転生』できない、一緒に、『転生』できない、」
「別に一緒じゃなくてもいいだろ、それぞれのペースがある、」
「わかってるでしょ? 龍人。一緒じゃなきゃ、一緒じゃなきゃ駄目なんだよ」
「……」
龍人は沈黙する、言葉が出ない、彼の勘も旭の勘に、言うことに同意のようである、
「龍人は、…私が嫌い?」
「嫌いなわけはないだろ」
「じゃあ、好き?」
「…嫌いではない、」
旭はその龍人の答えに『はぁー』とため息をしてから言い放ち始める、
「面倒くさいなぁー、私の気持ち知ってるんだから、
そこは、『好き、旭、おっぱい吸わせろ、取引以上のこともな』とか位言えないの?」
「…言えるかよ、…おまえのおっぱいはそんなに安くはない…」
「…びびってるの、龍人だってわかってるんじゃないの?
龍人だって、いつかはあれくらい踏み込まないと、
転生なんて無理だって、絶対あれくらいはこれから先待ち受けてるって、」
旭は身を乗り出して訴える、いつか来る生と死の間、それを掴み取る胆力、
本当に必要になる時に初見では不可能だと。
「……ああ、思わされたよ。ステータスという武装をいくらしても、
まだ全然届いていないと、意味踏み出せてもいないと、
ヴァルディリスとの戦いでも、今日のお前を見ても、感じざる得ない、
感じて当たり前だ、そこは俺とは正反対の場所」
「…『最強の脳筋』、吾妻龍人はどうするの、どうしたいの?
私は、龍人と、一緒に、『脳筋の相棒』朝凪 旭は、
一緒に転生を目指したいよ。
私は龍人が居なきゃ駄目、私の根拠の無い自信の一部だから、
龍人が見ててくれるから、龍人がいるから、私は、私はっ…
私を、利用してまでも、使い捨ててでも、一緒に目指してよッ、」
「……」
旭の訴えに龍人は無言になる、口を真一文字に考え込む、
「しっかりしなさいよっ、あんたは、あんたは、私が、
私が惚れた、最強の脳筋、吾妻龍人でしょッ。
私の、憧れだった、好きだった、ライトノベルの作者なんでしょ?」
「…ああ、そうだよ、俺は自分で言うのも何だが最強の脳筋、
最強の臆病者だ、…おまえは最強の無謀の者、無鉄砲だな、
史上最強の無鉄砲な女子高生、か……、
…そうだな、燃えないわけには行かないよな、
そんなおまえに好きだって言ってもらってるんだ」
「龍人…」
「…何年経ったが知らないが、未だに陽花里のことも息子の勇人ことも、
引きずってる脳筋おじさんだが、こんな俺でいいなら、
一緒に本当に、『ほんとう』の意味で一緒に、転生を目指してくれるか?
俺はどうやら、お前のことを好きならしい、惚れちまったらしい」
「ッッッッッ」
旭はその龍人の告白にめちゃくちゃに頬を赤める、
「ちょっとまって、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、」
旭は顔は右下にやり龍人に向かって両手を前に手のひらを開いたまま
何回も左に右に両方を交差させる。
「? 今更だな、あれだけ告白しといてなんなんだ、
やっぱりいつまでたっても女のことは全部はわからんなぁ、」
龍人は旭の反応を見て右手で自身の首筋を撫でる。
「うっさい、しょうがないでしょっ、これでも元はか弱い女の子なんだからね」
「か弱い…ねぇ、たしかに。たしかにそうだったな。ともかく、よろしく頼む、旭、」
龍人は旭に右手を差し出す、
「うん、よろしくね、龍人、」
二人は握手する、力強く、握手する、それは誓い、願い、想い、龍人は口を開く、
「…なぁ、おっぱいちゅっぱちゅっぱしていいか?」
「……さいってぇっ…いいよ、吸うだけだからね、まぁ、それ以上もしたければその後にすればっ」
旭は目を細めいわゆるジト目になるもすぐそれは解除され、それを了承する、
龍人は、ただただ至福の時を過ごしたが、(自主規制)
結局本丸はお預けを食らうのであった。
「まぁ、ゆっくりな、とほほ」
龍人は下腹部が盛り上がったまま、涙目で誰にも届かない言葉を口にした。
(大事なことだから二回言う自主規制)




