旭対オルガレギオン 2
戦いは続く、まだ序盤、
幾度もの回避、幾度ものギリギリ、
そしてそ全てが、無傷でなされるわけではない、
流石の旭も、『最速の無謀者』もレピオス瓶を口にする、
繰り返される死の極限と、生の状態、
彼女は自分自身の器を広げるがためだけに、弛緩と緊張を繰り返す、
その最中、旭の発想は次に移行する、そう 槍、
BOSSの持つ巨大な大斧は恐らくパリー不可、
しかし槍は別、旭は戦いの最中それを『感じ』取る、
HPにまだ余裕のある状態で、それは行なわれた、
しかしまだ、確信はなかった、
だから狙うのは突進からの3撃目、
彼女は前に出ながら、躱しながら、3撃目を雷槌でない、
槍の部分にタイミングを合わせ左手に装備する中盾でパリーする、
「(ッッ! できたっ)」
感触が伝える、成功を伝える、旭は近づき容赦なく、
牛の首元の部分にロングソードを突き立てる、
「よしっ、『次っ』」
雪原の門番、オルガレギオンは距離を取る、
そう、それは合図、槍を投げる時間、投擲の始まり、
「ッッッ」
龍人は戦慄する、この日2回目の戦慄、
あまりの見た目意味のない行為に、あまりの無謀に、驚愕する、させられる。
旭は雪原の門番、オルガレギオンの後ろ姿を眺めながら、
おもむろにパリーを放つ、二回繰り返す、虚空を切り裂く、
それは、龍人に伝える、嫌でも伝わる、
何気なく言った旭の『次っ』それは、
投擲された槍へのパリー、
成功しても致命の一撃を与えられるわけでもない、
失敗すればあの二連撃を食らうだけの、
傍目から見たらイカれた行動に行くという合図、旭にとっては自然な発言だった。
雪原の門番オルガレギオンは疾走りだす、
当然のように槍を構え、放つ、
これから少女のする、行動を理解はしていないだろう。
この世界に根付き、BOSSになり、数えるほどではあるが幾度となく討伐され、
幾度となく生者を討ち払ってきた『彼』は迷いなくその一撃を解き放つ、
「ッッッ」
パリー、それはなされた、タイミングはわかっていた、
避けるタイミングと同じ、それよりかは少し早くか、
彼女は見事成し遂げた。
しかし、一度貰ったことのある攻撃 ダメージ、
それは確実に喰らわなくても意味ダメージとなる。
彼女もまた、道の道程、失敗と成功の狭間、
どちらにせよ、負う、知るからこそのダメージ、
恐怖を感じていないわけではない、失敗を恐れていないわけはない、
失敗の先のダメージをまったくイメージしないわけではない、
時に成功という重圧からの解放は精神的ダメージになる、
パリーに成功したとは言えそれは初手の投擲、
二撃目はある、この攻撃はそういうもの、
「(やばい―― ちょっと、体が動かないっ)」
二撃目、眼前にはもう高く飛翔した雪原の門番オルガレギオン、
大斧の過重の一撃、
旭は人の『所作』故に動けない、
負荷をかけすぎた心が体を動かさない、
「がッッッ」
真正面から食らう、非常の一撃、だがその痛みが、
非情にも彼女の心を起動し直す、いや、『麻痺』させる、
「(ああ…、いいよ、来なよっもう一度ッ、)」
旭は食らいながら、そんなことを想う、
「はぁッはぁッはぁッッ
(気が緩めないくらい、『さいてぇ』な状況でこそ、
『さいっこう』な攻撃できなよ、)」
そんな旭の思いを、想いを察したのか、
雪原の門番オルガレギオンは投擲した槍を回収し連続でその攻撃態勢に入る、
もちろん、旭は、選択は、回復はしない、これはそういう戦いではない、
「はぁッ、はぁッ、はぁっ、空気、読めん…じゃん」
満身創痍、雪や、土、彼女の防具は、防寒具は、めちゃくちゃ。
旭の選択はするのは『こっち』、排除すべき、自分の環境。
「(慣れない防寒具で戦う余裕なんて無い、ちょっと邪魔かも、)」
旭はこの状況で、装備を外すシークエンスを取る、
まだ、こちらを振り返っては居ないとはいえ、その行為は、異常。
あまついつもの防具にすらする余裕すら見せる。
旭が正面を向くと、雪原の門番オルガレギオンは丁度折り返しの段階、
「はぁぁぁぁぁ……ふぅぅぅぅぅ……」
旭は大きく呼吸をした、視線は逸らさない、
オルガレギオンは右手に持つ槍をゆっくりと引いた、『それ』はくる、
「ッッッ」
ガシィンっと旭は当たり前のように、槍を弾く、
その瞬間旭は次のことにしか興味が無い、襲いかかる。
超重量の化物の全体重を乗せた、一撃、『過重の一撃』、
旭は前、進む他、術を知らない、前進、回避、攻撃、
「シッッッ」
二連撃の攻撃を放つ旭、その後距離を取る、『一応』、レピオス瓶で回復を図る、
「はぁッはぁッはぁッ(さぁ、そろそろ次の段階に入ってもらわないと、)」
旭は、見極めたのか、淡々と相手の体力を削る、そしてその時は訪れる。
「「「オオォォォォォッッッ」」」
雪原の門番オルガレギオンは咆哮を上げる、自身の周りに雷槌が幾つか落ち続ける、
「ッッッ(こわい、こわいよッ、なにがくるのッ)」
高速と重量、雷槌のリーチ、何かがまた加わるのか、工夫がされるのか、
考えられることはいくらでもある。
だが、この段階の想定にあまり意味は無い、
繰り出してきたものを認識し、対応する、それしかない、
今の旭の疲労度では想定することすら余分な熱量を使い、
敗北に近づける行為、考えることはタダではない。
「オォォォ…」
咆哮を終えた、雪原の門番オルガレギオンは大斧にさえ雷槌を宿らせる、
そして相対する旭に迫る、
その初撃は、槍を棒高跳びの棒に見立てそれを支えに高く舞い上がり、
左手の大斧での攻撃、それは追尾しながら上手く調整され、
3回繰り返される。
4発目は高く槍を使い槍を手放して空からの全力の一撃、
地面の雪が飛び散りまくる超重量級の一撃、
打ち終わりと手放した槍を拾いに行く間が、攻撃のチャンスでもある。
「(これくらいならッ)」
旭はこれを冷静に躱す、旭は躱したが初見で躱すのは普通の人間にはとても無理である。
旭は攻撃には移行しない、
この世界の基本は、相手の攻撃パターンをまず知る。
状況によって追加する攻撃もある、用心に越したことはない、
「(次はなに、)」
雪原の門番オルガレギオンは距離を取る、
「(また突進? 槍投げ?)」
距離を取る攻撃、それは覚醒前のそれを思い出す、それぐらいは攻撃は想定許容範囲内、
雪原の門番オルガレギオンは槍を高く掲げ、
槍の先端から球状の雷槌を作り出す、
その雷槌は4つに分かたれ、雷槌で出来た槍になる、その場に留まる、
「(あれが、こっちに一つずつ向かってくるのね)」
オルガレギオンは掲げた槍を雷槌でリーチを伸ばした状態で旭とのあいだ、
真ん中の雪の地面に突き刺す、
「(なに?)」
その槍を起点に、オルガレギオンは旭から向かって右回りに斧を左手に回り始めた、
「(そういうことかっ)」
旭の読みは正しい、
その刹那、空中に浮いた雷槌の槍は
旭に向かって一つ一つワンテンポ遅れて各々向かい始める、
そしてそれは1つの選択の時でもある、
「(どっちがいい? 相手の来る右に行くか、それとも左か、
下がりながら右? 左? いやっどうせ調節してくる、ならっ)」
旭の選択は右、理由は、向かってくる相手を認識しながら対応できるから、
しかし向かってくる雷槌をまとう大斧、
せまりくる4発の雷槌の槍、
どの方向に動こうとも難易度は、さほど変わらない、
旭の判断基準は、どちらが自身の感じる不安を抑えられるか、
いや、不安と緊張と安心、そのバランス、
『勘』、ただそれだけである。
「(この4発の雷撃は走りながらステップで避けられる?
いやっそんなに甘くないっ)」
1発目2発目は旭は独自の回避、ステップで躱す、
しかし3発目4発目はほぼ同時、そして先の2発よりも強めの追尾、
システム的、回避行動で躱す、旭は前を向く、
そう、彼女の眼前には大斧、バチバチと雷鳴を纏う、横薙ぎの大斧、助走をつけた渾身の一撃、
「ッッッ」
旭は躱す、一瞬でも怯めば真横から雷槌の大斧で薙ぎ払われる、
彼女は見事初見で躱す、雪原の門番オルガレギオンは、避けられた為、
雷槌を纏った槍を通常の槍の長さに戻す、その時間もかなりの隙、狙うべき隙、
「(次はっ)」
また距離を取る雪原の門番オルガレギオン、
巨大な斧を一旦手放し、雪が積もる地面に突き刺す、両手で槍を回し始める。
雷槌は量を増す、尋常でない量の雷槌、
「(??更に超高速の投擲???)」
しかしそうではない、
雪原の門番オルガレギオンは右手でその場でひと薙すると
目の前に4本の電撃でできた槍を創り出し、
実態のある槍を天空めがけての投擲する、
その実態のある槍は空中で止まり、目標である旭に矛先が向き、止まる。
「(上!?)」
「(知らない攻撃だ、)」
これまで旭の異常な戦いを黙って見守っていた龍人だったが、
前かがみになる、龍人はその攻撃を知らない、
これまでの攻撃も昔の攻撃パターンとは違うが
極限状態になった最強を匂わせる攻撃にそうなる他ない。
以前は、集めた雷槌を4本の雷槌の槍に変え、
そのまま雷槌の槍が最後の本物の槍の投擲と合わせ5本の槍とし、
雷槌でできた槍はランダムで別々の速度で襲いかかり、最後は投擲、
実態のある槍は先程までの投擲と同じ速度でやってくる、緩急の攻撃、
それもまた厄介な攻撃であるが、
ここに来てこの世界はこの怪物に、新たな力を与えていたようだ。
最初に薙いだことにより、
雪原の門番オルガレギオンの前には4本の雷槌の槍、
空中には本物の雷槌を纏う槍、
上空 20mで旭の方を向き、静止している、
その槍は、オルガレギオンの右手から放たれ続けている雷槌の鎖によっていまだ支配下にある、
地面に突き刺した大斧を左手に取り疾走り始める、
オルガレギオンの前に存在し続ける雷槌の槍は、ランダムで旭に放たれる、
「ッッッ(本物の槍の方はおそらく高速っ
前には4本の雷槌の槍、斧も交えてッッふざけんじゃ無いわよッッ)」
上空と前、迫り来るオルガレギオン、
「ッッッ(これは避けられるッッ)」
雷槌でできた槍を4つ全てかわす、
無様にもその雷槌の槍は雪の地面に突き刺さる、
しかし、音を立てて雷槌の柱となって存在し続ける、
「ッッッなにっ」
旭の後ろに創りだされる4本の雷槌の柱、その柱達は移動を開始する、
旭の前と後ろ、
前の二本は視覚をほぼ遮り、
後ろの二本は後方への回避を許さない、
雪原のオルガレギオンは右手の雷槌の鎖を振りかぶって投げた、
黄色の雷槌壁が空中にある槍とオルガレギオン事態を遮る、
僅かに色の違いで分かる程度、距離もある。
これはかなりの困難。
酷い攻撃、空にある槍と、
BOSS自体の動向などこの状況で、初見で、把握できるものはほぼいない。
「ッッ(うそっでしょっタイミングがっわかりづらいッッ)」
旭の咄嗟の判断は右への回避、完全にヤマ勘、しかし、それは実る、
虚しくも上空からの槍の一撃は雪と地面を豪快にえぐるが、旭には当たらなかった、
「(後はッッ)」
後は突進してくる雪原の門番オルガレギオンの雷槌をまとう大斧の一撃のみ、
雪原の門番オルガレギオンはジャンプする、
『片手』で大斧を持って、そう 『片手』で、旭は違和感を感じる、
その右手の雷槌の鎖は途切れてはいない、しかし、思考の余地が無い、
「ッッッ」
旭は攻撃を食らっていた、何が起こったのか、
実態のある雷槌を纏う槍が、旭に背後から突き刺さっていた、
「イッッッ(遠隔、操作、)」
振り下ろされる、高所からの過重の片手大斧の一撃、
それは、避けられるはずもない、
「ガッッッ」
旭は2連撃を貰ってしまう、しかし、この攻撃はそれで終わりではなかった。
視界と、後方への回避を許さなかった雷槌の柱達は
攻撃を食らった吹き飛ぶ旭の到達地点に集まり始める、
それはあまりにも無情、
雷槌の光の柱がさらなる追加ダメージを与える、
「ッッッ」
3連撃をもらった旭、体力、HPはまだ尽きてはいない、
旭の体力は現在MAX3000、それが数値で表すなら60、絶命寸前、
奇しくも、龍人からもらったアニマの結晶で
余分にレベルアップでの自然体力上昇分とレベルアップボーナスで体力を上げた分、
それがなかったら大聖堂送りであった、
「「旭ッッ」」
「来るなッッ来ちゃッ、絶対に駄目ッッッ」
旭の静止を訴える声に、声音に、その迫力に、龍人は立ち止まる、
「はぁッッはぁッッ大丈夫ッ、だからッ、はぁッはぁッ、私はッ、大丈夫だからッッ、」
「はぁッッはぁッッはぁッッ
(働いてる、私の勘は間違ってない、
人としては間違ってるけど間違ってない、私は運がある、
私は、確実に人として間違ってるけど、
転生を目指すものとしては間違ってないッッ、)」
あの取引も意味があった、運があった、
勘は確かに働いていた、彼女は少し笑う、荒ぶる呼吸の中不敵に笑う、
「はぁッッはぁッッはぁッッ(空気読みなよ、得意でしょ?)」
それは、もはや、繰り返され続けた行為、
まさかの、もう一度、彼女が望む、もう一度、
空気を読むのが得意である、
雪原の門番オルガレギオンは、距離を取る、それは、連続、
「(旭 おまえ、おまえは、俺に、追いつくつもりか、
追い抜くつもりかッ
ステータスじゃない部分でッッ)」
「…イカれてやがる、」
龍人が言うのも無理は無い、それはガードを許さない、
対処法も確立していない状況での、あえて回復をしないをもう一回、
生と死の間でのもう一回、龍人ももう察している、
旭はもう一度死んだら、自分の隣からいなくなると、
その生き方は、一か八かの閃光、
「ふぅぅぅぅぅぅっっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
深呼吸一つ、旭は今自身に生じている感情を想う、
「(私、ムカついてるんだ、ずっと、ムカついてるんだよ。
私は、勘違いしてたことに、
龍人の作ったラノベ、デジタルワールドの『光』はヒロインの『光』は、
『龍人』だったんだ。
わかって…なかった、だから、ムカついてるんだよ、
ずっと追っている、届くかどうかわからない、陽花里さんを
巴 縁を、未だに追い続けてる、
私の大好きなラノベも、アニメも、まだどちらの足元にも届いてない、
わかってなかった、そして龍人も、まだ完璧なんかじゃない、
私が、見せないといけない、陽花里さんに劣らない光を、)」
さぁ、来なよ、私は、私はここにいるよ
雪原の門番オルガレギオンは槍を両手で回し、
再び『あれ』の体制に入る
上空には雷槌の鎖に繋がる槍、
前方には4つの雷槌の槍と、
それと同時に迫り来る雪原の門番オルガレギオン、
「ッッッ」
最初の4槍を躱す、ここまではいい、問題はここから、
その躱した4つの雷槌の槍は雷槌の柱に姿を変える、
旭の後方への退路と、前方の視野をぼかし、前進する選択肢を消す、
「(さっきのタイミングは覚えてる、多少は見えている、
だけど見えなくても、感じる、いける、見えないものは感じればいい、
目からくる僅かな視覚情報、耳からくる音の情報、
肌に感じる感覚情報、乾きまくってる口の中の味覚情報さえも、
フル回転させろッッッ、使えっ感情も、熱量も、なにもかも、この一瞬に燃やすッッッ)」
雪原のオルガレギオンは雷槌の鎖を振りかぶって投げる、旭の選択は、回避ではない、
「「ッッッ」」
龍人は、この日、何度目かの戦慄、視界を遮られ、
命のかかったこの場面での、僅か2回目でのパリー、そしてそれは成功、
「(やっぱりっ)」
パリーによって雷槌の鎖は剥がれる、そういう仕様、
盾を使用した場合パリーは成功すればこの世界ではダメージは無い、
「(あまりにもさっきのは避けようがなかった、
前と後ろの波状攻撃じゃ、賭けにもなってない、
一度じゃあれは躱せない、なら選択肢は1つしか無い、
私のルートは、これしかないッッ、)」
旭の考えは正しい、『あれ』は避けられなくはない、
だが、この戦場で、あれを躱すのはまだ無理、
なら、パリーによる鎖解除の可能性、それに賭けた、命を燃やし、賭けた。
この世界は、実のところ、『不条理』、いや『理不尽』ではない、
そもそも痛みを感じ、様々な感覚のある、
ゲームであってゲームではないような世界、
散っていったアニマ、霊子達が作り出す世界、
攻略はできるように集合体無意識が構成する世界、
だがそれでも、人からしたら『理不尽』であることに変わりはない、
普通の人間なら『あれ』は不可避の攻撃、
旭は普通ではない、
転生を本気で目指す、変人、奇人、鬼人、
夢を見ているのではない、何処に到達点があり、
何をしなければならないのか、理屈と、勘で、感じ取って、
正しく悪しく向かう夢を追う者、
現実での実行を見たのならその理屈がわかっていても誰が見ても無謀、
綱渡りにすら見えない、極限の閃光、最速の無謀の者、
『無鉄砲な利口』
旭はパリー後すぐ横に移動する、迫り来る、オルガレギオンに備えるために、
雪原の門番オルガレギオンは『両手』持ち、
鎖から解き放たれた右手は自由、即ち、全力の一撃、
「ッッ!?」
雪原の門番オルガレギオンは自身が創りだした、
旭の視界をほぼ遮っていた前の雷槌の柱を変容させる、それは雷槌の階段となる
オルガレギオンは昇る、高く高く、昇る、
旭の後方を遮っていた2つの雷槌の柱達は、
旭の左右の後方にいつの間にか下がっていた、
それはまるでこれから突撃するために力を貯めているようである。
即ちこれはこれは前と後ろからの、いや上空と後方左右からの同時攻撃、旭の選択は、
「ッッッ(怖すぎるっ、死にたくないッ、死にたくないッッ、私は、私はッ、)」
「ッッッッッッ(前へ行くしか無いッッ)」
階段を昇り、上空からの雷槌を纏う大斧の全力の過重の一撃、
後ろ左右から迫り来る雷槌の柱、全くの初見、生と死の間、
17歳になったばかりで死に、この世界にきて僅か3ヶ月の異端の決断、
『前』、
いつだって彼女は、前に進む、閃光のように、
「「「ッッッッッッ」」」
彼女は躱す、過重の一撃を、雷槌の柱を、同時に、ギリギリで躱す、
せり上がる大地、地面、雪、浮き上がる旭、
旭は乗る、BOSS雪原の門番オルガレギオンの背中に立ち乗る、
一定条件を満たした、旭の決断の結果、
世界がパリー成功時の致命の一撃とは違う
『絶命の一撃』の許可が降り、それが入る、絶好のチャンス、
「はぁッ、はぁッ、はぁッ」
旭は、荒げる呼吸の中、ただ、最後の力を振り絞り一撃を見舞った、
BOSS、雪原の門番オルガレギオンは消滅する、
雄叫びを上げながら、咆哮を上げながら、
旭は着地する、肩で呼吸を盛大にしながら、真正面を向き続ける、
特定条件『絶命の一撃』、
本来、オルガレギオンは致命の一撃ではまだ倒れるほどの体力ではない、
だが、この世界では稀に、BOSS覚醒後『絶命の一撃』の許可が降りる場面がある、
今回は4つの槍を躱し実像の槍をパリー、後方左右からの雷槌、
前方の大斧両手持ち過重の一撃、
雪原の門番オルガレギオンが仕掛ける最高の攻撃を
真正面から全てを用いて全てを攻略し、背中に飛び乗ったことでそれが許された。
目の前に出現したオルガレギオンのアニマの結晶に手を触れる、
彼女はそこで事切れる、意識を失う、
龍人は、ただ旭を受け止めるしかなかった。
彼女は選ばれている、あれ以上の戦いは恐らく限界、
確かに彼女は歩いている、転生への道を。
龍人はどれほどのそれが重たいことなのか、
どれほど過酷なのか、目の当たりにし、複雑な表情で意識を失った旭を支えていた。




