ある日の休日
前回のあらすじ
家にメイドが付いてくるとか嬉しいけどやめて。
今日はみんな揃って休みだ。と言ってもこの家に来てから1週間しか経ってないけど。
大きな家とメイドには少しずつだが慣れてきた。
でも昔の一人暮らしの感覚が抜けてないせいか、色々一人でやってしまう。
するとキーラさんが、
「そのようなことは私共に任せてください。」
と言われるのがしょっちゅうある。
幸せなことなんだろうけど、まだいずい。
ご飯は子鹿亭の時よりレパートリーが増えた。
というのも、エヴがいるせいか、王国側からお金が毎週支給されることになってる。あくまで家にだけど。フベルトに聞いたところ、
「王様と女王様は心配性だからな。」
あの王様、ああ見えて親バカだったのか。
「税金とかじゃないだろな」
「まさか、王様の個人的な支出だ。」
俺個人の財布にはもう結構な額が入ってる。その気になれば宿を使って一人暮らしできるレベルに。
だけども…
目の前にはみんな揃って賑やかに朝ごはんを食べる仲間たち。
俺はいつから大きなお父さんになったんだろうね。
さて、休日に俺がやることはだいたい決まってる。
まずは筋トレ。
初期ステータス的に、俺の欠点はこの弱っちい腕っ節と軟弱な体だ。
これを少しでもカバーするためにはトレーニングが必須だ。
いずれ悪党として名を挙げようとする奴がこんなではダサいしな、
女性陣は街でショッピングなので当分帰ってこないだろう。
なんでわかるのかって?
女性とはそういう生き物だからさ。
筋トレと言っても腕立てしかやらないんだけどね。
理由としてはこの後のトレーニングが関わってくる。
その内容は買ってきた木剣での素振りと、戦術作成。
俺みたいな人間が自分より上の敵を倒すには、戦術しかない。
多少狡い手でもね。
最近できたものとしては、魔法との混合戦術。
この間、新しい魔法を覚えたからな。
それは“灯明”だ。
魔力を使って明かりになる球を作る魔法で初歩の初歩的な魔法だ。
サイズはピンポン球くらいで結構明るい。
使い方としては、敵に急接近した後、目の前で発動させて目くらまし。
ひるむのはほんの一瞬だが、俺からすれば十分な隙だ。
あとは桜返しの練習かな。
ここぞって時に失敗したら命取りになるからな。
他には素手での近接戦闘術の訓練。
基本的には、体術スキルのおかげである程度それなりに動けるのだが、相手にスキル封印なんてされないって言う保証もないし。その辺に関しては、現世で培ったゲームの知識から厄介な敵の特性をピックアップ、それの対策をあらかじめ考えておくのが基本かな。
あとは小休憩を挟みつつ、のんびりする感じ。
たまに出かけたりもするが、今日はそんな用事もない。
休憩する時に飲み物を取りに行こうとするとキーラさんがすでに準備済み。それもタオル付きで。
「あの〜そこまでしなくてもいいですよ?自分でできますし。」
「メイドとして当然のことですし、この家の当主はリョウタロウ様ですので。」
「う、うん。」
俺が飲み物を二回ほど自分で取ったあたりから、こんなかんじだ。
うーむ、いずい。
トレーニングがあらかた終わると、シャワーに入るのだが、ここでもキーラさんが準備済み。
「お背中、お流ししましょうか?」
「け、結構です!」
なんだろう、おちょくられてる気がする。
しかもあの人考えてることが心象読解でも読めないんだよね。
おぉ、怖い怖い。
ああいう女性はきっと恐ろしい内面を持ってるに違いない。
こう、なんでも見透かされてる気分になる。
あんな姉がいたら間違いなく世渡り上手になれるぜ。
あ、でもエヴを見てるとそんな気がしなくなってきた。
午後はまったり昼寝したり、フェリクスや、ロボルのトレーニング風景を眺めたりしてる。
フェリクスは前に比べて、大剣の扱いに慣れたみたいだ。
こう、動きにキレが出てきた。
そしてウチの秘密兵器ロボルくん。
影手にも慣れ、実戦で使う日も近いだろう。
鎌状にしたそれを振るう練習をしていて今のところ二本が限度。
その気になれば五本は出せるが、戦いでは全く使い物にならない。
ちなみに最近はオレールの遊び相手にもなってる。
さらに、種族名が変わった。
元々、ホワイトウルフって言う種族だったが、この間鑑定してみたら、“シャドーウルフ”に変わってた。多分影手が影魔法の分類だからだと思う。
そんなこんなで女性組が帰宅。
そして休日が平和に終わr …
「みんな聞いてくれ、明後日、私は祖父の命日で隣町に行くのだが、みんなを母上に紹介したい。きてくれるか?」
「エヴのお母さんか〜たしかに気になるわね。」
「アリスター王国の女王だからな。」
「はい!会ってみたいです!」
「では決定だな。アンスとオレールはどうする?」
「悩むけど、たまにはお出かけするのも楽しそうだし、行くことにするわ。」
「じゃあ明後日の朝みんなで隣町に出発だな。キーラ、コルネ、留守を頼むぞ。」
「はい、お嬢様。」
…
どうやら平和に終われなかったようだ。
「ワン(仕方ないですよ。)」
「そこまで思ってしまったら負けだと思ってる。」
「ワフゥ(いつまで持ちますかね)」
「さあ…」




