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第弐章 10話

そう言われると、晄はうなずいて…


「お前のこと、嫌いになんてなれないんだよ…」


と、私の耳元で言うと、トーネルさんを追っていった。


は?晄、なに当たり前のこと言ってるの?フロラちゃんはみんなのアイドルなんだよ!みんな大好きに決まってるでしょ!?


「あ…そういえば、買い物まだ済ませてなかった!」


私はトーネルさんからお金を預かり、街へと向かう。


…ひひひ、おつりは盗もう。きゃー、こんなときでも経済的なことを考えられるフロラちゃん、天才(-д☆)キラッ

「窃盗はいけないことです。皆さんは真似しないようにしてくださいね!」


そして、無事に買い物を終え…ふと路地裏を見た。


そこにいたのは、ぼろぼろな服を着た小さな少年だった。


よく見ると、奥の方にも似たような大人が居た。


そっか…そういう社会だから…。と、無意識に納得した。


この国では、町民や庶民よりも下の身分で生まれてしまった人もいる。町民や庶民は、文字・計算を習って、仕事に就くことができるけれど…それができず、ずっと物乞いや盗みをすることでしか生きられない人もいるのか。


「じゃあ…学校、やれないかな。」


私は小さくつぶやいた。


そうすれば、「スーパーアイドル・フロラちゃん」について広く教えることができ、ファンが増える…じゃない、教養(って何?)がつき、就職できる人も増えるだろう。


ただ、この世界の歴史は知らないからなぁ…。


するとそこで、どこからか弥生土器とか奈良三彩壺を投げるような音が聞こえてきた。


何か、もめ事でも起きたのだろうか。


それにしても弥生土器や奈良三彩壺を投げるとは、もったいない…。


そう思い私は、音の聞こえる方向へと走った。すると少しずつ、怒鳴り声も聞こえてきた。


「目も見えねぇのにうちで雇ってやってるんだぞ!なのになんでこんな簡単なこともできねぇんだよ!」


店長らしい男性が、15歳くらいの女の子をどなりつけている。目が…見えない?怪我かなにかだろうか?


「この役立たずしょうがいs…」


「ふざけないでください」


あれ?誰かと言葉が重なった…。


隣を見ると、知らない女の子が男をにらんでいた。私と同い年くらいに見えるけど、すごく高級そうなドレスを着ていて、ブロンドの長髪はきれいにカールしてる。


あんなにカワイイ服と髪型は、絶対私のほうが似合うのにぃ!よし、あとで盗もう〜っと。…あ、髪型は盗めない…?


「まず、何があったか説明願えますか?」


私も女の子に便乗してさけぶ。


「そうですよ!その女の人はどうでもいいけど、超うるさくて近所迷惑なので!」


「…え?」


女の子に変な目で見られつつ、私は拳を強く握った。


ふっふっふ、必殺フロラパンチを準備しているのであるよ…。


「あぁ?なんだよ、テメーら」


何かしらやっていた男が、こっちを向いた。


「なんで俺が答えないといけねぇんだよ」


答えてもらえないならと、おそらく暴行されて壁にぐったりしてる女の人に話しかけた。


「お姉さん、どうしたん〜?」

私がそう尋ねると、女性は動揺する。

「ごめんなさい、大丈夫です!大丈夫なので!」

ああ、そう言えば目が見えないって…。

女の子が、そっとお姉さんの肩を触る。

「何があったか、お話してもらえないですか?」

彼女は静かにうなずいた。

「私…その、目が見えないんです、生まれつきで…」

確かに、唐茶色(土属性?)の彼女の瞳は、光が映っていない。

視覚障がい者…か。障がい者差別も、問題みたいだな。

きゃああっ!フロラちゃん、障がい者さんのことも考えてる!

えっら〜い!!!オトナ〜!

オトナなフロラちゃんは、お姉さんにたずねてあげる。

「で、あの男性はなんで怒ってるの?」

「えっと…あの人は私をやとってくれた人なんですけど…その…あずかったお金をまちがえてしまって…。10クロネが1クロネで払われたのに、分からなかったんです…」

ああ…確かに、この世界には点字がないし、分かるわけがないよね。ま、私にはどうでもいいんだけどね。改革で暇があって、その中にも暇があって、暇暇になったら作ってあげてもいい…

「でっ、でも、私がお金と品物を交換する担当だったからなんですよ。ちゃんと、無理だって言えなかった私が、悪いんですよ…。心配かけてすみません…」

「え、いや、心配はしてないけど?全く。なーんか面白そうだったからぁ、聞いてみただけだよーん。」

「そ、そんなこと無いと思いますわよ。できないと分かっているのに頼んだ人にも責任はありますわ。それに、1クロネで払った人にも責任があるのではないかしら?」

私の言葉にかぶせるように、女の子がそう言ったときだった。

「ああ?第一、そんなやつがまともに働けるわけないんだよ!」

そう聞こえた。女の子は、静かにそいつの方を向く。

「…目が見えない。

それだけで幸せになれないなんて、おかしいですわ!」

私は何だかめんどくさくなって、そっぽを向いて鼻をほじっていた。あ、すごいでっかいの取れた…。

でも、女の子の言葉にそいつの顔が怒りに染まったのが分かった。女の子は、隠れて事の成り行きを見ていた他の店員たち(と私)に向かって言う。


「あっと、それを見てるあなた達もですわ!あなた達だって、この盲目の女の子に助けられたこともあったのでは?」


うるせぇなこいつ…

フロラちゃんのかわいいお耳が疲れちゃうでしょー!


「手を差し伸べること、助け合うことが、こんな世界でも大切だと思いましてよ。」


女の子が優しく言う。そして、女性に話しかけた。


「あなた…お名前を聞かせていただいても?」


「えっと、ラテール・エルファレス…です」


「私はセリナ・ドリスですわ。」


そして、そこのダメダメなあなた、お名前は。」


「私はねぇ 国民的アイドルのぉ フロラ・ブラン〜♡」


…って。「ダメダメ」って何よ!?


「そちらの男性、彼女を解雇という形でもよろしいですね。」


セリナさんはそう言った。


…せっかく自己紹介をしてあげたフロラ様を無視するとは、どういうことなのだろう。


「え、ちょ…」


「勝手にしろよ、こんな無能願い下げだぜ」


男性はそういうと、出てけと腕を動かした。


…むかつくぅ。あっかんべーだ。


「んだとぉ!?」


「フ、フロラさん、働く場所の提示は私がやりますから、ラテールさんの手を引いてくださいな…」


こらぁ、私に軽々しく指示するなぁ!

と思いつつも、仕方なくセリナさんの指示に従って、ラテールさんの手を引いて店を出た。


「…フロラさん。どちらで働かれてるのですか?」


歩いてる途中、セリナさんに尋ねられた。


「えっと、第二騎士団で、家事とか色々して…働かされてます。


こんな可愛いフロラちゃんが働いてあげてるのに、まじで給料安すぎぃ〜!ってな感じです。」


「そうなのですね。

少し、そちらに用がありますので、案内してくださりませんか。」


用ってなんだろう?ってか、私の言葉、完全無視すんなよぉ!と思ったが、一応うなずいた。

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