第十九話「事案」
プロット修正してたら予定の10倍難航してます。本日1話だけ更新しますが、明日は無理と思ってください。
それから掲示板要素追加しました。現状一章最後と、今後各章最後に挟めたらと思います。
生存報告でした。
魔術大祭二日目が始まった。
朝、執行者本部から追加の連絡がないのを確認してホテルを出る。
頬をムニムニして調子を確かめながら本日の待ち合わせ場所へと向かった。
まだ少し早かっただろうかと思いつつ、待ち合わせ場所へ到着すると……雄二が幼女と手を繋いで笑顔で話しかけていた。
「はぁ……」
朝一番から知人の犯罪行為を通報する身になるとは、これが交友を持つということなのか。
僕は盛大に溜息を吐きながら携帯を取り出す。
通報するなら警察か、もういっそのこと執行者本部に持っていくか……。
ピッ、ピッ、と携帯を操作しながら悩む。
「待って待って京助。ちょっと待って欲しい。せめて事情の一つでも聞いてから携帯を取り出してよ。俺たちの友情儚くないか? それとおはよう」
「おはよう雄二。話は姫と美澄さんが揃ってから聞く。そこで大人しくしてるんだな」
「友情って儚い……」
慌てたように幼女を連れてやってくる雄二を見て、一旦携帯をしまう。
まぁ彼のことを半分すら理解できた気はしないが、それでもロリコンではないと思う。
『風神』にギャル系冒険者きりえすに美澄さん、あともしかしたら『女王』もか?
雄二がそういう目で見ている女性たちの共通点に幼女趣味という部分はないし、きっと大丈夫だろう。
そう結論付け一旦思考を切り替え、僕は本日の雄二の姿を改めて確認した。
フードで顔の隠れた、如何にも冒険者ですよというような姿。
どう見ても『千鎖』だな。
ただいつもと違う点を挙げるならそれは【霊装】ではなくただのコスプレということだろうか。
自分で自分のコスプレするの流行ってるのか?
ユキトイキもわざわざ【霊装】解いてコスプレしてたよな。
というかだ。
こいつ、自分が『千鎖』であるといよいよ隠さなくなったと見ていいんだろうか。
確かに昨日の美澄さんと雄二の会話はそりゃもうばっちり聞こえていたけど、お前それでもクラスでは正体隠してほくそ笑むキャラだっただろうが。
昨日の一件は姫の意味深な呟き含め追及する気はないってのに、こうも大体的に自己主張をされると逆に聞いて欲しいんじゃないかと思ってしまうのは無理からぬことでは?
絶対聞かないけどね、僕をお前たちの物語に巻き込むんじゃない。
そうこう思っているうちにそう待たずして姫と美澄さんも並んでやってきた。
仲良く手を繋いで楽しそうにお喋りしている。
その二人は僕を見て、その後雄二と雄二に拉致されている幼女を見て顔を顰めた。
ピッ、パッ、ポッ
「待って待って無言で通報しないで! それもうさっき京助がやったから! 頼むよぉ!」
揃って携帯を取り出し、顔を寄せ合って雄二を見ながら囁き合う姫たちに雄二がずんずんと近づいていく。
お、事案か?
「説明」
「はい」
美澄さんの圧の籠った一言で雄二は事の経緯を話し出す。
因みに本日の姫と美澄さんの恰好は姫がなにかのアニメコスらしい男装女性騎士コス、美澄さんが巫女服ミニスカバージョンコスだった。
なんでみんなコスプレ衣装着ているのかって?
それはこれから向かう先がコスプレイベント会場だからだ。
そんな僕の恰好は狐面和装コス。
言うまでもなくユキトイキのタマを意識した。
多分説明しないと誰もわからないレベルだろうけど。
そんなコスプレ集団に囲まれた幼女はというと何故か魔女っ娘コス。
やっぱ雄二は一旦通報しといたほうがいいんじゃないかと思った。
「つまりその幼女は偶然見かけた迷子で、懐かれちゃったから連れてきたと? 普通に迷子センター届けに行きなさいよ」
「いや、俺もそうしようと思ったんだけどさ、そうしようとするとこの子が」
「イヤなの。雄二お兄ちゃんと一緒にいるの!」
「……って聞かなくて」
「チッ……あんたこんな幼女まで誑かしたのね」
「え? 今舌打ちした?」
「罪深なお兄ちゃんなの」
「待って?」
話し終えた雄二の弁明曰く幼女はただの迷子だったらしい。
ご両親が心配しているだろうに早く迷子センターに行くべきでは? と思うものの幼女はそれを拒絶する。
なにか家庭内トラブルでも抱えているのか?
それにしては随分強かな性格に見えるが。
「お父さんとお母さんにはきっとまた会えるの。だから雄二お兄ちゃんと一緒にいるの! お願いなの、炎華お姉ちゃん、ナツキお姉ちゃん!」
「「お姉ちゃん……!」」
あ、強かな幼女の攻撃でお姉ちゃん二人が陥落した。
いつの間に自己紹介を、というか姫の名前初めて知ったな。
もしこの幼女がわかっててやったのだとしたら末恐ろしいぞ。
幼女は二人の様子をじっ……と観察した後小さく一つ頷くと、今度は僕のほうに顔を向ける。
いや今の様子を目撃した僕に同じことをされても反応に困るが?
「……えっと。……お願いします」
「……あぁ」
……え、これだけ?
なんかこの幼女、僕に対してだけ妙に距離がないだろうか。
あれか、狐の面を被っているから不信感が強いのだろうか。
ならばと仮面を少し横にずらして昨夜一生懸命練習した笑顔を幼女に披露した。
ニコォ……
「ひっ……」
隠れる幼女を見てそのままそっと仮面を戻す。
未だ要練習、か。
「京助」
「なんだ、姫」
「お前は無理に笑わなくていい。ありのままの君が好きだ」
「爽やか笑顔が引きつっているようだが? ……まぁいい」
姫はキラキラ王子様キャラで通してきただけあって笑顔熟練度は僕より高いはず。
その彼女がまだ早いというのなら確かにそうなのだろう。
未だ縮まらぬ幼女と僕の距離感に疑問を抱きつつ、本日魔術大祭二日目は幕を開けた。
予想外に同道人が一人増えたが、行き先は変わらない。
いざ推しが満喫していたコスプレイベント会場へ、参らん。




