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第一話「暗闇の中で」

まだ三章書き終えてないんだけど、あまり待たせたくないので投稿できる分だけでも投稿します。

毎日投稿できるかわからないけど読んでくださると嬉しいです!


(作者はアクセス件数とかブックマークとかの表示見てによによしてます)

◆~暗闇の中で~◆


 薄暗い倉庫の中で蠢く影たちがあった。

 しかし倉庫といえど蠢くモノは当然無機物などでなく、それらは黒仮面に黒いローブを纏う……一言で表せば怪しい者達。


 不穏な静寂が暗闇の中を支配する中、芯の通った老婆の声がその場に響く。


「進捗はどうですか?」

「万事抜かりなく」


 老婆の問いに答えたのはローブ越しでもはっきりわかる体格のいい大男。

 倉庫に取り付けられた窓から月の光が射しこみ、その姿が晒される。

 老婆と大男はローブを羽織ってはおれど仮面はしていなかった。

 月明りに照らされた倉庫の中に、若かりし頃はさぞ美しかったのであろう面影の残る老婆の顔と、赤髪褐色肌の堀の深い顔つきの大男がはっきりと映る。


 老婆は淑やかに真っ直ぐ前を向き。

 大男は豪快という笑みを浮かべて後ろに控える。

 照らされた彼らの顔には、およそこんな場所で密会するような者の雰囲気は備わっていなかった。


 一段高い場所へ上った二人は、眼下に集う者たちを……同士たちを見やる。

 老婆が一歩前へ出て、その口を開いた。


「決行の時がきました」


 壇上を照らすように月明りは射しこむ。

 老婆の年老いてなお整った容姿が、覚悟を示すように引き締められる。


「我らの悲願を果たす時です。これは最初の一歩……覚悟はよろしいですか?」


 壇上の老婆の声に集った者たちは声を発さぬ応えを返す。

 それは胸のうちから湧き上がる戦意なのか、溜めに溜めこまれた殺意なのか。

 おう、という声が静寂の中に響いたようだった。


 物静かにそれを確認した老婆は告げる。


「混沌を齎しましょう」


 気づけば老婆も大男も、その場の全員が得体の知れない圧を解き放っていた。

 それは見る者がみれば気を失う程の……魔力。

 唯一老婆だけが性質の異なる圧を放っていたが、この場に集った彼らはほぼ全員が、魔術師であった。


「……執行者では秩序を維持できない……」


 呟くように言った老婆のその言葉は、静寂が包む倉庫の中ではよく通る。

 だがその言葉に誰が反応するでもなく、彼らは瞳を閉じる老婆を見守る。


 やがて苦痛から前へと前進するようにその瞳を開いた老婆は、震える想いを声によって押し隠した。


「決行は魔術師の祭典、魔術大祭! 我らはそこで、混沌を齎さん!」


 老婆の声に応えるように、その場の全員が腕を掲げる。

 彼らの腕には共通のシンボルが描かれていた。


 彼らは。


「我ら正義に非ず! 我らは──!」


 断じて正義などではない。


「「「──我らは秩序を願う者!」」」


 彼らは、秩序を願う混沌である。

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