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第二話「まさかまさかなユキトイキ配信」

『一大ニュースじゃ』

『一大ニュースですよぉ~!』

『すごいことだぞ!』


 続くユキトイキの配信で。

 これは一大ニュースと呼ぶべきことが起きた。


『『『初・発掘~!』』』


 なんとユキトイキ、ダンジョンの浅層からアイテムを発掘する。

 ただの炭鉱夫でしかなかったユキトイキがまさか……だ。


 といってもダンジョンからアイテムを発掘することは珍しい話じゃなかったりはする。

 むしろ冒険者の稼ぎで大きな割合を占める者も多いのではないかというくらい。

 ダンジョンで稼ぎを得る方法は大きく分けて二つ。

 ユキトイキのように炭鉱夫なり採取なりをして資源回収に勤しむか。

 ダンジョン内の遺跡や壁を掘って未知のアイテムを発掘するか、だ。


 資源回収は安定した収入を得られるが、アイテムを発掘した場合はその収入が比ではないから、狙う者もまた多い。

 ただの魔術的アイテムでもウン十万円することも珍しくないし、それが魔法的アイテムであれば一気に桁が跳ぶ。


 そんな背景がある中で今回驚きなのが、発掘された場所が浅層……つまり一番優しい層であるということなのだ。

 浅層はユキトイキのように控えめに稼ぎたい冒険者が多くいるし、魔術を覚えたてなら誰もが最初は浅層で慣らす。

 だがそれでも今まで浅層でアイテムを発掘したという話はあまり聞かない。

 皆無ではないものの、凄まじく幸運な例なのだ。


 だからまさか、である。

 まさか浅層で、それもあのユキトイキがアイテムを出土させるとはな……。


 大画面で配信を見ていた僕も、思わずこれにはにっこり。

 氷の彫刻のようなキューブ状のそれを大事そうに抱えるユキトイキは、早速売却のため冒険者ギルドのアイテム取引所へと向かう。

 どの道鑑定魔術をかけてもらわないと所持し続けるのも危ういから持っていくのは正解なのだろうが、ユキトイキはこの時点で売る気満々のようだ。

 初めての出土、しかし彼女たちの目はマネーマークに染められている……。


『さ、三十万くらいにならないかのぉ~?』

『流石にそれは欲張り過ぎでは~? 出土と言っても浅層ですし~』

『い、いい天気だなぁ~』


 金に目の眩んだユキトイキは絶賛不審ムーブをかましながら取引所まで速足で進む。

 流石にギルド内まで来たら強奪もないとは思うが、ダンジョン内ならわからないのが冒険者の怖いところ。

 とはいっても実際に強奪されるような事件もなく、ユキトイキはギルドの取引所までアイテムを持っていくことに成功した。


『今少し鑑定待ちのアイテムがたまってまして、お時間頂きますが鑑定が済み次第売却項目に並べますか?』


 そこで職員からそのような説明を受けたユキトイキは速攻で頷く。

 鑑定魔術というのがどれだけの習得難度が知らないが、まぁこれを見る限りそう多くもないのだろう。

 取引所では鑑定済みの商品だけが適正価格で店に並べられ、実際に売れて初めて出品者のもとにお金が振り込まれる仕組みだ。

 ユキトイキの出品するあのアイテムの詳細がここでわからないのは残念だが、機会があったら僕も見に行こうと決めた。


『ふんふん』

『ふんふん』

『ふふんふん』


 三人揃って陽気に鼻歌を奏でながら取引所を進むユキトイキ。

 あまり来る場所ではないのか、時折これは面白いアイテムだのなんだのと冷やかしながら見て周っている。

 ここには比較的安価な結界石などの緊急時に役立つアイテムも置かれているから、あまり来ないというのは冒険者としては少数派だろう。

 しかし魔術をエンジョイするユキトイキにはらしい光景で、だからこそ取引所を見て周るうちに遭遇したその光景は彼女たちの口を間抜けに開かせるに十分だったようだ。


『一括で』


 そこでは輝く金髪のアメリカ系美人が何やら豪奢な鎧と大盾を一括で購入している姿があった。

 女性の手には純白のカード。

 商品名を覗けば【聖竜騎士の鎧】と【聖竜騎士の大盾】とある。

 お値段は……おっとユキトイキが数千万の桁まで数えたところで目を逸らした、懸命な判断だ。



〈コメント〉

:純白のカードって、位階指定Sの稼ぎでもないと持てないだろ

:その上に漆黒のカードがあるという噂だが、実際見たことないしな

:事実上最高のマネーパワーを持つ彼女は何者だ?

:アメリカ系っぽいし、多分容姿からしてもアメリカ最強冒険者の一角、位階指定Sの『女王(クイーン)』じゃないか?

:あぁ……前の『悪鬼』討伐で『悪鬼』所有のアイテムとか色々売りに出されたって話だもんな。わざわざアメリカから買いに来たのか

:ユキトイキは早くそこから離れるんだ! あれは近づいてはいけない領域ぞ……



 コメントで有識者がアメリカ女性の正体などを話してくれた。

 なるほど、他国の位階指定Sの冒険者か。

 位階指定Sなんて世界でも一握りの上澄みだろうに、まさかそれがユキトイキの配信に映るとはホントまさかな展開が続くな。

 僕はユキトイキの虚無な炭鉱夫配信も嫌いじゃないんだが、たまにはこういうのもアリだと思う。


 さてあまりに格の違う世界を見てしまったユキトイキはクルリと踵を返し。


『帰ってゲームするのじゃ』

『モンスターをハンターしましょ~』

『私ボウガン使いたいぞ』


 如何にも彼女たちらしさの出る娯楽を謳歌することに決めたようだ。

 ……配信はするのかな?

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