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太郎は太郎1

9月末。ようやく気温も下がり、過ごしやすくなってきた頃、そろそろ夏季休暇をとっていたクラブ活動を本格的に再開しようかと言う事になった。つまり、一儲けするぜ野郎ども・・・と言った感じか。


それに丁度良いイベントが半月後に迫っている。合法的・合校則的に現金を稼いでも良いとされる日。それは『学園祭』だ。




「だから体育館を貸切になんてさせられる訳がありません!」


 朱魅さんの提案を、完全却下する生徒会長でもある実花さん。なんだかんだでこの部室に入り浸っている。


「軽音楽部や演劇部の連中なら当日体調不良に陥って出演を辞退するような予感がするが、それでも駄目なのか?」


 メンバーの中でも特に手段を選ばない過激派の美沙さんが、大体何をするか僕にも予想がつくような事を言った。


「そんな事をしたら、わたくしが許しませんわよ!」


 天使長である実花さんと、魔王である美沙さんが喧嘩でもしたら、学園祭当日に学校が無くなってしまう。それはクラブ活動に支障をきたすからと、僕は美沙さんに引いてもらうように耳打ちする。


「盛り上がると思うけどなぁ。カジノ!」


 銀治君と絵里香さんが声を合わせて言うと、二人で顔を見合わせて肩をすくめた。


確かに巨額のお金を儲けようとするには良いかもしれない。しかし僕はカジノを希望する部の副部長ながら、多分学校か生徒会にダメだと言われるだろうと予想していたし、万が一採用でもされたら、次の日新聞やテレビに出て、偉い人が責任を取らないといけないような事態になると思っていた。


「この狭い部室では大した事はできないなぁ。じゃあ賭場でも開くかっ!」


 朱魅さんのセリフに、僕は「長! 半!」といった時代劇のワンシーンを思い出すが、もちろん生徒会長から発せられる言葉は、


「だから賭け事はダメに決まっているでしょ!」


 全員頭を抱えた。ここで僕の発言チャンスだ。このメンバーにぴったりな商売が僕の頭には数日前からあった。多種多様なタイプの美女ばかりそろっているこの部なら大丈夫。会長さんや茶華道部の雪奈さんにも手伝ってもらったらより完璧になるお店。それは・・・。


「メイドカフェとかどうです?」


 みんなは首を傾げる。そんなに意表をついた発言だっただろうか? ただ、残念なのは営業日が一日しかないことだ。せめて一週間・・・いや、3日なら口コミで大勢の客が集まるだろうと思うんだけど・・・。


「・・・女子が多いうちの部としてはメイドの数をそろえることに関しては良いな! だが・・・校庭でオープンメイドカフェをするならともかく、こんな辺境の校舎でするには若干パンチがないな!」


 僕も考えていた通りの事を朱魅さんは言う。目立つ場所ならこの美女軍団であっさり客を集める事が出来るんだけど・・・。


「よし。ノーパンコスプレ喫茶にするか! コーヒーを一杯一万円くらいにして・・・」


「だからっ! あなた達は高校生として生活しているんだからっ! 世間の常識に沿って行動をしなさいっ! 却下!」


 当然会長はそう言うが、教室からは「絶対儲かるのに・・・」などの声が舌打ちと一緒に聞こえてくる。みんなやる気なのがすごい・・・。


 それでは・・と、僕は第二案を口に出す。これはこの間の合宿で僕の体験から思いついた事だ。


「あの、それじゃあお化け屋敷とかどうですか?」


「お化け屋敷ぃ?」


 みんなは微妙な顔をする。確かに、合宿の時にはみんなそれも良いと言っていたが、実際やるには手間がかかるし割りのいい商売ではない。だがしかし、今日の僕は冴えていた。


「みなさんなら絶対怖い物が作れると思うんですよね。それでですね、世間には作り物のお化け屋敷なんてちっとも怖くないって思っている強気の人が多いわけです。そこで、入場料を高くして、悲鳴を上げずに出れたら全額返金ってシステムはどうですか?」


「おおっ!」


 みんなの目が輝いた。


絶対怖がらす自信があるからか、悲鳴を上げなかったら返金どころかおまけをつけようかという話にまでなってきた。もちろん僕もその話の輪に加わって意見を出す。

 

数分後。


「決まりました! お化け屋敷、入場料5000円。悲鳴を一度も上げなかったら全額返金、おまけにメイド姿の朱魅さんによる耳掃除付! 会長さん! どうですか?」


 僕は両手のこぶしを握って会長さんに言った。


「うーん・・・。まあ、お化け屋敷なら・・・。でもメイドへのお触り等は禁止ですわよ? あと、値段が高いけど・・・まあそれは選択の自由。その範囲内か・・・」


 生徒会長である実花さんは明らかにしぶしぶだが、ギャンブルやいかがわしい店よりましだと思ったのか頭を縦に振ってくれた。


 翌日の放課後から早速お化け屋敷の準備が始まった。



 始めに、受付をするという座敷童子の小里ちゃんにみんなが手縫いで巫女さんの服を作る。ここで活躍したのは銀治君。僕の想像だが、狼男に変化してしょっちゅう服を破いてしまうので、ママに自分で縫わされているからだと思う。手馴れた手つきで9割型は彼の作業だ。


次に耳掃除係の朱魅さんにメイド服を作る。これが完成すると、なぜか絵里香さんや美沙さんも欲しいと言い出した。結局3人分作り、衣装の製作に計12日ほどかかってしまった。あと3日で学園祭だ。

 

しかし、お化け屋敷への改築に携わるのは部活の6人だけではなかった。いつものように美沙さんが亡者さんを召還し、休憩を与える事無く手伝わせる。


どこからか土を運んでこさせ、廊下に積み上げそれっぽい雰囲気を出す。会長さんの目の届きにくい部室校舎の隅の部屋だとはいえ大丈夫だろうかと思ったが、会長の実花さんは学園祭の準備に忙しいらしく、見に来る気配は無かった。


 部室周りの廊下や壁は汚されて雰囲気が出てきた。そこに、絵里香さんがバケツに入った赤ペンキで手の跡や爪で引っかいたような跡をつけていく。いや・・・もしかして、それは本当に赤ペンキなのだろうか? 廊下の先、あの階段の影からのぞくげっそりとした足は銀治君のものではないだろうか・・・・? まあ彼は普段から「俺は血の気が多い」と言っているので大丈夫だという事に僕の中でしておいた。


 放課後だけではなく、授業中や夜中も亡者さん達が頑張って作業を行う事により、僕達のお化け屋敷は文化祭前日の夕方にはきっちりと仕上げられた。


だが・・・しかし、


「これで本当にみんな驚きますかね?」


 僕は完成した教室の中へ入る。ガラスは汚され、時折割られている部分もある。照明はとっぱらわれ、松明が灯る。壁は汚され、砕かれ・・・、学園祭が終わった後、本当に元通りに出来るのかと心配になる仕上がりだ。


でも、教室一室だけだと決定的に狭い。目隠しとなる障害物も無いこの狭い部屋で朱魅さん達はどうやって脅かすつもりなのだろうか。僕はその部分は人間外である皆さんに任せているので、詳しくは聞いていない。ただ、確かに僕は夏休みに、墓場で尋常ではない恐怖を味あわされた。その時と同じく、お客さんが中に入った瞬間に集中的に何かをやるつもりなのだろうか・・・?


 僕がそんな事を考えながらうんうんと唸っているそばで、朱魅さんと絵里香さん、そして美沙さんはメイド姿で嬉しそうに踊り狂っている。小里ちゃんも巫女姿でそれに加わっており、銀治君は様子が変わった教室の四隅をクンクンと匂いを嗅いでいる。


(心配だ・・・。本当にこれで大丈夫なのだろうか・・・。心配だ。もっと心配なのが、銀治君が匂い付けのおしっこをするんじゃないかってのが一番心配だ)


 かくして翌日、学園祭が始まった。




 当日、天気は快晴で、学園祭が始まると同時に一般来場客がなだれ込んできた。うちの学校は特に限定して招待券などを作る事無く、誰にでも開放されている。家族連れや小中学生の友達同士、高校生、社会人などが見える。年配の人は少なく、若い層が多い。これは好都合! だって朱魅さん達ならお年寄り相手でも本気で脅かしてしまうだろうから・・・。


 校門から中庭に続く飲食店の売れ行きは上々っぽかった。たこ焼き、クレープなどのジャンクフードは若い人に好まれる。その人ごみの中、僕は手にしたお化け屋敷紹介のビラを配るが、みんなそれを一瞥するだけで遠い北校舎へはなかなか足を運んでくれる気配がない。


「客が来ないぞ。苦労しているのか? 太郎よ」


 すぐ後ろに朱魅さんが立っていた。もちろんメイドの姿をして。


「すみません・・・。あと、やはりチラシは漫画の得意な小里ちゃんに書いてもらった方が良かったんじゃ・・・」


 僕の手に握れているお化け屋敷を宣伝する重要な役割を持ったビラ。これには、ゴボウのような人間が、アメーバーのような奇怪な生物に囲まれている絵が描かれている。まるで宇宙人にさらわれた人が混濁した記憶を辿りながら書いたような絵だ。これを見て僕達のお化け屋敷に行こうと思ってくれる人はかなりの暇を持て余したチャレンジャーだ。ちなみに朱魅画伯に書いてもらった物である。


「もう少しお化けの数を多く書いたほうが良かったか? 残念無念だっ!」


 あと一歩足りなかったか、と言う感じの朱魅さんに僕は苦笑いを送る。と、向こうから朱魅さんと同じ格好をしたミニスカートのメイドが二人現れた。


「太郎、客が来なくて暇だよ」


「早く人間をさらって来い、太郎」


 絵里香さんと美沙さんだった。突然現れた長身でスタイルの良いメイドに、中庭の男達は釘付けになっているのを感じた。もちろん、小柄で萌え系メイドの朱魅さんは、先ほどからメガネ率の高い男子達の注目を集めている。


「あれ・・・。二人とも、お化けの格好じゃないんですか?」


「お化け役は十分いるから、私と美沙も今日一日メイドよ」


 受付は小里ちゃんなので、あとは銀冶君しかいないけど・・・。一体どういう事だろうか・・・。


「仕方ない、2番目のプランで行くか?」


 朱魅さんが絵里香さんと美沙さんにそう言うと、二人は「仕方ないなぁ」と言いながら、まんざらでもない顔をしている。


「二番目?」


 僕は何も聞いてなかったので首をかしげていると、三人は背中を合わせて立ち、少しセクシーなポーズをとった。


「メイドでーす!」

「メイドでーす!」

「メイドですぅ! やぁっ!」


 とたんに三人は踊りだす。これは昨日教室でやっていたダンスだ。あれは適当に踊り狂っていたんじゃなくて、このセカンドプラン?の練習だったのか・・・。唖然としている僕の目の前で三人は腰を振り、膝を上げる。太ももの隙間から白い何かが見えた。


「ちょっ! みなさん! パンツが・・・!」


 両手をあたふたと動かしている僕の前で三人は笑顔でリズムにのったおしゃべりを始める。


「やっぱり男は強くないとねっ!」


「守ってくれる男が良いよね!」


「でも・・・口だけの男ばかりでさ、女よりも先に逃げ出すなんて最悪ぅー」


「じゃあお化け屋敷で強さを見せてもらえばいいじゃん!」


「声をあげなきゃ全額返金!」


「男だよねー! そんなあなたにはメイドがサービス!」


「私達がサービス!」


 三人は視線を合わせると、声をそろえて言った。


「北校舎三階、お化け屋敷よろしくー。メイドがいけないことしちゃうぞっ!」


「・・・・・・・・・ぅぅ・・・うおぉぉぉぉぉぉ!」


 静まり返った中庭だったが、低いうなり声が起こり、近くの窓ガラスが震えた。


 投げキッスをしながら歩くメイド3人の後ろに、ぎらつく目をした男達がぞろぞろと付いて歩く。一団が北校舎の方角へ消えると、中庭は閑散とした状態になった。僕は周りを見回し、会長さんの姿がないのを確認すると、ほっと胸を撫で下ろした。


「あれは・・・。たぶんギリギリアウトの呼び込みだけど・・・。けど、大丈夫かなぁ。脅かす役は銀冶君一人みたいだけど・・・。まあ、彼なら狼に変身するだけで十分みんな叫び声あげるかな?」


 僕は再び、宇宙人による誘拐現場のようなイラストのビラを客に配り始めた。



 一時間ほど立っただろうか、中庭の様子が変わってきたのに僕は気が付いた。相変わらずジャンクフードは売れ、家族連れやカップル達は笑顔でそれを食べている。しかし、その向こう、中庭の隅にはうなだれた男や、生気を抜かれたような顔をしている男が座っている。「わぁ、死んだ魚の目だぁ」と子供が指差し、それを咎めているお母さんもみえる。


よく観察をしていると、そんな男達は北校舎からヨロヨロと歩いて、もしくは這ってくるようだ。何とか中庭にたどり着くと、その隅で死んだように寝転がる。


「まさか・・・これは・・・」


 相変わらず、15分おきに朱魅さん達メイド隊は中庭に降りてきて、ダンスを披露しては男達をごっそり連れて北校舎に消える。まさにちょっとしたミステリーだ。あのビラにある絵は真実だったのか? いや、もはやこれはホラー・・・。お化け屋敷だからいいのか? いや、副部長としては気になる。僕は男達の後を付いていく事にした。


 男達は自信に満ち溢れる足取りで階段を上っていく。そして、もうメイドによる接待を受けることが決まったかのようなにやけた顔を誰もがしている。三階まで上り終え、角を曲がる。後は少し歩くと、いつもの教室、お化け屋敷だ。その前の廊下に銀治君が全開でスタンバっているのが見えてきた。


「すっげー! 着ぐるみ?」


 身の丈2m半。銀色の体毛を生やした筋肉質の狼男が立っている。瞳の色は青色だ。このレベルの着ぐるみを探すとしたら、ハリウッドにしかないと僕は思うんだが、みんな違和感が無いようで、感心して口々に褒め倒している。毛を引っ張ってみて毛質を確かめている人もいる。しかし、今日はノリノリの銀治君は怒る気配が無い。それどころかいろんなパターンの驚かせるポーズをとって嬉しがっているようだ。某テーマパークのキャラクター達と大差ない。


「並んでくださーい。一人5000円です。驚かなければ全額お返ししますです」


 一列に並んだ男達から小里ちゃんは料金を慣れた手つきで受け取る。普段はせっかちさから縁遠いような性格の小里ちゃんだが、お金を受け取り、お釣りを渡す手の動きは半端なく早い。


お金を払った男達は朱魅さん達メイド隊が開けた扉を次々にくぐっていく。両手を振るメイド達の横を通る男達は、もうなんとも言えない、同じ男として恥ずかしくなるような緩んだ顔をしている・・・。


 連れてきた男の人達が全員教室の中に入った。廊下には僕と銀治君、そして受付の小里ちゃんとメイド隊だけになった。・・・って、


「何で全員お化け屋敷の外にいるんですかっ! 脅かす人がいないじゃないですか!」


 しかし、そう口に出した僕にメイド隊は顔を向けもしないで、口々に自分達の可愛さを三人で褒めあっている。のれんのように手ごたえが無い三人は諦め、僕は銀治君に言う。


「朱魅さん達はメイドが気に入ったから、お化け屋敷から驚かずに出てきた男の人達を接待するのを楽しんでいるって事なの?」


 僕は、中庭に転がっていた魂の抜けたような男達はお化け屋敷で怖い思いをしたからああなったんではなく、超絶接待を受けた影響なのかと思った。そんな僕に銀治君は青い目を向けて答えてくれる。


「いや大丈夫っすよ。中の案内は亡者達がやってますんで。半分程度の奴らは亡者を見ただけで・・・」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ひぃやぁぁぁぁぁぁ! 化け物ぉぉぉぉ」


 中から叫び声がしたと思った瞬間、部室の後ろの扉が開き、顔面蒼白、目の焦点がどこにも合ってない男達が慌てて出てくる。そして、全員例外なくそのまま一直線に廊下の壁にぶつかり、ふらつく足取りで廊下をヨロヨロと歩いて逃げていく。


「なるほど・・・。今は慣れちゃって世間話もする間柄になったけど、初めて亡者さん達を見た時は僕も怖かったもんなぁ・・・。・・・でもさ、それじゃ亡者さんを見て悲鳴をあげなかった後の半分は? 教室の中は狭いから、出落ちみたいになっちゃうんじゃない?」


「いやぁ、中広いっすよ。なんせ朱魅が時空をつなげちゃいましたから!」

「あっ! そうか・・。その手があったか・・・」


 僕は今年の猛暑が始まってすぐ、朱魅さんが教室と南国の島をつないで海水浴をしたことを思い出した。あれならば教室じゃなくても、例えばトイレの個室でさえも巨大な空間の入り口に出来る。


「えっと、それじゃあ・・・一体どこと・・・。ジャングルとか・・・。いや、猛獣系の怖いとかじゃ今回ダメだから・・・えっと、ヨーロッパの森とか・・・?」


 僕に向かって銀治君は「残念!」とばかりに指を鳴らした。


「惜しいっすねー! 朱魅は教室と魔界をつないでましたよ! 猛獣じゃ無くて魔獣の方っす!」


「そっかぁ、惜しいなぁ。猛獣じゃなくて、魔獣の方かぁ! ・・・・・って! だ、だ、大丈夫なのそれ! 入るのはただの人間だよ! しかも若干オタク寄りで弱そうな人達が多いってのにっ!」


「んー・・・・。いけるんじゃないっすか?」 


 銀治君はそう言った後、「まあ知らないっすけど」と付け足してくる。彼は勉強が僕よりも出来るが、基本、狼男で脳みそは筋肉だ。人間の力は彼の100分の1程度だと言うことを忘れている。


「だ・・・ダメだよ! 確かに亡者さん達はしっかりしているけど、中に監視員を置かなきゃ!」


「でもみんな魔界の入り口でリタイアするから、今んとこ怪我人出てない見たいっすけどね」


「な・・・中に入った人全員出てきてるの?」


「いやぁ、誰も数えてないっす。HAHAHAHA!」


 忘れてた・・・。完全に忘れてた。僕以外の部員は全てモンスターだと・・・。


慌ててドアを開けて部室の中を覗こうとした時、僕の心臓をきゅーっと締めつける声が廊下に響いた。


「こらぁ! 朱魅! 報告が入っていますわよっ!」


 振り向かなくてももちろん分かる。生徒会長の実花さんだ。どうしよう・・・。このままじゃ廃部に・・。いや、それだけならまだしも、僕達全員退学にでもなったりしたら・・・。


「あなた達はお化け屋敷で申請してありますのよっ! 過度のメイドでの露出は控えなさい!」


 会長さんは、朱魅さん、絵里香さん、美沙さんの体を指差して何やらくどくどと説教を始めた。・・・よかった。この地球上で一番危険な場所になってしまっている『お化け屋敷in魔界』はばれていないようだ。僕は視界に入ってない事を良い事に、こっそりと教室のドアを開けて中に入った。



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