時間の限り戦力を整える
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戦って戦って、カードを手に入れる。これで何枚目だろうか。かなりの数のカードを手に入れているような気がする。いや、気がするじゃないな。雪パにするのは良いとして、強みを活かすだけのカードを入手できているのは確実だ。……それが500枚以上に積み上がっていっているのは、良いんだろうか。
数は力だというのは解らないでもない。どうしようもないのであれば、数の暴力で何とかしないといけないって事も考えないと。とにかく数を集めている。そんな事をしていたら、集合の日まで、後50日を切った。そろそろ最終仕上げをしないといけない時がやってきている。
ダンジョンに潜り、戦力を整えてきたのは良い事だ。地球を救うために、時間を使って周回しているのは良い事だ。それは解っている。けど、本当にこれで良いのかって思いもあるんだよな。経験値ダンジョンで、経験値を稼いで、戦闘力を高めるのは良いんだ。それで何になるんだって話である。確実に勝てるという保障は無い。そんな事は当たり前だとはいうのに。
「何さ? 本気で怖くなってきたのさ?」
「……まあ、な。怖くなってきたんだろうな。何というか、日に日に焦りが出てきている。本当にこれでいいのかってな。カードも沢山手に入れている。戦力も集まってきている。なのに、本当にこれで足りるのかって思いがあるんだよ。段々と、不安になってきたんだ」
「まあ、弱気になるのも解るのさ。けど、弱気になったところでなのさ。結局は、やるしかないのさ。その時に、生き残れるのかどうかは、運が絡むのさ。死ぬ可能性だってあるのさ。だからって、逃げ出すこともしないのさ」
「逃げ出すことになるって思わない。それは俺自身が許さない。たとえ、無茶だとしても、絶対に地球の元には駆けつける。……それが貧乏神との約束でもあるからな」
「約束は守るのさ。その方が良いのさ。貧乏になるにしても、まずは持たないと面白くも何ともないのさ。転落する様が面白いのさ。そもそも貧乏な奴についても詰まらないだけさ。貧乏ってのは、お金の量の事じゃないのさ。使う金の量なのさ。100万円しか稼げない奴でも、年間80万円で過ごせれば、それは貧乏では無いのさ。そりゃあ生活は厳しいかもしれないのさ。けど、そこに希望はあるのさ。あたし的には、1000万稼いで、1200万使い込むやつの方が好みなのさ。どれだけ稼いでも、借金苦から逃れられない。そんな人生の方が、見ていて面白いのさ」
「ほんと良い性格してるよな。まあ、だから貧乏神なのかもしれないけど」
「そもそも神は、自分の都合でしか物事を考えないのさ。それは人間も同じさ。結局は自分のためさ。人のために生きている人も居るには居るさ。聖人と呼ばれるには、そういう人生も必要さ。でも、あんたもあたしも聖人では無いのさ。自分のために生きる。その為なら、他者も利用する。そうじゃないのさ? 誰でも助けるって言えるほど、人間が出来ているのさ?」
「自分のため、か。そうだよな。地球を救うって言っても、最終的には自分の為だもんな。地球が死んだら、俺たちは生き残れない。恐怖の大王に勝てたとしても、地球が死んだら、何も残らないもんな。次世代が産まれなくなっても困るし」
「自分のためさ。徹底的にやるのは、自分のためさ。何をするにも自分が大切なのさ。そのついでに、世界を救えれば、万々歳なのさ。あたしはそういう人間についたはずさ。あんたはそういう人間なのさ。生き足掻くことで、輝きを増すタイプさ。その輝きを見ているのが楽しいのさ。最終的には、転落して、また這い上がってくるのさ。諦めない人間は好きさ。転げ落ちて、1度で諦める人間なんて、面白くも何ともないのさ」
「そもそも、転げ落ちない様に見守って欲しいんだがね……」
「それは無理さ。あたしは貧乏神さ。入った金よりも、出ていく金の方が多い方が良いのさ。それで足掻き苦しんでいるのが良いのさ」
「良い趣味してるよ、本当にさ」
「貧乏神に期待する方が悪いのさ。これでも厄神の仲間さ。普通の神と同じに考えて貰ったら困るのさ」
「でも、なんだかんだと優しいのも知っているしな。気にかけてくれるのは、貧乏神だけだし」
「気にかけるのがあたしだけというか、人付き合いが苦手なのはあんたの責任さ」
「……また否定しにくい事を」
「事実さ。結局は陰キャなのさ。陽キャにはなれないのさ。そういう人間なのさ。諦めた方が身のためさ」
まあ、それはそうだよなとは思うけど。陽キャになろうなんて思ってもいないし。なんだかんだといって、人付き合いが苦手なのもそうだしな。難しいんだよ。どうしていいのかが解らないんだよな。
人はそんなに簡単に変わらないというのがよく解る。簡単に変わって堪るかって話だ。俺は陰キャだよ。陰キャでも更に人付き合いが苦手な方だ。コミュ力とも言うが、コミュ力があれば、もう少しまともな人生を送っていたのかなって。
……でも、そうすると、貧乏神とも出会わなかったんだよな。なんだかんだと、気にかけてくれているし、優しい奴なんだよ。転落しても、見守ってくれているだろうしな。……心の中で笑っているのかもしれないけど、普通の人は、転落したら離れていくものだしな。
「……ありがとな。心配してくれて」
「何さ? 何処に感謝する要素があったのさ?」
「色々とだよ。なんとなくだけど、そうした方が良いかなってさ」
「感謝は有難く受け取っておくのさ。出来れば、転落人生も見せてくれると嬉しいさ」
「転落するにしても、まずは地球を何とかしないとな。何とかするために、戦力をかき集めているんだし。……テレパシーの練習もしておくべきなんだろうけど、厳しいんだよなあ。どうやっても16枚以上は繋げられないし」
「人には限界があるのさ。あんたの限界は16枚って所さ。主力にするには、それで十分なのさ。まあ、他の人間がどのくらい参戦してくるのかは知らないけどさ。少なくとも、1万人は集まるんじゃないのさ?」
「……100億人居た事を考えれば、少なすぎるけどな。今でもまだ10億人は居る訳なんだろう? そこから精鋭を集めてって言っても、1万人は少なすぎるよな。もっと多くても良いとは思うんだけど」
「そんなものさ。そもそも現実を見られていない人の方が多いのさ。まだ1年と少ししか時間が経っていないのさ。切り替えて、ダンジョンに籠って、戦力を整えているだけでも十分なのさ。地球が思っているよりも、人は集まるとは思うのさ」
「1万人でも十分ってか? そんな戦力で勝てるのかね?」
「勝つしかないのさ。選択肢では無いのさ。勝つしか道は残っていないのさ。地球が頑張っているのさ。あんたも何とかして戦力になるのさ」
そりゃあ、頑張って戦力にはなる予定だけどな? 色々とあるだろ色々と。地球にはもうちょっと頑張って貰ってだな。まあ、悪いのは人間なんだけどさ。100%悪いのは人間なんだよなあ。それでも地球は人間を信じてくれているんだから、応えないといけないよな。折角信じてくれている地球のためにも。
出来ることは多くない。もうそんなに時間が無い。手札を充実させる事はやっている。それは当然の事だから。恐怖の大王に勝つには、そのくらいの事はやらないといけない。と思う。何処まで戦力になれるのかは解らないけどな。でも、出来る限りの事はやらないと。
それが、転生してきた俺の仕事だろう? 何のために転生してきたと思っているんだ。その日のためだろう? 本当かどうかは関係ない。俺がそう思っているんだから、問題なしだ。地球を救って、日常を手に入れる。それで良いとは思うんだよな。




