勝った後の事も考えないといけない
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時間が少ない。やれることは殆どない。時間が味方をしてくれればいいが、そんな余裕は無い。単純に強いカードを手に入れれば良いという問題でも無くなってきた。
結局は、自分のパーティーの強みを押し付けていかないといけないって事が解った。勝てる勝てないは運の要素が絡む。それはそうなんだけど、寄せ集めでは、運が絡むことなく負けることもある。
名古屋大学では、それがよく解った。……名古屋大学には、知恵の神としては、アテナが居た。Bランクカードではあるんだけど、アテナは俺でも知ってるくらいにはビッグネームである。戦闘力もそれはそれは立派だった。んだが、本領は知識の分野。
対恐怖の大王の眷属戦をやって貰ったのだ。机上の話ではあるんだけど、能力とスキルを合わせて、どんな敵であれば倒せるのか。条件的にどんな眷属なら負けるのか。それをシミュレートしてもらったんだ。非常に有意義だったとは思う。……危ないけど、眷属は積極的に倒しておいた方が良いだろうというのは、名古屋大学の教授たちと一致しているんだよな。
最後の戦闘で、乱入されたら面倒だし。まあ、恐怖の大王が復活というか、封印から解かれた瞬間に、生き返る可能性もあるんだけど、それでもリソースは使わせられるとは思うんだよな。希望的観測ではあるんだけど。
そんな訳で、勝てるのかどうかは置いておくとしても、勝てるかもしれないまでは持っていかないと、地球が負けてしまっては俺たちも終わりだ。勝てないまでも、追い返す事が出来るくらいには、強くならないといけない。
そんな訳で、ヨトゥンが出てくるダンジョンを周回した。道中で手に入れることが出来るCランクカードも、大量に手に入れておかないといけない。雪パにするんだから、そこで強いカードを引き込んでおかないといけない。パーティーは強い方がいい。必死になって周回した。
「という訳で、結構なカードを集めたんですけど、……西の方はどうなりましたか?」
「西の方は討伐が完了したという報告を受けました。やはり恐怖の大王の眷属が絡んでいたみたいですね。相性が良いカードを持っている人を派遣したのが良かったのでしょう。被害もなく勝てたそうです。……同じ知恵の神でも、日暮里君のトートでは、対戦のシミュレートは出来ないですからね。やはり格上が居たのは朗報でした」
「それよりも、Aランクカードの情報が手に入ったのが大きいです。こっちにあった宝物で、名古屋大学の学生のカードが何枚もAランクに覚醒したらしいので。正式に覚醒という表現が使われるようになったようですね。……もっとも、覚醒の条件なんかは解らないらしいですけど」
「Aランクに覚醒するってだけでも大きいですよ。……俺の手持ちに反応するものは無かったですけどね」
「仕方がありませんよ。母数が違いますから。確実にAランクを手に入れることが出来るのであれば、こちらとしても欲しい所ではありますが、確実ではないという事ですし、難しい所ですね。何が当たるのかが解らないとのことですから。知恵の神でも解らないというのでは、お手上げですよ」
「高沖さんは、この後はどうするんですか? 京都大学にも行ってみますか?」
「うーん。京都大学が名古屋大学よりも進んでいる可能性はあるんでしょうけど、何処も似たようなものだとは思うんですよね。話を聞くよりも、ダンジョンを周回して、カードを集めた方が良いんじゃないかって思っているんですが……」
「この病院からは高沖さんしか、対恐怖の大王戦には出せませんからね……。それ以外の人では、戦力が無さすぎる」
「日暮里君でも足手まといになるでしょうからね……。同士討ちは避けたい所ですし、地球を救った後の事も考えないといけないフェイズに入ってきているとは思います」
「地球を救った後ですか?」
「そうです。……もしも、このカードシステムや、ダンジョンが無くなると、一気に社会的不安がやってきますからね。手始めに、食料が足りなくなります。その辺は、地球がどんな判断をするのかにも因るんですが、維持されないという時の事も考えないといけません」
「食料や医療は、カードを頼りにしていますからね。これからはカード無しで生活をしてくれと言われても困ってしまうのです。このままカードを残してくれるのであれば、色々と助かる所ではあるんですけど」
……そう言えば、そうだな。その辺は地球の判断になるのか。ダンジョンもどうなるのか解らないんだし、無くす可能性もあり得るのか。ただ、恐怖の大王が、他の惑星や宇宙からの侵略者であった場合は、今後の事も考えて、人類には強くなってもらわないといけないとは思うんだよな。だから、ダンジョンのシステムを残すことはあり得るとは思う。
問題は、恐怖の大王のリソースを使ってのダンジョンだった場合や、地球のリソースの問題がある場合なんかは、積極的に消すことになるんだよな……。どうするのかは地球の判断になる訳だけど、色々と解らないことが多すぎる。不確定要素が多すぎて、判断のしようがない。
「出来る事といえば、色々とありますけどね。文明を復興させるにしても、まずは食料問題を片付けないといけません。カードが無くなれば、一気に食料事情が悪くなりますからね。今からでも保存食を作っておかないと、間に合わないんですよ。カード由来のものが、全部消えるのであれば、畑なんかも作らないといけなくなります」
「そもそもが住宅地ですから。畑にしようと思えば、それなりの労力がかかります。じゃあ直ぐにでも畑に戻せるのかといわれたら、無理ですからね。カードの力も借りておきたい所です」
「そうですね……。文明の復活は、俺たちが生きている内には無理そうですけど」
「それは仕方がありませんよ。徐々に復興していくしかないとは思います」
「ですが、戦争にはならないとは思いますよ。何処も疲弊しているのは当然ですし。そもそも、カードが残ったら、戦争なんてさせないでしょうから。地球に意思があることは解ったのですから、人間同士を殺し合う方向には持っていかないとは思います」
「地球のリソースの兼ね合いもあるでしょうし、カードを使った戦争は出来なくなるでしょうね。カードが残らなくても、200年くらいは、国力の回復に忙しいでしょうし、無理でしょう。そもそも国が無くなっている事ですからね」
「……まあ、そうなりますよね。でも、カードが残った方が便利そうではあります。貧乏神、カードは残ると思うか?」
「残るんじゃないのさ? 地球のリソースの問題もあるとは思うけどさ。こんな状態でカードを取り上げないとは思うのさ。人間に愛想を尽かしているのであれば、消すかもしれないのさ。けど、地球に限って言えば、それはあり得ないのさ。何処までもお人好しだから、こんな状況にされても、人間を見捨てないのさ。カードを手に入れて、人間が助けに来てくれる。そんな事を本気で思っているのが地球なのさ。人間には甘いのさ」
「という感じらしいですけど?」
「朗報と思えば良いんじゃないかな。日暮里君のトートも同じ考えだったしね。でも、最悪の状況は見越しておくべきだろう? 避難所として、ある程度の事は想定しておかないと」
「病院という関係上、カードの魔法無しに、治療が出来るのかと言われたら、難しいというしかないんですけどね。生きることに関しては、出来るようにしておかないといけないとは思うんです。それで、カードが無くならなければ、それで良いとは思うんですよ」
まあ、確かにそうだよな。カードが無くなる前提で動かないと、何も残りませんでしたでは、話にならないからな。ダンジョンだけ残されても困るし、カードだけ残されても困る。色々と不足するのは当然の事ではあるんだよな。
どう動くのが正解なのかとか、解らないし。後120日くらいしか残っていない。なんだかんだとカードを強くするには、経験値ダンジョンに行かないといけないしで、大変なんだよな。大学生が大量に居るので、周回するのも大変だぞ。人気のダンジョンになってしまったからな。シルバーエッグが碌に居ない問題が発生しているんだよ。
ボスを倒せば、何度でも出せるといっても、それなりの数しか出ないからなあ。ボスを何周もする方が、楽だったりはするんだよ。クソリスの様に、どんどんと出てくるのはそうなんだけど、偶然だけに頼ってもいけないしで、結構面倒なんだよな。




