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一兵卒だけど無双する ~ 最強の王国兵士、勇者も姫騎士も冒険者もみんな俺が守る! ~  作者: ネコ軍団
勇者編 エピソード3

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第67話 王家の墓は眠らない

 いつものようにリックは剣先を地面に向け構えた。五メートルほど離れて対峙するエミリオは静かにリックの方を見た……


「うわ!」


 リックの頭の上に柔らかくブヨブヨした何かが乗った。リックが頭の上に手を伸ばしてつかんだ。体の前につかんだ物体を持って来ると、彼の手の上には緑色の液体のような物体が……


「ズラ!」

「スッスラムン! 急に頭の上に乗るなよ。ビックリするだろ」


 頭の上に乗ったのはスラムンだった。リックは顔を近づけてスラムンに注意をする。


「ごめんズラ! オラも戦うズラ。連れて行くズラ」

「ダメだ! 危ないよ! 俺に任せて…… わっ!? こら」


 リックの手の上で連れて行けと、アピールのためにスラムンは飛び跳ねた。パフという音がして、リックの目の前に緑一色になる。


「こっこら…… くっくるしい…… ぷはぁ!」


 スラムンは飛び跳ねてリックの顔にくっついたのだ。息ができなくなったリックは、スラムンを掴ん力いっぱい顔から引き離した。


「はぁはぁ…… スラムン! 言うこと聞かないと怒るぞ!」

「いやズラ! オラも戦うズラ! あいつがアイリスを…… 許せないズラ!」

「スラムン……」


 飛び跳ねながら強い口調で、スラムンがエミリオに対して怒っている。スラムンもリックと同じで、アイリスを苦しめたエミリオが許せないのだ。


「もう…… わかったよ。俺から離れるなよ!」

「わかったズラ!」


 スラムンは嬉しそうに、二回ほどリックの手の上で飛び跳ねると、大きく飛んでリックの頭の上に戻っている。赤く光る眼をした、頭蓋骨のエミリオが俺とスラムンを睨みつけている。


「アイリスダセ。コロス! アイリス…… クヤシイ」

「ったくさっきからアイリス、アイリスうるせーな。しつこい男はアイリスに嫌われるよ…… あいつも男か…… どうでもややこしいな」


 右腕を前に伸ばしてリックがエミリオに叫ぶ。途中で声が、小さくなった、リックは首を横に振った。


「来るぞ! スラムン!」

「ズラ」


 ローブ裾をなびかせて、エミリオがリック達にむかって飛んで来た。ギギギというこすれるような音がして、エミリオの口が開いた。

 剣を持つ右手に力を込めたリックは、地面を蹴ってエミリオ向かって駆け出す。スラムンは体を平べったくして、しがみつくようにリックの頭の上に広がった。エミリオの口から赤い光が、発射されてリックとスラムンに向かってきた。


「おっと!」


 光が地を這いながらリックとスラムンに届く直前、リックは横に移動してかわして光とすれ違った。光がとおった地面から炎が噴き出し、熱せられた空気がリックの頬に伝わる。リックはエミリオの左側から回り込み、狙いすましてエミリオの体を剣で斬りつけた。剣でローブを斬りつけても手応え無かった。エミリオはふわっと浮かび上がると後ろに下がって距離を取った。


「リック。エミリオの体はファントムずらよ。刃物で斬っても無駄ズラよ。手や頭の実体がある場所を狙うズラ」

「そうか…… やっぱりか。ありがとう。スラムン。やってみるよ」


 アイリスを助ける際に手を斬った時に、手ごたえがあったリックは、スラムンの助言に大きくうなずいて納得した。ジッとリックはエミリオ見た。ローブの外側に出ているあいつの体は頭と手だけ、手は斬ったけどあいつピンピンしている。次に狙うのは頭だとリックは確信する。


「さて…… どうやって頭を狙うか……」


 近づけば光線を撃たれる、フワフワ不規則に浮いているから、的確に狙うにはエミリオの、浮いているような動きが邪魔だ。


「なんとかやつの動きを止められないかな」

「動きを止めるズラか?! なら! オラに任せるズラ。オラをエミリオの近くに連れて行くズラ。リックは俺が作った隙を利用してエミリオの頭を攻撃するズラよ」

「わかった」


 リックは頭にスラムンを乗せ、エミリオに向かって再び駆け出す。エミリオがリック達に向かって口が開く。周囲に空気が集約されて口の前に赤い光の玉ができていく。


「来い……」


 エミリオから発射された、赤い光のを引き付け、リックは左に移動してかわした。彼はそこから円を描くようにして、エミリオの右側へと回り込む。右から近づいてくるリックにエミリオが顔を向ける。にやりとリックが笑って左手を頭の上へ。


「もう遅い!」


 リックは素早くスラムンをつかむと左を背中に持っていく。


「ズラズラズラーーーーー! 覚悟ズラーーー!」


 頭の上に居たスラムンを、リックはエミリオに向かって投げた。投げられたスラムンは空中で体をどんどん平たく大きくして、エミリオの目の前に立ちふさがる。エミリオがすぐにスラムンに光線を放つが、スラムンは大きくした体を細長くし、クルクルと光線に巻き付くようにしてエミリオへと迫っていった。


「ズラズラーーー!」


 エミリオは素早く手を伸ばしてスラムンをつかもうとする。骸骨顔で表情は読めないが、目の前にスラムンの動きに、困惑しているようだった。


「すげぇ……」

「だてにスライムを三十年やってないズラよ。さぁエミリオを捕まえるズラー!」


 細長く紐のようになったスラムンは、自分を捕まえようとしたエミリオに手に蛇のように、絡みついて巧みにローブに中に入っていった。スラムンはローブの襟から出て来て頭に巻き付く。


「アイリスはお前を助けようと必死だったズラ! そんなアイリスをお前は……  くらえズラ!」

「うがああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 絡みついたスラムンが青白く発光した。ビリビリという音とエミリオの叫び声部屋に響く。蛇のように変形したスラムンは、全身から電撃魔法をだしてエミリオを拘束したのだ。


「いまズラ! リック! エミリオの頭を攻撃するズラ」

「わかった! ありがとう! スラムン! もう少し止めといてくれ」

「ズラー!」


 青と白にスライムの体が激しく点滅した。リックは剣を構えると、エミリオに向かって駆けていき飛び上がった。電撃魔法を受けながら、なんとか首をゆっくりと動かし、エミリオはリックの方を向いて口を開く。


「残念だ。もう終わりだよ」


 右腕を引いたリックとエミリオの目が合った。リックは真顔で少し残念そうにつぶやいた。リックは右腕を勢いよく突き出した、頭蓋骨の片目にリックの剣が突き刺さり、彼の右腕の大きな衝撃と硬い感触が伝わってくる。


「ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 甲高く耳が痛くなるほどの、大きな叫び声が、部屋中に響きわたった。再び黒い炎が、エミリオの体の下から上へと燃えあがり、彼を包みこんでいく。このままではリックとスラムンも炎に巻き込まれる。


「スラムン! 逃げるぞ! 俺の剣に巻き付け!」

「わかったズラ」


 スラムンが伸びてリックの剣に巻き付いていく。


「もういいズラよ。引き抜くズラ!」


 リックはエミリオの頭に左足をかけた。右腕を引くと同時に左足で、エミリオを押してリックは剣を抜いた。スラムンは剣と同時にリックの元へと戻り、リックの体はエミリオを蹴った勢いで、五メートルほど後方に移動して着地する。着地と同時に、スラムンは剣から地面へ滑るように下りて元の姿に戻る。リックはエミリオに視線を向けた。

 エミリオを包んだ黒い炎は、天井まで届くほど激しく燃え上がっていたが、すぐに終息し小さくなっていたる。リックとスラムンはその光景をただただ黙って眺めていた。炎が消えた場所には、エミリオが元の姿で転がっていた。

 リックとスラムンは慎重にエミリオに近づく。仰向けに倒れているエミリオの体は、デッドマンキング》融合する前に戻り噛み傷がたくさんついている。ジェーンがつけた槍の傷だけは修復されていた。


「うわ!」


 急に目が開いてエミリオは顔をこちらに向けてリックを睨みつけた。どうやらエミリオにまだ息があるようだ。エミリオはリックをにらみながら口がゆっくりと動かす……


「けっ…… 昨日の兵士か…… もう少しで…… アイリスを殺せたのに…… 邪魔しやがって……」

「エミリオ…… アイリスになんでそこまで……」

「俺はなぁ…… 俺よりできる奴が嫌いなんだよ……」

「そうかい。お前は…… 本当に屑だな」


 アイリスはエミリオを助けようと必死だった。リックはアイリスの友人としてエミリオが許せなかった。苦しそうにしゃべるエミリオにリックは剣をやつの喉元に当て止めをさそうと力を込めた。


「チっ!」


 殺気がしてリックの目の何かが光ったのが見えた。真正面からリックに向かって槍が飛んできた。リックは剣を振り上げ槍を弾く。


「ジェーン! 何をする!?」

 

 顔を上げて真正面に向かって叫ぶリック、彼の向いた先には右腕を前に出した姿勢のジェーンが立っていた。さっきまでリック達の戦いをボー然と見ていた、ジェーンがリックに向かって槍を投げたのだ。


「フフ…… この男を見てたらもっと面白い事思いついたですわ。だからこの男を私がもらっていくわ。どいてくださいますか?」

「はっ!? 何を!? 面白いことだと!? クソ!」


 笑顔のジェーンは、スラムンに右手を向ける。ジェーンの手が赤く光った。周囲の空気が彼女の手に集約され赤い光が熱気を帯びていく。


「スラムン!」


 リックは左手でスラムンを抱えて飛ぶ。リックのブーツ先を大きな火の玉がかすめるようにして飛んで行った地面に転がったリックは、スラムンを頭に乗せるとすぐに起き上がり剣を構えた。その姿を見ながらジェーンは笑っている。だが、目は真剣でリックはジェーンが本気で自分たちを殺しに来ていると感じた。


「うん!?」

 

 ジェーンの目線がリックからずれて横に、リックが彼女の視線を追って行く。ジェーンは何かを見て微笑む。


「あらー!? すごいすごい! じゃあ次はこっちね」

「ふぇ!?」


 アイリスを回復しているソフィアにジェーンが手を向けた。リックは慌てて駆けだしソフィアとジェーンの間に立った。


「さすがね…… リック」


 ソフィアをかばうようしてリックが立つと、大きな火の玉がジェーンの右手から発射された。うねりをあげながら火の玉がリックにむかってくるタイミングを合わせてリックは、右手に持った剣を火の玉へと振り上げる。火の玉は半分に割れた。割れた火の玉はリックの少し後ろで二つとも地面に落ちるのだった。


「リック!」

「俺は大丈夫だよ。ソフィアは?」

「大丈夫です」

「よかった」


 振り向いてソフィアに答えるリック。だが、リックに一つの疑問が生じる。ジェーンの動作は遅く、彼がソフィアの前に入るのを待ってたようだと……


「フン。ほんとうに甘い男…… でもいいわ! これで邪魔はできませんわね」


 ジェーンはエミリオの近くまで移動しており、リックに侮蔑の表情を向けると、エミリオの腕をつかんで話しかける。


「さぁ、エミリオでしたっけ?! わたくしと行きますわよ」

「なんだ!? 貴様は? 早く殺せ! どうせ俺なんか……」

「しゃべっちゃダメ…… 良い? あなた、私と魔王軍に来なさい。あの勇者を殺したいならね……」

「アイリスを…… ははっ! 面白い! どこにでも連れていけ!」


 エミリオはアイリスを睨みながら、ジェーンの話しを聞き嬉しそうに答えた。


「おい! 待て!」


 ジェーンはエミリオの答えを聞くと笑って、自分とエミリオをマントで覆う。直後に二人の姿は消えてしまっていた。転送魔法で王家の墓を脱出したようだ。悔しそうな顔をしたリック。


「クソ! ジェーンを追わないと……」

「リック! ダメズラ。まずはアイリスを回復させるズラ!」


 スラムンに止められハッとするリック。彼は頭の上にいるスラムンに答える。


「うん…… ごめん! スラムン。そうだな。先にアイリスを回復させないとな」


 リックはそういうとソフィアの元へと駆けていく。スラムンはぴょんぴょんと何回かリックの頭の上ではねる。

 一時間後…… 治療が終わり、目を覚まして飛び起きたアイリスは、リックに抱き着こう目を輝かせてたが、先にキラ君とスラムンが抱き着いた。驚いたアイリスだったが二人に抱き着かれ嬉しそうに笑うのだった。スラムン達が落ち着くとリックがアイリスにジェーンがエミリオを連れて行ったことを説明する。


「そう…… エミリオがジェーンに…… しょうがない! 私がエミリオを助けるわ」

「なに言ってるズラ! あいつはアイリスを……」

「ダメよ。スラムンこそなに言ってるのよ。私はS1級の勇者なのよ。勇者はみんなを助けるのよ! 私を恨んでいようが、過去に何があろうがね……」


 話を聞いて、悲しそうにしていたアイリスだったが、すぐに元気な顔に戻って笑顔になった。


「玉座が勝手に動きましたよ!」


 大きな音がしてソフィアが叫ぶ。全員が玉座の方を向くくと、玉座が後ろに動いて下への階段が現れた。アイリスは驚いた顔をして首をかしげる。


「あれ!? 私、まだデッドマンキング倒してないよ!?」

「そういえばそうズラね。でも、きっとエミリオが……」


 スラムンの話によると、デッドマンキングはエミリオと同化したので、彼を倒したことでデッドマンキングを、討伐したことになったのだろうということだった。


「でも、いいのかな? リックでしょ。エミリオを倒したの……」

「大丈夫だろ。スラムンも一緒だったし、俺達をここに呼んだのはお前がキラ君を使ったからだしな」

「そっか…… ありがとう」


 嬉しそうに笑ったアイリスは、スラムンとキラ君を連れ、玉座の下にある宝物庫へと下りていった。宝物庫に入っても何かもらえるわけでもない、リック達はアイリス達を見送ると門番業務に戻った。

 しばらくすると、アイリスがホクホク顔で、王家の墓から出てきてリック達の前にやってきた。


「見てみて!? キラ君かわいいでしょ!? これが賢さをあげるアイテムの知恵のピアスよ」


 アイリスが嬉しそうにリックとソフィアに声をかける。キラ君の左耳に紫のピアスが二個つけられていた。リックはそれを見て首をかしげる。


「おい! なんで両耳につけないんだ?」

「だってキラ君の右耳が腐ってるから……」

「あぁ。そうかそうだな」


 キラ君はソフィアの前に、しゃがむんと左耳を彼女に見せるようにする。


「がうあ!」

「きれいですねぇ」


 ピアスを付けて嬉しそうには、しゃいでいるキラ君を見てアイリスは笑っていた。すぐにアイリスはリックに顔を向け右手をあげ微笑む。


「じゃあ。リック。私はもう行くね。今回もありがとうね」

「気にするな。俺は兵士だからな。勇者のサポートするのが仕事だからな」

「そっか…… やっぱり仲間…… ううん、何でもない!」


 アイリスは何かをしゃべりたそうにしていたが、笑顔でソフィアに前に移動すると、道具袋から鍵を取り出してソフィアに渡す。


「ソフィアもこれありがとうね。銅の鍵を返すね。あっあと…… 私のこと回復してくれてありがとう」

「どういたしまして」

「じゃあ、行くから…… 元気でね! ソフィア」

「アイリスも気を付けて」


 笑顔で二人は握手して、名残惜しそうに挨拶していた。リックは仲良くしている二人を見て安堵の表情を浮かべる。


「銅の鍵が返ってきましたよ。これでリックのお部屋にまた行けるです」

「あっ!? そうだった。ダメだよ。ソフィア返して!」

「嫌でーす」


 リックはソフィアの持った鍵に手を伸ばす。スッと手を引っ込めて、べーって舌出して逃げるソフィア。


「もう! ちょっとダメだよ! 鍵は悪用したらダメなんだからね」

「べーだ」


 アイリスがリック達のやり取りに、眉間にシワをよせ眉毛をぴくぴくと動かしていた。我慢ならないという様子でソフィアにアイリスが叫ぶ。


「ちょっと!? ソフィア! リック! なに? 部屋に行くとか!? どういうことよ?」

「この鍵で私のお家のリックのお部屋に入るんですよ」

「はぁ!? なに!? わたしのお家のって…… ちょっと、リック!? 私にもわかるように説明して」


 リックとソフィアが寮で一緒に暮らしていることをアイリスは知らない。アイリスに尋ねられたリックは面倒くさそうに話を始める。


「えっと俺とソフィアは一緒に住んでて……」

「一緒に住んでるって!? えっなに? あなたたち同棲してるの!? 不潔よ! ただの相棒でしょ!?」

 

 プクっと頬をアイリスがリックに顔を近づけてくる。


「なんでお前がそんなに怒るんだよ?」

「当たり前でしょ! リックが女と一緒なんて……」

「しょうがないだろ。俺は王都に知り合いなんか居なくて住むところないんだから」

「だからって……」

「あのなあ」


 泣きそうな顔するアイリス、リックはうんざりと言った顔で話を続ける。


「俺達が住んでいるのは寮だよ。防衛隊の寮に一緒に住んでるの!?」


 寮に住んでいると聞いた、アイリスは少し不満そうだが、安堵の表情をする。


「なーんだ寮か…… でもソフィアと一緒にねぇ…… ふーん。後で不謹慎だって苦情を防衛隊に……」

「こら。やめろ! 余計なことするな!」


 腕を組んで不服そうにし、アイリスは渋々納得する。


「そうです! 二人っきりの寮生活だからさみしくてお部屋で一緒に寝るために鍵を使うです」

「いっ一緒に寝るですって!?」


 おさまった話を蒸し返して来るソフィア。驚愕の表情をするアイリスに、ソフィアはしてやったりって言った感じで笑っていた。アイリスは眉間にシワを寄せ右手をソフィアに差し出した。


「ちょっとソフィア! その鍵はやっぱり私がもらうわ」

「嫌です」

「言うこと聞きなさいよ! 眼鏡エルフの化け乳!」

「ふぇ!? なっなんですって! 緑クルクル髪のヘドロ下水勇者!」


 グラント王国の王族が眠る墓の前で、勇者と兵士が激しく罵りあう。アイリスとソフィアはしばらく罵りあいながら、鍵の奪い合いを繰り返していた。


「許さないからね!!!! 寮に乗り込んでやるんだから!!!!!!!」

「早く行くズラ! キラ! もっと強く引きずっていいずらよ」


 あきれたスラムンの命令でキラ君が、アイリスを羽交い絞めにして、引きずりながら次に冒険へと旅立っていた。


「ベーだ!」

「でもあいつ…… 本当に寮まで来るのか…… こないよな」


 アイリスは見えなくなるまで今度帰ったら、寮に乗り込んでやるって叫び続けていた。

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