第66話 醜い王様
黒い炎は天井まで届き、焦がすほど高く燃え上がっていた。
「いったい何がどうなってるんだ……」
目を大きく見開いて目の前燃え上がる炎を見つめるリック。エミリオの姿は黒い炎に飲み込まれ、完全に見えなくなっていたが、最後に見えた彼の体は大きくなっていくような気がしていた。アイリスの手首をつかんでいたリックが手を緩めた。
「ジェーン! お願いよ! エミリオ…… エミリオを助けて!」
「アイリスやめるズラ。リック! アイリスを助けてズラ」
アイリスがリックの手を振りほどき、フラフラと黒い炎に向かって歩き、炎の横から見えるジェーンに訴えかえている。ジェーンは呆然と炎を見つめアイリスの言葉は届いてないようだ。アイリスの頭の上に乗っているスラムンが、炎に向かう彼を止めようと、喋りかけながら必死にピョンピョンと跳ねていた。
「なっ何なのよ! これ!? こんなの聞いてないわよ!」
黒い炎を呆然と炎を見つめていたジェーンが叫んだ。その声にリックは我に返り、アイリスの手首を掴むために手を伸ばした。
「ぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいやああああああああああああああああああああああああーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
けたたましい叫び声があがり、燃え上がった黒い炎が急激に小さくなり、高さ幅ともに一メートルほどの大きさになった。リックは呆然と黒い炎を見つめていた。
「なっなんだ!? うわ!」
リックが驚きの声をあげた。突如黒い炎が、左右に激しく揺らめき、浮かび上がったのだ。そのまま黒い炎は玉座まで飛んでいった。黒い炎が玉座の上に鎮座している。エミリオの姿は黒い炎があった場所にはなかった。炎が小さくなり消えそうになっていく。それをみたアイリスは何かを感じ取ったのか突如叫ぶ。
「エミリオーーー!」
「ダメズラ! アイリス!」
「ダメだ!」
アイリスは叫びながら、玉座に向かって駆け出そうとする。リックは彼の手首を掴んで必死にひぱって止めた。
「うわ!?」
「キャッ!?」
「まぶしいズラ!」
黒い炎が燃え尽きて、強烈な黒い光を放つと、ゆっくりと消えていく…… 炎が消えた玉座には黒い大きな人のようなものが座っていた。
「アイリス…… ドコダ? アイリス……」
玉座に黒いフードの着いた、上品なローブを着けた魔物が、鎮座してアイリスを呼んでいる。魔物は右手に、半円で薄い緑の板のようなものが、先端についた杖を持ち、フードの奥から覗くのは目の部分が赤く光る頭蓋骨だった。
「えっ!? この声は……」
アイリスが自分を呼ぶ声に反応する。魔物の声はエミリオのものだった。アイリスはすぐにエミリオに返事をする。
「エミリオ! 私はここよ。いまそっちに行くからね」
「ダメズラ。あれはデッドマンキングとエミリオが合体してるズラ! 危険ズラよ」
「そうだ。アイリス。スラムンの言う通りだ。やめろ」
「はなして!! エミリオは…… エミリオ!!」
手をかざしゆっくりと、アイリスがエミリオに近づこうとする。リックは止めようと彼の腕を必死に引っ張っていた。フードを後ろに外したエミリオの口がパカンと開く。細かな小さな赤い光が、エミリオの口の前に現れ集約され、丸くなって大きな球になっていく。
「アイリス…… コロス!」
「えっ?! まずい! クソ!」
「キャッ!」
リックはアイリスを羽交い絞めにして、片手で頭のスラムンを押さえて横に飛んだ。
「リックー!」
ソフィアの声が叫んだ。真っ暗な黒煙がリック達が居た場所を覆っていた。
「大丈夫だ。みんなも無事だ」
「よかったです」
アイリスが居た場所の地面を光が切り裂くように走っていき、光が通った後少しすると地面が赤く溶けだし燃え上がった。リックはアイリスに覆いかぶさって、上半身を起こしその光景を静かに眺めていた。
「リック…… ごめんね…… ありがとう」
「アイリス……」
覆いかぶさったリックの顔を見て悲しそうにアイリスが……
「いた! 何するんだ!? 急に!」
アイリスがリックの顔に手を当てて、自分の方に無理矢理に向けた。リックは顔を歪ませ本気で嫌がって叫ぶ。
「ごめんね、エミリオにばっかりかまって…… そんなに私を押し倒すほど求めてたなんて…… わかったわ。はい! んー!」
アイリスが口をすぼめて目をつむっている。首をかしげたリックはアイリスを無視してさっさと起き上がる。
「おい。アイリス。早く立て危ないぞ」
リックは起き上がってアイリスに声をかけた。目を開けたアイリスは口をとがらせて、不満そうにして手足をバタバタさせている。
「早く立てふざけてる場合か!」
「なっなによ! リックの意地悪! 嫌い!」
「いいから早く立つズラ!」
「もう嫌いでいいからさっさと起きろよ!」
アイリスの手首をつかんだリックは強引に引っ張って、無理矢理に起こすと彼は、また口を尖らせてムスッとしてる。
「リック! 大丈夫ですか?」
「うん。ありがとう。大丈夫だよ! ソフィア」
「ちょっとなんで?! あんたは私に弓を向けてるのよ!?」
「なんとなくです」
矢をアイリスに向けながら、舌を出して笑うソフィア。リックは二人を交互に見て、あきれて首を横に振るのだった。
「ほら。二人共喧嘩してる場合じゃないぞ」
リックの声で玉座を向くソフィアとアイリス。エミリオの赤く光る目が彼らに向けられていた。アイリスはエミリオの姿を確認して、頭の上に居るスラムンに目線を送る。
「ねぇ、スラムン! エミリオは、もう……」
「オラにもわからないズラよ。でも…… あのままじゃダメズラよ。エミリオは苦しんでいるズラ。苦しみから解放するのはエミリオを倒すことズラ……」
「そっか……」
アイリスはリックの方をジッと見つめ、目にうっすらと涙を浮かばせる。
「リック! お願い。エミリオを倒すのを手伝って」
「うん…… でも良いのか?」
「エミリオが苦しんでるなら…… せめて私が……」
声をつまらせるアイリス、ソフィは心配そうに彼女を見つめている。
「アイリス…… リック」
ソフィアがリックの顔を覗き込んだ。彼は優しく微笑んでソフィアに答える。
「大丈夫。断らないよ。俺は兵士だし勇者の味方するのが仕事だ。それに大事な同郷の友達の頼みだしね」
「よかったです!」
嬉しそうに笑うソフィアだった。二人は顔を合わせて笑顔でうなずきエミリオに対峙しようと……
「ちょと待って! 同郷の友達!? 恋人とか大事な人とかでしょ? なによそれ」
アイリスが慌ててソフィアと、リックの間に体をいれリックに詰め寄る。アイリスのこの行動に目を細めた、リックとソフィアはスラムンだった。リックは呆れた顔で前を向く。
「ほっておこう。行くよ。ソフィア! エミリオを討伐するよ」
「はい」
「それが良いズラね」
「ちょっと待ちなさいよ! なんでスラムンまで!」
リックはいつものように剣先を下にして構え、ソフィアも矢を取り出してつがえる。エミリオは黙ってその様子を見つめていた。
「来た」
ふわっと浮かぶようにスーっと、長いローブの裾を引きずりながら、エミリオがリック達に向かって来た。ソフィアが弓の弦を引く。
「えい! あれ?!」
ソフィアの矢が体に命中したが、ローブが揺れただけで、地面に矢が落ちた。ローブをふわっとさせてエミリオがリックの前へと迫って来る。
「させるか!」
速度を上げたエミリオが両手に杖を持って、アイリスに殴りかかってくる。リックはアイリスの前に出ると、振り下ろされる杖に向かって剣を振り上げた。大きな音がしてリックの目の前でエミリオの杖は止まった。
「リック!」
「ソフィア。アイリスを連れて離れるんだ」
「わかりました」
金属のこすれるガチガチという音が耳に届く、杖と剣越しにリックとエミリオは見つめ合っていた。頭蓋骨の顔が近くに来て赤い目を光らせている光景は不気味だ。
「クッ!」
杖が前に押し出されていく、リックは刀身に左手を添え押し返した。リックの想定よりもエミリオの力は強い、酒場で対峙した彼とは違うようだ。視線を横に動かしたリック、ソフィアがアイリスを連れて離れるのを確認した。
「今だ!」
リックは体を横にすらし、左手を外し剣の角度を変えた下に向けた。エミリオの杖がリックの剣を滑っていく杖は剣を滑ってリック脇をぬけて地面を叩く。杖が地面をたたくと同時に、膝を曲げて態勢を引くくしたリックは、勢いをつけ飛び上がり、右手に持った剣の先をエミリオに向けた。勢いよくリックは右腕を突き出しエミリオの胸に剣を突き刺した。
「あっあれ!? 手ごたえが……」
驚いて目を見開くリック、完璧に胸を捉えたはずだが、軽い手応えで剣は、ひらひらとしたローブに吸い込まれていった。エミリオは視線を下に向ける、リックの顔がエミリオの赤く光る眼に照らされた。
「アイリスハドコダ? コロス!」
「残念! 俺はアイリスじゃないよ」
剣を引いたリックは剣先を今度はエミリオの顔に向けた。直後、ふわりと二メートルほど浮かび上がって、エミリオは後ろに下がって距離を取った。リックの体は床へと落ちていく。
「逃がすか!」
リックは着地してすぐに駆け出し、エミリオとの距離をつめた、右腕を引いて剣先を彼に向けた。左手を上げたエミリオは、リックに手の平をかざすようにして向ける。エミリオの手から、青白い光線がリックに向かって行く。
「クッ!」
向かってくる青白い光を、狙った剣でリックは斬りつける。青い光はリックの剣に切り裂かれ、光は彼の目の前で二股に別れていく。眩しい青い光がリックを照らしながら両脇を通り過ぎていく。
「ふぅ…… 危なかったぜ」
息を吐くリックに空気が震え砂埃が少し天井から振ってくる。リックに斬られて二つに分かれた光は、一方はリックの五メートルほど後ろの地面に、もう一方は近くの壁にぶつかりそこで小さな爆発を起こしていた。
「攻撃が効きません」
「そうだね。突いても手応えがなかった……」
「リック。私が魔法で攻撃をします」
ソフィアの提案にうあんずくリック。矢と剣で攻撃しても、手応がないため魔法で攻撃を試す。
「アイリス! 俺と一緒にソフィアの援護を頼む」
「いいわよ」
ソフィアが弓をしまい、右手をあげ魔法の詠唱を始める。アイリスはチャクラムを両手に持ち、リックは剣を構えた。リックはアイリスと目を合わすと頷く。
「よし! 行くぞ。アイリス!」
最初にリックが動く。彼は駆け出してエミリオとの距離を詰めた。エミリオがリックにその不気味な赤い目を向ける。
「エミリオ…… せめて私があなたを…… いっけーー!」
アイリスが投げた二つのチャクラムが、音を立ててエミリオに向かっていく。左右に大きく分かれたチャクラムは、エミリオの左右から鋭くせまり交差する点でエミリオを捕らえた。
チャクラムの接近に気付いたエミリオは右手の杖で一つを叩き落として、左の側のくるチャクラムに手のひらを向けて青白い光を出して叩き落とす。アイリスは残念そうに叩き落とされたチャクラムを見つめる。
「あーあ…… なんてね。リックーーー! お願ーい!」
「はいよ」
エミリオに向かって飛び上がった、リックは彼の頭に剣を振り下ろした。チャクラムに気を取られていたエミリオは、無防備な頭をさらけ出している。瞬時に首を傾けて後ずさりしたエミリオ、リックの剣は頭を外れ、ローブの肩から斜めにエミリオのローブを切り裂いた。
「なっなんだこれ!?」
斬りさかれたロープの中を見た、リックが声をあげた。ローブの中身は、真っ暗な空間だけで、エミリオの骨や肉はなかったのだ。
「クソ!」
体制を立て直したエミリオが、リックに向かって杖を振り下ろした。
「体がないのなら…… その頭を叩き割ってやるよ」
素早く剣を戻したリックは、エミリオの杖を剣で受け止めた。そのまま右手首を少しひねって軽く押すと、杖は刀身を滑りリックの横の地面をたたく。
リックの視線が落ちた杖に向けられた。
「この!」
下半身をひねって右足をあげ、地面をたたいた状態の杖を、リックが横から蹴り上げた。蹴られた杖がエミリオの手から離れて飛んでいく。カランカランと杖が転がる音が響いた。
すぐに体をエミリオにむけたリックは彼の頭を狙って剣で斬った。気づいて体を浮かしたエミリオは、リックの攻撃をかわし、背中を向けるとま杖に向かって飛んでいく。
「逃がすかよ」
リックは剣を投げてエミリオのローブの裾に向かってなげる。ザクっと音がして剣はローブを貫いて、そのまま地面へ突き刺さった。地面にささった剣が杭の役割をしてエミリオは一瞬だけ動きが止まる。
「おりゃあ!」
駆けだしたリックは飛び上がって、エミリオの後頭部を殴りつけた。頭蓋骨がローブごと地面に落ちた。リックはエミリオを追い越して彼の杖を先に拾う。リックは拾った杖のとがった柄の部分をエミリオのローブに突き刺す。ローブの中身はないので手応えがないが、剣と同じように杖がエミリオへの杭の役目をはたす。エミリオは身動きが取れずにもがいていた。
「ソフィア! 準備はできた?」
「はい。いきますよ」
ソフィアが手を前に出して彼女の手が光ると同時に、丸い青白い光がエミリオの足元に描かれた。
「うがあああああああああああああああああああああ!!!」
雷鳴が轟き青白い光と共に無数の雷が地面に描かれた光の円から、天井へと上っていった。雷はエミリオを蹂躙し、青白い光で覆い隠した。しばらくして光が収まると、ローブから白い煙が出しエミリオは動かなくなり、頭蓋骨の目の赤い光が徐々になくなっていった。
「やったか!?」
リックはゆっくりと慎重にエミリオに近づく。手が届きそうなほど近づいたリックは頭蓋骨を軽く蹴る。乾いた音が響き頭蓋骨が揺れた。エミリオは動く気配なくどうやら雷によって彼は倒されたようだ。
リックは剣とエミリオの杖を地面から抜いた。エミリオの体を見たリックは、試しに何度か剣でローブのを突くが手応えはない。
「やはり…… ローブの中身はないんだな。エミリオは頭蓋骨と手とローブだけなんだ……」
エミリオを見ながらつぶやく、リックにソフィアが声をかける。
「リック。大丈夫ですか?」
「あぁ。大丈夫だよ」
振り返って左手をあげて笑顔で、ソフィアに答えたリックは剣をさやにおさめる。リックはソフィアの元に駆け寄っていきエミリオから離れた。
「エミリオ……」
「アイリス、気を付けるズラ」
「大丈夫よ。動かないでしょ」
リックと入れ違うようにしてアイリスがエミリオの元へと向かう。心配そうに声をかけるスラムンにアイリスはエミリオを指して答える。
「あっ! リック! エミリオの目が…… 赤く光ってます……」
「えっ!?」
アイリスがエミリオの頭蓋骨の目の前に立つと、すぐに頭蓋骨の目の部分が再び赤い光り始めた。
「ソフィア!」
「はい」
返事をしたソフィアが弓を構えて矢を放つ。ふわっと浮き上がるように、立ち上がったエミリオは手で矢をはたき落とした。リックは慌てて剣に手をかけアイリス達の元へと走り出す。
「キャー! スラムン!」
「ズラ!」
「ちょっとエミリオ…… ぐわぁ!」
エミリオは逃げようとした、アイリスの頭の上のスラムンを、はたき落としと彼の首を掴む。
「くっくるしい…… は…… なし…… て…… エミ……」
「アイリス…… コロス!」
アイリスの首を右手でつかみ、上に持ち上げていくエミリオ。苦しそうな顔でアイリスは足をばたつかせている。
「アイリスを離せエミリオ!」
リックはエミリオに叫んで、腰を落として前傾姿勢で駆けながら剣を抜く。
「ジャマスルナ!」
エミリオが俺に向かって左手をかざすと、青白い光が俺の横をすり抜けていく。
「クソ! わっ!?」
かわしてもかわしても、次から次に何度も光線を繰り出しエミリオ、リックはなかなかエミリオに近づけない。
「リ…… ック…… ごめんね……」
苦しそうに首を押さえるアイリス、目が閉じられた徐々に足に力がなくなり、だらーんと下に向いてしまった。リックは必死に光線をよけなんとか近づこうとする。
「ヤメロ…… ハナセ!」
「あれは……」
エミリオの背中についてる、フードに必死にしがみつく人影が見えた。まとわりついてる人影をエミリオが、手を回して必死に払おうとしていた。激しく何度も上下や左右に動いたり、体をひねってエミリオはその人影を離そうとしている。
「きゃわん! がうあ!」
フードにしがみついたのはキラ君だった。エミリオがキラ君に気を取られてるリックは一気に距離をつめた。エミリオはリックに気づくと、キラ君をどかそうとしていた手を、リックに向けて青白い光線を放つ。
「さすがに手の内を見せすぎだぜ」
リックは簡単に光線をかわし、アイリスにめがけて飛んだ。リックはエミリオがつかんでいた手の指を狙って切りつけた。
「ぐあああああああああああああ!!」
エミリオの叫び声が響く。指を斬られたエミリオが、手を開いてアイリスは地面に落ちた。キラ君がそれを見てすぐにエミリオのフードから離れた。一目散にアイリスの元へと駆け寄ったキラ君は彼を抱えて走り出した。エミリオは顔や杖がつかめる手の実体がある、部分には剣でダメージが与えられるようだ。
「マテ! アイリス…… コロス!」
キラ君の方を向いたエミリオが口を開く。口の前に赤い小さな光が現れて集約されていく……
「ダメだよ!」
斜め後ろからリックはエミリオの頭をめがけて斬りかかった。リックが近づく気配に気付いたのか、エミリオは振り返った。エミリオがこちらを向くとリックに赤い光が飛んできた。
「あぶねえ!」
とっさに攻撃をやめたリックは必死に体を横にして光をかわした。リックの脇をかすめて、通り過ぎていった光は、後ろの壁に着弾して壁が赤くなって溶けていた。
「エミリオ! 俺がお前の相手してやるよ」
「ジャマスルナ! アイリスハ…… コロス!」
捕まえようと手を伸ばしてきたエミリオに向かって、リックは右手に持った剣を振り上げた。斬られた痛みを覚えているのかエミリオは手を思わず引き。エミリオはゆっくりと下がってリックと距離を取った。
「キッキラ君さん!?」
アイリスを抱えてキラ君がソフィアの足元にむかっていく。アイリスをソフィアの、前に置いたキラ君は、彼女の制服の袖を引っ張る。ソフィアが不思議そうな顔でキラ君を見ていた。リックはその様子を見て、キラ君が何を言いたいのかすぐに気付いて彼女に声をかける。
「ソフィア。キラ君はアイリスの回復をお願いしてるんだよ」
「そっか。わかりました。すぐにアイリスを回復しますね。キラ君さんえらいですね。リック! そっちをお願いします」
笑ってうなずいたソフィアはキラ君の頭をなで、リックに顔を向け声をかけた。リックはソフィアに笑顔で小さくうなずいて答えるのだった。




