第35話 王国一の才能
カルロス、メリッサ、イーノフ、ソフィア、リック、第四防衛隊の五人全員で、詰め所の裏通りにある酒場「樫の木」に向かっていた。
今日はキラービー大発生の打ち上げだ。毎度、キラービー大発生が終わってから一週間程度すると、特別予算が各部隊に支給され、防衛隊員はタダで飲み食いが出来る。メリッサとイーノフは何度か参加しており楽しみしていた。
五人は「樫の木」と到着した、店内は木製の5人掛けカウンターと、数席のテーブルという王都では小さい酒場だが、いつもの通り近所の人や防衛隊の人間でにぎわっていた。
「いらっしゃーい! あっ! ママ、お帰り…… あれ? みんな一緒なの?」
「ただいま。ナオミ。でも、今はお客なんだ」
「あっ!? そうなんだ! いらっしゃーい。ママ! じゃあそこに座って」
メリッサの娘で「樫の木」のウェイトレスでもある、ナオミが入り口に近い席にリック達を通す。元気で明るい彼女からリック達はいつも元気をもらっていた。リック達が席につくとナオミが注文を取りにやってくる。
「ご注文は?」
「えっと」
「ちょっと待った!」
ナオミに注文を聞かれ、ぱあっと顔を明るくし、勇んで注文しようとする、メリッサの前にカルロスが手を出した止めた。不服そうにメリッサがカルロスを睨む。
「ナオミちゃん、ごめんね。決まったら呼ぶから……」
「えぇ!? いいじゃん! 隊長! 先に酒だけでも……」
「ダメだよ。先に重大な話がある」
「重大な話って……」
カルロスが珍しく暗く真剣な表情で話をする。メリッサは不満げに腕を組んで顔を背ける。
「何しけたツラしてんだよ。せっかくの打ち上げなのに……」
「メリッサ。気持ちはわかるけど。隊長は先に話があるみたいだから聞こうよ。ナオミちゃんごめんね。また後で呼ぶから」
優しくイーノフはメリッサをなだめて、右手をあげてナオミに謝罪する。
「はーい! わかったよ。じゃあ、決まったら呼んでくださいね」
笑顔で元気に返事をし、ナオミは戻っていった。ナオミが離れるとカルロスは重そうに口を開く。
「ありがとう! イーノフ! 悪いが、みんなに悲しいお知らせがある」
「えっ? 悲しい知らせって!? なんだい急に!」
カルロスは深刻な顔で、悲しいお知らせと告げると全員が、ざわつき始める。ため息をついたカルロスは、周囲の様子に思わせぶりに首を横に振る。もったいぶったカルロスに、メリッサとリックは少しいらつく。
「早く言いな!」
イライラした様子でメリッサがテーブルから、身を乗り出してカルロスにつめよる。カルロスは言葉に詰まりながら話を始める。
「すまん…… みんな…… 今月の第四防衛隊の予算が厳しいので特別予算で飲み食いはできない。ここは各自の自腹だ!」
「えっ! なんだって!? ただ酒が飲めないってどういうことだい!? 隊長! そりゃあないよ」
「ふぇぇん…… 私のお肉……」
「僕はこの間のリックの歓迎会だってほとんど参加してないのに……」
「そうですよ。なんでこんなことに?! 隊長ー!」
四人が一斉にテーブルから、身を乗り出しカルロスにつめよる。だが、カルロスは一人ずつに恨みがましく目を向けて話を続ける。
「何を言ってるんだ? 全てはお前さんたちのせいだろ! リック! お前さんは教会に穴をあけるしその修理代と予備の剣の追加代金がいくらだと思ってるんだ?」
「うっ…… 教会の件は任務中の事故ですし…… 予備の剣は必要経費……」
「メリッサは平原のオーガ駆除で勝手に率いていった兵士達の壊れた武器や防具の修理費と、東の砦での騎士への暴力行為をもみ消すのにかかった費用がね……」
「えっ!? だって…… あの時はキラービーとオーガの相手で人手が足りなかったんだからしょうがないだろ! 砦の件はあれはあいつらが悪いだし……」
「イーノフは城門の焦げ痕の補修代! 城壁の焦げ痕がなかなか落ちなくて、高価な薬品を使うことになってその請求がうちにきたんだぞ!」
「あっあの! だから! それは任務ですから……」
リック、メリッサさん、イーノフと一人一人に顔を近づけて、泣きそうな顔で訴えてくるカルロスだった。身に覚えのある三人は気まずそうにして席に座りなおす。ただ、三人はそれぞれ一生懸命に任務に励んだ結果なのだが……
「みんなのせいで私のお肉が…… グスン……」
「ソッソフィア……」
悲しい顔をしてソフィアが目に涙をためている。心配そうに彼女を見るリックだった。ソフィアは今日の打ち上げで、肉を食べるのを楽しみにしており、昼間からリックは彼女の嬉しそうな姿を見ていたのだ。リックは申し訳なさそうにソフィアの頭を撫でる。
「うん!?」
リックが何かに気付いた。それは悲しげなソフィアを冷めた目で見るカルロスの視線だった。
「まぁ…… 予算へのダメージが一番大きかったのは、薬屋に発注するポーションの注文数を桁三つ間違えたソフィアなんだけどな」
「ふぇ!? わっわたし!? ポーション…… えへ! 間違えちゃいました!」
「ソフィア! お前さんねぇ! 間違えたすぎだよ! まったく…… 四人しか隊員いないのにポーションを三万個も…… 取り消しもできないから、置く場所もないし他の防衛隊に引き取ってもらうのが大変だったんだから!」
「ふぇぇぇぇん。ごめんなさーい」
カルロスの言葉を聞いた、リックはソフィアらしいと微笑むが…… イーノフとメリッサがソフィアに冷たい視線を送っていた。
「(別にそんなに怒らなくても…… ソフィアらしいかわいらしいエピソードなのに…… えっ!? ちょっちょっと!)」
リックに急に寄りかかったソフィアは、彼の胸に顔をうずめて上目づかいで助けを求める。
「リック! 助けてください。二人が私を睨んで怒ってます」
「いや、そこは謝ろうよ! ほら俺も一緒に謝るからさ」
「おや!? いつもソフィアには優しいねリック。じゃあここは君に責任を取ってもらおうか。ソフィアの相棒としてね。ねぇメリッサ?」
「えっ!? ちょっと!」
「そうだね! じゃあ、よろしくリック!」
自分の冗談で動揺するリックをイーノフは、にやにやと笑ってリックを見つめていた。
「よしっ! じゃあ! 決定! ソフィアとリックのコンビで今日の支払いをお願いね! ナオミちゃー……」
「四人分の支払いなんて無理ですよ。ひどいですイーノフさん!」
「そうですよ! なんでそうなるんですか!?」
リックとソフィアの二人は、ナオミを呼ぼうとするイーノフを止めた。冗談で笑うイーノフ、リックは冗談だと思っているが、ソフィアは必死だった。
「まぁ…… 実は全員である任務をしてくれれば、今月の予算の増額を上に要求することができるんだがな……」
「「「「えっ!?」」」」
ボソッとカルロスがつぶやいた瞬間、即座に四人はカルロスに視線を向けた。彼の口から出た任務という言葉に不安しかないが……
「どうする?! みんな。やる? みんながやればここの支払いを遊興費で……」
「よし! ただ酒のためだ! あたしはやるよ!」
「メリッサがいいなら! 僕もやるよ」
「ふぇぇぇ! お肉のためです!」
握り拳を突き上げるメリッサに大きくうなずくイーノフ、ソフィアも右手を上げやるという意思表示をしている。みなの気迫に押され出遅れてリック、全員の視線が彼に集中する。特にリックの横にいるソフィアは彼にすごい期待した顔を向けている。リックは大きくうなずいて返事をする。
「わかりました! 俺もやりますよ」
「よし! 全員やってくれるか! じゃあ決定だ」
嬉しそうにうなずくカルロスだった。リックはすぐに任務の内容を彼に確認する。
「隊長それで任務って? なんですか?」
「うん。S1級の勇者の帰還が迫っているため王都周辺のレベル適正化だよ」
「はぁ…… レベルの適正化?」
「あぁ! そっか、リックは知らないか! 勇者格付け制度は知ってるだろ?」
「はっはい! それは知ってます」
王国民は十歳になると教会から、派遣された神官によって勇者の適性があるか検査される。検査によって勇者の才能を、見出されたものは、勇者村と呼ばれる場所へ強制移住となり、勇者としての訓練をして訓練が完了したら魔王討伐の旅に出される。
カルロスが話している、勇者格付けとはその名の通り、グラント国の勇者達は才能によって格付けされている。才能はランクは上から、S1、S2、S3、A1、A2、A3の6段階だ。A1~A3は人数は多いが、勇者として成功する可能性は低いと思われる。
彼らの主な役割は未知のダンジョンに行かされたり、脅威となるる魔物の強さを測るために派遣されたり、人質との交換要員であったりする。A級の勇者達は、S級の勇者を保護するために、使われる人柱としての役割の方が大きい。S3以降は人数が極端に減ってS3級で、子供千人に一人いるかいないかくらいの確率だ。
勇者の格付けで最上位である、S1の才能保持者が現れる確率は極端に低く、現れるのは王国全土で百年年に一人くらいの確率と言われている。格付けは年に数回ほど昇格審査があるので、A3の者がS1に昇格するのは理論上可能だか審査基準が難しく昇格できる可能性は限りなくゼロに近い。そしてランクが高く才能の豊富なものが、より魔王討伐をスムーズに進むように、王国からのサポートにも違いがある。このランクによってどれくらいサポートが違うかというと、初期に王様から魔王討伐資金を盛られるが、それがA3が百グラントギルなのに対しS1は百万グラントギルと明確な差がついている。他にも、初期の仲間はA級は、村人に毛の生えた程度の戦士が派遣されるのに対し、S1級は王国から厳しい審査を受けた強者が派遣される。
また、もらえる船のランクがA格付けの場合は小舟で、S以降は豪華な帆船だったりとか、同じ店売りの物でもS1級だと割り引かれたりとか、国営のカジノでは払い戻しの確率や景品のグレードがS1の方が高かったりという具合に、ランクが上の勇者にはとにかく優遇されるのだ。
もちろんこの優遇制度は俺達のグランド王国の国内だけの話で、王国と友好関係にない他国で優遇されたり特別扱いを受けたりすることはない。
「まぁこの格付けができたのは、魔王を倒す伝説の勇者となると言われたアレックスが魔王に殺されたからで……」
「悪い隊長! あたしは気分が悪いから…… ちょっと席を離れるよ」
「あっ! あぁ…… すまんな……」
「気にしないで! リック! しっかり勉強しなよ!」
メリッサは席を立つと、カルロスの背中を軽くたたいて、店の奥へと引っ込んでいった。イーノフは彼女の後を追うように追いかけていく。注文もしないで立ち上がったメリッサが気になったリックは目で追う、店の奥の入り口の脇でメリッサにナオミが抱き着いてた…… カルロスはリックがメリッサを見ているのに気づいて少し慌てて話を続ける。
「おぉ! 悪いリック。話を続けるぞ。アレックスの死後に原因を探った我が国は一つの結論を出す。王都や国民が才能ある勇者に対してのサポートが足りなかったからだと」
「グラント王国はそれでこの格付け制度を作って、才能あるものを育てて保護できるようにした訳ですね」
「そうだ。特に今回王都に一時帰還予定の勇者は才能ランクがS1だから、不意にレベルの高い魔物に襲われて命を落としたりしないように王都の周辺の魔物を駆除して勇者のレベルに適正化を行うんだ」
レベルの適正化とは勇者より、レベルの高い魔物を王都の周辺から排除することだった。このレベルとは神官が神の力を借りて力や魔力や生命力を数値化したものを読み取ったもので勇者の現時点の実力が分かる。魔物との戦闘で経験をつんだり訓練などで上がっていく。勇者の才能のない者は読み取れないので兵士であるリック達の実力は数値化できない。
ちなみに同じようなもので、冒険者にはランクというものがある。ランクはSからFまであり、こちらはクエストの内容と訓練から、ギルドの事務員が計算し能力値を数値化し、魔法でギルドカードに記録してある。
「本来ならレベルの適正化は利用予定の城門地区を担当する防衛隊の仕事なんだか、今回勇者が利用する北門の防衛隊が別件で忙しくてね。僕達が代わりに行うってわけだな」
「わかりました」
リックはカルロスにうなずいて答えた。S1ランクの勇者と聞いたリック、魔王を後一歩まで追い詰め伝説なった、勇者アレックスに並ぶほどの才能を持った勇者が王都へやって来る、リックは皆から尊敬されるような立派な人が、やってくるだろうと胸をときめかせるのだった。カルロスとの会話が終わってすぐにメリッサとイーノフが戻って来た。
「説明は終わったかい? ごめんねぇ!」
明るく謝るメリッサ、少し寂しそうな彼女は無理して、明るくふるまっているように見えた。
「いえ…… メリッサさんは大丈夫ですか?」
「リック! メリッサは大丈夫だよ。さぁ! 注文をしようか! ナオミちゃーん!」
「イーノフ……」
メリッサとリックの会話を、打ち切るようにイーノフはナオミを呼ぶ。まだ、リックには話せないことがあるようだ。リックはなんとなく事情を察して何も言わずにナオミを待つ。
「はーい! イーノフおじさん! ママにあんまり飲ませたらダメだからね!」
「わかったよ…… これと…… これと…… こんなもんかな」
「はーい! わかりました! えっ!? ママ?」
注文を聞き終わり厨房に向かおうとした、ナオミの腕をメリッサさんがつかんで止める。
「ちょっちょっと待ってナオミ! イーノフ! 酒が少ないよ!」
「いや、このくらいでいいよ! いつも飲みすぎるんだから、メリッサは!」
「そうだよ。イーノフおじちゃんの言う通りだよ。じゃあもう行くから! 離して! ママ!」
歓迎会の惨劇を思い出して大きくうなずくリック。ちなみに彼は歓迎会の後、しばらくはほっぺたになんかの液体が付着しているような、気持ち悪い感覚がとれず常に頬を拭う仕草をしていた。
「そんな…… イーノフ! そんなに冷たいと大好きな聖女様からも嫌われるよ」
「こっこら! 何をいうんだ。メリッサ! 僕は別にシーリカ様のことは女性ではなくて……」
聖女好きの話を聞いた、ナオミは軽蔑したような顔で、イーノフを見つめている。口をとがらせたナオミはイーノフに口を開く。
「ふーん。イーノフおじちゃんって聖女様が好きなんだぁ。でも聖女様って私と年齢近い…… まさか??? ママじゃなくて私を狙ってたり…… キャー!」
「こら! ナオミちゃん違うよ! 僕は……」
「違うの? じゃあママが良いの?」
「えっ!? いや、だから…… それは…… 僕たちはその…… 幼馴染で……」
「こらナオミ! 変なこと言わないの! イーノフもまじめに答えようとしないで!」
「えっー!? だっていい加減に二人とも素直になればいいのに…… 私はパパがほしいよー」
イーノフとメリッサは、二人とも恥ずかしそうにうつむき、静かになった。
「(絶対に興味津々で聞いてるよね…… さすがエルフ! 耳が長いって便利だな)」
リックの横では興味なさげな顔をしながら、ソフィアがエルフ特有の細長い耳をピーンと立てて、文字通り聞き耳を立てていた。
「えっ!? なに!? ちょっとナオミちゃん!?」
ナオミはリックの近くにきて両手で彼の手を握った。
「そっか…… イーノフおじさんが決めてくれないなら、リックおにーちゃんパパになって!?」
「ふぇ!? だめです!」
「なっ何を? リック! 君は…… メリッサにも手を!?」
「はっ!? そんな訳ないでしょ!」
ソフィアとイーノフがリックは顔を真っ赤にして必死に否定する。
リックは確かに先輩として、兵士として、メリッサのことは尊敬して頼りにはしているが…… それは兄貴みたいなもので男女間のような好意はない。
「ふふっ! なんで!? ソフィアおねーちゃんがダメって言うの? そうだ! なんなら私がリックおにーちゃんのお嫁さんになる。そうすればイーノフおじさんとママ二人っきりになるし」
「だめです! そんなこと許しません。リック! ほら! ナオミちゃんから離れて!」
「リック! 君はもう! ナオミちゃんとなんて許さないよ。おじさんは認めません!」
「ちょっと待ってよ! イーノフさんもソフィアも二人とも落ち着いて!」
ナオミはふざけてるだけだが、ソフィアとイーノフが、ムキになるのが面白いのか調子に乗り出した。笑いながらソフィアとイーノフに、向かってリックと手を握ってるとこを見せるナオミだった。ニカっと歯を出して勝ち誇った顔する、ナオミの後ろに大きな影が忍び寄って来る。リックは影を見て青ざめる。
「ナオミー! あんた、いい加減にしなさい!」
首根っこを掴まれてメリッサに持ち上げらえれたナオミ。振り向いて怖いママの表情を見て、自分のしでかしたことに気づいたがもう遅い。助けてほしいという泣きそうな顔をリックに向けるが後の祭りだ。
「ほら、さっさっと注文をおばあちゃんに伝えてきな! それとゆっくり後で話があるからね!」
「えーん…… リックおにーちゃーん助けて……」
「リック! わかってるよね!?」
「はっはい。ママとちゃんと話し合いなさいナオミちゃん!」
リックはメリッサに大きくうなずく。ナオミは失望したような、表情でリックを見ながら店の奥に引っ込む。
「なっなんで…… 僕がおじさんで、リックがおにーちゃん……」
イーノフが悔しそうにつぶやくリックは、聞こえない振りして視線をそらす。リックは横に居たソフィアが彼のをジッと見つめているのに気づいた。
「どうしたの? ソフィア?」
「ぶぅ…… リックは目を離すと、すぐに女の子と仲良くしてます」
「してないよ! 気のせいだよ!」
「えぇ!? だってこの間も聖女や冒険者と…… その前にも下水で勇者とも仲良くしてました! それに絶対だめですからね! ナオミちゃんに手を出したら」
「いやいや、ナオミちゃんはふざけてただけだよ。後…… シーリカは何もしてないよ。事故で風呂場には飛び込んだけど…… ミャンミャンは助けたお礼を言われただけだし…… アイリスは幼馴染なだけだし……」
リックの話をさみしそうな顔で聞くソフィア、彼はソフィアに微笑みそっと頭を撫でる。なでられたソフィアは、機嫌を直したのか、目をつむり気持ちよさそうにしていた。
その後…… 打ち上げ始まった。飲み食いしながらリックは気になっていたS1級勇者についてカルロスに尋ねる。
「隊長。S1クラスの勇者ってどんな人ですか? 名前とかわかります?」
「えっと…… 確か…… ちょっとまって! 今調べる!」
才能あふれる勇者に会えるのに、失礼のないように名前を確認するリックだった。カルロスはポケットから書類を取り出して確認した。だが…… 書類を見たカルロスは目を大きく見開いて固まっていた。
「隊長? 早く伝説級の勇者の名前を教えてください!」
「…… リス・ノー……」
「はい? すいません! 聞き取れなかったんで、もう一度ちゃんと言ってください」
「S1級の勇者はアイリス・ノームだよ! はぁ……」
「なぁんだ! アイリスか…… えっ!? えぇぇぇぇぇーーーー!?」
グラント王国における最高格付けS1級の勇者はアイリスだった…… その事実にリックの声が店内に響き、メリッサ、イーノフ、二人も目を見開き驚きの表情をするのだった。アイリスに会ったことないメリッサだけは首をかしげるのだった。




