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葛の葉奇譚  作者: 椿
第11章:逢魔が時の早食い大会
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 3品目の料理は、香辛料の香りがツンと香る激辛拉麺だった。真っ赤な色のスープがぐつぐつ沸騰している、見た目が中々刺激的な拉麺だ。僕はフーッと少し冷ましてから拉麺を一口食べてみる。

 辛いけど・・・香辛料のピリッとした辛さと出汁の旨味が丁度マッチしてて美味しい。麺にも唐辛子が練り込まれていて刺激的な味だ。麺の硬さも丁度良いし、スープも良く絡んでツルツル食べられる。

 目の前に拉麺を出された他の選手達は、スープの色と香辛料の香りに顔を顰めている。彼等は恐る恐る拉麺を啜ったのだが、次の瞬間涙目になり、口を手で押さえ苦悶の表情を浮かべるのだった。

 「かっ・・・かなり辛そうね・・・。」

 ごくりと息を呑みながら、緊張した面持ちで朱雀が小さく一言述べる。彼女は恐ろしい物を見るような目で拉麺をまじまじと見つめている。

 「・・・見ているだけで噎せそうだねぇ。」

 苦笑しながら僕達選手の食べる様子を見守る太陰。彼女は「この大会、結構シビアだねぇ。」としみじみ呟いている。

 「香辛料の香りが強過ぎて・・・目がしょぼしょぼしてきました・・・。」

 香辛料の香りが目に沁みたのか、天后が目を軽く擦っている。香辛料の刺激に耐えられなかった様で、天后は逃げる様に後ろに下がってしまう。

 選手達が拉麺の辛さに悶絶したり、葛の葉庵の皆がスープの禍禍しい赤色にドン引きしている中、僕は「辛い・・・。」と時々小さく呟きながらも手を休める事無くずるずるぅっと食べ続けていた。

 「あんな香辛料の辛さがきつそうな拉麺を食べて・・・晴支は大丈夫だろうか?体調を崩したりしないと良いけど・・・。」

 六合が心配そうに眉尻を下げおろおろと呟く。彼は僕の無事を祈る様に胸の前で両手をギュッと固く握り締めている。そんな六合の心配を余所に、僕は麺を食べ切り残った激辛のスープを余裕の表情で飲んでいく。僕は辛い料理は平気なので、この激辛拉麺も美味しく食べられるのだ。一気にスープを飲み干しトンと机の上に器を置く僕を、会場に居た全ての人がまるで化け物を見るかの様に目を大きく見開いて見つめてくる。

 僕、何か変な事したかなぁ?

 皆の反応の理由が分からず、僕は軽く首を傾げる。

 晴支・・・凄ぇ・・・。

 激辛拉麺を眉一つ動かさずツルツルと食べ切った僕の姿を見て、葛の葉庵の皆は心の中で強くそう思うのだった。

 僕より少し遅れて、狐者異と二口女も何とか拉麺を食べ切った。2人共凄く苦しそうな表情をしている。大食い王者の幽霊と野槌は拉麺の辛さに耐えられなかったらしく、拉麺を食べている途中に倒れリタイアする事になった。



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