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葛の葉奇譚  作者: 椿
第11章:逢魔が時の早食い大会
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 翌日の夕方6時。僕達は件と共に大会の会場である山奥の古びた廃墟へとやって来た。会場は既に沢山の妖達で賑わっていた。

 「じゃあ、行って来るね。」

 僕はぐっと親指を立て、キリッと気合十分な表情で一言皆に話し掛けると、選手達が集まる広場に勇ましく歩いて行った。

 晴支、ノリノリだなぁ・・・。あの限界を知らない晴支の食欲に勝てる者が、果たしてあの選手達の中に居るだろうか・・・。

 張り切って歩いて行く僕の後ろ姿を見つめながら、葛の葉庵の皆は冷めた表情で見守るのだった。

 「さぁ!お待たせしました!!只今より早食い大会を開催致します。司会は私蝶化身が務めさせて頂きます。」

 僕が選手の集まっている場所に辿り着くと同時に、壇上の蝶化身の大きな声が響き渡った。

 「ルールは簡単です。大盛りに盛られた料理をより早く食べ切った方の勝利となります。皆さんには先ず予選に参加して頂き、出された料理を一斉に食べ進めて貰います。そして予選を勝ち抜いた5名で決勝戦を行います。優勝者には、天界の貴重な品々を差し上げます!!」

 蝶化身が手を広げた先には、淡い光を放って輝く美しい羽衣が展示されていた。その横には細かな細工の瓶に入った醽酒と、仙桃のタルトや綺麗な色の雲で作られた綿飴等の天界スイーツが並べられていた。

 「スイーツ・・・美味しそう!!」

 甘い良い香りを放つスイーツを眺めながら、僕は思わず目を輝かせ小さく呟いてしまう。

 「キャ~ッ❤あれが天の羽衣かぁ~!!キラキラ輝いていて綺麗!!」

 件が少し興奮気味に燥ぎながらさり気無く貴人にくっ付こうと飛び付く。しかし貴人はそれをスルッと躱してしまうのだった。

 「ワァ~!!天界の御酒・・・是非飲んでみたいですネ!!」

 白虎が両手を合わせてカラカラと笑いながら楽し気に話す。彼の言葉に、十二天将の皆の視線は御酒の方に注がれていった。

 「選手の皆さん、準備は宜しいですか?それでは、予選スタートです!!」

 蝶化身の言葉を合図に、選手達が怒涛の勢いで料理を食べ始める。

 「戴きます。」

 僕も出された料理を手に取り口に入れていく。

 ・・・この巨大なオムライス、味付け丁度良くて美味しいな。

 そんな事を思いながら、僕はオムライスをぱくぱくと食べ進めていく。オムライスはどんどん減っていき、あっと言う間に食べ切ってしまった。予選を1位で通過した僕は無事決勝に進める事になった。僕以外に勝ち残ったのは、大食い選手の幽霊、野槌、二口女、狐者異の4人だ。

 「決勝進出、おめでとう御座います。決勝戦のルールを御説明します。決勝戦では5品の大盛り料理が順番に出されていきます。5品全てを1番早く食べ切った方が優勝者となります。では、1品目から食べて貰いましょう!決勝戦、スタートです!!」

 蝶化身の説明の後に1品目の料理が現れた。1品目は、フライドポテトが横にどっさりと添えられている巨大ハンバーガーだった。

 おぉ。大きなパテと沢山の野菜が挟まれてて、ボリュームのあるハンバーガーだなぁ。

 嬉しそうにハンバーガーを一目見た後、僕は「戴きます。」と手を合わせてからハンバーガーを食べ始めた。パテが柔らかくジューシーで、レタスや玉葱等の野菜のシャキシャキとした食感と合って美味しい。横をちらりと見てみると、選手達が必死の形相でガツガツとハンバーガーを頬張っていた。大食い選手の幽霊が途中「ぐふっ。」と喉を詰まらせかけていたので、もぐもぐ食べながら「大丈夫かなぁ・・・?」と少し心配になった。僕はいつもと変わらない調子でハンバーガーとポテトをしっかり味わいながら一口二口と食べ進めていく。

 晴支・・・楽しそうだな・・・。

 幸せそうな表情でハンバーガーを頬張る僕の姿を見て、葛の葉庵の皆は落ち着いた様子で見守るのだった。 

 「ハンバーガー食べたの、久し振りだなぁ。」と思いながら食べ続けていく僕のハンバーガーは、速いペースでみるみる内に小さくなっていく。そして僕は巨大なハンバーガーをぺろりとたいらげたのだった。



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