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各地で妖との対決が繰り広げられ始めた頃―私は光の矢が放たれている地点を目指して京都の街を駆け抜けていタ。
「・・・どうやら、此処から射撃攻撃されているみたいですネ。」
私が辿り着いたのは、清水寺。私は襲い掛かる光の矢を雷で払いながら入口へと進ム。すると敷地に入る直前、何万という数の光の矢が私目掛けて放たれル。
「アハハ。随分と荒っぽい歓迎ですネ。」
私は自身の中に集中させた電撃を一気に解き放っタ。凄まじい威力で放たれた電撃は光の矢を全て飲み込み消滅させタ。私は光の矢が再び放たれるのも気にせず中へ入りどんどん進んで行ク。清水の舞台に上がった私を待ち受けていたのハ―着物に身を包んだ少女だっタ。
「十二天将の・・・白虎・・・。」
少女は感情の希薄な目で此方を見据え、静かな凛とした声で呟いタ。
「私の名前を知っているんですカ?私ってば、有名人♪」
両手をポンと合わせカラカラと笑う私の様子に、少女は表情を少しも変えないままで自身の持つ弓を二丁のハンドガンに変化させル。そして何も言わずに私の額を狙って数発撃っタ。
「そういえバ・・・貴女の名前、教えて貰えますカ?」
私は体を少し反らして弾丸を避けながら、少女に問うてみタ。少女は「“覚”。」と小さな声で名乗った。
「貴方達に邪魔をされる訳にはいかない。」
力強い眼差しで私に銃口を向ける覚。私は片手をバキッと鳴らし、バチバチと電流を走らせル。
「おやおや。闘う気満々の様ですネ。・・・それでは、此方も遠慮無くやらせてもらいますヨ?」
私は勢い良く走り出し、覚目掛けて電撃をぶつけようとすル。しかし、覚はヒュッと屈んで攻撃を躱し、カチャッと私に銃を突き付け発砲すル。私は鉤爪で銃弾を弾き、少し後ろに下がって雷の波動を放ツ。波動は細かく枝分かれして覚に向かって飛んで行くが、それも横に飛び退いて避けル。覚が着地する地点の傍に先回りしていた私は彼女を電流を纏った爪で引っ掻こうとするガ、彼女は背を向けたまま私を撃ってきタ。不意討ちを避け切れなかった私の腕を弾丸が一発掠ル。
・・・私の動きが読まれているみたいですネ。
私はふぅっと一つ深く深呼吸をしタ。そして鉤爪で素早くシュッと鋭い斬撃を放ツ。覚は避けながら発砲しようとするが、私はそんな暇を与えない様に猛スピードで電撃や斬撃を与え続けル。
「うっ!?あ゛うっ!?」
私のスピードに体が追い付けない覚は、避け切れずに多くのダメージを受けてしまウ。
「貴女に聞きたい事がありまス。“天逆毎”という名の妖について・・・何か御存知ですカ?」
にっこりと微笑みながら目と声に鋭く重い威圧を込める私の問いに、覚は何も答える事無く唯真っ直ぐ見つめてくル。
・・・情報を吐く気は無さそうですネ。
「では・・・お別れデス。」
覚に向けて止めの電撃を放とうとしたその時―突如水の刃が襲い掛かル。私はぴょんと飛び跳ねて刃を避けタ。すると、覚の横に黒いローブを纏った男がふわりと降り立っタ。フードを目深に被っていて、顔は分からなイ。
「その娘の御仲間ですカ?だったら容赦しませんヨ。」
私は攻撃態勢を整え、いつでも動ける様に身構えル。
「ああ。でも私は君と闘いに来たんじゃない。仲間を回収しに来ただけだよ。」
男は深手を負った覚をヒョイッと抱きかかえると、足下から水の幕を作り出ス。
「逃がしませんヨ!」
「いや、連れ帰らせてもらうよ。」
2人を捕まえようと急いで駆け寄るが、水の幕が2人を覆い隠してしまウ。私は鉤爪で水の幕を切り裂いたのだが、其処にはもう2人の姿は無かっタ。
「・・・逃げられましたカ。」
あのローブの男・・・相当な妖力をその身に秘めていタ。あれはかなりの手練れですネ。
妖達が居た場所を見つめながら、私はこの後の行動について少し思案していタ。すると、背後からタッタッと足音が近付いて来るのが耳に入っタ。振り返ると、丁度剣治君が舞台に上がって来た所だっタ。彼は私の顔を見るなり「ゲッ!?」と一言呟いて眉を顰めあからさまに嫌そうな表情をすル。
「おや、剣治君じゃないですカ!孝行君達とは別行動なんですネ?」
私が満面の笑みで話し掛けると、剣治君は少し距離を取りながらプイッと顔を背けル。
「孝行様から、光の矢を放つ妖を退治してくる様に命令を受けたんだよ。でも・・・妖の姿も気配も見当たらないな。少し前まで確かに此処から矢が飛んで来てたのに・・・。」
剣治君はきょろきょろと見廻しながら周囲を探ってみル。
「ああ。光の矢の妖なら、私が倒しましたヨ。敵の仲間が現れて、止めを刺す前に逃げられてしまいましたケド。」
「ふぅん、そうなんだ。じゃあ、もう此処に居る必要は無いね。」
剣治君はくるりと踵を返し清水寺を去ろうとすル。
「ああ、そういえば・・・剣治君!」
「何?」
私の呼び掛けに、剣治君は訝し気に眉間に皺を寄せ振り返ル。
「スキップで飛び跳ねながら動くと、身長が伸びるらしいですヨ。」
「・・・俺は別に背低くないから関係ないし。」
私に背を向け、数秒間静止する剣治君。そして・・・彼は軽やかにスキップで移動し始めル。
「勿論、嘘ですけどネ。」
私の一言に、剣治君はスキップしていた体をビタッと止めル。
「プッフフ・・・アッハハハハハハハハハッ!!」
私が腹を抱えて大笑いしていると、剣治君は短刀をブンッと振って鬼の覇気の刃を私目掛けて放ってきタ。
「ムッカつく!!よくも騙したなっ!!ぶった斬ってやるっ!!」
剣治君は顔を真っ赤にして、怒りに身を任せて短刀を振るう。
「まあまあ、落ち着いテ!取り敢えず、賀茂家の屋敷に戻りましょうヨ。他の皆も集まっているかもしれませんシ。」
「ちっ・・・後で覚えてろよ・・・。」
剣治君はぶっすぅ~と脹れっ面をしながらズカズカと不機嫌そうに歩き出ス。そんな彼の様子を後ろから眺めてケタケタ笑いながら、私も彼の後について歩き始めタ。




