32/127
12
牛鬼と覚が去って少し経った後―幾つかの部屋を捜索し終えた僕は、大きな扉の前にやって来たのだった。扉を開けた先に広がっていたのは、血の海に沈む狒々達の無惨な骸だった。
「これは・・・一体誰が・・・。」
僕は狒々達の死体に近付き、観察してみた。遺体の状態はかなり損傷が酷く、とても惨たらしいものだった。僕は付近に彼らを殺した犯人の手掛かりが無いか調べてみた。しかし、特に何も見当たらない様だった。
「晴支、大丈夫か?」
扉の方からかかってきた声に振り返ると、そこには貴人が立っていた。貴人は僕の傍に駆け寄ると、先ず僕に怪我が無いかを確認した。
「良かった。怪我はしていない様だな。」
「うん、僕は大丈夫。それより狒々達が・・・」
「あぁ。何者かに殺られた様だな・・・。」
貴人は狒々達の死体の傍に屈み、遺体を動かしながら詳しく調べ出す。
「この斬り傷や爆発痕・・・」
貴人は眉を顰め、深刻な面持ちで遺体を見つめる。
「貴人、何か気付いたの?」
「いや・・・何でもない。」
貴人は目を閉じ、すくっと立ち上がる。遺体を見つめる貴人の目に、ほんの僅かな冷たさと嫌悪があった様な気がしたが、僕は何も尋ねることが出来なかった。




