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「あぁ~。俺も妖退治に参加したかったぜぇ~。」
玄武は卵サンド片手に口を尖らせる。狒々の隠れ家に忍び込んだあの1件から1日が経った日曜日。僕達は、神崎さんが差し入れに持って来てくれたサンドイッチを囲み、昨日の出来事について語り合っていた。
「神崎さんも、他の被害者の方々も無事に家に戻ることが出来て、安心しました。」
六合が皆にお茶を配りながら微笑む。
「本当に、ご心配お掛けしてすみませんでした。」
神崎さんが申し訳なさそうに謝る。
「いや、気にしないで。無事に避難出来て良かった。それにサンドイッチ有難う。凄く美味しいよ。」
サンドイッチを頬張りながら僕がそう話しかけると、神崎さんは嬉しそうににっこりと笑った。
「それより、何で狒々に狙われたのが晴支なのよ。天后は分かるけど・・・私や太陰も居たのに、何で晴支が選ばれたのかしら?」
「確かに不思議だねぇ。歩いた場所が悪かったのかねぇ?」
朱雀と太陰は少し不服そうに語り合う。2人にじぃ~っと見つめられた僕は唯々首を傾げていた。
「そりゃあ、お前らみたいな気が強くてガサツな女は嫌だったんじゃねえか?」
サンドイッチを口に銜えながら何気なく答えた騰蛇。店の中に一瞬冷たい沈黙が走る。太陰と朱雀は騰蛇をギロリと睨み付ける。皆が一斉に自分からサッと離れ距離を取ったことに、騰蛇は驚きの表情を見せ、おろおろする。そんな騰蛇に太陰と朱雀がゆらりと近付き、「五月蠅いっ!」と叫びながら強烈なパンチを食らわせる。
「阿呆だろ、彼奴・・・。」
冷たい視線を向け、ぽつりと呟く勾陳。
「ハハハッ。騰蛇は昔っから空気の読めない人ですからネェ。」
白虎が3人の喧嘩をクスクスと笑いながら眺めている。
皆がワイワイと賑やかに騒いでいるのをぼんやりと眺めながら、僕は狒々達が倒れていたあの部屋の光景を思い出していた。
誰が狒々達を殺害したんだろう・・・?何故狒々達はあんな残忍な殺され方をしたのだろう・・・?
頭の中で考えを巡らせるが、謎は深まるばかりだ。
「どうした?殺された狒々達のことを考えていたのか?」
僕が深刻そうに考え込んでいるのを見て、貴人が話しかけてきた。
「あ、うん。誰が、何の目的であんな残酷なことをしたんだろうって・・・考えていたんだ。やっぱり神崎さんを斬った人と同一人物かな?」
僕は頭の中のもやもやした気持ちをぶつける様に、自分の中の疑問を貴人に尋ねてみた。
「さあな・・・。私はその問いに答えることは出来んよ・・・。」
貴人は上を見上げると、静かにそう答えた。
「狒々を殺した妖がかなり凶悪で強大な力を持つ妖であることは間違いない。今まで以上に気を引き締め、警戒を強めることが必要になる。」
いつも以上に鋭く真剣な眼差しで語る貴人。正体不明の凶悪な妖・・・。その妖が、また誰かを襲ったら・・・。大切な人達を傷つけられたら・・・。そう考えると、思わず表情も曇ってしまう。
「心配ない。君はとても強い陰陽師だ。それに、私達もついている。どんな妖が相手だって、きっと打ち勝つことが出来るさ。」
貴人はそう言うと、僕に向かってニッと微笑んだ。
「有難う、貴人。そうだね。皆と力を合わせていけば、きっと大丈夫だよね。」
僕はぐっと拳を握り、力強くそう語る。そんな僕を更に元気付ける様に、貴人が僕の背中を軽くバシッと叩く。
気がかりなことはあるけれど、くよくよと悩み続けていても仕方ない。大切な人達を護れる様に、修行を重ねてもっともっと強くならなくては・・・。それが、今僕に出来る精一杯のことだから・・・。




