表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/90

新たなる敵は美女と野獣?

 8月初頭。外では真夏の太陽が照りつける。


 俺はクーラーの効いた快適な部屋で、リヴとテレビを見ていた。

 ワイドショーが、この夏に開催される花火大会の特集を行っている。


「花火ってなんですか?」


 花火を知らない日本人はいないだろうが、知らない人に説明するのは意外と難しい。

 咄嗟に口が動かなかった俺はスマホを手に取って確認をする。


「……火薬や金属の粉末を使って、綺麗な火花を出すんだ。夜にやるのが一般的だな」


「へえ……」


 リヴが興味深そうに聞いている。


「テレビでは夜空に打ち上げているけど、個人で遊べるちっちゃいやつもあるんだ。夏の定番って感じだな」


「そうなんですね」


 俺は再びスマホで調べ物をする。ちょうど今日は札幌で花火大会をやる日のようだ。


「今日の夜、見られるぞ。夜になったらフィアも連れて見に行くか」


 フィアは今ここにいない。プールに出掛けているのだ。

 俺達や近藤が付き合うこともあったが、フィアは1人でも連日遊びに行っている。


「あの人が着ているのは何ですか?」


「あれは浴衣って言って、日本の民族衣装ってやつかな。夏祭りなんかがあると着る人がいるんだ」


 花火大会があるなら、リヴに着せてやるのも良いかもしれない。


「せっかくだから買いに行くか」


「えっ……わざわざいいですよ」


「いいから。俺が見てみたいんだよ」


 リヴの遠慮を無くすために、俺のためにと理由づけをした。

 彼女は少し恥ずかしそうにしながら、そういうことなら……と納得してくれた。


 街中でフィアとも合流して買い物に行こう。

 あいつがいつまで遊んでるかわからないから、喫茶店でも行って時間を潰すとしよう。


───


 駅前に着き、フィアにはすでに連絡を入れたが返信はない。


「どこかで冷たいものでも頼んで待つとするか」


「蓮さん、近くに王女がいます」


 一瞬で緊張が走る。


 市内では久しぶりの邂逅。まだ潜んでいたのか、それとも市外から来たのか。


「近づいているのか?」


「はい、まっすぐこっちに来ています」


 気づいていないふりをしてやり過ごすことはできないか。


「正面からです」


「……まさかあいつか?」


 迫っているのは、金色の短髪を逆立てた筋骨隆々とした大男。おそらく2mを超えている。


 近くには160cm程度の黒いショートヘアの少女。

 彼女が王女で、あの男が騎士なのか。


 2人は俺達に近づくと目の前でぴたりと止まり、少女が口を開いた。


「……君達2人だけかい?俺達もそうなんだ。勝負してもらえるかな?」


 俺の意識は王女ではなく、隣の大男に向いていた。

 鋭い眼光は野獣のようだ。それが真っ直ぐに俺に向けられている。


「……我らとうぬら、騎士の数は同じ。雌雄を決しようではないか」


(……うぬ!?)


 なんだようぬって。こいつ世紀末覇者か何かか?


 声が野太ければ、顔も凄い濃い。

 こいつと戦うのか?俺が?


「逃しはせぬぞ。ここは人が多い。場所を移そうではないか。ついてこい」


 そう一方的に告げると大男はくるりと背を向け、歩き出す。

 その背中は、男なら誰もが畏怖と憧れを抱きたくなるほど逞しかった。


「戦いは避けられない、か」


 俺はリヴと顔を見合わせ、頷く。覚悟を決めるしかない。


───


 辿り着いたのは豊平川の河川敷。すでに何度か戦闘を行った場所だ。


 周囲に人はいない。俺達は2対2で向かい合っていた。


 俺たちはかつてないほどの緊張感に包まれる。

 何人もの騎士と剣を交え、明らかな格上もいたが、あいつ程の威圧感を持つ奴はいなかった。


 今の俺にはガントレットがあるが、どこまで通用するか……。


「では、始めよう……楽しませてもらおうか」


(……来る!)


 目の前の2人は光に包まれると、その姿を変え──


 少女は騎士の姿に、大男はピンクのドレス姿に変わった。


「……」


 俺は目を擦り、状況を理解しようとする。

 騎士の姿に変わったのは、黒髪の少女、だと思っていた存在。


 じゃあ大男だと思っていたのは……。


「……あんたが王女?じゃあ、こっちが騎士?」


「そうだ。我こそはノーススター国の王女、ユリアである!」


「そっちかよ!」


 脳がバグったような感覚に襲われる。

 理解が追いつかないが、なんとか平静を保とうとする。


「おい、何か文句あるのか?俺が騎士で彼女が王女であることが」


「あ、いや……」


 高い声で俺を非難するのは、王女だと思っていた彼女。いや、彼?


 ものすごく失礼なことを言ってしまったと思った。

 見た目で人を判断してしまうなんて、俺はダメなやつだ……。


 ……。


 いや、無理があるだろ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ