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仲間を救う 幼き王女の青い雷光

「鷹見くん!」


 千早が蓮を気にした瞬間、敵の剣が彼女に襲いかかる。

 得意の足捌きで、なんとかそれをかわす。


 蓮を気にする余裕はない。彼が脱落しても戦いは続くのだ。


「盾を持つ騎士は倒した。これで相手にあたしたちの呪文を防ぐ術はない」


 ラーヤは次の一手を考える。

 詰将棋のように、リヴ達の宝玉を獲るまで追い詰める。


「まずは女からだ」


 蓮の相手をしていた騎士も千早の前に立ちはだかる。


 1対2。

 それも相手は盾を持っている。千早でも現状を打破するのは困難だ。


「近藤さん……!」


 リヴは、傷つき倒れた蓮の傍を離れたくなかった。


 しかしここに残ってもできることはない。

 前線では仲間が危機に陥っているのだ。


「蓮さん……ごめんなさいっ……!」


 意を決して、リヴは戦場へと戻っていく。

 その言葉に、蓮の反応は無かった。


「まずいね、これは……」


 蓮が脱落し、千早も封じ込まれた。

 ならばなんとかできるのは自分しかいない。


 難波は自分を奮い立たせ、なんとか目の前の敵を倒そうとする。


 狙うべきは相手の左胸。だが盾に阻まれ上手くいかない。


「アダティラド!」


 ソニアが再び呪文を唱えると、先ほど壁となった地面の隆起は、今度は難波の足元に出現。

 それは勢いよく彼の顔面を殴りつけた。


「あがっ……!」


 難波も後方へと吹き飛ばされる。

 

 鼻が潰れ、息が上手くできない。痛む箇所に手を触れると、鼻から血が漏れていた。

 体勢を崩した隙を逃さず、敵の騎士が追撃してくる。


「うわああぁ!」


 難波は恐怖した。


 彼は王女たちとの戦いをどこか軽く見ていた。

 ファンタジックな展開に夢心地となり、安易に戦いに参加することを選んだ。


 剣には自信があった。自分ならなんとかなるだろうと高を括っていた。


 目の前に迫るのは、道場では感じることの無い、命の危機すら感じる敵意。

 彼にはもう、冷静に剣を振ることは不可能だった。


「難波さん!」


 難波の宝玉は砕かれ、鎧は砂のように崩れ消えていく。


 騎士としての力と共に意識を失い、そのまま倒れ伏した。


「難波さんっ……!」


 リヴが前に出る。

 そして難波を倒した騎士と相対する。


「ソルブレイド!」


 杖先から冷気の剣が伸び、相手にそれを流し込む。

 

 相手は盾で受け止めるが、そこから左腕がみるみるうちに凍てつき、動きは封じ込められた。


「なんだと!」


「やあっ!」


 男が驚きを隠せぬ間に、リヴの杖が相手の宝玉を砕いた。

 彼もまた騎士としての力を失い、その場に崩れた。


「やった……!」


「あんな呪文を持っていたのか。でもそこまでだ」


 ラーヤは余裕を崩さない。


 リヴが千早に加勢する。

 王女が前に出なければならない以上、不利なのはこっちだ。


 蓮と難波が脱落した今、もうリヴに呪文を唱える余力は無い。

 そして敵の呪文を防ぐ術もない。もはや特攻に近い状況だ。


「どっ、どっ、どうすればいいですか!?」


 フィアの杖にはすでに魔力が貯まっている。

 だがミルナスでは騎士の盾を突破することはできない。


 王女の宝玉を直接狙うか? この距離ではそれも難しい。


(もしまたあの爆発が来たら、その時あたし達は終わり……!)


 千早はラーヤの呪文に自分たちの命運を握られていることを理解していた。

 それでも彼女には打つ手は無い。


 この状況をなんとかできるとすれば、ただ一人。


(フィアちゃん、君だけだよ!)


 千早はフィアを信じた。

 それは祈りに近かったかもしれない。


 だがその時、フィアの杖が力強く輝いた!


「何っ!」


 その金色の輝きはラーヤ達の元にも届いた。


 それは新たな呪文が宿った証。戦場に新たに現れた不確定要素。


「敵の新呪文を警戒しろ!」


 それをまともに受けるのはまずい。自分の騎士に号令を放つ。


 かわすか、防ぐか。

 それができれば、もはや自分達の勝利は揺るがない。


「フィアにも、新しい呪文がやってきたです……」


 直感した。これが最後の逆転の一手だと。


 どんな呪文なのかはわからない。

 それでも、奇跡が起きると信じて杖を構える。


 狙うは王女ではなく、千早と相対する騎士。

 彼女を解放すれば、後はきっとなんとかしてくれる。


「シルミルナ!」


 杖から放たれた青い雷。

 

 それは相手に回避する間も与えず走り抜ける。


(なら、盾で防げばいいだろ!)


 相手は構えた盾でそれを受け止める。


 だがその瞬間、全身を釘で打たれたような衝撃が走った!


「があっ!?」


 筋肉が収縮し、身動きができない。


 その隙を逃さず、千早は敵の宝玉に剣を向ける。


「やああっ!」


 砕けた欠片が地に落ちる。


 また一人、騎士としての力を失い、戦場から脱落した。


「やった……やったです! 見たですか! ザマーミロです!」


「フィア……!」


 リヴも千早も安堵する。


 これで騎士の数は1対1。数の不利を覆した。


「盾ごと感電させる呪文か。あそこからここまで追い詰められるとはね」


 ラーヤはそれでも動じない。


「でも、チェックメイトだ」


 静かにリヴたちに向けて杖を構える。


 先ほど蓮を吹き飛ばした呪文だ。

 それを放たれれば、リヴたちにできることはない。


 それを理解した彼女たちは、張り詰めた空気に支配された。

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