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新たなる仲間 剣道少女 その実力

「まさか仲間がいたなんて……」


 動揺を隠せないイザベラ。

 これで4対2。圧倒的にこっちが有利になった。


(俺も加勢しないと……)


「鷹見君は休んでいて。病み上がりでしょ?」


「大したことない」


「いいから。リヴちゃんもそこで見ていて」


 そう言って近藤はもう1人の騎士へと近づいていく。

 相手は盾を持っている。いくら近藤でも、簡単にはいかないはず。


「女だからって手加減しないぜ」


 相手は近藤よりも一回りは大きい男。力勝負になったら分が悪い。

 敵は左胸を盾で隠しながら、剣を振る。


 近藤はそれを受け止め、激しい金属音が鳴り響く。

 鍔迫り合いを嫌ったか、一旦彼女は間合いを取り直し、そして素早く踏み込んだ。


 見舞う鋭い一撃。だが盾で受け止められてしまう。

 やはり剣道の試合のようにはいかない。


 それを彼女も自覚したか。再度間合いをとった彼女は道場よりも慎重に動いているように見える。


「来ねえなら、こっちから行くぜ!」


 近藤の攻め気が薄れたのを悟ってか、男の剣が再度迫る。

 それを彼女は難なく受け止める。


 そして次の動きは、その場にいた誰もが目で追えないものだった。


 彼女の剣が渦を巻くように動き、それに巻き込まれた相手の剣は宙を舞う。


「なっ……!」


 剣を手元から失った相手は、千早の脅威に恐れ慄き、思わず後ずさりをして体を隠すように盾を構えた。


(速え……!)


 蓮は彼女の動きに驚嘆した。

 道場で見せる姿よりもさらに速いかも知れない。

 これが実戦で見せる、近藤千早の本気の強さなのだ。


「強い……すごいです、近藤さん」


 リヴも千早の強さを見て感嘆しているようだ。


「……加藤、逃げますわよ」


「……ふざけるな、俺がこんな小娘に負けるか!」


「加藤!」


「………ちっ!」


 分が悪いことを悟ったのだろう。相手が逃げようとする。


「待ちやがれです!ミルナス!」


「アルマジス!」


 イザベラたちの前に水の壁が湧き上がり、フィアの雷撃は防がれた。

 その間に2人は撤退して行ってしまった。


「逃げられちまったですぅ」


「……いや、十分だ。助かったぞフィア」


「本当だよ。ありがとうフィア」


「ふふーん、フィアを崇めるですぅ」


「それに……近藤」


 まさかお前がフィアの騎士になって現れるとは。


「間に合ってよかった。これからは私も戦うから、よろしくね」



 戦闘が終わり、4人は鷹見家に集まっていた。

 リビングのテーブルを囲み、フィアと近藤から事のあらましを尋ねる。


「お前、近藤の家に行ってたのか?」


「そうですぅ。こいつがお前より強いと言うから、フィアの目で見定めてやったです」


「道場で稽古をしていたら、フィアちゃんがやってきてね。そこで鷹見くんたちの事情を聞いたんだ」


 近藤……騎士としては、確かに俺より頼りになるだろうが。


「事情って言っても、よく信じる気になったな」


「最初は子供の作り話だと思ったよ。でも目の前で素敵なドレス姿に変身されてね、頭が追いつかなかったよ」


 俺の時と同じだ。手品でなければ魔法としか思えない超常現象。

 あれを見せられれば、普通ではないと思わせるには十分だ。


「また強引に契約を結ばせたんじゃないだろうな」


「急な話だったからね、最初は戸惑ったよ。そしたら鷹見くんとリヴちゃんがピンチだって言うから」


 ちょうど俺がフィアを呼んだタイミングだったのか。


「……近藤さん、すみません。僕らの事情に巻き込んでしまって」


 十分に納得せずに契約させてしまったのなら、リヴはそう感じるだろう。


「近藤さんが望まないのなら、僕たちに関わる必要はありません」


「ちょっと待つです!こいつがいなくなったらフィアはまた丸腰ですぅ」


「指輪なら僕がもう一つ持っている。無理強いなんてしちゃダメだよ」


 近藤は少し考え込む様子を見せ、そして口を開いた。


「……いいよ。これも運命ってやつかな。私もできる限り協力させてもらうよ」


「ほら、こいつが良いって言ってるです!こいつはフィアの騎士で決まりですぅ」


 相変わらずわがままな奴だ。こんな奴の騎士だなんて、考えただけで胃に穴が空きそうだ。

 だが彼女が共に戦ってくれるのならば、今後の戦いにおいて強力な力となってくれることは間違いないだろう。


「それにしても、私の知らないところで鷹見くんはずっと戦い続けてたんだね」


「……それほど、近藤より経験がある訳じゃないぞ」


「蓮さんはとても頼りになるんです。この人がいなければすでに僕は敗退しているでしょう」


 誇らしげに語るリヴに対し、俺は恥ずかしげに目を逸らした。


「じゃあ聞かせてもらおうかな。今までどんな戦いがあったのか」




 千早は3人から、自分の知らない世界を教えてもらうことにした。


 最初は、石の呪文を放つ王女様。鷹見くんの機転でなんとか勝利。

 

 2人目は、血の呪文を操る王女様。危ないところを鷹見くんとリヴちゃんの協力でなんとか撃退。

 

 3人目の前にフィアちゃんが合流。相手はゴムみたいなものを操る王女様。ここで盾が使えるようになって勝利。

 

 4人目は、おじいちゃんと孫みたいなコンビの2人。斎藤勇さんはこの街のベテラン剣道家だね。リヴちゃんの新呪文で勝利。

 

 そして5人目がさっきの水を操る王女様。なんとか私が力になれた。


 私の見ていないところで色々なことがあったんだね。


(それにしても……)


 私は交互に鷹見くんとリヴちゃんの顔を見つめた。


(そう言うことかー。私はてっきりそう言う関係なのかと思ったけど……)


 私の想定とは違ったけど、2人の間には確かな信頼を感じ取れた。

 鷹見くんを変えたのはリヴちゃん。それは間違いなくあなた。

 鷹見くんも、リヴちゃんのために強くあろうとしたんだね。


 ……ああ、なんて尊い関係なのかしら。


 千早が2人を見る感情は、少しオタクっぽかった。


───


 日が暮れ始めている。よそにお邪魔をするにはもう遅い時間だった。


「じゃあ私帰るね。鷹見くん、これから一緒に頑張ろう」


「ああ、よろしく頼むよ」


 近藤ほど頼りになる剣士もそういないだろう。心強い味方ができた。


「フィアちゃんも一緒に連れて帰れたら良いんだけど……」


 急に同居人が増えるとなってはい、良いですよとはならないだろう。

 近藤はごく普通に両親と暮らしているのだから。


「大丈夫だ。こいつはこのままうちで面倒を見るから」


「また遊びに来るよ。鷹見くんも、二人を連れてうちに遊びに来てね」


 彼女はリヴとフィアの顔を交互に見る。


「また来るから、じゃあバイバイ」


 そう言って近藤は帰って行った。

 俺にじゃなくて、2人に会いたいってことなんだろうな。

 リヴはともかく、フィアと会っても疲れるだけだと思うが。


「……と言うわけで、フィアは強力な騎士を手に入れました。お前もせいぜい足を引っ張らないように気をつけるです」


「へいへい」


 こいつの騎士が見つかったとしても、俺との縁が切れる訳でもなく。

 肩の荷が降りたと言う気分にはなれなかった。


「蓮さん、大丈夫ですか?病み上がりなんですから休んでてください」


「そうさせてもらうよ」


 俺はリヴに食事の支度を任せて部屋に引っ込んだ。


 今日も疲れた。幸い熱は上がっていない。今夜ゆっくり休めば明日には登校できるだろう。

 今回も生き残った。新しい仲間もできた。


 しかし敵はどんどん手強くなっていく。

 経験を積んでいるのは俺達だけでは無いのだ。


 もっともっと、強くならなきゃならない。

 そうでなくては、本当に俺が足を引っ張ってしまう。


 リヴは指輪を一つ残している。頼りになる味方を増やさないと。

 しかしどこで見つけてくれば良いのか。


(近藤の道場に、まだ誰かいないか……)


 これからも現れるだろう強敵を思うと、俺の心はなかなか休まらないのだった。

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