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リア充への道 カースト上位とのカラオケ交友

「鷹見、今日カラオケに行かないか?」


 教室で俺に声をかけてきたのは、漆間陽彦。

 イケメンで、クラスの中心にいる人物だ。

 俺は、今までこいつと特に仲良くした事はない。

 何で俺なんかを誘ってきたのか。


「俺はお前のことをあまり知らないからな。だからだよ。他にも誘うし、女子も来るんだぜ」


 どうやら漆間なりに俺との仲を深めたい、ということらしい。

 正直カラオケに苦手意識はあるが、拒否するのは悪いと思い、二つ返事で承諾した。


「よし、じゃあLINE交換しようぜ。放課後一緒に行くから、先に帰んなよ」

「ああ」


 女子も来るのか……。

 俺の歌、変だと思われないかな。

 女子の前で歌うのは気恥ずかしいが、正直楽しみにしている俺がいた。


 カラオケに参加する男子は俺と漆間と、そして隅田明信。

 隅田ともさほど会話をした事は無いが、何となく明るいやつなのだという印象がある。


「隅田とは幼馴染で、中学は別だったけど小学校が一緒だったんだ。同じクラスになるなんて何年振りだ?」

「6年生の時は一緒だったんだから、10年くらいじゃね」

「いや計算おかしいぞ」


 こいつらは元々知り合いなのか。

 久しぶりに旧交を温めたい、ということか。

 大丈夫かな。俺、上手く輪に入っていけるだろうか。


「鷹見は小中はどこだったんだ?」

「俺は北小と立命館だよ」

「へー、そこに通ってたなら西田悠真って知らね?俺の近所に住んでんだよ」

「知ってる。中2の時同じクラスだったから」

「そうか。小3の時だったかな、あいつ給食を喉に詰まらせて死にかけたんだぜ」

「マジ?やべーじゃん」

「それから先公がよく噛んで食べなさいってうるさくなってさ」


 漆間は俺にも積極的に話を振ってくれる。

 こいつはどうやら良い奴だ。除け者にされる心配はなさそうだ。


 時刻は放課後。これから俺たちは女子と合流してカラオケに出発する。


「お待たせー」


 遅れてやってきた女子三人。その中には南條美咲がいた。


「それじゃ行こっか」


 こいつを誘えるとは……流石漆間。

 他二人には悪いが、可愛さのレベルが違う。

 南條とこんなに距離が近いのは、火事の件以来か。


「鷹見とカラオケなんて初めてだね。どんなの歌うの?」

「俺はカラオケはそんなにいかないからな……」


 女子と並んで下校すると、俺までリア充になれたように錯覚しそうだ。

 学校から最も近いカラオケへは歩いて行ける。

 適当におしゃべりをしながら向かうと、すぐに着いた。


「いらっしゃいませ。会員証はお持ちですか?」

「俺が持ってるよ」


 漆間がスマホを取り出し、受付を済ませてくれた。


「3時間くらいでいいか?」

「そうだね。それくらいあれば十分じゃない?」


 マイクと伝票を入れたカゴを受け取り、部屋へ向かう前にドリンクバーでそれぞれが好きな飲み物をコップに注ぐ。


「隅田は飲まねーの?」

「俺はいいや。飲み物あるし」


 そう言って隅田は鞄からペットボトルのコーラを取り出した。


「……なんでそれ持ってきたんだ?」

「いや喉渇くと思って」

「普通ドリンクバーあるってわかるだろ。お前の分も料金発生してんだけど」

「でもコーラは無いだろ?」

「あるわ。ドリンクバーにコーラって、床屋にゴルゴ置くより鉄板だわ」


 むしろコーラがないドリンクバーなどこの世に存在するのだろうか?

 こいつってもしかして天然なのか。


 結局隅田もコーラをコップに注ぎ、みんなで指定された部屋へ入る。

 6人座るのに不自由のない、スタンダードな部屋だ。


「じゃ、誰から行く?」


 先陣を切る勇気は俺には無い。

 様子を伺っていると、漆間がマイクを取った。


「じゃ、俺から歌うぞ」


 漆間は、今流行りの曲を歌い上げた。

 上手い。こいつ何やらせても様になるな。


 次にマイクを取ったのは南條。

 彼女は最近よく耳にする曲を入れた。今やっているドラマの主題歌らしい。

 南條も上手いな。歌い慣れているんだということが伝わってくる。


 脚を組み直した時、短いスカートの奥が見えそうになってドキッとした。

 エロいやつだと思われたくなくて、慌てて目を逸らした。


「はい次、鷹見」


 南條からマイクを渡された。どうしよう、何を歌おうか。


「最近の流行りとか詳しくないからな……」

「別に何だっていいんだよ。アニメの曲でも良いんだぞ」


 漆間はそう言ってくれたが、女子の前でアニソンは抵抗があったので、数年前に流行った曲を歌った。

 緊張したが、周りは盛り上がってくれた。


「鷹見、上手いじゃん」


 南條が褒めてくれた。お世辞でも悪い気はしない。


 その後も男女交互にマイクを持ち、順番に歌った。

 隅田が曲を入れると、画面には女子高生らしい格好をした女の子のアニメ映像が流れ始めた。

 見るからにオタクっぽいアニメだと思った。


 確かに漆間はアニメの曲でも良いと言ったが、度胸がある。

 それとも何も考えていないだけか?


「可愛いね。なんのアニメ?」


 意外と女子は特に気にしていない様子だ。

 俺が気にしすぎているだけなのだろうか。


 6人で3巡した頃、残り時間は1時間を切っていた。


「ここから採点しない?」

「良いね。最下位は罰ゲームで」


 この何気ない提案が、この日俺を大いに悩ませることを、まだ知らなかった。

 まさか、南條にあんなことをすることになるなんて──

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