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王女達のファッションショー 百花繚乱のゴスロリ美少女達

「急にみんなで一緒に来いだなんて、なんだろうな?」


 俺達の元に、フィアから急遽連絡が来た。

 詳しい事情は聞かされておらず、住所だけがLINEに記されていた。


「このアイリスちゃんを呼び出すなんて、偉くなったものね」


「またトラブルにならなければいいんですけど」


 リヴは嫌な予感がしているらしい。


「ここだな」


 辿り着いたのは変哲のないアパート。

 ここにフィアがいるのだろうか?


 インターホンを鳴らすと、綺麗な白人女性が迎えてくれた。


「あなた達がフィアちゃんのお友達ね。ようこそ」


 中に招き入れられると、そこにはフィアと近藤。

 そして見知らぬ女性が三人いた。


「きゃーっ! みんな可愛いわ!」


「お人形さんみたい! どこの国から来たの?」


 瞬く間に、リヴとアイリスは注目の的となった。


「じゃあ、リヴとお前はこっちに来るですぅ」


 フィアは二人を隣の部屋へと連れ込もうとする。


「ちょっとフィア。どういうことなの?」


 当然、リヴには何が行われようとしているのかはわかっていない。


「約束したです。こいつがフィアの騎士になる代わりに、四人でファッションショーをやってやると」


「何よそれ。勝手に話進めないでよ」


 アイリスは話の展開が気に入らない様子だ。


「我慢しろです。こいつは世界一の剣士なんです。少しくらい大目に見ろですぅ」


「世界一!?」


 俺達は三人で同時に声を上げた。


 フィアから彼女の経歴を聞かされる。

 その凄さに、唸るしかなかった。


「そんなにすごいなら、このあたしの騎士になるべきよ」


「先に唾をつけたのはフィアです。もう遅いのですぅ」


「あたしの騎士にならないなら、協力する理由はないわ」


 アイリスはきっぱりとフィアを拒絶する。


 ここでフィアは俺に話しかけてきた。


「お前もこいつの着せ替えを見たいですよね」


「えっ……」


「ゴスロリだけじゃなく、アニメのコスプレ、学校の制服なんかもあるですぅ」


 俺は思わず想像する。

 リヴとアイリスの様々な姿を。


「……まあ、見てみたい、かな」


 素直に、そう言った。


「……しょうがないわね」


 ここでアイリスがため息をつく。


「別にあんたのためじゃないわよ! そんなにすごい騎士だっていうなら、せいぜいあたしのことも守ってもらおうじゃない」


(……計画通り、ですぅ)


 フィアはアイリスに見えない角度で、悪人のように笑った。


───


「お待たせしました。フィア・エクレールちゃん、登場です!」


 レーカのアナウンスに合わせて、奥の扉が開く。

 そこから姿を現したのは、ゴスロリを身に纏ったフィアだった。


 格好は真っ黒で、レースとフリルを控えめに重ねた上品なデザイン。

 普段の小癪なイメージは抑えられ、良いところのお嬢様のような雰囲気になっている。


「ふふーん、どうですか」


 そう言って彼女は得意そうに一回転。

 ふわりとスカートが円を描いて広がった。


「きゃーっ、可愛い!」


「フィアちゃん、こっち向いて!」


 レーカの友人達も大興奮である。


「では次は、彼女に登場してもらいましょう。アイリスちゃん、どうぞ!」


 続けて、淡いピンクと白を基調としたドレスのアイリスが姿を現した。

 フリルとリボンをふんだんに使用したデザインは、色と相まって砂糖菓子のように甘い。


 普段は大人っぽさも重視するアイリスとはイメージが違うが、彼女はこれも自分だと言わんばかりに堂々としている。


「蓮、どう?」


「……ああ、可愛いよ」


 それ以外に、言葉は見つからない。

 正直、可愛すぎて直視するのが辛かった。


 目が泳ぐ彼の様子を察して、アイリスは満足そうに笑っている。


「お次は近藤千早ちゃんの登場でーす!」


 三人目は、深い赤のドレスに黒いレースとフリルをあしらった千早が登場した。

 可愛らしさの中に妖艶な雰囲気が混ざり、これもよく似合っている。


 だが蓮の心臓を大きく跳ねさせたのは、それだけではなかった。


 普段はポニーテールに纏められている長い黒髪。

 それが今は──


 ツインテール。


 両耳の上から、柔らかく垂れている。

 凛とした剣道少女としての普段の姿とのギャップは、彼の脳内を揺さぶった。


「千早、可愛いですぅ」


(千早にここまでのポテンシャルがあったなんて……侮れないわ)


 アイリスも、彼女の普段と違う可愛らしさに舌を巻いた。


「へ、変じゃないかな……」


「……ああ」


(うう〜、絶対変だって思われてる)


 蓮は、同級生である彼女を素直に褒めるのが一番恥ずかしかった。

 その彼の内心を知ることはできず、千早は恥ずかしさで顔から火が出そうになった。


「最後は、リヴちゃんに登場してもらいましょう。どうぞ!」


 四人目として登場したリヴが身に纏っていたのは、ドレスではなかった。


 上半身は白いフリルのシャツ。

 そして濃い青のジャケットを重ねている。


 同じく青いハーフパンツは風船のように膨らんでおり、その下からは白いタイツに覆われた細い脚が伸びる。


 その姿はまるで貴族男性。

 中性的なリヴの容姿も相まって、本物の王子様のようである。


「ギャーーっ!」


「ヤバい、ヤバすぎる!」


 レーカの友人達は大声を上げ、本日一番の盛り上がり方を見せた。


「リヴちゃん、さっき教えたセリフを言ってみて!」


「……」


 レーカの友人に促され、リヴは少し間を置いてから口を開く。


「お嬢さん、僕と一曲、踊っていただけませんか?」


 そう言ってリヴは白い手袋でアイリスの手を取り、そのまま甲にキスをした。


「キャーーっ!」


 再度女性の大きな奇声が上がり、部屋の中の空気が震えた。

 アイリスも顔を赤くして戸惑っている。


「リヴ、ヤバいくらい似合ってるのですぅ……」


「うん……」


 フィアも千早も心臓をドキドキさせている。

 だがリヴは、この状況を好ましく思っていなかった。


(なんで僕だけ男装なの? 蓮さん、変だと思ってないかな……)


 リヴは蓮の顔をチラリと見る。

 彼は口をポカンと開け、何も言わずに佇んでいる。


(〜っ! 絶対変だと思われた! 変だと思われた!)


 一方蓮は、リヴに男らしく迫られる妄想を頭の中で巡らせていた。


 ──蓮さん、あなたは僕のものです。拒否権なんてありませんよ。

 ──あなたは僕が守ります。ただ僕の後ろについてくればいいんです。


(ヤバい、俺……倒錯的な趣味に目覚めそう……)

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