共闘する仲間との合流 底知れぬ実力者たち
「ご苦労様です理玖。他の方々も揃っていますね?」
「皆集まっております」
シルエナの言葉に大高さんは頭を下げる。
「北海道から来た皆様、本日はここで長距離の移動による疲れを癒してください。中には我々の同志が待っていますので、ご紹介いたします」
俺達はシルエナと共に、ホテルニューオータニの中へと進んでいった。
「……すごいな」
奥にあったのは、ホテルというより巨大な商業施設だった。
高級ブティックが並び、煌びやかなジュエリーショップからは眩しい光が漏れている。
吹き抜けのホールには芳醇なコーヒーの香りが漂い、上階からはピアノの生演奏が聞こえてくる。
「気が利いているわね。アイリスちゃんが泊まるのにふさわしいわ」
「すげーホテルです。後で探検するのですぅ」
「本当にすごいですね。蓮さん」
そう言いながらも、落ち着かない俺と比べ、王女達は動じていない。
きっとこいつらの住む城も立派なのだろう。
俺とは育ちが違うのだということを実感させられる。
俺より落ち着かないのは、鹿野さんの子供達くらい。
それぞれが楽しそうにはしゃいでいる。
「あの……大高さん」
先を歩く大高さんは俺の声に振り向く。
眼鏡の奥の目は優しいが、底知れない何かを感じた。
「今回、宿泊費も交通費も、全部大高さんが出してくれていると聞きました。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
俺に続いて、他のみんなも礼を言って頭を下げた。
「お気になさらず。王女様をもてなすのに失礼があってはいけませんからね」
俺のような年下にも物腰は柔らかく、余裕を感じさせる。
これほどの出費が、一体どこから出ているのだろうか。
「大高さんは社長をされていると聞きました。どんな仕事をしているんですか?」
「いろいろです」
「いろいろって……?」
「だから、いろいろですよ」
大高さんは笑顔を絶やさないが、話ははぐらかされてしまう。
「無駄だぜ少年」
そこに、煌夜さんが割って入った。
「そのおっさんが何をやっているのかは俺様達も知らねーんだ。俺様は表に言えない仕事をしていると見ている」
「表に言えない仕事って……?」
「そうだな。例えばヤクの取引とか?」
まさか。そんな訳はない。
そう思って大高さんの顔を見ると、変わらず笑顔を絶やしていない。
「嫌だなあ、そんなわけないじゃないですか」
大高さんは笑う。
俺もまさかとは思うのだが、もしかしたら……と思わせるだけの胡散臭さが大高さんにはある。
(……って、お金を出してくれてる人になんて失礼なことを考えているんだ俺は)
「じゃあなんでネットで調べてもあんたの名前すら出てこねーんだ?」
「私はただの個人事業主なので。法務局に登録してないんですよ」
よくわからないが、大高さんのお金は得体が知れないということがわかった。
そんなお金で生活して、俺達は大丈夫なのか?
「わたくしは理玖の事業を聞いております。ちゃんとしたお仕事ですから大丈夫ですよ」
流石にシルエナは知っていたか。
綺麗なお金じゃなかったら、それを使って恩恵を受けることを彼女は良しとしないだろう。
だが……これほどの費用を簡単に出せるとは、どのような事業なのだろう?
そんな思いを頭で巡らせながら、俺達は天井が高く吹き抜けたロビーへと到着した。
そこで待っていたのは、王女と思わしき三人の女性と、六人の男性。
「ご紹介します。わたくしの同志である、サクリス国、フェルライト国、そしてエラトリオ国の王女です」
「リファ・サクリスだよ。よろしくねっ」
最初に名乗ったのは、緑の髪を三つ編みにして二つに分けた百五十センチほどの小柄な女性。
年はフィアより少し上だろうか。
「アイラ・フェルライトだ。よろしく頼む」
次いで名乗ったのは、百九十センチはある黒いショートヘアの女性。
目力は強く、肌は黒い。
体格もがっしりとしており、気の強そうな印象を受ける。
「ベルーナ・エラトリオです~。よろしくお願いしま~す」
最後に名乗ったのは、ストレートの黒髪に豊満なバストを持った百六十センチ半ばの女性。
とてもおっとりとした印象を受ける。
「よろしくお願いします」
リヴ達も続けて国と名前を名乗る。
続けて、互いに騎士も自己紹介をした。
相手の六人のうち、五人は今出会った三人の王女の騎士。
そしてもう一人は、シルエナの四人目の騎士だった。
「安住貴志だ。よろしく頼む」
年は二十代半ばだろうか。
背は俺より少し高いくらい。
黒い短髪に、日焼けした肌。
口元に笑みは無く、目は力強い。
怒っているのかと誤解しそうになるが、そんな理由は無いはずなので、きっと真面目なだけなのだろう。
あの時最後に参戦して、リヴのフィズラグを切り裂いた男。
他の三人に劣らず、実力者であるのは間違いない。




