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Curtain Rise!  作者: 風見ことは
幕間
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67/74

67話 解釈



ルミの無邪気な笑顔に圧倒されていると、高雅が重々しく口を開いた。

「…そういうことはあるかもしれません。」

「え?マジすか?」

「積極的に攻撃しようとした、ではなく。正そうとした結果そうなった。整え…絵空事に実態を与えようとした」

「あ〜、それで変になっちゃったのか。ありそうです〜」

「なるほど、納得っすね。俺普通に土地的に邪魔だったんじゃね?とか思ってました」

「それは現実的すぎるよ〜」

陽登が笑うと豹一は恥ずかしげに肩をすくめた。

ルミが大きく手を打つと、三人はピタッと静止した。


「うんっ!いい感じ!それを踏まえた上で、皆さんがなんでToy Boxをそのままにしておけないのか…恨みとか無視できない事情とか、それを考えてみましょ!」

「えぇっと…?」

「もっと物語的にってことですか〜?」

「そう!ちゃんと、おもちゃの国とそこの住人…つまり見習い商人や騎士、王子様だね!その人たちとどういう価値観で向き合うか!」

「勝手に作っていいんすか?」

豹一の問いにルミは天を仰いだ。

「うーん…作るって??」

「なんかこう、確執的な…?」

「確執…っていうとストーリーそのものですよね」

「そうっすね」

「でもそれってToy Boxのみんなと擦り合わせないと成立しないですよね??」

「まぁ…多分?」


ルミは腕を組み、じっと床を眺める。

「確かに、舞台に立つ上で役柄の過去とか…そういうことを考えることがある…けど、そこじゃなくて…」

豹一が控えめに頷くと、ルミは唇に指先を押し当てた。

「ん〜じゃあ、俺が多分こうっすって言ったら、後は勝手に作ってくれるってことなんすかね??」

「えぇ〜うーん…そうじゃなくてね、設定を作って欲しいんじゃないの」


ルミはぴょんと立ち上がり、その反動でくるりと回った。

そして、豹一の前へ即座にしゃがみ込む。

「山羊足さんどう思った?」

ルミは拳一つ分ほどにまで顔を近づけ、にんまりと微笑んでいた。

「え?どう??」

「私が立って回って…今、どう思った?」

「ま、回ったなぁ…とか、えと…ルミさん身軽っすね」

豹一は気まずそうに口元を引き攣らせ、じわじわと距離を取る。

「うん。それで私のことをどんな人だと思う?そういう動きをする人」

「え?ええと…身軽で…感情で動くというか、じっとしてられない?とか??」

「うんうん、他には?」

「ち、近いっす、距離感が近い。子供みたいな…」

「子供っぽい?無邪気とか?」

「そすね…あとなんか自信ありそうとか…??」


ルミは大きく頷き、豹一から離れた。

「私、感情に動きが直結してる人に見えましたね?山羊足さんは今気まずいですか?」

「そ、そうですね…普通にビビりますし…なんかあるのかなって…えっと…怒ってます…?」

「私がしたことを『怒ってるからかも』って思ったんだね?」

陽登が「あー」と頷くと、豹一は拍子抜けしたように背を丸めた。


「じゃあなんで怒ってると思ったんですか?」

「えぇ?いや、なんでだろ…」

「私はわかりやすく怒っているような動きはしていないはずです」

ルミは静かに髪を背中に流す。

「たぶんですけど〜変だったからじゃないですか?」

陽登は床に手をつけると、豹一を見つめた。

「変すか?」

「ほら、いるじゃないですか〜怒ってるのを隠すために一旦動きで発散させたりする人。急にいなくなったり、やけに物の扱いが荒くなったり」

「ああ、そうすね?確かに、急に動いたから…何かはあったんだろうなって…」

ルミは床に指先で円を描き、高雅を静かに見つめた。


「豚座さんはどう見えました?今の私の動き」

「不自然には思いました。怒っている…とは見えませんが、何かの意図があると…」

「うん、それが解釈です!みんなあんまり意識してないけど、人を観察して解釈してる。そこに設定はないけど、山羊足さんの中には『ルミさんは子供っぽくて、行動に感情が出る人』って解釈が生まれた」

「なるほど?…Toy Boxを見て、どう感じているかまとめろってことっすね…?Societyとして…」

豹一は胸を撫で下ろし、小さく息を吐いた。


「ま!初めからそう言ってるんですけどね!」

ルミはパンっと手を叩き、にっこりと微笑む。

「それなら俺はさっきの通りですね〜理解できないから。俺には必要ないから」

「猫谷さんはそうですね!」

「私も、配慮の余地があろうとも飲み込めるだけの納得ができません。理屈が通らないとすら感じます」

「うんうん!じゃあ山羊足さんは??」

「俺はぁ…えぇ?なんだろ、マジで外野が楽しそうにしてる分にはどうだっていいんすよ。俺に責任ないし…だから…無関心?」

「自分がToy Boxみたいになれる?」

「仕事なら…?」

豹一が目を逸らすと、ルミは困ったように柔らかく手のひらを握り込む。


「それはそれでありなのかなぁ…夢があるようにも演じられるってことだもんね。役を育てるうちに方向性も固まるだろうし…」

うんうんと一人で頷くルミを、豹一は恐る恐る覗き込んだ。

「…ちょっと…考えときます、俺」

「はい!宿題で!それに多分、山羊足さんはToy Boxへの理解も薄いのかなって思います!知っていくうちに自分とは違うな、一緒だなってところ見えると思うので!探していきましょう!」

「はい…!」

豹一は安心したように微笑むと、眉を下げた。


「したら…公演観とかないとすよね、動画結構ありましたよね」

「ありますよ!ファンの方が撮ったやつもCurtain Riseがあげてるやつも!」

「それなら…古いやつからか…?」

「いえ。解釈を固めるというのであれば…Toy Boxが明確に『災害』を意識し始めたのは昨年の六月あたりからです」

「え?そうなんすか?」

「公式で公開しているのは昨年の三月から、一般撮影が可能になったのが六月です。ちなみに楽曲を組み合わせた公演を始めたのは三月からなので…演目の構成を把握するのであれば三月からで問題はないかと」

「……豚座さんめちゃくちゃToy Box好きっすか?」


皆が気圧されていることに気がついた高雅は、小さく咳払いをすると首を横に振った。

「いいえ。しかし、観ました。」

「勉強ですか〜?Societyのために〜?」

「そのようなものです」

「そ、そすか?じゃあ…俺六月くらいから観ますね…」

「俺も観とこうかな〜どれがわかりやすいとかあります〜?」

「わかりやすい…ですか?そうですね。第三公演、山岡の市民ホールで行われたものが最も災害や修繕に対しての会話が多く行われたと記憶しています」

「……ありがとうございます〜」

陽登は含み笑いを隠さず言い、豹一へ目を向ける。

豹一は大袈裟に髪を乱し「あざっす!」と頷いた。

それをきょとんとした表情で眺める高雅に、ルミは嬉しそうに笑いかける。


「自己紹介はもう充分ですね!」



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