482話_side_Serafina_その辺
~"討伐者の少女"セラフィーナ~
「ねえ、ランディーさぁ」
「言いたいことはわかるが……んだよ?」
わたしが憮然とした声で呼びかけると、ランディーからは更に憮然とした声が返ってきた。
色々な意味で不本意極まりない状況なのだ。そうもなる。
というのも、
「普通、逆じゃないかなあ!?」
憤りのままに叫ぶわたし、セラフィーナ・フラム・ダンクーガは現在、相方のランディー・アルトマン氏を背負って歩いております。おんぶじゃなくて、なんていうかランディーの両腕を肩に回して、羽織るようにして引き摺っているという表現が正しい。
普通にランディーのほうが背も高いし、重いし、スコールとの戦いで疲れ果てた身体にこの仕打ちは中々厳しい。身体強化魔法があるから辛うじてなんとかなっているだけだ。
「んなこと言っても、動けねえんだからしょうがねえだろ」
「ぐぬぬ……」
普通こういうのって、男のほうが女を背負うもんじゃないのか。まあ仮にそうなったとしても、ランディーのことだから『相変わらず胸ねえなぁ』とかデリカシーゼロのことを平然と言い放ってわたしをイラつかせるのがオチだろうけど。結局彼もわたしも、今更こんな身体接触程度で動揺するような浅い関係性じゃあないわけで。
ちなみになんでこんなことになっているのかというと、単に戦闘の後遺症的なあれである。わたしとランディーは二人で魔物メイドのスコールと交戦していたのだけど、正直なところわたし達だけでスコールと渡り合うのは大変難しかった。たぶん相手のペースに嵌ったら一瞬でやり込められるのが目に見えていたので、わたし達が取った手段とは所謂『攻撃は最大の防御』戦法である。
要は、スコールに何もさせるものかと只管に攻撃し続けたのだ。
幸いわたしの特殊な魔法はその戦法と相性がよかった。手を繋いだ人から貸してもらった魔法をそのまま出力出来るので、タイムラグなしで連発出来るのである。ただしスレイさんが貸してくれた転移魔法の時みたいに、魔法が効果を発揮するのに否応なく必要な時間は掛かってしまうので、使う魔法の選択には気を遣う必要がある。
どういう仕組みでこうなっているのか正直よくわかっていないのだけど、それを以前スレイさんに訊いたら真顔で『貴女がわからなければ誰にもわからないわ』と匙を投げられてしまった。
わたしが唱えた魔法はランディーが発動することも出来るので、これを利用してわたしとランディーで只管に魔法を唱え続けてスコールを攻めまくったのだ。でまあ、そうなると肉体的な負荷は自然と前衛を担うほうのランディーに集中してしまい、こうして彼は真面に歩くことも儘ならない状態になったというわけだ。症状自体はただの筋肉痛みたいなものなので、放っておけばそのうち治るのは経験則でわかっている。
「たぶん、あのままやってたら普通に負けてたな」
「うん……」
わたし達はそこまで攻めに傾倒してもなお、結局スコールを倒すことが出来なかった。わたし達の狙い通りにスコールが防御に徹さざるを得ない状況を作り出したまではよかったが、その防御を抜くことが出来なかった。大技を使えば隙を晒し、スコールに反撃の機会を与えるのがわかり切っていたので、こまめに押し続けるしかなかった。
だけども、あのまま持久戦を続けていたらきっとどこかでスコールに反撃されて逆転されていたと思う。たぶん、魔力ではなくわたし達の集中力がもたなかった。
助かったのは、よくわからないのだがいきなり夜が明けたから。
何言ってるか自分でもわからないけど、本当にそうとしか言いようがない。もしかして戦いに集中し過ぎて時間が過ぎていることに気付かなかっただけかとも思ったけど、森が閉じる前にスコールが撤退し、ランディーと二人あほのように立ち尽くしながら、いやそんなわけねえよなあと首を傾げたものである。
「なにはともあれ皆と早く合流しよう」
「だな」
一応、パーティーの面子とは先程『PiG』で連絡を取り合って生存確認を済ましている。一人を除いて。
ルークもリタもノエルも無事だし、大きな怪我もしてないみたい。唯一連絡が取れないのは端末を持っていないミアベルだけど、あの子はどうせ無事だろう。なんとなくそんな気しかしない。クランのほうにはルークが連絡を取っているようなので、わたし達は一度ここらで合流して、皆でミアベルを探してから一緒にギルド支部に帰るつもりである。
なので、今わたしはランディーを背負って、雑に指定された合流地点を目指して歩いているわけだ。
合流地点は近くの川だ。ルークからそう指定があった。何故川なのかはよくわからなかったけど、たぶん単純に見付けやすいからだろう。なんせ水の音を辿っていけば着くはずだから。そんで川沿いに適当に歩いていればその内仲間と合流出来るって寸法よ。
朝の森が非常に静かなのもあわさって、わたし達は苦も無く近くの川を見付けることが出来た。
あとは見知った顔を探すだけだ。黒い森が閉じているので魔物が現れることこそないが、野生の猛獣の類は普通に居るかもしれないので、大声で呼び掛けるようなことはせず足で探す。最悪通話すればいいので、まあその内見つかるだろうと焦りもない。
結果的にその予想は正しく、わたし達はすぐに仲間と合流出来たのだ。少し進むとだんだん川幅が広くなってきて、川辺はごつごつとした岩場が目立つようになった。その岩場の向こうから人の話し声が聞こえていて、近付くとルークとリタが喋っている声だったので、ああよかったと思ってわたしは岩場の影からひょっこりと向こう側を覗き込み、
「…………あ”」
そこにほぼ真っ裸のリタが居た。
思わず声が零れたわたしに反応した彼女が、目を丸くして振り向く。朝日の中でキラキラと輝いて見えるリタは、ていうかちょっと待ってこの前一緒に温泉入った時はそこまでまじまじ見るのもアレだと思って気付かなかったけどこの子めっちゃ綺麗に腹筋割れてるすげえ! じゃなくて、よかったちゃんと下着は着てた。水に濡れてがっつり透けてるけど着てるココ大事。
なんで脈絡もなく水浴びなんてしてるのこの子、とツッコミを入れたいのは山々だけど、その前に、なによりもとりあえず、
「見んなやゴルァァアッッ!!」
「いや俺悪くなッバアアああ!?!?」
反射的に繰り出した渾身の背負い投げにより、迅速にランディーを川へと叩き込んでおいた。
◇◇◇
「マジで死ぬかと思った」
まったく、重度の筋肉痛擬きで碌に動けないランディーを川に叩き込むなんて、酷いことをするヤツが居たものである。わたしは白々しく顔を逸らしてランディーのジト目には気付かない振りをした。
あの後、すぐにルークが来てランディーを救出してくれた。正直やり過ぎたと思わなくもないが、ここは乙女の名誉のためだということで勘弁してほしい。なおその乙女本人は何も気にしたところもなくあっけらかんとしているのだが。女子力ぅ……。
そもそもなんでリタが水浴びなどしていたのかというと、服を洗うついでらしい。というのも、ルークとリタはフェンリスとかいう親玉的な魔物と戦っていたのだが、顛末はさておき、頑張り過ぎてしまったリタは魔力を枯渇寸前まで使い切ってしまったのだ。魔力と生命力は密接に関係していて、急激な魔力消費は体調に悪影響を及ぼすというのは魔法使いの常識らしい。勿論わたしはそんな常識は知らずに育ったのでバッヘル領でヴェルナーさんに教わって初めて知ったわけだが、それはともかく。
つまり戦闘が終わった瞬間、緊張がゆるんだリタは盛大にリバースした。しかも変に我慢しようとしたのが祟ったのか、器用にも自分の服にぶちまけたらしい。乙女的には中々にアレな事態だが、かつて魔物に襲われて盛大におしっこ漏らしたことがあるわたしとどっちがアレかはいい勝負だろう。なおその後始末をスレイさんにしてもらったことは、今となっては立派なわたしの黒歴史である。
「でまあ、皆待ってる間暇だったし、俺がリタの服洗ってたんだ」
と言って笑うのはルークだ。
どうやら彼が川辺でリタの服を洗濯し、その間にリタは自分の身体を洗っていたと。彼等が岩場越しに雑談していたのが、わたし達が聞いた話し声の正体だったということだ。
今はルークが魔法で熾した焚き火を囲んで、リタとランディーの衣服を乾かしているところ。ランディーは服を着たまま火にあたっているが、リタの服は近くに干されていて、本人は下着姿のままルークの外套に包まってご満悦である。常々思ってたけど、リタってルークのこと好き過ぎだよね。幸せそうでなによりである。
「――――あ、みんな元気そう」
と、そこにのんびりと現れたのはノエルである。
普通に歩いてきて普通に合流した彼女だけど、わたし達は現れたノエルの姿を目にして一様に目を丸くした。
「お、おお……なんか壮絶なことになってるな」
代表してルークが言ってくれたが、確かにノエルのビジュアルが結構すごいことになっている。
ノエルといえばわりと身嗜みには気を遣っていて、華美さこそないがいつだって品のよい清潔さを保っている少女というイメージだったのだけど、今の彼女はまるで一回嵐の中に突っ込んで全身丸洗いされてから天日干しで自然乾燥させたような有様だ。全身砂と泥まみれ、衣服は傷だらけ、髪の毛はぼさぼさ、なによりトレードマークの眼鏡がないのでどうしたのかと思ったら、レンズの割れたフレームだけのやつが上着のポケットに刺さっていた。
事前に『PiG』のチャットで安否確認をした際には『大した傷はない』と言っていたし、そもそも彼女は自前で治癒魔法を使えるので心配もしていなかったわけだが、いや確かに大きな傷はないのかもしれないけど……。
そりゃあわたし達だって一晩戦い抜いた後なので、それなりに薄汚れている自覚はある。水浴びをしたリタと、水浴びをさせられたランディーはともかく。だがわたしもルークもノエルほど酷いことにはなっていない。むしろこの子にこそ水浴びをさせてあげるべきなのでは。
ていうか、あれ。もしかしてだけど。
「ノエル、一人でハーティと戦ってたの……?」
わたしとランディーがスコールで、ルークとリタがフェンリス、んでミアベル担当はスメラギさんだろうから、消去法でそういうことだよね?
ノエルはとりあえず焚き火を囲むわたし達の輪に入って座ると、ほうと息を吐いてからはたはたと手を振った。
「あはは、違うよ。逃げてただけ」
「いや一緒でしょ。こんなん言ったらあれだけど、よく生きてたね」
本当に。
ルーク達はあんまりピンと来てない様子だけど、バッヘルで実際に戦っているわたしはハーティの強さを良く知っている。あの人はたぶん相当おバカだけど、スコールと同じくらい強いはずなのだ。
するとノエルは参ったような苦笑を滲ませる。
「うーん。正直自分でもそう思うかな。見ての通り、ぼろぼろだったし」
「なんとか夜明けまで逃げ切れたって感じ?」
せめてぼさぼさの髪をなんとかしようと手櫛で奮闘しているリタが問い掛ける。なお泥で固まった髪はちょっと解した程度ではどうにもならなそう。
わたしとランディーが命を拾ったように、何故か夜明けが早まったおかげでノエルもなんとか助かったのか、と思いきやノエルは首を横に振る。
「ううん。たぶん私、夜明け前に死んでたと思うよ」
「えっ、じゃあどうして……?」
「間一髪のところでね、ティアさん達が助けてくれたんだ」
その言葉にわたし達は顔色を変える。特に、件の少女――ミリティアと付き合いの長いルークとリタの変わりようは劇的だった。
「ミリティア達に会ったのか!?」
「うん。二人とも元気だったよ」
ノエルの説明によると、彼女は単身ハーティと相対することになり、とてもじゃないが戦えないと判断して逃げに徹する。ところが最終的に追い詰められて、風魔法で吹き飛ばされたせいでこんな有様になりつつ、とどめを刺される寸前のタイミングで現れたミリティアとリゼルによって命を救われたとのことだ。
「それで、アイツ等どこ行ったのよ?」
「わからない。『まだやることがあるから戻れない』って。皆にごめんなさいってティアさんからの伝言」
「はあ?」
一体どういうつもりだとリタは眦を吊り上げていたが、ややあって『まあ無事ならいいや』と彼女らしい前向きな納得をしたようだった。
「となると、あとはミアベルだけね」
リタのその呟きが呼び水になったのか、遠くからわたし達を呼ぶ声が聞こえてくる。
聞き間違えようもないミアベルの声に、視線を向けると先程のノエルとは真逆の方向からミアベルがこちらに手を振っているのが目に入る。
案の定普通に無事っぽいというか凄い元気そうなのはさて置くとして、なんか、
「ツッコミどころが多過ぎる……!」
まずミアベル、何故赤コート姿なのか。サイズから成人男性用と思われるそれを、ぴっちり着込んでいるのはなんなのか。そしてロングコートの裾から覗くおみ足がどう見ても裸足なのはどういうことなのか。頼むからコートの下にはちゃんと服を着ていてくれることを願う。
そして何故でっかい赤い犬に乗っているのか。明らかに普通じゃないというか魔獣の類にしか見えない巨大な犬の背に、ミアベルがちょこんと横座りしているのだ。
というか犬も含めてだけど一緒に居るその人達はどこのどなたなのか。いや一人はわかる。わかるというかスレイさんだ。ということはあの人達はスレイさんのパーティーで、たまたまミアベルを拾ってくれたとかそういうことなのだろうけど、面子が濃すぎやしませんか。
ミアベルを背に乗せている赤い犬。
この暖かな陽気の中で防寒具完全装備の少女。
かと思えば肌も顕わなパレオビキニのむちむち美女。
年齢不詳っぽいお兄さん?おじさん?とにかくイケメン。
そしてなんか妙に疲れたような雰囲気をしているスレイさんに、なにより目立っているのがそんな一行の先頭を歩く――
お姫様みたいな恰好をしたキラッキラの小さな女の子だ。
「あれ? プリムじゃん」
「プリムローズさんっ!?」
驚きの声を上げるルーク達の反応を見る限り、どうやら知り合いらしい。ということはもしかして、お姫様みたいではなくほんとにお姫様の可能性すらあるぞコレ。だって見た目完全に年下だというのにリタが敬称で呼んでいるってことは、位の高い人だということだもんね。わたしにだってそのくらいはわかる。
プリムローズさんとやらはこちらの反応に微かに顔を顰めると、嘆息してそのまま近付いてきた。
「ごきげんよう貴様等。アトリーを拾ったので届けに来てやった」
などと、メチャクチャ可憐な外見と、開口一番の台詞のギャップにわたしは少々面食らってしまった。
というかこんなぞんざいな口調なのに凄い自然に『ごきげんよう』とかいう挨拶が出てきた。言い慣れてる人のやつだ!
「なんでプリムがここに居るんだ? 討伐者だったのか?」
「なんでもなにも、そもそも『ホワイトファング』は私の子飼いだ」
そのままルークとリタは彼女と話し始め、一方ではノエルがミアベルへと話し掛けていた。
「ねえミアベル、もしかして服着てない?」
「色々ありまして……というかノエルも相当すごいことになってるね! 眼鏡割れてるじゃん!?」
「こっちも色々あったんだよ」
ちなみにミアベルの剣はどこにいったのだろうと探してみると、パレオビキニのむちむちお姉さんが持っていた。あの剣、マギアドライブのせいでもの凄く重いはずなんだけど、なんか事も無げに持ってるのはどういうことだろう。
友人達がそれぞれ喋り出してしまったのでわたしはどうしようかと思って、となると必然的に唯一わかる相手であるスレイさんに話し掛けるしかなくなる。
「あの、スレイさん」
「おはよーセラフィーナちゃん」
「あっはい。おはようございます。……あの、この人達って」
「クランの仲間よ。んでそこの小さい子がボスね。めっちゃ偉い貴族様で、気難しい子だから気を付けてね」
後半部分は小声で教えてくれたスレイさんに、わたしはコクコクと頷く。
しかしなんだろう。どことなくスレイさんの雰囲気に違和感を覚える。なんだかとても疲れているみたいだし、いつもの溌剌とした気配が鳴りを潜めているというか。
わたしは心配になる。
「大丈夫ですか……?」
「いやあ、流石に魔法使い過ぎたわ。正直今すぐベッドにバタンキューしたい気分よ」
あのスレイさんがこんなに消耗した顔を見せるなんて相当のことだろう。
すると、ルーク達と話していたプリムローズさんとやらが耳聡く聞き付けたのか、こちらの会話に口を挟んでくる。
「貴様の喧しい口が静かになって丁度いいと思っていたところだ。普段からそれで構わないぞ?」
嫌味っぽい笑みを浮かべて告げられた言葉に、スレイさんは「辛辣ぅ」と冗談めかして苦笑しながらもそこはかとなく消沈した様子だった。
それを見て、わたしは思う。
なんだこのチビッ子。腹立つなぁ。
だってスレイさんはこの子の配下なんでしょ? ってことはこの子の命令に従って頑張って戦った結果としてこんなに疲れ果てているということだろう。だというのに労わるでもなくこの物言いはどうかと思う。
なんて思ってしまうのは、まあわたし自身、自分の性格が褒められたものではなかった自覚があるので若干の同族嫌悪もあるのだが。主に、スレイさんにアレな態度を取っていたという点で。
「あ、そういやプリムのことだから知ってるかもだけど、コイツ妹なんだ」
思い出したようにそう言ってルークがわたしを紹介してくれようとしたので、わたしは結局このプリムローズさんがどこの誰なのかわからないのだけど、とりあえず偉い人に対するつもりで背筋を伸ばした。
しかしわたしが名乗るまでもなく、彼女はつまらなさそうな顔で言う。
「知っている。セラフィーナ嬢だろう? 孤児上がりの」
あっ! 今鼻で嗤ったなコイツ!
悪かったな孤児院上がりで。
「既に貴族社会では噂になっているぞ? あの英雄伯家が養子を取ったとな。注目の的で一躍有名人だぞよかったな。きっとさぞや性格のよろしい先輩令嬢達が歓迎してくれることだろう」
「…………どうも」
にやにや笑っているプリムローズさんの言葉が、文字通りの意味ではないことくらいわかる。ここで初めてわたしは、ベルママやスレイさんが危惧していたことの意味を理解していた。なるほどこれが『貴族令嬢』というヤツか。こちらを見下して馬鹿にしたような雰囲気も表情も隠しもしない。ベルママが、リタやミリティアのほうが例外的だと言っていた意味がよくわかる。
そうしてミアベルをわたし達に引き渡して、『義理は果たした』とばかりに配下を連れてプリムローズさんは去っていった。なおミアベルが着ている赤コートは年齢不詳のイケメンさんの持ち物だったらしく、今度会う時に返してくれと本人が告げていった。
ちょっとした嵐のように現れて去っていった小柄な少女の態度を思い返し、わたしは憮然とした心持ちで呟いた。
「……嫌なヤツ」




