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悪逆令嬢のうろ覚え救済論(旧題:輪廻転生って信じる?)  作者: Lynx097
八章_笑顔

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452話_side_Luke_討伐者ギルド_ロビー



 ~"英雄の末裔"ルーク~



 魔物に連れ去られたミリティア達を助けるべく、親父と母さんを先頭にクランのほぼ全員で討伐者ギルドに突撃した俺達であったが、ロビーに到着した頃には遠く山間の地平線に夕陽の残光が感じられるくらいの時間帯で、黒い森が開くには今暫くの猶予がありそうだった。どの道、ミリティアかリゼルのライセンスカードの反応を追うためにはギルドからの技術協力が必要なので、待ち時間を利用して親父達がギルド側に交渉に行く手筈であったのだが。



「なんか、雰囲気ヤバくね?」



 ロビーに入ってすぐに気付く緊張感。俺が思わず呟くと、隣に居たリタも眉を顰めて「うん」と頷く。

 ここ最近は討伐者の男女間対立というか、実質二大巨頭である『パンドラ』と『赤原同盟』の対立が徐々に深刻化していて、それに応じて小競り合いの発生件数なんかも増加するし、ギルドの治安は悪化の一途を辿っていた。

 ただ、それを加味しても今日のこの雰囲気は異常だ。

 ロビーの内部を見渡せば、はっきりと陣容が分かれて見える。ここの支部はメインロビーを中心にして左右に伸びる形で男性向け女性向けそれぞれの商業区画が設けられているが、ちょうどその通りに分かれて、女性街側には『赤原同盟』が、男性街側には『パンドラ』が、まるで陣でも構えるかのように集っているのだ。

 どちらにも属さない討伐者達は巻き添えを恐れるように声を潜めて遠巻きに過ごし、二大クランのメンバーも相手方を警戒するように緊張感を漂わせながらも、不気味な静けさを保っている。



「この場で戦争でもしようってのか……?」



 マジでそう思ってしまうくらいにはピリピリしている。

 俺達『剣の誓い』はというと、黒い森に向かうためにはロビーの中央を通って奥に進む必要があるわけで、つまり対立する両クランの間を横切って進まなくてはならない。ミリティア達を助けるために魔物と戦う覚悟は決めてきたウチの連中も、流石にこの状況に踏み込んでいくのは気が引けるというか、ぶっちゃけ魔物と戦うのとはまったく別種の覚悟が求められる状況に尻込みしていた。

 そんなわけで、ロビーの入り口付近で足を止めた俺達は、左右に展開した二大巨頭とでそれぞれ三角形の頂点に陣取るような位置関係となっていた。

 親父達は主要メンバーを集めて状況と方針の確認を進めているようなので、俺達は下手に周囲を刺激しないようにその場にとどまって指示を待つことにした。友人達と小声で雑談しながら待っていると、なにやら、矢鱈と敵意の籠った視線を感じることに気付く。

 別に何をしたわけではないはずなのだが、何故か『赤原同盟』側に陣取っている一部の女性討伐者から睨みつけられているようなのだ。その対象は俺だけではなく、同じく居心地悪そうにしているレックスも同様の視線を感じているらしい。

 最近は『赤原同盟』の女性討伐者にいわれない敵意を向けられることが度々あったし、これもその類のようだが、それにしたって露骨過ぎる。居心地が悪いを通り越して喧嘩を売られている気分だ。



「もしかすると、なにか決定的な事件が起きてしまったのかもしれないな」



 思案気に呟かれたレックスの言葉に、俺達は俄かに顔色を変える。



「んでこの状況って、かなりヤベェんじゃねえのか?」


「それは勿論――」


「これ以上なくヤベェですぞ」



 レックスの言葉を引き取るように続けられた声が、誰も居ないはずのすぐ背後から聞こえたものだから、俺は驚いて飛び退きながら振り返る。

 こんな真似をするやつの心当たりは一人しかいなかったが、振り返るとそこに居たのは案の定、お馴染みの黒い外套に身を包んだノアールであった。相変わらずの黒尽くめで、相変わらず目深に被ったフードの上にはぴーんと伸びた獣耳のようなアクセサリが存在を主張している。

 リタもレックスもノエルも皆少なからず、突如現れたノアに驚きの表情を浮かべていたが、唯一ミアベルだけはまるで動じることなく安穏とした顔で彼女に挨拶をしていた。



「そういやお前、クランハウスに居なかったよな? なにしてたんだ?」


「別件の調査から手が離せぬのです。戦に赴く皆と共に行けぬこと、許されよ」


「クレメンスの指示で動いてんだろ? だったら必要なことだ。むしろこっちは俺達に任せて、頑張れよな!」



 俺の言葉にノアは「忝い」と呟いた。フードのせいで顏はわからないが、声音からどうやら少し笑ったようだった。

 まあそれはともかくとして、だ。



「なんだってこんなことになってんだ?」


「昨夜のことですが、実に痛ましい事件が起きましてな」


「ていうと、わたし達がフェンリスさん達と戦っているのと同じタイミングで、ってことかな?」



 小首を傾げたミアベルに、ノアは「然様です」と頷く。



「『赤原同盟』に属するとあるパーティーが活動中、魔物に追い詰められて窮地に陥ったのです。相手は『フォリドス種』だったようですが、群れの規模を見誤ったとも、不慮のアクシデントがあったとも言われておるのですが、詳細はわかりませぬ。とにかく、追い詰められて潰走寸前の女性パーティーがおったのです」



 フォリドス種と言えばミアベルが二秒で討伐したとかしないとかのアレである。ここの森に出現する魔物種の中では中堅どころで、どちらかというと討伐難度は高いほう。



「そこに通り掛かったのは『パンドラ』所属のとある男性パーティーでありました。彼等は赤原パーティーの窮地を見て取って、援護に入り、無事に魔物を討伐せしめたのですな」


「よかったじゃん。なんか流れ的に見捨てたとかの話なのかと思ったぜ」



 これが美談で終わらないのだとすれば、もしかするとパンドラパーティーの援護が遅れたせいで赤原パーティーに犠牲者が出て怒ってる、とかだろうか。だとすれば助けてもらってその言い草かと苦言を呈したくなるが、悲しいことに最近の『赤原同盟』だとあり得ない話ではないと言わざるを得ない。マジで男のことを奴隷かなにかだと思ってる真性っぽい奴等も居るみたいだしなぁ。

 しかし、俺のこの予想はあまりにも甘かったと思い知らされる。



「言いたくはありませぬが、見捨てたのであればまだしもマシな話だったしょうな」


「はあ?」


「そして先んじて述べておきますが、これは現状あくまでも、未確認の情報を含むものであるとご承知おきくだされ」



 覚悟を促すようにノアは固い声音で告げ、俺達が頷いたのを確認してから言葉を続けた。



「パンドラパーティーは魔物を討伐した後、傷付いた赤原パーティーに治療を施すことなく、それどころか負傷して碌に動けないのをいいことに、近隣のセーフゾーンに連行して無体を働いたのです」



 ノアの言葉に女性陣が息を飲み、俺とレックスも拙そうに顔を顰める。

 だいぶ表現に気を遣って説明してくれているが、要するに怪我した女討伐者を組み敷いて暴行を加えたっつうことだろう。憤りの表情を浮かべるリタなどとは対照的に、慎重に思考を回した様子のレックスが言う。



「援護の正当な対価だったという可能性もあるのでは?」


「そんなのって――!」



 反射的に噛み付こうとしたリタを、ノアが小さな掌で制す。



「いや確かに、無いとは言い切れませんぞ。赤原パーティーはそもそも魔物に敗れて命を失う瀬戸際だったのです。なれば、命を救う対価として肉体関係を強要されたとて、然程おかしな話でもありますまい」



 女性陣からすれば納得しかねる論法かもしれないが、俺としては確かにと頷く部分がある。パンドラのほうのパーティーだって慈善事業じゃないし、当然魔物相手に命を懸けて戦っているのだから、それなりの対価を要求するのは当然の行動だと言える。そんでもって刹那的に欲望に忠実に生きている奴等なら、そういう要求をしたとても然程おかしくはないのだ。

 しかしながら、ノアの口振りは、そうではないと告げている。



「合意の上での行為ではなかった。間違いなく。何故ならば、パンドラパーティーの面々は、無体を働いた後に証拠隠滅を図っているのですぞ」


「証拠、って」


「要は、口封じですな。赤原パーティーを凌辱した後、瀕死の彼女等を溶岩流に突き落として殺害したのです」


「!!」



 あまりに衝撃的な内容に、今度は俺とレックスも絶句せざるを得ない。

 もしそれが事実だとすれば、そりゃあ『赤原同盟』があんな風に噴火寸前の様相を呈しているのも頷ける話だ。



「しかしながら、これというのはある意味で討伐者という界隈の暗黙のダークサイドでもあるのです。魔物の支配域である黒い森を活動の場とする限り、法の庇護が届かない場合がある程度出てくるのは致し方なきこと」



 疲れたように溜息をつくノアの言葉は残念ながら正しい。

 今回の件は何らかの理由で事が明るみに出てしまったようだが、知られていないだけで普段から同じような事件が起きていないとは言い切れないのである。即ち、魔物に襲われて死んだと思われている討伐者が居て、しかしその人物を殺したのは本当に魔物だったのかって話だ。パーティーメンバーなりの目撃者が居ればともかく、例えばソロで活動している者だったり、あるいはパーティーそのものが全滅した場合など、遺留回収でライセンスカードなどが回収出来ればそれらの状態から死亡時の状況を割り出すことも多少は出来るのだが、特にここの森だと溶岩流という天然のオブジェクトの存在も手伝って、一切の遺品が回収出来ないケースが少なくないのだ。

 討伐者ギルドも対策をしていないわけではないが、黒い森の内部で行われる犯行を完全に防ぐことはおろか把握するだけであっても現実的とは言えず、最終的には黒い森に赴く討伐者本人達が自衛に努めるしか方法はない。この辺りの事情も討伐者の自己責任論を助長する要因である。

 すると、大人しく聞きに徹していたノエルが思案気に口を開く。



「でも、てことは今回は目撃者が居たから発覚したってことですよね。それはそれで妙な気がします」


「妙って?」



 不思議そうにしているミアベルやリタを他所に、レックスは察しがついたように「確かにな」と相槌を打っている。なお俺は察していない側である。



「うん。だってそんなのもう戦争だよ。少なくとも下手人に制裁を加えるくらいはやると思うけどな。女帝さんだったら」


「ああ。ところが『赤原同盟』はああして寄り集まって威嚇しているだけだし、対する『パンドラ』のほうも似たような様子なのが気になるところだ」


「貴兄等の疑問は尤も。しかし事情があるのです。これが事態をややこしくしておるのですな」



 ノアが説明して曰く、その目撃者というのがどうやら『赤原同盟』の人間なのだ。犠牲となったパーティーはフルメンバー(六人)の編成であったが、それとは別に若い新人を一人連れていたのだそうな。俺達で言うと、親父のパーティーにリゼルが引っ付いてるみたいな感じ。新人教育の一環であったのだろうと容易に察せられることだが、つまりその新人だけが生き残り、事件の目撃者となってクランに情報を持ち帰ったのである。

 パンドラパーティーのほうも犯罪行為に及ぶのであれば周辺には気を遣っていたはずだ。だというのに新人の存在を見逃してしまったのは、そもそも窮地に陥っていた赤原パーティーの人間がせめて新人だけでも安全に逃がそうとして、迷彩を施したうえで隠れさせていたからだ。まさかパーティー外の七人目が至近に潜んでいるとは思いもせず、犯罪行為に走ったパンドラパーティーはその一部始終を目撃されてしまったということだった。



「問題は、事件を証明するものがその新人の目撃証言しかなく、しかも彼女は『赤原同盟』の身内であるということです」


「うーん……」



 俺は首を捻る。理屈ではわからんでもないのだ。そりゃあ『パンドラ』側にしてみれば、言いがかりだでっち上げだと強弁してもおかしくはない。特に最近の『赤原同盟』の行動には目に余るものが多かったため、俺達のような第三者からしても正直、どっちの可能性もあり得ると思ってしまう。その新人とやらが仕込みである、という可能性だ。

 そこで今度はミアベルが意見を述べる。



「でも、実際に死者が出ているんだよね? もしこれが『赤原同盟』の自作自演だとしたら、仲間の死を利用したってことになっちゃう」



 引っ掛かるのはそこである。実際に壊滅したパーティーは存在しているのだろう。そこは誤魔化しようがない。となれば言い方は悪いが、たまたま都合のいいタイミングで壊滅したパーティーがあったので、その事実を『パンドラ』への攻撃に利用したということになってしまう。

 仲間の死を利用する。

 末端の奴等はともかくとして、少なくともあの女帝がそんな真似を容認するだろうか。



「わたし、女帝さんは絶対に許さないと思うな」


「某も同意見ですな。ただ、現状だけを見るならば女帝殿は配下の激憤を抑える方向に動いておるようですが」



 ここで、事態をややこしくするもう一つの事情が出てくるのだという。



「実は、更に時を同じくして、配役を入れ替えた同様の事件が発生したのです」


「どういう意味だよ?」


「ほぼ同時刻。別の場所で活動していた『パンドラ』所属の別パーティーが、やはり魔物の手に掛かって全滅しておるのです」


「そこに『赤原同盟』はどう関わってくるんだ?」


「トレインですぞ」



 馴染みのない言葉だったのか、リタが「とれいん?」と首を傾げる。

 トレインというのは討伐者界隈の専門用語であり、要は貨物車を牽く鉄道馬車のように魔物を引き連れて移動することだ。必ずしも悪い意味で使われる言葉ではないが、今回のケースに当て嵌めて考えれば、おそらく赤原パーティーがまず魔物に遭遇し、手に負えなかったのかは知らないが、そのまま魔物を引き連れたトレイン状態で移動。そしてたまたまなのか居合わせたパンドラパーティーにぶつけたということだ。



「結果、赤原パーティーは犠牲者なく難を逃れ、一方のパンドラパーティーは全滅の憂き目に遭った、ということですな」



 この件が判明した経緯としては、全滅したほうのパーティーがその寸前に同クランの他パーティーに援軍を求め、偶然近くに居て駆け付けた仲間の援護を受けてなんとか魔物を討伐することに成功したものの、負っていたダメージが原因で力尽き全滅してしまう。元凶の赤原パーティーはそもそも戦うことなくこれ幸いと離脱していて既にその場に居なかったが、流石に見過ごせないと後から駆け付けたほうのパンドラパーティーがこれを追走したのだ。



「そこで一悶着あったようですが、仲間を喪った憤りをぶつけるパンドラパーティーに対して、赤原パーティーはむしろ何が悪いのかと開き直って火に油を注ぐ始末だったとか」


「ねえルーク、そのトレインって悪いことじゃないの?」


「難しいとこなんだなこれが。意図的じゃなくてもそういう状況になっちまうことはあるし、例えば押し付けた側の赤原パーティーが、押し付けられた側のパンドラパーティーよりも実力的にずっと劣っていたとしたら?」


「あーそっか。そのパンドラパーティーが全滅するような強い魔物から、逃げるなっていうほうが酷だよね」


「というわけで一概に悪行とも言い切れぬ行為であるわけですが、今回の件は相当に悪質だったようでしてな」



 どうやらこの件で登場する赤原パーティーとパンドラパーティーには殆ど実力の差がなく、むしろパーティーとしてのランクで言えば前者のほうが高いくらいだ。そして赤原パーティーはその日の活動を始めたばかりで余力があり、対するパンドラパーティーは活動終了してギルドに戻る途中だったということで相応に消耗していた。極め付けは、トレインした魔物がパンドラパーティーと交戦し始めたにもかかわらず、赤原パーティーが共闘する素振りすら見せずに立ち去ったという事実だ。



「これも未確定情報ですが、件のパーティーは以前から同様の行為を繰り返していたという話もありましてな。ああ、ちなみに未確定なのは行為の有無ではなく、悪意の有無ですので悪しからず」


「結局、そんなつもりじゃなかったって開き直られたらそれ以上追及できねえんだよなぁ。まあ、昔っから言われてる問題ではあるよな」


「とまあ、『パンドラ』側も相当に鬱憤が溜まっている状況なので、最早どちらが原因でどちらが報復に及んでいるのか判断のしようもないわけですな」


「……詰んでね?」



 俺が思わず呟くと、ノアは「わりと」と無慈悲な相槌をくれた。

 なにが詰んでしまっているのかというと、これもう話し合いで解決出来る域じゃなくなってる。なにせ、双方に死者まで出ているのだ。実際に事件を引き起こした双方のパーティーを特定して罰すれば解決するという次元でもないだろう。賭けてもいいが、絶対に、それだけでは留飲を下げ切らずに報復行動に出る奴が現れるだろうからだ。



「今のところは、女帝殿と黒竜卿殿が直接出てきて配下を抑えているので、決壊寸前で辛うじて堪えているという状況ですぞ」


「あ、女帝さん達居るんだ?」



 それぞれのクラン構成員の壁に阻まれてここからでは見えないが、どうやら両クランの親玉まで出張ってきてるらしい。ノアの言を信じるならば、双方の親玉である女帝と黒竜卿がまだ冷静さを保っているから、睨み合いの膠着状態に陥っているのだ。

 ただ、女帝の苛烈な気風からして何もせずに引き下がることはまずあり得ないし、黒竜卿は比較的穏やかな気風ではあるものの厳正さに定評があり、一度剣を執れば振るうことを戸惑う人間ではない。

 要するに、ほんの些細な切っ掛け一つでもあれば、その瞬間にクラン間の全面戦争がこの場で勃発する可能性がある。



「そこを行くと、貴殿らは実に良いタイミングで現れましたな。睨み合いの場にいきなり第三勢力の、それも完全武装した『剣の誓い』が割り込んだので彼等も慎重になった感はありまする」


「別にアイツ等の戦争を止めるために来たわけじゃねえが、結果的にはそうなってるのか」



 俺達は一様に渋い顔をしていた。というのも、一刻も早くミリティア達の救援に向かわなくてはならないのに、流石にこの状況を放置して行くことなど出来ない。

 考え得る最悪の展開とは、このまま緊張感が高まって決壊し、二大巨頭が全面戦争に突入すること――――ではない。



「『赤原同盟』と『パンドラ』はこの支部で活動しているクランの中ではトップツーの構成員数を誇ります。影響力は計り知れないものがありますれば、この両クランが互いを食い合って機能不全に陥ったとすれば、この支部の対魔物能力は著しく低下すると言わざるを得ません」


「そんなとこに『オンスロート』でも起きてみろ、マジで終わ――



 俺が言いかけたその時であった。

 突如、ロビーの高い天井を彩る照明が、一斉にその輝きを白から赤へと転じた。同時に、ロビー中央に設置された巨大な水晶球のターミナルに目立つ赤文字で警報が流れ始める。

 不穏な静けさに包まれていたロビーにも俄かに動揺が走った。


 レッドアラート。

 黒い森の観測機器が異常な状況を捉えた際に発令されるものだ。

 その代表例がまさに、魔物の軍勢による大規模侵攻現象『オンスロート』である。



「「「「「………………」」」」」



 俺以外の全員が、怖いくらいの真顔で俺を見た。

 いや、別に俺が不謹慎なことを言ったから警報が出たわけじゃねえぞ。

 確かにタイミングは仕組んだのかってくらいドンピシャだったけど、こんなことになるなんて知らなかったんだ。


 お、俺は悪くねえっ!



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― 新着の感想 ―
[良い点] ルーク フラグ回収乙w 個人的にはこの戦いの中盤くらいでカッコいい登場してプリムちゃんに無双してもらいたい
[一言] フラグ回収伯
[一言] 遂に裸ドテラ娘の再登場ですね。 正直、人間が対抗できるとは思えない、ゴ○゛ラ的脅威なんだけど。 脳内イメージはうる○やつらのコタツネコなんだよなぁ。
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