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悪逆令嬢のうろ覚え救済論(旧題:輪廻転生って信じる?)  作者: Lynx097
六章_宵の霊薬

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293話_side_Pr_バッヘル領_某所



 ~"転生令嬢"プリムローズ~



 お昼時になったので、私は適当なカフェに入ることにした。そこは前に一度利用したことがある場所で、変な豆の入ったジュースがわりと美味しかったのを覚えている。

 なので今日もそれを注文した。スタンダードなBLTサンドと、変な豆の入ったジュースが今日の私の昼食である。



「ところがどっこい座る場所がない」



 味が良いだけあってカフェは盛況で、店内は満席状態だった。外に出て歩きながら食べても別にいいのだが、一応テラス席も覗いてみる。するとどのテーブル席にも案の定人影があるのだが、その中に見知った顔を見付ける。

 桜色の頭髪が最近つやつやしてきたセラフィーナちゃんである。これまた最近はクロードくんパーティーの斥候の子……たしかクレアさんだっけ?と一緒に居ることが多かったが、今日はどうやら一人だ。二人掛けのテーブル席に一人で座って昼食を取っていたようだが、彼女の前に置かれたパスタは殆ど減っていないし、頬杖をついてなんだか遠い目をしている彼女は食が進まないご様子。



「ふむ」



 私は少し考えたが、絡んでみることにした。



「こんにちは。セラフィーナちゃん」



 向かい側に立って挨拶をしてみると、彼女は一瞥を寄越した。

 そして興味無さげにぼそりと。



「……ええ」



 は、覇気がねえ……!

 私に対してツンケンしていたセラフィーナちゃんは一体どこへ。いや相変わらず好意とは程遠い感じではあるんだけども。



「なんか用ですか?」


「ここ、座ってもいいかしら?」



 手に持った昼食を見せながら訊いてみると、セラフィーナちゃんは嫌そうに顔を顰めて「なんで」と呟いた。私はそれに返答する代わりに、片手で周囲を示して見せる。見ての通り満席なんだなこれが。



「はぁ……勝手にすれば」


「ありがとう」



 私はいそいそと椅子を引いて座り、とりあえずジュースを飲む。

 変な豆を齧りつつ、くぴくぴやっている私の姿をセラフィーナちゃんは横目で胡乱気に眺めていた。私はそんな彼女ににっこりと笑い返す。



「パスタ冷めちゃうよ?」



 冷製じゃないんだから熱くて美味しいうちに食べないと勿体ない、と私が言うとセラフィーナちゃんは非常に物言いたげな顔をしたが、結局何も言わずにノロノロと食事を再開した。なんだか義務感だけで食べてるって感じだ。察するに食欲が湧かないけれど、貧しい生活で食の有難みが身に染みてわかっているので、食べないという選択肢はない……と言ったところか。

 ともあれ、実際のところセラフィーナちゃんがここまで打ちのめされている理由には見当がついている。



「ランディーくん、抜けちゃったらしいね」



 敢えて何気なく話題を振ると、彼女は不愉快そうにぴくりと眉を震わせた。

 その脱退の現場をリスティがその目で見ていたので、私は彼女から聞いて知っている。そうでなくとも人口の少ない田舎支部だから、人伝でもすぐに噂は広まるので、瞬く間に周囲の知るところになるだろう。ランディーくんとセラフィーナちゃんの孤児院出身ペアは、最近の活躍もあってそれなりに注目されていたから尚更だ。



「あなた達が、ランディーに余計なこと吹き込んだんじゃないの?」



 セラフィーナちゃんが低い声でそんなことを言ってくるが、生憎と心当たりはあんまりない。

 まったくないと言い切れないのは、この前ランディーくんを誘って黒い森に繰り出した事実があるから。たぶんセラフィーナちゃんもその時のことを言っているのだろう。私も他の皆もランディーくんを唆した覚えはないが、あの一件が彼になんらかの影響を与えたのだと言われれば、本人以外には否定のしようもない。

 ただ、個人的な見解を述べるならば、あの日少なからず行動を共にしてみて感じたのは、あのランディーという少年は意外としっかり者だ。考え方にちゃんと芯が通っている印象を受けた。少なくとも、誰かに何かを言われて、それで諾々と自らの方針を曲げるような人間には見えない。むしろあれは、多少の傷を負ってでも牙を剥いて食らい付いていくタイプだ。たぶんそんなことは私なんかよりもセラフィーナちゃんのほうがよく知っていると思うのだが。

 私がそう考えていると、セラフィーナちゃんはそれ以上言い募ることなく、ふいと顔を逸らしてしまう。



「八つ当たりだったわ……ごめんなさい」



 などと、殊勝なことを言い出す始末。

 なんかほんと調子狂うなぁ。別に噛み付いて欲しいわけじゃないけど。



「……ねえ」



 もくもくと食事をしていると、今度はセラフィーナちゃんから話し掛けてきた。

 私が「なに?」と返すと、彼女は相変わらず視線を逸らしたまま、意味もなくフォークでパスタを巻きながら、こんなことを訊いてくる。



「あなたって、結婚してるの?」



 私はきょとんと目を丸くする。



「してないけど」


「じゃあ、恋人とか居る?」


「今は居ない」


「居たことあるんだ?」


「それなりには」



 前世でな!

 さて、なんでいきなりこんなことを訊いてきたのか。仲良くなりたくて私のことを知ろうとしてくれている……わけではないことくらいは態度でわかるが。



「結婚を考えてた相手は居たの?」


「最後にお付き合いしてた彼とは、結婚するつもりだったなぁ」


「なんでしなかったの?」


「死んじゃったから」



 私が正直に言うと、セラフィーナちゃんが驚いたようにこちらをみた。

 そして彼女は唇を引き結んで、俯き加減になる。



「あの、ごめんなさい」


「ん?ああ、いいのよ気にしないで」



 私の感覚ではもう十年以上も昔の話であるし、とっくに整理はついている。

 てかそもそも、死んだの私のほうだし。


 ……彼は元気かなぁ。向こうの世界で幸せになっていてくれれば良いけど。

 でもきっと、私が殺されたことに責任感じたりしてるんだろうなぁ。



「でも、なんで急にそんなことを訊いたのかは、教えて欲しいな」



 罪悪感につけ込むようで悪いが、突拍子も無い質問に正直に答えてあげたんだからいいよね。

 するとセラフィーナちゃんは意外なくらいにすんなりと応じてくれた。もしかすると、彼女も誰かに話したかったのかもしれない。



「ランディーの代わりにパーティーに加わった人、レベッカさんって言うんだけど。どんな人か知ってる?」


「話に聞いた程度ね」



 リスティ曰く『討伐者らしい討伐者』だそうな。半分くらい皮肉だろうが。

 だんだん食欲も湧いてきたのか、むくむくとパスタを処理しつつ合間合間にセラフィーナちゃんが愚痴っぽく語るところによると、どうやらそのレベッカさんとやらは外見の印象通りの性質の人らしい。

 彼女は元々はクロードくん達がここに来る前に立ち寄った支部で勧誘を掛けていた人物であり、しかし一度それを断っている。勧誘を蹴った理由というのが、既に結婚を決めている相手が居て、結婚したら討伐者を引退するつもりでいるから、というものだったのだそうな。



「でもなんか、結局相手がもう結婚してて、不倫だったとかで……その相手が有力な人だったらしくてレベッカさんは悪者にされて、行く当てなくなってここに来たとか言ってたけど」



 へぇー、なかなか飽きない人生を送っておられる。

 普通に可哀そうなんだが。絵に描いたような悲劇のヒロインではないか。尤も、レベッカさんの自己申告が全部事実であればの話だが。

 仮に全部まるっと事実だったとしたならば、相手の不倫男のイチモツをレベッカさんの代わりに氷葬してやってもいいと思うくらいには胸糞案件ではある。



「同情に値する境遇だと思うけど?」


「わたしもそう思うけど……でも、なんかあの人、そのわりに全然堪えてるように見えない。その話した時だって平然としてたし、不倫男に怒ってる風でもないし、見た目もあんなだし」


「見た目は個人の趣味でしょうに」



 セラフィーナちゃんがレベッカさんに対して何を思っているのかはわからない。ランディーくんが抜けるきっかけとなった彼女を排除したいと思って粗探しをしているのかもしれないし、逆になんとか折り合いをつけてやっていこうと考えて理解を試みているのかもしれない。

 その辺の事情は知らないし興味もないが、私への謎の質問の意図はなんとなくわかった。

 要するにセラフィーナちゃんが訊きたいこととは『そんなやつおる?』という一言に尽きる。



「恋愛観も結婚観も人それぞれだもの。単にレベッカさんが切り替えの早いサバサバ系だったってだけの話じゃないの?」


「そういうものかな」


「今、平然としているからといって、その時も平気だったとは限らないし」



 可能性の話をすれば、事実はまったく逆で、実は悪者は完全無欠にレベッカさんのほうで、彼女が二股を理由に交際相手にフラれて、その悪評のせいで居辛くなって移籍を考えただけで、腹いせに事実無根の作り話をばら撒いているというのもあり得るのだ。

 まあ悩めばいいんじゃないかな。

 レベッカさんがどういう人間だったとしても、彼女に対する自分のスタンスを決められるのは自分だけだ。アイツは不誠実で悪いヤツだ、と誰かに決めてもらって乗っかるのは楽だし、そういう人間が少なくないのも理解してはいるが、私はそのスタンスは大嫌いだ。


 そういうわけなので、私はセラフィーナちゃんの話だけを鵜呑みにしてレベッカさんの人間性を判断するつもりはないのだが、それはそれとして客観的にキナ臭いものは感じている。

 というのも、リスティが酒場で盗み聞きしてきたクロードくん達の会話によると、彼等はランディーくんを穏便にパーティーから追放したいと考えていた。そこに今回の件である。どう考えてもタイミングが出来過ぎてるでしょっていう。

 別に、だからなんだ、というわけでもない。クロードくんの『教義』発言を含めて彼等の調査はリスティに任せているし、仮にレベッカさんとクロードくんがグルでランディーくんを追い出すために共謀したのだとしても、私にはまったく関係のないことだ。


 なので、これはただのお節介だ。



「セラフィーナちゃん。これあげるわ」


「は?」



 私は外套のポケットからあるものを取り出すと、テーブルの上に置いた。



「なんですか。これ」


「今の貴女に足りないもの、かしら」



 それは私がヴェルメリオからもらった護符(タリスマン)であった。貰い物の横流しで悪いが、どうせ私が持っていても有効に役立ててあげられない物なので、最初から自分自身で役立てるつもりはなかった。私の場合は護符の防御がなくても『白魔礼装(フロストドレス)』とチート遡行があるので、むしろ護符に籠められた魔法は邪魔まである。

 セラフィーナちゃんの身に危険が迫っていると判断しているわけではない。ここでは護符の護符部分はおまけに過ぎない。

 なに言ってるのかわからないと思うが、今セラフィーナちゃんに足りていないものとは、この護符の表面にでかでかと彫り込まれている特徴的なデザイン――――つまり、『にこちゃん』だ。



「貴女、私のこと『へらへら笑って媚び売ってるバカやろう』だと思ってるだろうけど」


「え?」


「そう思わせるために笑ってるのよ。笑顔を使うことくらいは覚えたほうが良い。お姉さんからのアドバイスよ」



 意識的に表情を消してそれだけを言い残すと、私は席を立つ。

 なんか意味深なことを言ってみたけど、つまり格好つけているだけである。別に、否応なく大人達の陰謀に巻き込まれようとしている憐れな少女の行く末を心配しているわけではない。

 私はカフェを出ると時間を停滞させて移動し、ひっそりと物陰からセラフィーナちゃんの様子を窺った。思い付きで護符を渡してから思い至ったのだけど、私って彼女に超嫌われてるから、そんな私からの一方的な贈り物をセラフィーナちゃんがお利口に持ち帰ってくれる道理などないのだ。

 もし彼女が護符を捨てて行ったら泣きながら回収しよう。流石にヴェルメリオと、ヴェルメリオに護符をくれた『めがねのおねーさん』に申し訳ないので。


 などと思っているとセラフィーナちゃんも食事を終えて席を立つ。どうやらちゃんと護符を持っている様子だ。

 しかし、彼女はカフェを出たところで立ち止まると、道端に置かれた屑籠に無造作に護符を突っ込んだ。

 そして清々したと言わんばかりに鼻を鳴らすと、そのまま歩き去ってしまう。

 あかんかったか。



「…………お?」



 と、思いきや数歩進んだところでまた立ち止まる。

 俯いてふるふると拳を震わせると、猛然と振り返って肩を怒らせてずんずんと来た道を戻る。



「物に罪はないんだからっ!」



 勘違いしないでよね!とでも言わんばかりに(※言ってない)誰にともなく言い訳っぽく叫ぶと、セラフィーナちゃんは屑籠に手を突っ込んで護符を拾い。それをしっかり握って今度こそ立ち去ったのだった。

 私はなんとも言えない面持ちでそれを見送る。



「なんだかんだで、悪い子じゃないんだもんなぁ」











 夕方、今日の活動のためにギルド支部のロビーを訪れると、そこにはベルさんしか居なかった。



「あれ?ベルさんだけ?」


「やあスレイさん。あんまり誰も来ないものだから、ベルさん不安になってたよ」



 今日はレーナちゃんことマクダレーナ先輩が周辺を散策するとかなんとか言い出して、案内役のリスティとついでにシィナを連れて意気揚々と飛び出していったが、まさかまだ探検しているのだろうか。こちらの事情としては調査に同行することになったシィナにこの辺りの地理や情勢を説明する丁度いい機会だったのでこれ幸いとリスティ共々送り出したわけであるが。



「レーナちゃんのことだから、また妙なことに巻き込まれているんだろう」


「彼女ってそんな感じなの?」


「昔から、何故かよくトラブルを呼び込むんだよねぇあの子」



 それ半分くらいはレーナちゃん自身がトラブルメイカーな気がするけど。あれか、それは言うまでもないってことか。



「まあ、リスティが一緒だから迷子になってるってこともないでしょう」



 リスティは私の二百倍くらいはしっかりしてるので(姉バカ)。

 もうちょっと待ってみて現れなければ、今日は私とベルさんの二人だけで活動しようか~なんて喋っていると、ロビーを通りがかったとある人物が声を掛けてきた。



「あれ、もしかして先輩?」



 ん?と視線を向けるとそこには見覚えのない顔が。

 大人の色気ムンムンのブロンド美女といった風情の人物だ。間違いなく初対面だが、容姿の特徴から察するに、どうやらこの人が件のレベッカさんだなとあたりを付ける。

 そして、レベッカさんが声を掛けた相手は私ではなくベルさんだ。



「え、レベッカぁ!?」



 なんで居るの、とでも言いたげに顔を顰めるのは、ベルさんらしからぬ反応で私は意外に思う。

 対照的に、レベッカさんは非常にわかりやすい喜色を浮かべて見せた。



「やっぱりイザベル先輩じゃないのぉ!こんなところで会えるなんてぐうぜーん!」



 私がベルさんに疑問の視線を向けると、彼女は苦い表情で「学生時代の後輩なんだ」と教えてくれた。ということはもしかしなくても、レベッカさんもエンディミオンの卒業生ということか。もしかして貴族なのか。え?貴族なのにそんなえちぃ格好してるの?(ブーメラン)


 ところで気になるのは、わかりやすく再会を喜んでいるレベッカさんに対して、それに応じるベルさんの温度差よ。

 驚いている様子から察するに、ベルさんはまだクロードくんパーティーのすったもんだの情報は仕入れていなかったのだろう。私としても敢えて教える必要性を感じてはいなかったが、ところがなんの偶然か、渦中のレベッカさんがベルさんと昔馴染みであったとは。



「やだぁ先輩。そんなに身構えないでちょうだいよぉ。アタシだってもう大人になったんだからぁ、学生時代みたいな無茶はしないってばぁ」


「生憎と、レベッカのそういう言葉を信じてよかった試しがないんだよね」


「ひどぉい」



 私は大人しく背景に徹して二人を見守ることにするが、なんだろうなぁ微妙な空気感。

 ベルさんも本気で嫌って風じゃないし、どっちかっていうと対応に困ってるような雰囲気だ。レベッカさんのほうははっきりとベルさんへの好意を表に出してるし、一体どういう関係だったのだろう。

 ただの先輩後輩という程度の浅い繋がりではなさそうだということしかわからない。



「簡単に信用できないのはわかるけど、会えて嬉しいのは本当なのよぉ?」



 警戒を解かないベルさんに必要以上に近付くことなく、レベッカさんは苦笑気味にそう言った。彼女もベルさんの態度の理由がわかっていて、弁えているような感じだ。それが伝わったからか、ベルさんも少しだけ表情を柔らかいものにした。



「うん。私も再会は嬉しいよ。例えレベッカでもね」


「あぁん、一言多ぉい!」



 それからレベッカさんは「また今度、お茶でもしましょ」と言い残して、あっさりと去って行った。

 ううむ、完全に部外者の私目線で見れば、普通に気のいいお姉ちゃんって感じの人物だったが。ただまあ、セラフィーナちゃんの言う通り、交際相手に不誠実な裏切られ方をしたような悲壮感は欠片も窺えなかったな。



「ふぅ……ちょっと邪険にし過ぎちゃったかな?」


「訊いていいのかわからないけど、彼女となにかあったの?」



 ベルさんらしからぬ態度の理由を訊いてみると、彼女は気恥ずかしそうに微苦笑を浮かべて教えてくれた。



「実は、学生時代に私は彼女に付き纏われていてね。どうも苦手意識が」


「先輩として慕われていたから、っていうわけではなさそうね」


「いや、勿論それもあったと思うよ。基本的にはレベッカは可愛い後輩だったし。当時も今も別に嫌いではないんだ」



 そう告げるベルさんからは本当に嫌悪感は感じられない。むしろ本人が立ち去った今となっては警戒心が解かれて、ほんのりと嬉しげな雰囲気すら漂っている。どうやらベルさんにとっても、レベッカさんとの偶然の再会は喜ぶべきものだったらしい。

 となると気になるのは当然、喜びを押し殺してまで警戒しなければならない理由である。



「レベッカが私に付き纏っていた主な理由って言うのがね……」



 ベルさんは少し口ごもり、やや悩み、



「スレイさんはそういうのに偏見がなさそうだから言うけど、」


「え?ええ」



 予防線まで張ってから、声を潜めて、こう言った。



「実は交際を迫られてたんだよね」


「あらま。てことは」


「うん。レベッカは同性愛者なんだ」



 ほーんそうなん。

 ちなみにこのリヒティナリア王国においては同性愛者への風当たりというのは可もなく不可もなくというところだ。法律で同性婚は認められていないが、個人間の恋愛関係として楽しむぶんには好きにすればええんでね、って風潮が主流だ。マイノリティには違いないから奇異の目で見られはするだろうが。

 この風潮は最大勢力の宗教である『教会』のスタンスが基本的に同性愛を否定していないから、というのが理由として最も大きい。宗派によっては許されない場合もあるだろうが、大抵は教会さんは個人の恋愛には寛容なのだ。数少ない良いところだね。


 ってそんなことはどうでもいい。



「一応訊いてみるけど…………バイの人?」


「ううん。私の知る限りでは、ガチのレズだね」


「あやや、ガチのかたでしたか」



 なるほどなぁ。


 不倫されて捨てられた悲劇のヒロインどころか、逆に男を弄ぶ悪女でもなく、ただのガチレズじゃねえかどうなってんだ!



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[良い点] なんだかんだ悪い子じゃないセラフィーナちゃん [気になる点] ますます混迷を深める人間関係 [一言] なるほどつまりそういうことか(何もわかっていない顔)
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