266話_side_Mir_討伐者ギルド_バッヘル支部
~"新人受付嬢"ミレイユ~
夕暮れの道を職場に向かって歩いていると、背後から呼び止められた。
「おーい!ミレイユさぁーんっ」
女性の声に反応して振り返ると、こちらへと小走りに近付いてくる人物が。
「こんばんは、スレイさん」
「こんばんわ!」
見た目にそぐわぬ健脚であっという間に私の元へと辿り着いた彼女は、そのまま隣に並んで歩き始める。目的地は同じだろう。
彼女はつい最近知り合った相手で、一週間ほど前から私の職場である討伐者ギルドのバッヘル支部を拠点にして活動を始めた新人さんだ。
スレイ・ハイゼンさん。
姉妹で討伐者をしているらしいハイゼンさんのお姉さんのほう。私よりも少し年上だという彼女は、同性の私であっても不意に見惚れてしまうような、とんでもない美人さんだ。白い肌はシミ一つなくて、容貌は芸術品のように整っている。鮮やかな金の頭髪は腰まで届くほどのロングヘアーなのに、完璧な艶を誇っていて傷んだところなど少しもない。討伐者という家業に身を置いている人物としては、あり得ないくらいにケアが行き届いていると窺える。たぶん、なにか理由があってこの活動をしているだけで、普段は上流階級の身分なんだろうなと勝手に想像している。もしかすると、貴族だったりするのかも。
そう思ってしまうくらいには身綺麗で、そして所作が上品に垢抜けているのだ。
だからついつい、見てしまう。
隣を歩く彼女の様子をちらりちらりと窺っていると、視線に気付かれてしまった。
「ん?なぁに?」
「あっ、いえ、その」
思わず見てしまいましたとは言えず、なんとなく恥ずかしくなって俯くと、スレイさんは「へんなの」と言ってころころと笑った。
なんとも憎めない人だ。
彼女は容姿も然ることながら、そのスタイルも相当すごい。女討伐者らしく肌を見せ付けるような格好をしていて、太腿まで剥き出しのホットパンツに、豊満な胸元を大きく開いたシャツ、その上に武骨な外套を羽織っていて、首元にはアクセントなのか真紅のストールを巻いている。基本的にいつも同じような格好をしている人なのだけど、ストールは同じ物を欠かさず身に着けているので、きっと拘りがあるのだろう。
過剰に色気を振り撒くような装いをしているのに、スレイさん本人は全然そういう空気を感じさせない人で、どちらかというと無邪気な子供のように天真爛漫な振る舞いが目立つ人だ。これも私の勝手な想像だけど、たぶん全然別の誰かに服装をコーディネートして貰っているのだと思う。
「今日は、リスティさんはご一緒ではないんですか?」
「うん。リスティは先にギルドに行ったみたい。勉強熱心だから」
スレイさんの妹であるリスティ・ハイゼンさんは私よりも年下で、でも全然そんな風には思えないくらいに大人びた、冷静沈着な女性である。スレイさんと同じく(姉妹なので当たり前だが)とても洗練された身嗜みの人で、綺麗に編み込まれた頭髪やぴっちりと着込んだ衣装を鑑みるに、スレイさんが素の魅力を前面に押し出すタイプだとすれば、リスティさんはまったく隙を見せないように着飾るタイプだ。
そんなリスティさんはお姉さんの言葉通りに勤勉な人で、どちらかというとフィーリングで行動している感があるスレイさんのフォローのために情報取集に余念がない。大らかなお姉ちゃんとしっかり者の妹さん、という感じ。彼女等がここで活動し始めて一週間ほどだが、リスティさんは初日から積極的に他の討伐者に話し掛けて自身の知見を深めているようだった。私は受付に立っている都合上、ロビー内でその光景をよく目にするのだが、まあ美人は得だということなのか、リスティさんくらいに綺麗な女性に丁寧に話し掛けられて悪い気がする男性は少ないみたい。
「ま、ベルさんが一緒だから大丈夫っしょ」
いかにリスティさんが出来る女性とはいえ、男所帯の討伐者ギルドの中で若い女性が、それも不慣れな新人が独りで行動するのは少しばかり心配ではある。と思ったら、リスティさんにはベルさんが付いて行ってるらしい。
ベルさんという女性はハイゼン姉妹と同時期にここで活動し始めた人で、彼女は新人ではなく現役の、しかもベテランの討伐者だ。本人が素性を隠しているのでそれを尊重するが、私達ギルド受付は依頼受注や成果確認の際にライセンスカードを借りて手続きを行う都合上、どうしても彼女の素性を知り得る立場になってしまう。
なんで彼女ほどの人がこんな田舎支部に単身現れたのかは最初よくわからなかったけど、ご本人曰く『新規開拓』のためだそうな。要は、所属クランに勧誘したくなるような優秀な人材を求めて、ヘッドハンティングしに来たのだ。そしてそんなベルさんに目を付けられているのが、きっとこのハイゼン姉妹のお二人だということなのだろう。
「ミレイユさんも気を付けないとダメだよ~?」
「え?なにがです?」
「職場までの慣れた道のりとはいえ、昏くなる時間帯に女の子が独り歩きするもんじゃないとお姉さんは思います。同僚とか知り合いと一緒に行くとか、無理ならもうちょっと明るい時間帯に移動するとか、考えないとダメよ」
そうは言われても、今の職場に勤め始めてからそう時間は経っていないとはいえ毎日歩いている道のりだ。慣れたものだし、そうそう何かが起こるとも思えない。人目がまったくないわけでもないし、そもそもを言えば私程度の凡庸な女が過度に警戒しても自意識過剰なだけな気が。
「過剰なくらいでいいの。人生の先輩からの忠告だから、少しだけでも考えてみてくれると嬉しいな」
そう言って微笑んだスレイさんの様子に、なんだか真に迫ったものを感じて、私は自然と頷いていた。
彼女の言うことは尤もだし、真剣に私の身を案じてくれていることがわかるので、その気持ちは素直に有難いし嬉しい。
ただ、それを言うのであれば、
「スレイさんも、気を付けてくださいよ?」
そんな男を煽るような格好をして、しかも私なんかとは比べ物にならない美人なのだから、それこそ変な気を起こす男が湧いて出てもおかしくないと思うのだ。
私の心配に、スレイさんは嬉しそうに笑うと、
「ありがと。でも私は大丈夫よ」
こう見えて強いんだから、と自慢気に胸を張ってみせた。
その夜、ロビーにて。
「これを受けます!」
私の窓口に訪れたスレイさんが、クエストボードから剥がした依頼書を置いた。
クエストボードはロビーの一角にある掲示板のことであり、日々更新される依頼が貼り出される場所だ。ギルドを訪れた討伐者はそこから受注する依頼を選んで窓口で手続きをすることになる。都会のギルドはもっとハイテク化されているらしいけど、このバッヘル支部は田舎なので、アナログなローテクが現役なのである。
そんな田舎支部では発生する依頼の規模や数も高が知れているらしく、大抵は変わり映えしない討伐依頼とか雑用みたいな内容のものがあるだけなことが多い。そうでない依頼は早い者勝ちですぐに受注されてしまうので、この時間になってクエストボードに残って居るのは、誰もがやりたがらないような実入りの悪い依頼や、面倒な依頼であることが多い。
「はい。『薬草採取』ですね」
スレイさんが置いた依頼書のそれも、どちらかというと討伐者からは敬遠されている類のものだ。
依頼主は街の薬屋であり、この支部にも治療薬を卸している業者である。黒い森に群生している薬草は『魔界資源』でない物でも外のそれよりも魔力との親和性が高いとかなんとかで、上質な薬品の材料として使えるらしい。医療品の需要は常にあるので、薬草採取の依頼も常に出されているのだが、前述の通りこれが不人気極まりない。
「おっ、お姉ちゃん『草むしり』か?」
スレイさんが依頼書をボードから剥がしたのを見ていたのだろう、地元の討伐者達から野次が飛ぶ。
「手伝ってくれてもいいのよー?」
「そうしてえのは山々だが、腰が痛くてよぅ」
振り返ったスレイさんの軽口に、初老の男性討伐者は冗談で返し、周囲から「もう年だからな!」「引退時じゃねえのか?」と更なる野次が飛ぶ。
薬草採取に代表される採取系の依頼が敬遠されがちなのは、その殆どが割に合わない仕事になるからだ。依頼の内容は単純明快で、黒い森の中にある薬草の群生地に出掛けて行って、指定の薬草を指定の量だけ採取して帰ってくるというもの。
子供にも出来る、お遣いレベルの仕事だ。
魔物さえ居なければ、であるが。
当然ながら、討伐者が薬草を探して採っている間にも魔物は襲い来る可能性がある。だから安全に薬草を採取するためには周辺の魔物を討伐して安全確保をする必要があるのだ。だが依頼の報酬はあくまでも採取した物品に対する対価でしかなく、過程でどれだけ魔物と戦おうが報酬が増えたりはしない。
依頼は一度に一つしか受注出来ないので、薬草採取の過程でどうせ魔物を討伐することになるのであれば、普通に討伐依頼を受けておいた方が断然効率が良いのだ。というか勿体ないのだ。魔物を討伐すればそのぶんだけスコアが溜まり、いくらでも報酬に変えられるとはいえ、だからといって魔物と進んで戦いたいわけがない。魔物との戦いは常に命懸けなのだから、最低限の戦闘で最大限の報酬を得ようと考えるのは当然の心理である。多くの討伐者は『儲けにならない戦い』というものを酷く嫌うのだ。
勿論、運良く魔物に遭遇しなければ『草むしり』するだけでそれなりの報酬を受け取れるのだから儲けものだが、普通に考えれば魔物に遭遇しないことのほうがレアケースだ。
結果として、薬草採取の依頼を受けるのは大抵、他の依頼を受け損ねた者や、受注ランクの関係で他の選択肢がない新人討伐者なんかが殆どとなる。
「では、この袋が満タンになるまで指定の薬草を採ってきてください」
窓口の奥に常備されている採取用の革袋を渡すと、スレイさんは瞳を輝かせて受け取った。
なにがそんなに嬉しいのかがさっぱりわからないけど、見ているこちらまで釣られて笑んでしまいそうになる素敵な笑顔だ。
「見てみてリスティ!薬草採取よ!この袋に集めてくるんだって!」
「ええ、はい。そうですね」
そこでスレイさんのパーティーメンバーであるリスティさんとベルさんも歩み寄ってきた。
革袋を片手に燥ぐスレイさんの様子を、リスティさんは微妙そうに眺めていた。
「新人の私達には妥当なところでしょう」
「そうだね。まあ誰もが通る道さ。あんまり楽しくはないけど……スレイさんはとても楽しそうだね」
「姉さんの奇行は今更なので」
討伐者のクランには等級というものがあるけど、実は個人にも等級の概念がある。クランやパーティーのそれが『ランク』と呼ばれるのに対して、個人のそれは『レベル』と表現される。魔物討伐のスコアや依頼達成の実績などに応じて上がっていくものだが、最低は『レベル1』で最高が『レベル5』だ。
ライセンスを取得した時は誰でもレベル1から開始なので、今のハイゼン姉妹はともにそのレベル。討伐者が受注可能な依頼の難度はランクやレベルで制限されるので、最低レベルの彼女等には受けられる依頼がそもそも少ないのだ。なおベテランのベルさんはレベル3の討伐者なのだけど、パーティーを組んだ際にはアベレージで評価されるので、彼女等の三人パーティーのランクは最低ランクの『E』となり、受けられる依頼も最低ランクのものに限る。
ややこしいけど個人のレベル1が団体のランクE相当である。ちなみに討伐者全体では『レベル2』が大部分を占めるので、多くの討伐者は最低レベルから一回の昇格までは経験して頭打ちとなり、優秀な者はそこから更に上の『レベル3』に行き、一握りの強者が『レベル4』に至り、最高レベルの『レベル5』となれば、ちょっとした人外クラスの実力者となる。
という説明は全部、先輩職員のソニアさんからの受け売りだけども。
「なに言ってるの二人とも。薬草採取なのよ!これを経験しないと討伐者は名乗れないでしょ!」
「うーん、ある意味正しい、かな?」
「いえベルさん、絶対姉さんが考えてること違いますよ」
リスティさんとベルさんのぶんも受注手続きを済ませ、そのまま賑やかに言い合いながら森へと向かう三人を見送って、私は次のお客さんを捌きつつも、なんとなく思う。
きっとスレイさん、あの革袋にはち切れんばかりの薬草を詰め込んで、自信満々のドヤ顔で帰ってくるんだろうなぁ。あまりにも容易に想像出来る未来に、私の頬が緩む。
スレイさんという女性の不思議なところの一つだけど、彼女は本当に楽しそうに依頼をこなすのだ。新人でしかも余所者である彼女等が受けられる依頼なんて、常からここで活動している地元の討伐者ですら中々やりたがらない残り物ばかりだ。薬草採取のように実入りが良くないものもあれば、単純に過酷だったり、あるいはつまらない依頼とかもある。
この一週間で彼女はそんな不人気依頼を順番に片付けながら、いつだって楽しげな笑顔を絶やさなかった。
嫌になって投げ出すどころか、これまでの誰よりも真面目に、くだらない依頼にも真剣に取り組んでいるのは結果が教えてくれる。それでいて楽しくて仕方がないという雰囲気で笑顔をばら撒くものだから、手続きを行う私だって気分が良いし、なんだか支部の空気が若干明るくなった気すらする。
帰って来た彼女になんて声を掛けようか、と楽しく思考を巡らせながら、私は業務をこなしていくのだった。
一夜明けて翌日。の夜。
「今日はこれよ!」
相変わらず元気なスレイさんが私の元に依頼書を持ってくる。すっかり彼女が現れることが楽しみになっている私であるが、窓口に置かれた依頼書には流石に眉を顰めてしまう。
これはちょっと、女性には厳しいのではなかろうか。
私の反応を予想していたように、スレイさんと連れ立っているベルさんは苦笑気味だった。
昨日と同じく採取系の依頼なのだが、昨日と違うのは対象がナマモノであるということだ。
依頼内容はずばり『虫の採取』である。
「ええと、昨夜の薬草と同じところからの依頼なんですけど、材料として有用な虫が黒い森に生息しているので、一定数を捕獲して欲しいというものですね」
「生け捕りじゃないとダメなんですか?」
リスティさんの質問に私は頷く。私の手元の魔法具には貼り出しの依頼書には記されていない詳細が記録されているので、それを見つつ応える。
「魔力的な観点から、素材が使用される直前まで生きていることが望ましい、とのことです」
要するに、材料となる虫はある程度の期間飼育する前提なのだ。薬の材料にする瞬間までは生きていて欲しいというのは、新鮮さが効能に影響したりするのだろう。虫を材料にした薬というのはあまり想像したくないが、まあ加工してしまえば何でも同じだ。
対象の虫は分類的には所謂『魔獣』の一種であり、外見的には飛蝗に似ている。虫が苦手な人には充分に嫌だろうが、一部の害虫とか毒虫とかに比べれば視覚的な嫌悪感はまだ少ないほうだ。だけどそれを、それなりの数生け捕りにしなくてはならない、というのは普通に嫌だ。しかも魔物の跋扈する黒い森の只中で、である。
この依頼は薬草採取に比べればだいぶ報酬が弾むのだが、それでもなお薬草採取以上に不人気である。虫に対する嫌悪感がなかったとしても、普通に難しいので。
「私は正直、虫捕りはちょっと遠慮したいんだけどぉ……」
「じゃあベルさんは魔物の警戒だけしてて。虫は私達で捕まえるから」
「いやぁ、それはそれで悪いというか、スレイさんは平気なの?」
「平気だけど」
貴族もかくやという程の清潔に整った美貌のくせに、虫捕りという行為になんの忌避感も嫌悪感もなさそうな平然とした表情である。ちょっと信じられないという顔をしているベルさんと、まったく同感である。そこはこう、女として、ちょっとくらい引いておきましょうよてきな。
「リスティも平気よね?」
「はい。なんなら食べれますけど」
「飛蝗って意外と美味しいよね」
「ええ。困窮した際には貴重な――」
「ストップストップ!その会話やめてくれぇ!?」
ハイゼン姉妹は訳ありだとわかっていたけど、もしかして没落貴族だったりして。なんかその予想がわりとあり得る気がしてならない。虫を食べざるを得ない程の貧困を耐え抜いてきたとすれば、この逞しさも納得である。
まあ、そのわりには身綺麗すぎるかもだけど。
「では、これを使ってください」
例によって窓口の奥に置いてある備品を取り出して渡すと、スレイさんは例によって瞳を輝かせた。
「うわ~虫かごだぁ!久し振りに見たぁ」
「必要ならば虫捕り網も奥の部屋にありますので。自由に使って構いませんが、壊したら弁償なので気を付けてくださいね」
「はい!」
「それではお気をつけて、いってらっしゃい!」
「いってきまぁーす!」
スレイさんはボロい虫かごのストラップを肩から掛けると、そのせいで豊満な胸の谷間がちょっと卑猥な感じになりつつも頓着することなく、ウキウキ気分で歩き出した。
楽し気に森へと向かう、すっかりお馴染みとなりつつあるその姿に、ロビーに居た中年討伐者の一団から今日も揶揄うような声が掛かる。
「おーい姉ちゃん、虫なんて触れるのか?おっちゃん達が手伝ってやろうか?」
「タダ働きでいいなら大歓迎よ」
「そりゃねえぜ。タダじゃあハエだって叩きやしねえ」
「なら結構。ばいびー!」
きぃつけろよー、とおじさん連中に見送られて、スレイさんは駆け足で去って行った。その後ろを、若干恥ずかしそうなリスティさんと、微笑ましい顔をしているベルさんが追い掛けるのも、ここ最近の慣れた風景である。
あんなに美人で明るくて、人懐っこくてしかもちょっとえっちな女性ともなると、あっという間に支部のアイドルと化したのも無理からぬ話だ。普段からここで日銭を稼いでいる地元の討伐者というのは、つまりこの領に自宅と家族を持つ人物であることが多いわけで、そんな疲れたおじさん討伐者達にとってスレイさんパーティーの存在は清涼剤に他ならない。
ハイゼン姉妹が新人討伐者であるというのは、不慣れな初々しい様子や受ける依頼の種類からも知れたことであるが、他の討伐者にとっては可愛がりがいのある新人が訪れたような認識なのだと思う。
ところで。
立場上、スレイさんやリスティさんのライセンスカードを見る機会がある私は、当然そこに記されているスコアを把握している。スコアとは討伐した魔物の種類と数を反映する数値であり、それに応じて報酬が出る仕組みなのだから、スコアの管理は厳格だ。ギルド門外不出の技術の結晶であるライセンスカードに対して欺瞞も偽造も出来ないので、ある意味で討伐者の実力を反映する最も素直なパラメータであると言える。
時間を掛ければ累積スコアは相応に積み上げられる。
では、活動を開始して一週間足らずの新人の有するスコアとは、普通はどの程度になるのだろうか。生憎と受付嬢として新人の私は、新人の討伐者という存在にそれほど接したことがないので相場というのがわからない。この支部で活動している新人討伐者は元々何人か居るけれど、彼等彼女等のスコアに比べて、ハイゼン姉妹のそれはちょっと数値の増え方がおかしい気がするのだ。
「ベルさんが手伝ってるから、そんなものなのかな……?」
今度、暇なときにソニアさんに訊いてみよう。そう思って私は仕事に専念することにした。




