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藁人間  作者: Yem
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26/28

エピローグ 1

数日後。

朝の柔らかな陽射しが窓から差し込む。


田口はネクタイを締め直し、いつものように仕事へ向かう支度を整えた。


「さて……」


玄関のドアノブに手を掛け、扉を開く。


「田口さん!おはよ!」


元気いっぱいの声が飛び込んできた。


「……和葉、お前、怪我はもう大丈夫なのか?」


そこには満面の笑みを浮かべた和葉が立っていた。


「見てのとおり、完全復活してます!」


田口は苦笑する。


「また都市伝説の話か?」


「違う違う!」


和葉は慌てて首を横に振る。


「今日は鈴木さんと朝日さんのこと!二人とも、どうしてるのかなって気になって」


田口は小さく息を吐いた。


「鈴木は謹慎処分だ、しばらく顔は見てない…。

でも、あれだ。あいつ、お前に謝りたいって言ってたから…。

そのうち、自分からお前に会いに来るだろ」


「そっか……」


和葉は安心したように微笑んだ。


「朝日さんは?」


「相変わらずだ」


田口は肩をすくめる。


「どこで何をしてるのか、見当もつかない。

名刺だけ渡しておいて、電話をかけてもつながらない。

勝手にもほどがある。まったく…」


和葉は思わず笑みをこぼした。


「謎が多い、朝日さんらしいね」


少しの沈黙のあと、和葉は遠慮がちに口を開く。


「あ……あと。京さんは?」


田口の表情が少しだけ引き締まる。


「あいつは今、警察が管理する特別収容施設にいる。

能力のこともある。

厳重な監視下で治療を受けてる」


和葉は静かにうなずいた。


「今日、面会に行く予定だ」


その言葉を聞いた瞬間、和葉の表情が明るくなる。


「私も行きたい!」


「は?」


田口は思わず聞き返した。


「お前、まだ懲りてないのか?あんな目に遭ったばかりだろ」


和葉は真っすぐ田口を見つめる。


「だからだよ。ちゃんと京さんと話したい。

あの人、本当は悪い人じゃないって思うから」


田口は額に手を当て、大きくため息をついた。


「……お前は本当に凄い精神力だな」


「えへへ」


和葉は照れくさそうに笑う。


「それって、褒めてる?」


「褒めてない」


田口は即座に言い返した。

それでも和葉は笑顔を崩さない。

その様子を見て、田口は観念したように肩を落とした。


「……わかった。ただし、俺のそばを離れるな」


「やった!」


和葉は子どものように喜ぶ。

こうして午後、田口と和葉は、京が収容されている施設へ向かうことになった。




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