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ハズレスキル『丼マスター』で異世界スローライフ?〜ゴミ拾いしてたら始祖竜が懐いたので、辺境の最強村で至高の牛丼屋はじめます〜  作者: 月神世一


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EP 7

【急転】三大国の徴税官、来たる

「フハハハハ! 儲かる! 今日も善行ポイントと小銭がザックザクでござるよぉぉ!」

ポポロ村の中央広場。

『サスガ屋』の屋台の裏で、良樹は小箱に詰まった銅貨をじゃらじゃらと鳴らしながら、ゲスい笑みを浮かべていた。

ルナが降臨し、ダイヤが道路を舗装してから数日。

ポポロ村のメインストリートが異常なまでに綺麗になったことと、サスガ屋の『始祖竜の直火炙り・チーズ牛丼』の美味さは、瞬く間に近隣の国境警備隊や行商人たちの間で話題沸騰となっていた。

今やサスガ屋は、連日大行列の人気店である。

「ダーリン様ぁ! お茶汲み終わりましたぁ! まかないの牛丼つゆだくお願いしますぅ!」

「ダイヤ殿も自警団のパトロールご苦労様でござる! 今日は特盛にしてやるでござるよ!」

「ふふっ、ありがたいわ。弾薬費の足しにもならないけど、お腹は膨れるものね」

リーザとダイヤもサスガ屋の従業員(兼・用心棒)としてすっかり定着し、村はかつてないほどの活気を見せていた。

――しかし、甘い蜜のある場所には、必ず群がるハエが現れるのが世の常である。

ドドドドドッ!!

突如として、村の広場に三方向から土煙を上げて、三組の物々しい集団がなだれ込んできた。

「な、なんでござるか!?」

良樹が慌てて身構える。

現れたのは、それぞれ全く異なる意匠の制服を着た、嫌な笑みを浮かべる男たちだった。

「ガッハッハ! 噂には聞いていたが、辺境の緩衝地帯で随分と羽振りがいいじゃないか!」

右から現れたのは、ルナミス帝国のエンブレムをつけたパリッとしたスーツ姿の男たち。

左から現れたのは、アバロン魔皇国の黒衣を纏った魔族の役人。

そして正面からは、レオンハート獣人王国の毛皮を羽織った筋骨隆々の獣人たち。

そう、彼らはマンルシア大陸を分かつ「三大国」の徴税官(という名の小悪党)たちである。

「おいおい、ここはルナミス帝国の管轄だぞ。獣人や魔族がしゃしゃり出てくるんじゃねぇ」

「はんっ! 緩衝地帯の利益は我ら獣人王国のものだ!」

「野蛮な輩め。魔皇国の力で焼き払われたいか?」

三国の役人たちは、良樹たちを前にして醜い牽制の言い争いを始めた。

どうやら、サスガ屋の莫大な利益と、ポポロ村の謎のインフラ整備(ダイヤの左官作業)を聞きつけ、「ここから税金という名目で金を巻き上げられる」と嗅ぎつけて同時にやってきたらしい。

「き、貴様ら……何の用でござるか! ここは不可侵の緩衝地帯でござるよ!」

良樹がビシッと指を差してハッタリをかます。

すると、ルナミス帝国の徴税官がいやらしく唇を歪めた。

「不可侵だぁ? 笑わせるな。お前たちのような無許可の商売人が、三大国の国境で勝手に店を開いていいわけがないだろう。……今すぐ、我々三国それぞれに『金貨1000枚』の営業税を納めてもらおうか!」

「き、きんせんまい!?」

良樹が白目を剥いた。現代日本円にしてざっと一千万円×3。払えるわけがない。

「払えねぇなら、その美味そうな屋台の利権と……そこにいる極上の女たちを、借金のカタに我々が没収する!」

徴税官たちが、下劣な視線をキャルル、リーザ、ルナ、ダイヤの四人に向ける。

その瞬間。

ポポロ村の広場の温度が、一気に氷点下まで下がった。

「……私の大切な村で、私の大切な人たちから、お金と日常を奪うって言うの?」

キャルルの瞳から完全に光が消え、絶対零度のヤンデレオーラが立ち昇る。

足元の特注安全靴『タローマン』が、チリチリと危険な雷光を放ち始めた。

「フッ。ちょうど魔導バズーカの試し撃ちをしたかったところよ。……消し飛ぶ覚悟はできてるんでしょうね?」

極貧令嬢ダイヤが、魔法ポーチから全長2メートルの巨大な重火器を取り出し、カチャリと安全装置セーフティを外した。

「ひぃぃぃっ! 私の牛丼ライフを奪わないでくださいぃぃ!!」

リーザは牛丼のどんぶりを抱きしめ、野生動物のような威嚇音を発している。

(ま、マズイでござるぅぅ!!)

良樹の顔面が蒼白になる。

このままキャルルとダイヤが暴れれば、三大国の役人を皆殺しにしてしまう。そうなればポポロ村は「三大国共通の敵」として、正真正銘の世界大戦が勃発してしまう!

(――トゥキディデスは『戦史』において、「強者は己の力が行使できる範囲で行動し、弱者はそれに従うのみ」と語ったが……)

騒ぎを他所に、屋台の横で欠伸をしていたロード(始祖竜)は、心の中で冷ややかに呟いた。

(この愚かな役人どもは、自分たちがこの広場で『最も脆弱な弱者』であることに微塵も気づいていないらしい。……やれやれ、人間の権力欲とは目を曇らせるものだ)

最強の哲学竜が呆れ返る中、一触即発の空気が弾けようとした――まさにその時である。

「みなさーん! ストップ、ストップですよーっ!」

パンッ! と澄んだ柏手の音が響いた。

良樹たちと徴税官たちの間に割って入ったのは、絶世のエルフ、ルナだった。

「ル、ルナ殿!?」

「良樹さん、キャルルちゃん! 暴力はダメです! せっかくポポロ村に遠くからお客さんが来てくれたんですから、きちんとおもてなしをして、笑顔で帰ってもらいましょう!」

ルナは一点の曇りもない、純度100%の無邪気な笑顔を咲かせた。

「おもてなしだと……? ほう、エルフのねーちゃん、お前が俺たちの相手をしてくれるって言うのか?」

徴税官たちが、下卑た笑いを浮かべてルナににじり寄る。

「はいっ! 私が特別に、極上の『おもてなし』をご用意しますね!」

良樹の背筋に、尋常ではない悪寒が走った。

あの純粋な善意のテロリストが、まともな手段を使うわけがない。

果たして、ルナが笑顔で呼び出す「極上のおもてなし」とは一体――!?

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