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ハズレスキル『丼マスター』で異世界スローライフ?〜ゴミ拾いしてたら始祖竜が懐いたので、辺境の最強村で至高の牛丼屋はじめます〜  作者: 月神世一


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EP 5

ウェポンズマスターの正しい使い方

「いでよ! 『ネギ玉豚丼(特盛)』!! そしてオプションで、熱々のコーンスープ(缶)も付けてやるでござるよ!」

カァァァァッ!

クレーターの底に、光と共に一つの大きなどんぶりが顕現した。

ほかほかの白米の上に、特製ダレで香ばしく焼き上げられた分厚い豚肉が何枚も重なり、その上に山盛りの青ネギと、ぷるんとした温玉が乗っている。

そしてその脇には、ダイヤの好物である「コーンスープ(缶)」が湯気を立てていた。

「こ、これは……っ!」

餓死寸前だったダイヤは、震える手で割り箸をパチンと割り、豚丼にかぶりついた。

「はふっ! ほふっ! お、お肉の脂が甘い……! シャキシャキのネギの辛味を、卵のまろやかさが包み込んで……美味しい、美味しすぎるわ……っ!!」

真紅の『クリムゾンアーマー』に身を包んだ気高き美少女が、顔をタレだらけにしながら豚丼をブラックホールのように吸い込んでいく。

途中でコーンスープをグビッと煽り、「ぷはぁっ! 沁みるわぁ……!」とおっさんのような歓声を上げた。

【 ピロッ♪ 善行(人助け)を検知しました。 +1000 pt 】

「ククク……安いものでござる」

良樹はポイントの加算音に内心でガッツポーズを決めつつ、黒コートを翻してドヤ顔を作った。

あっという間に特盛の豚丼を平らげたダイヤは、コーンスープの最後の一滴まで飲み干すと、居住まいを正して良樹に向き直った。

「命を救ってくれてありがとう、漆黒の魔闘剣士さん。私はダイヤ・マーキス。賞金首の『化け物』を追って、資金ショートで行き倒れていたただのポンコツよ……」

「(自分でポンコツって言ったでござるな)……気にするなでござる。困っている美少女を見捨てるのは、騎士道に反するゆえ」

ダイヤの瞳が、パッと輝いた。

「見ず知らずの私に、これほど美味にして高価な料理(と缶スープ)を奢ってくれるなんて……。あなたのような慈悲深い人が、悪い人なわけがないわ! きっと、村を脅かす『化け物』から、このポポロ村を守っているのね!」

「えっ……あ、うん。まぁ、そうでござるな! ガッハッハ!」

良樹は盛大に目を泳がせながら笑って誤魔化した。

(チョロいでござる! 山を吹き飛ばした『化け物』が目の前にいる拙者だと、一ミリも疑ってないでござるよ! 圧倒的勘違い、助かるでござるぅぅ!)

「この恩、必ず返すわ! ……そうだ、この村、どうしてこんなに道がボコボコに陥没しているの? 私に直させて!」

ダイヤは勢いよく立ち上がると、良樹が村の修繕用に召喚して放置していた「建設道具のセット(セメントやスコップなど)」に目を留めた。

「こ、これは……ただの天然エルフの善意テロの跡でござるが……お前に直せるんでござるか?」

「フッ、任せて。私のユニークスキル【ウェポンズマスター】の真髄、見せてあげる!」

ダイヤはキリッとした表情で、建設道具の中から『左官ゴテ(セメントを塗る平らな道具)』を手に取った。

その瞬間――彼女の全身から、凄まじい闘気が立ち上った。

「いくわよ! 秘技・乱れ土均し(マッド・フラット・ストライク)!!」

ズババババババーーーーッ!!!

良樹の目が点になった。

ダイヤの腕が残像を残すほどの超高速で動き、練り上げられたセメントがクレーターへと寸分の狂いもなく流し込まれていく。

あらゆる「武器・道具」の最適解を瞬時に理解し、達人レベルで使いこなす【ウェポンズマスター】。

剣や魔導銃を扱うためのその規格外のスキルが、今は完全に『極めし土木作業(左官職人の神業)』として発動していた。

ものの数分で、ルナが破壊したポポロ村のメインストリートは、ピカピカに舗装された平らな道へと元通りになってしまった。

「ふぅ。こんなものかしら」

ダイヤは左官ゴテをくるくると回し、ガンマンのように腰のポーチに収めた。

(――リチャード・セネットは著書『クラフツマン』において、道具と職人の精神的融合を説いたが……)

騒ぎを聞きつけ、屋台から顔を出したロード(始祖竜)は、ピカピカになった道路と、ドヤ顔の極貧令嬢を見比べながら心の中で呟いた。

(剣の極意を、ただの左官ゴテに全振りするとはな。……宮本武蔵が見たら泣いて『五輪書』を破り捨てるレベルの才能の無駄遣いだな。やれやれ、これだから人間は面白い)

始祖竜の冷静な哲学ツッコミが空間に響き渡る(テレパシーなので良樹にしか聞こえない)。

「す、すごいでござるダイヤ殿! これなら立派に日雇い労働者として食っていけるでござるよ!」

「賞金稼ぎよ! ……でも、資金が貯まるまで、この村の自警団として雇ってくれないかしら?」

ダイヤはモジモジしながら、少し頬を染めて良樹を見つめた。

「もちろん、ご飯(牛丼)付きで! その代わり、宿代は無いから、村長さんの家のお庭にテント張らせてもらうわね!」

「結局テント暮らしなんでござるか!?」

こうして、極貧の重武装アサシン(兼・超一流左官職人)ダイヤが、サスガ屋のパーティに強制加入。

ポポロ村のシェアハウスは、いよいよキャパシティの限界(パンク寸前)を迎えようとしていた。

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