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悪辣が集う旧校舎の空き教室に今は三人が集まっていた。
不良男とその彼女の結衣と葵がいた。男はいつも通りに葵と結衣を左右に侍らせていた。下品な二人は昼休みに中庭の出来事を監視しており、すぐに話題になった。
「そう言えば、昼休みお似合いの二人が一緒にご飯食べてるのめっちゃ笑えたんだけど」お似合いという言葉を特に強調して舐め腐った態度で言った。「本当に付き合っちゃえばいいじゃん。葵もそうしたいでしょ?」
二人は黙って葵を見つめた。葵は首を大きく左右に振った。
「そりゃそうだろう」ゲラゲラと笑った。「ただあの性犯罪者は視線で葵のことを犯して、自分の女にしたいと思ってたけどな。それにあいつも惨めだな、上履きに画鋲を入れて机にゴミをぶち撒けてきた女に諂ってよ。葵とヤリたくてたまらないんだろうぜ。カッコつけやがってよ」
「でも葵はカッコつけられて喜んでたんじゃないの? なんか話しながら笑ってたじゃん」
「だって、それは仲睦まじい演技をしろって……」あなた達が言ったんでしょう。と困惑した。
「演技だったかどうか怪しいけどねぇ」結衣はニヤニヤしていた。
「俺を妬かせるためにわざと見せつけるようにしてたんだろ?」葵の肩の回した手に力を込めて抱き寄せた。「虐められたがりのマゾ女だもんなぁ」その手は蛇のように這って葵の身体を弄った。
「ちがうから……」葵は身をすくめて身勝手に這い寄る手を握った。
「へえ、じゃああいつに言い寄られて内心はどう思ってたんだよ?」求めている言葉は決まっていてた。男はゆっくりと顔を近づけた。
「嫌だった……」
「何が嫌だったんだよ、はっきり言えよ」執拗に攻め立てた。
その男を喜ばせる下劣で低俗なことを言わない限りは終わりはしなかった。
「男としての魅力に欠けるのに、それを自覚しないでちょっと声を掛けられたら馬鹿みたいに勘違いして、私のことをいやらしい眼つきでジロジロ舐めまわすように見て、得意げに口説いてくるのが、反吐が出るほど気持ち悪かった……」
「そうだよなあ。お前は俺の女で、俺のことが好きだもんな」
「……はい」
「なぁ」脅すような口調だった。
「はい、好きです、大好きです……」
「タクヤってほんといい性格してるよね。こんなことでおっきくしてるんだもん」結衣は言いながら、盛り上がる布地の上からそれを愛おしそうに撫で上げた。
「は? お前も喜んでるくせによぉ」結衣にも自分がされていることをやり返した。
結衣は嬌声を上げ、それをタクヤの脳に直接届かせるために密着して唇を耳元へ当てがった。
「本当に葵にはムラムラさせられるわ。お前そうやって誘ってるんだろ? お前のせいでこんなになってるんだから、責任とってもらわないとなぁ」
「駄目、それは私だけのものなんだから」結衣は身体を男に押し付け、自らの柔さと長い髪と甘い香りでタクヤを誘惑した。
「仕方がないやつだな」満足そうに言った。
「葵って気が利かないね、外で見張りでもしてなさいよ」顎で指して教室から出ていくように言った。
「まあちょっと待てよ、葵には準備を手伝ってもらうからさ」下劣な笑みを浮かべた。
「準備って?」不機嫌そうに結衣は言った。
「安心しろよ、お前が嫌がることはさせないから。俺の服を脱がせてゴムをつけさせるだけだよ」
「それ、いいね」笑い出した。
「葵、じゃあ脱がせてくれよ」
「……はい」
頷いてから、震える指先をシャツのボタンに触れ、その一つ一つを外していった。外し終えると袖を持ってシャツを脱がせた。男の身体は細く引き締まっていた。
「ちゃんと綺麗に畳んでそこに置いておけよ」
「はい……」Yシャツに皺がつかないように綺麗に畳みこみ、机の上に置いた。
葵はそれから座る男の前にしゃがみ込み、ベルトとボタンを外してチャックを下ろした。
「あの、腰を浮かせてください」
タクヤが腰を上げるとズボンを下ろして脱がせた。既に猛り立ったものが激しく自己を主張していた。葵は視線を落としてズボンを畳んだ。
それから男のパンツに手をかけてそれを脱がせる時、勢いよくそれは出てきた。嫌な匂いが葵に襲いかかってきた。葵はパンツも畳んでズボンと一緒にシャツの横に置いた。
葵は自分の鞄からゴムを取り出すとその封を破いた。葵は再び男の前で屈んだ。
なるべくそれには触らないようにゴムをつけようと思ったが、どうにも難しかった。
「そんなに、俺のに触りたくないか」冷たい声で言った。
葵は首を横に振り、その熱く滾った物をしっかり握り締めた。熱く脈を打っていて、それが人間の一部だとはどうにも思えなかった。あまりに臭く醜悪で、先っぽからは既に何かが漏れ出していた。それは猛獣が涎を垂らして睨めつけているようだった。恐ろしくなった葵は先っぽにゴムを当てがい、しっかりとそれを装着した。
「できました……」そばに立ち上がった。「見張りをしています」
「ちょっと待て、よくできたご褒美だ。そこで見ていっていいぞ」
「えぇ、嫌なんだけど」結衣は言いながらは下着を脱いだ。
「最初だけだよ。おいで結衣」
「はぁい」と、座る男の上に向いあうようにして座った。
二人は手と舌を絡めて互いの情欲を高め合った。その時タクヤは葵をじっと見つめ、目を逸らすことを許さなかった。肉が絡み合い、唾液が糸を引いて混ざり、二人の生々しい人間の匂いと音が混ざり合って葵の元に届いた。葵はスカートを握りしめてじっと耐えていた。足が震えて頭がくらくらするが、目を離すこともできなかった。
結衣は男の上で腰を艶かしく振って、自分がそれを迎え入れる準備が整っていることを激しくアピールしていた。
「ねえ、もういいでしょ?」結衣は可愛らしく言った。
「そうだな」
「ほら、見張りに行ってきて」結衣は振り向いて言った。
「はい……」教室に外に出て扉を閉めた。
肉を激しく打つ音と、嬌声が響いてきた。葵は黙って聞いていた。
しばらく待っていると、楓が現れて葵の前で立ち止まった。
「またヤってるの? お盛んなことね」呆れたように言った。「そういえば彼はどうだった?」
「……え?」なんて答えれば無難か逡巡した。
「別に何かを言わせたいってわけではないのよ。面白いことを知ってね、実は孤児院では子供達に大人気のお兄さんで通ってるみたいなの」
「……どうしてそんなこと知ってるの?」
「孤児院に電話をかけてたの、友達のふりをしてね。最近元気がなさそうで心配でそっちでなにかなかったかって尋ねたら、ベラベラいろんなことを喜んで喋ってくれたのよ。個人情報とかの意識はないのかしらね」
「でも、それ私たちから連絡があったって気がつくんじゃ……?」
「口止めはしておいたけど、もし彼に伝わったらあなたが心配して電話をかけたことにしておいて。彼も喜ぶと思うわ」
「……わかった」葵は頷いた。
「それでどう? 彼は」
「まだ全然分からないけど、すごく恐ろしい感じがした。それこそ東くんなんて比較にならないほど」東とはあの不良のタクヤの苗字だった。
「それは、前情報と彼の境遇を知っているからそういうフィルターを通して見ているからじゃなくて?」
「それは、そうかもしれない……。されたことを気にしないとか、私を助けたいとか凄い優しかったんだけど、それは何か悍ましい物を見せないために上塗りしてるというか」
「大丈夫よ。その悍ましさはあなたに向けらることはないわ、向けられるとしたら私たちね。あなたもあいつらといるよりは彼と一緒にいる方が幾分かマシでしょ」
葵は肯定も否定もしなかった。不安そうな表情で楓をじっと見た。
「うまくやれば、しばらくは彼と一緒に細やかな学校生活が送れるかもね。……どうしたの何か不満でも?」
「ううん、なんでもないよ」一つの疑念を持っていた。
それからなんとなく、優しさの仮面を被ったあの悍ましい男について少しだけ想いを巡らせた。




