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第8章 33 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

伸び続ける投票数。


そのラインの先に、


観客すべての視線が集まっていた。


司会者――DBの声が、詰まる。


あれほどまでに騒がしかった会場が、


一瞬で、静まり返る。


――無音。


誰も、息をしない。


そして――


決着。


ほんの、僅か。


本当に、僅かな差で。


汐花の票が、上回った。


「――大ブロック、


 汐花チームが制圧……!!」


遅れて、声が弾ける。


「まさか……!


 上位2チームの直接対決が、


 このタイミングで起こるとは……!」


歓声が、遅れて押し寄せる。


スクリーンが切り替わる。


ランキング更新。


――だが。


「……っ!?」


スクリーンを見た誰もが感じる違和感。


表示された順位に、


観客の思考が、一瞬止まる。


1位 汐花チーム 90ポイント

1位 リリカチーム 90ポイント

3位 ヴィクトリアチーム 75ポイント


「……な、なんと……!?」


DBの声が裏返る。


「汐花チームとヴィクトリアチームの激闘に


 注目が集まっている中――」


「いつの間にか、リリカチームが……!」


「同立1位……!」


ざわめきが、広がる。


気づかれていなかった。


上層で。


静かに。


確実に。


ポイントを積み上げていた存在。


スクリーンを見上げ、


すべてのチームが、足を止める。


思考が巡る。


――どこで稼いでいる?


――どうやって?


――次は、どこへ行く?


その瞬間、


戦場の“認識”が、変わる。


だが――


さらに、変化が走る。


スクリーンが、再び更新される。


1位 汐花チーム 90ポイント

1位 リリカチーム 90ポイント

1位 サオリチーム 90ポイント


「――っ!?」


誰もが、言葉を失う。


新たに映し出されたのは――


サオリ。


上層、西側。


大ブロック、制圧。


ビジネス街の中央。


道路のど真ん中に立つ、その姿。


無機質な都市。


冷たい光。


整然と並ぶ構造物。


その中で――


ただ一人、異質な存在。


熱。


感情。


焦がれるような衝動。


そのすべてが、


静止画の中からでも、伝わってくる。


都市に溶けない。


都市を、拒む。


それでも、立つ。


「……サオリ……」


リリカが、呟く。


三つ巴。


頂点が、三つ並ぶ。


そして――


すべてのチームが、理解する。


戦場が、変わった。その衝撃に――


誰もが、時を止めた。



だが。


上位三チームだけは違う。


流れを止めない。


次の一手へと、すでに動いていた。


リリカとサオリ。


二人の視線が、一瞬だけ交差する。


言葉はない。


だが、理解はある。


――狙いは同じ。


上層・北エリア。


研究施設が集まる区画。


大ブロックが二つ存在する、


最も効率の良いポイント。


一位を取りに行くなら――そこが最適解。


両チームが、同時に駆け出す。


その“最適”を目指して。


――その一方で。


汐花と葵時雨は、動かない。


ただ、上層の南エリアを見つめていた。


その静寂を破るように、


デバイスに通知が走る。


《投票バトル勝利》

《半径500メートル以内の任意地点へ転送可能》


葵時雨は、神珍鉄を構える。


座標を指定。


転送。


――次の瞬間。


二人の身体は、


中層・南東の空中へと投げ出されていた。


足場は、ない。


落下。


だが、葵時雨の視線は揺れない。


上層の隙間。


その奥に見える、建造物の影。


呼吸を止める。


全神経を、収束。


「――伸びろ」


放つ。


神珍鉄が、


弾丸のように一直線に走る。


撃ち抜く。


上層の建物へと、深く突き刺さる。


――次の瞬間。


脈打つように収縮。


アンカーとなった神珍鉄を起点に、


葵時雨の身体が、一気に引き寄せられる。


同時に――


汐花を抱き寄せる。


空中を裂くように、


上昇。


加速。


重力を置き去りにする軌道で、


一気に上層へと到達する。


その速度は、


すでに上層にいた


リリカチーム、サオリチームをも上回っていた。


南エリア。


最初に踏み込んだのは――汐花チーム。


静かに着地。


葵時雨は、わずかに口元を上げる。


「最適解じゃ――届かないよ」


葵時雨の言葉は


まだ北へと向かう迅へ放たれる。


「……迅」

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