↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
181/252

171.副ギルドマスターのダンジョン講座

4日後。


「砂漠で1番気をつけなければいけない事は何だと思いますか?」


辺り一面砂の世界を歩いている途中に、唐突にベルギムが話し出す。


「ん?やっぱ水とか?」


「日差し対策とかでしょうか?」


「俺も水問題だと思います!アレイはどう思う?」


「やっぱ暑さ対策だと思う僕は!」


「いや、砂漠は夜が冷えると聞いた、それも凍える程に」


「いやムゲン、景色が同じだから道を見失わ無い様にするだと私は思うぞ」


「んーとね、わかんない!!」


各々が考えを言う、だがベルギムは首を横に振った。


「確かに皆さんの言った事は砂漠において欠かせない事です、ですが……おっと失礼」


話の途中でベルギムは徐に剣を地面に突き刺した。

そして剣を引き抜くと刃先には緑色の液体が付着していた。


「砂漠に必ずいる魔物がこいつです」


そう言いながらベルギムは砂を掻き出す。

すると砂と同じ色で、手のひらサイズの蠍の死骸が出て来た。


「……これは?」


アキラが穴を覗く、それに倣って皆も蠍に注目する。


「これはアズールスコーピオン、別名"極楽蠍"と呼ばれます」


「「「「「極楽蠍?」」」」」


「なんかきもちよさそー!!」


皆の声がハモった後、ライムの能天気な感想が後を追って来る。


「ある意味気持ちいいかもしれませんね、なんせこれに刺されたら眠る様に死ぬのですから」


そう言いながらベルギムは笑う、それとは真逆に皆の顔が引き攣っていた。


「……やばいなそれ」


「これの厄介な点は気配が感じられない事です」


「確かに我も気づかなかった」


「ムゲンもそうか、おそらくこの類は小さい上に地中に居るからだろう」


「でもぼくのスキルでなおしちゃうもんね!!」


ライムにはスキル【抽出】がある、これで毒対策もばっちりだ、だが……。


「いえ、毒の抽出は無理です、これに刺されると即死ですから」


「「こわっ!!」」


ベルギムの言葉に、思わずカムとアレイは身震いしてしまう。


「ですが私達魔物には抵抗力とかありそうですが」


「シルヴィアさんその考えは甘いです、皆等しく死にます」


「……そうなのですか?」


「はい、ちなみにアズールスコーピオンは滅多に移動しません、ですが一度踏み抜くと確実に刺されますよ」


「……最初に砂漠に来てたら死んでたな」


アキラは冷や汗を浮かべた。


「ですが何故あなたなアズールスコーピオンがそこにいるとわかったのですか?」


シルヴィアは首を傾げた。


「それは砂の隆起です」


「ぱっと見あんまり変わらないよな?」


「経験を積めばわかる様になりますよアキラ様、砂漠のダンジョンを見つけたら普通の冒険者は一旦引き返し、ベテランの冒険者に依頼するのが常です」


砂漠ダンジョンの特徴は多くの魔物が地中にいる事だ、魔物が砂漠に適応し日差しが届かない地中を好む様になった。

またその魔物達は半年は水や食物を取り込まなくても生きていける様になっている。


「そうなのか、他に何か俺らが気づかない様な所で気をつける事はあるか?」


「しいて言えば、幻覚ですかね」


「幻覚?」


「はい、蜃気楼はご存じですよね?」


「たしか熱で空間が歪んで無いものが有るように見える事ですよね?」


ベルギムの質問にシルヴィアが代表で答える。


「その通りです、ですが砂漠はそれだけが原因では無いのです」


「「そうなのか?」」


アンデット組のムゲンとロイズは暑さを感じてないのかいまいちわかっていない。


「そうです」


ベルギムはそう言うと神妙深く頷いた。


「じゃあ何が原因なんだ?」


考えても答えが見つからないアキラは、答えを求める様にベルギムを見た。


「それはストレスです」


ー?ー


皆の頭にはクエスチョンマークが浮かんでいる様だ。


「同じ景色を何時間といると人の時間感覚は長く感じてしまいます、それこそまだ10分しか経っていないのに1時間いる様な感覚にもなります、そういったストレスが重なり重症になると脳が危険を回避する様になり、都合の良い事や物を見る様になってしまうのです」


「なんかそれわかります」


アレイはベルギムを話を聞き、納得して話し出す。


「奴隷だった頃は毎日辛く同じことの繰り返しで、誰かが助けてくれるとありもしない妄想を信じ込んで、自分の中で生まれた虚像と話してました、それをきみ悪がられてさらに痛めつけられましたが」


アレイは苦笑いを浮かべた。

そんな姿を見て皆気遣って優しい眼差しを見せた。


「アレイ、もう過去は忘れよう、今の俺たちにはアクティースがあるだろ」


そう言うとカムはアレイの肩を組む。


(……この光景を奪わせてたまるか)


その兄弟愛を見たアキラはミスラウェル聖皇国と徹底抗戦する事を更に強く意識した。


「あまり話してても進みませんね、とりあえずその都度注意点を話していきますよ」


タイミングを見計らいベルギムが切り出す、皆頷くとまた歩き始める。


暫く歩いていると前方から何かの大軍が近づいてくるのが見てとれた。


「ベルギム何か来るぞ!!」


アキラは慌てて声を上げる。


「皆さん踏ん張り時です!!あれはサンドフィッシュの群れです!!」


声を荒げながらベルギムは片手剣を構える。


「さばくなのにおさかなー??」


ライムの気の抜けた声で強い緊張が逸れ、戦闘に適したリラックスを手に入れた。


「ははは、サンドフィッシュは天災の様なものです、昼夜問わずただひたすらに進み続ける……海で言うマグロの様なものです」


一般的にマグロは死ぬまで眠らず泳ぎ続ける、そうしないと死んでしまうからだ、サンドフィッシュの生体はそれに似ていた。

サンドフィッシュは群れで行動し、一体ずつの砂を泳ぐスピードが速い、それに轢かれれば体は挽肉へと変貌するだろう。


「いくぞ!!」


皆に喝を入れると、アキラは天氷魔法の詠唱を始める。

まずは先頭のサンドフィッシュの群れを足止めする算段だ、サンドフィッシュに先手を取らすのは得策では無かった。


凍える地に立つ針山(スカンジナビア)


呪文の後、砂漠の大地に広範囲な数多の氷柱が生え渡った。

それを合図に各々がサンドフィッシュの群れへと駆け出した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。