168.森の観測者
レベル上げと魔軍編成の為アキラ達はS級ダンジョンの森エリアへと来ていた。
初日のメンバーはジェイド、デスト、ルージュ、ヴィクセン、ライムだ?
ライムは回復役としてどのメンバーでも加入させる事にした。
「よし!早速行くか!」
アキラの掛け声と共にそれぞれが頷く。
「斥候はあっしにお任せください」
ルージュが名乗り出る、ルージュの索敵範囲は広く奇襲を掛けられれば戦況が有利に働く。
「じゃあ俺が前衛だな」
「我も前に出よう」
ジェイドとデストがタンク役に回る。
「では私は後衛で」
ヴィクセンは魔法での援護だ。
「じゃあ必然的に俺は中衛で遊撃だな、ライムは俺についててくれ」
「はーい!」
アキラは剣と魔法で臨機応変な対応をする役目で、ライムは回復に専念してもらう事にした。
フォーメーションを保ちながら森へと進む。
「旦那、早速敵を見つけやした」
木々の間を飛び回るルージュからの報告が入る、前方にマーベルファングの群がいるそうだ、その数30匹。
マーベルファングの特徴はとにかく知恵が回り連携が上手く、個々を相手にしなければすぐさま連携攻撃の餌食になる。
ランクはAクラスに当たる魔物だ。
「あっしが奇襲を仕掛けます、旦那達はその後に続いてください」
そう言うとルージュは【アクセルタイム】と【インビジブル】のスキルを使い一回り大きなマーベルファングへと襲い掛かった。
ルージュのナイフがマーベルファングの喉笛を掻き切った。
そのすぐ後周りのマーベルファング達は状況を察し距離を取る。
「「うぉぉぉぉ!!」」
気を取られているマーベルファングにジェイドとデストが駆け出す。
大剣と拳がマーベルファングにぶつかると、忽ち前方に居る見方を巻き込んで吹き飛んだ。
ーワォン!!ー
一匹のマーベルファングが吼える。
ルージュにリーダーを殺され普通の魔物なら烏合の衆と化すが、すぐさま別のリーダーを決め周りに指示を出す。
指示されたマーベルファングが駆け出すその数4匹、2匹は命を捨ててジェイドとデストに喰らいつき隙を作った後、残りの2匹が止めを刺す算段だった。
「させません!!」
隠れていたヴィクセンが参戦する。
「大岩壊」
上空に大岩が出現し、それが砕け石飛礫が4匹のマーベルファングに弾丸の様に降り注ぐ。
蜂の巣と化したマーベルファングの死骸が横たわった。
リーダーのマーベルファングはすかさず吼える。
どさくさに紛れて1匹のマーベルファングがヴィクセンの背後に回っていた様だ。
「甘い!」
アキラは木の上から飛び降り、背後に回っていたマーベルファングの背中目掛けてラグナロクを突き刺した。
悉く邪魔をされてしまったリーダーのマーベルファングが狼狽えた。
そこからはアキラ達の独壇場だ、次々と肉塊が出来上がっていく。
全てを倒しきるとアキラは30匹のマーベルファングを軍へと取り込んだ。
「レベルが上がりました!」
ヴィクセンは声を上げる。
レベルは47になった様だ。
「ぼくのでばんなかったー」
ライムが愚痴を溢す。
「まーまー、怪我がないのが1番だよライム」
そんなライムをアキラは宥めた。
そしてアキラ達の快進撃は続く。
B〜Aランクの魔物を倒していく、毒の花粉を飛ばすガーグラフレシア、カブトムシ型で甲殻が異様に固いアイアンコーカサス、石化の邪眼を持つギカントバジリスクなど様々な魔物を倒し軍に入れた。
そしてボス部屋に辿り着く。
荊の蔓が絡み合う壁に囲まれ、生い茂る木々から木漏れ日が差し込み、中央には枯れ木でできた椅子がぽつんとそこにあった。
そこに座るのは杖を持った木の老人、"樹海の観測者"の異名を持つララガイアだった。
とあるお伽話にこんな逸話がある、森を訪れたとある大隊が道を開く為木々を片っ端から切り倒し、そこに住む動物や虫達を悉く殺していった、順調な開拓を進む大隊に1人の老人が現れた、その老人が杖を振るうと大隊の者達全員が木になってしまったという話だ。
森の何処に居ようとその者達の行いを見ている、後にその老人は"森の観測者"と呼ばれる様になった。
老人が立ち上がりアキラ達は構える。
老人は杖を振るう、すると地面から根が生えアキラ達を捕えようとする。
「ちぃ!!」
すかさずジェイドがアキラ達を守ろうと大剣を振るう。
「何!?」
だがジェイドの力を持ってしても根は切れなかった。
「ぼさっと立つな!各々逃げろ!!」
ジェイドの掛け声と共に皆散会した、蔓は伸び各々を追いかける。
こうして戦いの火蓋は落とされた。




