151.プレゼンの打ち合わせ
ー久しぶりじゃのアキラ、ワシの知り合いに王族が居る、とりあえず詳しい話を聞きたいからラクーリアまで来てくれんか?ー
ミネルヴァからの手紙を読んだアキラは、ヴィクセンと一緒にとある計画を立てていた。
「さて、どうやってアクティースをアピールしようか」
「そうですね、ラマダグェン法国の気を引く何かがあれば良いのですが」
アキラとヴィクセンは思考に耽る。
国交を結ぶには相手にとって利になる事を示さなければならない、その為アクティースという国がどういう国なのかをプレゼンする必要がある。
「いっそ全てを曝け出す?」
「それは流石にやりすぎではないでしょうか?王が欲深かったら逆に狙われてしまいます」
良識的な王なら良いが、そうでなかった場合のリスクを考えたヴィクセンは首を横に振った。
「じゃあ丁度いい按配を考えるか」
「はい、先ず開示して良い情報を考えましょう」
「うーん、俺のジョブスキルとか?もう隠す必要もないし」
閃いたアキラはダメ元でヴィクセンに聞いてみた。
それだけでは効果が薄いと思ったからだ、先ずアキラの力を知ったとしても金になる事は無い。
「……それは良い考えかもしれません!」
「お!意外と好反応!」
思わぬヴィクセンの反応にアキラは肩透かしをくらう。
「ずっと思っていたのですが、アキラ様のジョブスキルは恐ろしいですよ」
「え?」
「考えてみてください、目の前に最上位の魔物が7体も出てくるのです、それは戦争に言い換えると何十万の屈強な兵士達が一瞬で攻めてくるのと同等ですよ?」
ヴィクセンの声色は真剣だ。
例えば敵軍隊が都市を攻めてくれば到着するまで嫌でも目立つ、その為発見も早く対策を練る時間がある、だがアキラ単体ではどうか?先ずアキラの存在を知らなければ、仮に知っていたとしてもアキラが顔が分かりづらい服装をしていたら、都市に用意に入り込めるだろう。
そしてアキラがその中でジョブスキルを発動すればたちまち都市は陥落する、一般的には最上位の魔物一体でも国家危機になりうるからだ。
正にアキラは見えない軍隊を常に保有している様なものだ。
「確かに恐ろしいな……」
アキラは改めて自分の力がチート染みてる事を認識した。
「なのでその面を押し出しましょう、ヴェルサスに乗れば神樹国アクティースからラマダグェン法国までおよそ3〜4時間程度でしょう、ラマダグェン法国にもし戦争が起こった場合その時間まで待てば強力な援軍が来る事をアピールするのです」
「よし!それで行こう!」
ヴィクセンの良案にアキラは頷いた。
「俺も1つ思いついた、ラマダグェン法国は魔法が特に発展している、学園都市もあるくらいだしね、だからエルフの指導が受けられるというのはどうだ?」
「それもいいですね、ですが魔力を体内に取り入れなければいけない為アクティースに戻る事を加味すると、期間限定なら可能です」
ヴィクセンは瞬時にその提案を補足した。
エルフに魔法を教わるというのは、魔法使いからしたら夢の様な出来事だ。
各学園側が授業料を上げたとしても誰も文句は言わないだろう、間接的にラマダグェン法国も潤うのがアキラの算段だ。
「よし、とりあえずこれで行こうか」
「わかりました、きっとラマダグェン法国も納得するでしょう」
プレゼン内容の方針を決めたアキラとヴィクセンは、更に擦り合わせを行うのであった。
そして数日が経ち、ラマダグェン法国に向け出発する。
前回と同じ様にジェイドが率いる精鋭の護衛を連れ、アキラの乗った馬車は出発した。
途中にある都市で一泊し、学園都市ラクーリアへと着く。
「うぉぉ!!超懐かしい!!」
変わらない街並みを馬車の窓から覗くアキラはテンションを上げる。
そんなアキラを見てヴィクセンの顔は綻んでいた。
「あ!マタタビ商会に顔を出しておくよ」
マタタビ商会ラクーリア支部の前を通ったアキラは、思い出した様に告げる。
ヴィクセンが頷くのを確認したアキラは馬車を降り商会の扉を開けた。
商会に勤める従業員は思わぬ来客に凍りついた様に動かなくなる、少しして慌てふためき始めた。
受付嬢がバックルームへと消えていく、少ししてエルームを引き摺る様に連れてきた。
「アキラ様、急に来られても困りますてえ……」
超VIP客をもてなす準備などできていない、そう言うエルームの顔はどっと疲れていた。
「ごめんごめん、前を通りかかったから挨拶にきただけだよ」
アキラは苦笑いを浮かべる。
「次からはちゃんと先触れをくださいな、それよりどうしてラクーリアに?」
「今からミネルヴァと会うんだ」
「ミネルヴァ婆さんと?」
「大事な用があってね」
「またとんでも無い事が起こりそうですなあ、ほんまアキラ様を見ているとおもしろい」
「褒め言葉として受け取っておく」
冗談を言い合い笑い合うアキラとエルーム、それを従業員は背筋を伸ばして見守っていた。
そんなこんなで挨拶は終わり、アキラは馬車へと戻った。
今度は寄り道する事なくミネルヴァ学園長が居る、アルフィリオ女学園へと着く。
「この門も懐かしいなぁ」
護衛の1人がアキラの到着を告げに行っている間に、アキラは学園の外観や生徒達を見ていた。
「アキラ様はここで魔法を学ばれたのですか?」
「うん、変化のペンダントで女体化してね」
「それはまた……大胆な行動ですね」
「ははは、今思うとヤバい奴だよな」
「ですがそのおかげで学園の生徒達の命が守られたのですから、結果オーライですよ」
苦笑いのアキラをヴィクセンは励ます。
「リノア、ルル、アイリス、イヴは元気かな……」
「ご学友ですか?」
「ああ、でもとっくに卒業してるからここには居ないと思うけど」
「お会いできるといいですね」
「そうだな」
ー入園の許可が取れました、案内しますー
ヴィクセンと話している内に、護衛の1人が戻ってきた様だ。
アキラが乗った馬車はアルフィリオ女学園の敷地内へと進んだ。




