150.意識改革
アキラはイルームの自宅へと来ていた。
お洒落ながらもシンプルなデザインの家具が並び、部屋の中には下着が干してあった。
ソファーに座るアキラは思わず花柄レースの下着を見ると、脳裏に焼き付ける。
「……興味おありですか?」
クスっと笑うイルームに、アキラは顔を赤らめた。
「まぁ、そりゃ男だからね」
精一杯の言い訳を言うが、心臓の鼓動は高鳴るばかりだ。
「なら、着替えましょうか?」
「勘弁してくれ……」
イルームの揶揄に、アキラはどっと疲れた様な顔に一変した。
イルームは微笑みながらごめんなさいと言い、アキラの隣に密着しながらソファーに座る。
「ち、近くないか?」
「そうでしょうか?私は何とも思いませんが」
イルームはわざとらしく首を傾げた。
「……俺の心臓が破裂する」
そう言うアキラの表情は物憂げだ。
「……私の事がお嫌いですか?」
「そういう事じゃ無くて!!」
目を潤ませるイルームを見ながらアキラは必死に弁明する。
「……では何故アキラ様はルクレリア様以外の人に手を出そうとしないのですか?ルクレリア様から多妻は認めとていると聞きましたが?」
「あぁ、それか……」
息を吐くと再び話し始める。
「前世の世界は一夫一妻だったからね、頭では一夫多妻でも良いとわかってはいるんだけどやっぱり罪悪感が、ね……」
アキラは心の内を吐露した。
「……アキラ様はお優しいのですね」
そう言いながらイルームはアキラの手をぎゅっと握った。
「ですがその優しさは時に罪ですよ」
「罪?」
「はい、どちらにも転ばないアキラ様を見てるともどかしくなります、はっきり言って生殺しです!」
イルームの口調が強くなる。
「……確かにそうだな」
アキラの表情は暗い。
「率直に聞きます、私の事好きですか?」
「……好きだ」
「ならそれでいいではありませんか、もっとシンプルに考えましょう?」
イルームはアキラをあやす様に抱きしめた、アキラも恐る恐るだが抱きしめ返す。
暫く抱き合った後アキラは言う。
「ありがとう、なんか吹っ切れたかも」
アキラはそう言いながら微笑んだ、イルームもそれに微笑み返す。
そしてアキラはイルームの唇を奪った、驚きでイルームは目を見開くが直ぐに目を閉じる。
舌を絡ませると頭が蕩けそうになった、そして長い様で短い時間が終わる。
唇を離すと糸が引き合う、その光景はまた何ともエロかった。
そしてまたお互い求める様に唇を合わせる、それが何回も続いた。
「……その花柄の下着つけましょうか?」
「……頼む」
イルームはドレスを脱ぐとアキラの目の前で下着を履き替えた。
アキラのアキラは早くしてくれと、脳にアドレナリンを流す形で訴えて来る。
イルームは豊かな胸でアキラの顔を包み込む、まるでゆりかごに揺れながら木漏れ日の中にいるみたいに心地良い。
「ベッドが良いですか?それともここで?」
「……もう我慢できない」
イルームはふふっと笑う、そしてアキラの服を脱がし始めた。
アキラのアキラは待ってましたと言わんばかりに、勢いよく飛び出した。
そこからはもうお互いリミッターを外し貪り合う。
(この時をどれだけ待ち侘びたか)
アキラの上に乗ったイルームは恍惚な表情を浮かべる。
人生で一番幸せな瞬間だった、今までのアプローチが報われたのだから。
イルームの一番の功績はアキラの意識を変えた事だ、これでフェルシエとレティも発展しやすくなるだろう。
「……アキラ様、愛してます」
「俺もだ、イルーム……」
そしてお互い何度も愛を囁き合い、心と体を重ねていった。
◇ ◇ ◇ ◇
2人の猫人がバーでグラスを乾杯し合う。
「イルーム姉は上手くいっとるやろか?」
エルームは心配そうな素振りを見せる。
「大丈夫やて、きっと今頃しっぽりやってるやろ」
オルームはそんなエルームを落ち着かせた。
「アキラはんの酒に媚薬を入れるとか、おかんも容赦ないでぇ」
オルームは呆れている。
ユーリはここでアキラに止めを刺す為に強行手段に出た、そのおかげでアキラも決心がついたので結果オーライだ。
この事はイルームも知らない、知っているのは酒と食材を取り寄せた2人だけだ。
王に薬を盛るのは重罪だが、証拠と証言する者が無ければそれは問題にならない、最悪バレてもしらばっくれる腹積りだった。
「もうこんな事堪忍やで」
「後はイルーム姉の腕しだいやな」
「イルーム姉がアキラはんと結ばれたら、いよいよマタタビ商会も大商会の一員やで」
「アルベルムで恩を売っておいて正解やったわ」
「オルームの嗅覚はさすがやな」
「さすがにワイもここまでアキラはんが昇り詰めるとは、予想外やったけどな」
「ワイも驚いたわ、てかこの国はべらぼうにヤバいやろ」
「ワイもそう思うわ、アキラはんは気づいて無いかもしれへんけど、軍事面は既に四大国に匹敵してるんちゃうか?」
「ザフグリエ連邦国との戦争やろ?ワイも耳を疑ったしオルームがそう思っても仕方ないと思うで」
「だろ?それにこの豊富な資源やで、親父も目の色変えてアクティースに全力投資やしな、おかげで他の仕事が疎かになってワイらが尻拭いや」
「まぁ嬉しい悲鳴やな、これから更にアクティースは発展していくやろ、マタタビ商会の安泰の為一丸となって頑張ろや」
「ははは、そうやな」
2人は笑いながら酒を呷った。
◇ ◇ ◇ ◇
「ん、いつの間に寝てたんだ」
ベッドで目が覚めたアキラは目を擦る、横には裸のイルームがスウスウと寝息を立てながらアキラに抱きついていた。
チュンチュンと小鳥の囀りが聞こえ、窓から朝日が差し込む。
「やべぇ!!城に何も連絡してねぇ!!」
王が連絡も無しに帰って来ない、城は大騒ぎだろうと思いアキラの顔は青ざめる。
「……ん、アキラ様?どうしたんですか?」
アキラの異変に気づいたイルームも目を覚ました。
アキラは寝起きのイルームに、城へ連絡してない事を伝える。
「大丈夫ですよ、お母様が既に手配しておりましたから」
慌てるアキラを見てイルームは微笑んだ。
「え、そうなの?」
「はい、きっと朝までいるだろうと晩餐会が終わる間際に言ってました」
ユーリは予知者なのかとアキラは率直な感想を抱いた。
「ですから大丈夫です、それよりアキラさんのここ、また元気になってますよ」
イルームはアキラのアキラを優しく撫でる。
アキラは思わず反応してしまった。
そしてイルームはそれを咥える……
火が付いたアキラは朝からハッスルするのであった。




