147.今後の事
ウォーガレフ王国と国交を結び、神樹国アクティースには多くの開発者が派遣された。
これで鉱山開発を進められると、アキラは一安心している。
そんなアキラは鉱山開発局に居た、開発局長はゴードンが担う。
「ゴードン、鉱山開発は順調か?」
「おぉアキラか、ベテラン揃いで想像以上の進捗具合じゃ」
ゴードンはそう言いながら報告書を置き、アキラに向き直る。
「そうか、ウォーガレフ王国の援助もあるからな引き続き頼む」
アキラは財政が傾いたウォーガレフ王国に援助を申し出ていた。
開発者を派遣してもらう代わりに破格の価格で鉱山から採掘した鉱石を売る、ウォーガレフ王国はその輸入した鉱石を加工する、そうして出きた利益はウォーガレフ王国の財政を大きく助けていた。
「バルムスも感謝しておったぞ、ベテラン揃いの開発者を派遣した事が何よりの証拠じゃな」
ゴードンは弟の笑顔を思い出す。
アクティースの援助申請に、バルムス王率いるウォーガレフ王国側は諸手を挙げて喜んだ。
この一手で更にウォーガレフ王国との絆は深まった、今では観光や出稼ぎをしにウォーガレフ王国から神樹国アクティースにやって来るドワーフが多くなった。
「またその内会談もあるだろうから、財政回復はできているか聞いてみるよ」
「あのバカ弟が調子に乗ってまた道を外さない様、ちゃんと注意しておかんとな」
ゴードンの言葉に言い過ぎだよと言いながら、アキラは苦笑いする。
この後は鉱山内部を見回りし、視察も済んだのでアキラは城へと戻った。
◇ ◇ ◇ ◇
城へ戻り執務室で報告書を読んでいると、ある報告書が目に留まる。
「……他国の動きが活発になってきているか」
それは諜報局から寄せられた報告書だ。
詳細を聞く為にアキラはゼムロを連れて来て欲しいと執事を呼び伝える、アキラの命を受けた執事は一礼した後部屋を退室した。
暫くしてゼムロが執務室へとやって来た。
「失礼します、アキラ様お呼びでしょうか?」
「あぁ、少し聞きたい事があってね」
そう言いながらアキラはゼムロを椅子へ座らせると、早速本題に入る。
「他国の動きが活発になってきていると報告書に書いてあったのだが気になってね」
「はい、アクティースの存在が他国に知られて来ています、その為か最近森の外で偵察隊を多く見かけます、それにやって来る商人がやたらとアクティースの内情を聞きたがっていると報告を受けました」
移民を受け入れる為、アキラがマタタビ紹介の商人を使い宣伝した弊害が起き出していた。
遅かれ早かれ神樹国アクティースの存在はいつかは知れ渡る、そうなるならば少しでもアクティースにとってプラスにしてから知られた方が得策というのがアキラの考えだ。
「そうか……軍事的側面はどうだ?」
アキラは1番の懸念を口にする。
「今はまだありませんが、今後軍事行動が活発しないとは言い切れません」
「……だろうな」
楽観せず戦争を吹っ掛けて来る国はいつかは出て来るだろうと推測する、アクティースは資源が豊富に有る、それを狙わない手は無い。
だがそれをして来る国が一国だけかという話だ、あちこちから戦争を吹っ掛けられれば兵も民も疲弊してしまう、早めに手を打たなければ後の祭りになる。
「ヴィクセンとアルグレームを呼んでくれ」
暫し熟考した後アキラは再度執事を呼び、今度はヴィクセンとアルグレームを呼ぶ様指示を出した。
少ししてヴィクセンとアルグレームがやって来る。
「「失礼します」」
「とりあえず座ってくれ」
アキラはヴィクセンとアルグレームをゼムロの横の椅子に座らせる。
そして先程ゼムロと話した内容を、再度ヴィクセンとアルグレームにも話した。
「そこでだ、俺の考えを話すから皆に意見を求めたい」
どうやら何かアキラには考えがあるようだ、3人は今からアキラが話す内容を聞き漏らさない様耳を傾ける。
「ウォーガレフ王国と友好関係を結んだ事により、他国と協力しあう事の大切を知った、それで今後の事を考えて友好国を増やしていこうと思う」
アキラの意見に3人は塾考している。
少ししてアルグレームが声を挙げる。
「その考えは諸刃の剣ではないでしょうか?必ずしも友好国が裏切らないとは言い切れないです」
アルグレームの意見は最もだ、表面では良い顔をしていても腹の中は真っ黒という輩はごまんといる。
次にヴィクセンが声を挙げる。
「だが戦争の抑止になるのではないか?アクティースは建国したばかりで戦争を仕掛けてくる国はこの先必ず出て来る、友好国と言う名の後ろ盾があれば二の足を踏む国もあるはず」
ヴィクセンは友好国を増やすメリットを述べる、ヴィクセンとアキラは同じ考えだ。
この案は戦争の抑止というのが1番の肝だ、その効果が得られればアクティースの発展に集中できる。
ヴィクセンの意見を聞いてゼムロが声を挙げる。
「ですがどの国とどうやって友好を結ぶのだ?今回のウォーガレフ王国との友好はゴードンのツテがあったから成せた様なもの、次もあそこまで上手く行くとは到底思えない」
ゼムロは具体的な方法を知りたい様だ。
今まで話してきた事は机上の空論、簡単に友好など結べればどの国も苦労はしない、それに前提で相手を納得させる方法が無ければこの話し合いも意味を持たなくなる。
また国選びも重要だ、適当な国と友好を結んで寄生でもされたら堪ったものではない。
いろいろな意見が挙がる中アキラは声を挙げる。
「実は友好を結べそうな国の目星を付けているんだ、それにツテもある」
「「「!?」」」
アキラのまさかの言葉に3人は驚いている。
「それは何処ですか?」
流石はアキラ様と思いながらヴィクセンはアキラに問う。
「ラマダグェン法国だ」
その国は学園都市ラクーリアが有る国だ、アキラは女学生に変装しアルフィリオ魔法女学園で過ごした日々を思い出し懐かしむ。
「ツテはあるのですか?」
「アルフィリオ魔法学園にミネルヴァ学園長と言う知り合いがいる、その人ならきっと助けになってくれると思う、それに子爵の女の子の友達もいるしね」
アキラはアルグレームの問いにそう答える。
ミネルヴァ学園長なら人脈も広いだろうし、リノアを訪ねてみるのも手だと考える。
「とりあえずアキラ様が知り合いを当たってみてからまた考えないか?」
ヴィクセンの提案に、それからでも遅くは無いかと思ったアルグレームとゼムロは頷く。
「意見は纏ったな、直ぐにアルフィリオ魔法女学園に手紙を出すよ」
こうして今後の方針は決まり会議は終わった。




