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144.開戦前

ウォーガレフ王国とザフグリエ連邦国の戦争に参戦する事が決まった神樹国アクティース、将軍となったジェイドは軍の編成をしていた。



「さてどうしようか……」


ジェイドは頭を悩ませている、その理由は皆援軍に入るき満々だからだ。

全員は連れて行けない、もしそうしたらアクティースの防衛が疎かになってしまう。


特にアキラの従者達は頑なに譲ろうとしない、ここで主に付き従えなければ何の為の従者だと皆言う。 



「とりあえず精鋭の二千人は確定だな」


建国当初からシルヴィアが育てた兵達の練度は高い、新参者達はアクティースに残して精鋭を連れて行く事にする。



「まずシルヴィアとライムは確定だな、残るはあと5人……」


兵の士気を保つ為にやはりシルヴィアは必要不可欠だ。

兵達は安心するだろうし何より手塩に掛けて育てた軍の初陣、本人もきっと見届けたい筈だ、ここでシルヴィアを連れて行かなかったら一生恨まれるだろう。

ライムは回復係だ、これでポーションを買うコストが大幅に下がる。



「それ以外をどうするか……仕方ない、ここは天運に任せよう」


ジェイドは残り誰が戦場に行くのかをくじ引きで決める事にした、これなら誰もが公平で皆納得するだろう。

そうと決まればジェイドはくじを作ると、皆を広場に集めた。


暫くして続々と集まって来る。

広場にはシルヴィアとライムを除いた従者全員、ヴェッジ、ハヤテ、ヴィクセン、それとなぜかレティが居る。


「では皆くじを引いてくれ」


順番にくじを引いていく、喜ぶ者や悲観する者それぞれの反応を見せる。

当たりくじを引いたのは、デスト、ロイズ、ヴェルサス、ハヤテ、ヴィクセンだ。


まぁ仕方ないかと思い外れくじを引いた者達は帰ろうとする、だがこのじゃじゃ馬ロリだけは違った。


「嫌じゃー!妾もアキラと一緒に戦うのじゃ!」


レティは地団駄を踏む、これにはジェイドも困り果てる。

そもそも他国の姫を参戦させるわけ無いのに、なぜ行く気なのかと甚だ疑問だ。

ジェイドは説得するもレティは聞く耳を持たない。


「はぁ……アキラを呼ぶか」


ミニライムで報告を受けたアキラはすぐさまアクティースへ帰還した。

そして拗ねたレティに歩み寄る。


「レティ、ジェイドを困らせてはいけないよ」


「……妾もアキラと一緒に戦うのじゃ」


そう言いながらレティはプイっとそっぽを向く。


「……レティには大事な役目がある」


「大事な役目?」


「あぁ、それは俺の帰る場所を守る事だ」


アキラは微笑む。


「そんなの誰でもできるのじゃ……」


そしてアキラは最終手段に出た。


「……よく言うだろ?夫は狩に出て妻は家を守ると」


アキラの言葉にレティはピクンと反応する。


「……妻」


レティはその言葉を連呼する。

そして途端に目が輝き出した。


「ははは!妾に任せるのじゃ、アキラの帰る場所は妻の妾が守る!」


妻の部分を強調して言うレティは、先程とは打って変わってご機嫌だ。

レティの扱いがわかってきたアキラだが、その発言は自分で自分の首を絞めている事にまだ気がついていない。


ご機嫌で城へと帰って行くレティを見送る。

皆の方へと振り返ると皆ジト目でアキラを見る。


「……結構たらしだよなアキラ」


皆の気持ちを代表してジェイドは言う。


「え?」


アキラはその言葉にキョトンとする。


「無自覚かよ、レティの嬢ちゃんはこれで更に本気になったぞ?」


アキラは自分の言った事を思い出す、そして自分がやらかしてしまった事にフリーズした。


「……ちゃんと責任取れよ」


ジェイドはフリーズしているアキラの肩を叩く。


「……ああ」


一言そう言ったアキラは虚空を見つめていた。


◇ ◇ ◇ ◇


そんな出来事があったが援軍参戦には余裕で間に合う、ウォーガレフ王国に着いた兵を待機させアキラ、ヴィクセン、ゴードンはバルムス王と謁見していた。


「たった二千そこらの兵で何ができる」


バルムス王は鼻で笑う。

その気持ちもわからなくは無い、あれだけ強気に出ておいてアクティース側から来た援軍はたったの二千なのだから。

ウォーガレフ側の兵は一万、まさに数は月とすっぽんだ。



「開戦が始まればお主の驚く顔が目に浮かぶわい」


ゴードンは笑う、その顔を見てバルムス王の苛立ちが増した。

そこに伝令がやって来る。


「間も無くザフグリエ連邦国の軍が到着します」


「兵はざっとどれくらいの数だ?」


「およそ1万以上はいます」


「……そうか」


バルムス王は思考に耽る、数は互角または敵国の方が多い、そして今までの経験から推測すると兵の練度もザフグリエ連邦国の方が高く状況は不利だ。


だが時は待ってくれない、ウォーガレフ、アクティース軍が進軍する。

戦場となる場所は辺りに障害物もない平野だ、トラップなどの小細工は通用しない、まさに純粋な軍事力の勝負だ。


アキラは用意された壇上に立ち自軍を見据えた。

ジョブスキル【帝の鼓舞(ゼーロス)】を発動する為、アキラの奨励が始まる。


ーアクティースにとって初めての戦争だ、皆他国の戦争が初陣な事に思う事はあるだろう、だがこれは国の繁栄の為だ、この一手が友を家族を隣人を更に豊かにする、ならば俺と共に戦おう勇敢なる兵士達よ、その武を敵に見せつけてやるのだ!!ー


ーウォォォォォ!!!!ー


大地を揺るがすような猛々しい声に、ウォーガレフ王国の兵達は面をくらう。


そして兵達の目つきが変わり各々が闘志を燃やす。

ジョブスキル【帝の鼓舞(ゼーロス)】の恩恵を受けた兵達は、全ステータスが上昇し内側から込み上げる力の奔流に驚愕している。


少ししてザフグリエ連邦軍が到着し軍と軍が向かい合った。

そして開戦の狼煙が上がり軍は動き出す。
















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