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140.破壊の一撃

「また我に挑むか」


デストはそう言いながら肩を慣らす。

デストの前にはゲンガ、ゲンジ、ゲンブが武器を構えて居た。



「師匠、お覚悟を」


巨大な斧を持ったゲンガはデストを見据えた。


「油断していると足元を掬われますぞ」


巨大なハンマーを持ったゲンジは、デストにそう忠告した。


「その鼻へし折ってやる!」


巨大なシャムシールを持ったゲンブのやる気は充分だ。


3人はデストの元へ駆け出した。

これはよくある光景、デストは三兄弟にいつでもかかって来いと告げてある。

巨人三兄弟にとってデストは師匠であり、超えなきゃいけない壁でもある。



「どりゃああ!!」


ゲンガは巨大な斧をデスト目掛けて横に振るった。

デストは攻撃が当たる直前に斧の腹に拳を振り下ろす、斧の刃先は地面にめり込む。



「甘い」


右拳がゲンガの腹にヒットし、木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ぶ。

極限まで手加減されたデストの拳でこの威力だ、本気で殴っていたなら爆散しているだろう。



「うぉぉぉぉぉ!」


「はぁぁぁぁぁ!」


吹き飛ぶゲンガを気にせずゲンブとゲンジは同時攻撃を仕掛けた。

ゲンブのハンマーが左から、ゲンジのシャムシールが右から迫る。

デストはスキル【風魔の左腕】を発動、拳を地面に叩きつけると暴風が吹き荒れた。



「「うわぁぁぁぁ!!」」


暴風に耐えきれずゲンブとゲンジは、ゲンガと同じ方向に吹き飛んだ。

これで終わりかと思ったが、ゲンガが立ち上がるとゲンブとゲンジも同じ様に立ち上がった。

そして3人同時攻撃を仕掛ける。



「「「まだまだぁぁぁ!!」」」


「いや、これで終わりだ」


デストはスキル【雷魔の右腕】を発動、バチバチと右拳から電流が迸る。

それを見ても3人は物怖じせず向かってくる、デストは拳を前に突き出した、その後に紫電が走る。



「「「ぐぁぁぁぁ!!」」」


感電した3人は悲痛の声を上げた、紫電が収まるとぷすぷすと体から黒い煙が上がる、そして白目を剥いて同時に倒れた。

3人が浴びた電力はおよそ2万ボルト、人がギリギリ死なない様デストは電気量を抑えていた。




「また、負けたか」


暫くして気絶したゲンガが目を覚ます。

少しした後にゲンブとゲンジも意識が戻る、デストは3人が起きるのを座って待っていた。



「おまえらは単純すぎる」


デストは起きた3人に語りかける。


「力があれば良いと言うものではない、それがわからなければおまえらはそれまでだ」


「「「…………」」」


3人は只黙ってデストの言葉を聞いていた。

巨人族の強みは圧倒的なパワーだ、今までそれで敵をねじ伏せて来た。

だがそれだけではダメだとデストとの戦いで、嫌というほど思い知らされている。


デストはそれを言った後去っていく、3人はそれを佇んで見送った。


「……どうすれば良い」


ゲンガは悔しくて静かに拳を握る。


「「兄貴……」」


ゲンブとゲンジはこれ以上声を掛けれずにいた。

だがゲンガだけ悩ませるわけにはいかない、2人も同じ様に打開策を考える。



「今更技を覚えてもな……」


ゲンジはボソッと呟く。

技を覚えた所でその巨大ではスピードが遅く、逆に動きが読まれてしまうからだ。



「……我らは3人……我らは3人だ!」


ゲンガが声を挙げる、なにかを閃いた様だ。

ゲンブとゲンジは何事か?とゲンガを見る。



「我らは3人で1人とする」


「「?」」


ゲンガの言葉に意味がわからず2人は首を傾げた。


「連携を極めるぞ」


今まで個々で力を奮っていた、同時攻撃もしていたがお世辞にも連携とは言えない。

だが連携を磨き3人の力が合わさった時どうなるか、それほとてつもない破壊力になるだろう。


ゲンガはその意味を噛み砕き説明する、2人は納得すると頷いた。

そして修行に明け暮れる。



「……もっとだ!もっと足並みを揃えろ!」


ゲンガの斧に合わせ、ゲンブのハンマーとゲンジのシャムシールがズレ無く合わさる。

その時3人の脳内に声が流れた。



[スキル【三位一体】を獲得しました]



「「「やったぞ!!」」」


3人は肩を組み喜び合う。

ひとしきり喜び合うと早速試す事にした。


ーガァァァァァー


3人はバザジウルグリズリーの前に居た、B級の大型の熊モンスターでありその獰猛性はかなり危険だ。



「行くぞ!」


「「おう!」」


ゲンガの掛け声と共に走り出す。

そしてスキル【三位一体】を発動させた。


ーズドォォォンー


バザジウルグリズリーは粉々になりながら吹き飛んだ。

肉片が宙を舞う、その破壊力はスキルを放った3人ですら恐ろしかった。



「「「…………」」」


3人は無言で佇む、少ししてゲンブが喋り出す。


「これ流石に師匠でも死ぬんじゃないか?」


そう思っても仕方ない威力だ。


「……ありえるかもな」


ゲンジもその考えに賛成な様だ。


「……いや、師匠はそんなに甘くない」


ゲンガは首を横に振る。

デストの本気を見た事が無いゲンガは、楽観視していなかった。



「戻るか」


ゲンガの提案により家に戻る。


◇ ◇ ◇ ◇


「また来たか」


デストはいつもの様に肩を慣らす。


「「「…………」」」


「何だ?」


デストは三兄弟の雰囲気がいつもと違う事に気づく、それは気迫に満ちていた。

少しはマシになったかと思い、ニヤリと笑みを浮かべた。

ゲンガ達は武器を抜きデストの元へ駆け出す。


「行くぞ!」


「「おう!!」」


ゲンガ、ゲンジ、ゲンブはスキル【三位一体】を発動した、破壊の一撃がデストを襲う。


「!?」


デストは思わぬ一撃に体が反応した。

そしてスキル【金剛力】【超ラッシュブレイク】を発動する。

6連撃の強力なパンチが【三位一体】にぶつかった。


ードォォォォンー


破壊と破壊が衝突し土煙を巻き上げながらけたたましい音が響き渡る、その音を聞いた野鳥達が慌てて飛び立った。


土煙が収まりそこに立っていたのはデストだった。

ゲンガ達は気絶している。



「なかなか良い一撃だった」


そう言うとデストは去っていく。

暫くしてゲンガ達は目覚める。


「ははは!師匠はとんでもねぇな!」


ゲンガは笑い声を上げた、これでもまだ追いつけない、デストの事を破壊神なのかと思えて来てさえいた。


「……だが諦めねぇ」


「……俺も同じだ」


ゲンブとゲンジは更なる闘志を燃やす、それを見てゲンガはニヤリと笑う。


「もちろんだ、いつか絶対超えてやる」


夕陽が3人の心を表している様に、空を紅く染める。

その夜3人は酒を酌み交わした。


















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