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138.涙の再会

アクティースへと戻ったアキラ達は城へ向かう。

ヴェッジは街中をキョロキョロと見ながら、鼻の下を伸ばしていた。



「くぅ〜!エルフのお姉さんの香りだ!」


深呼吸をするヴェッジを見て、アキラはじと目になる。

アクティースには究極変態爺やが居る、意気投合してファルスから変な事を吹き込まれなければいいが……。



「今度皆で綺麗なお姉さんが居る店行こうぜ!」


「残念ながら、まだそういう店は無い」


アキラの言葉にヴェッジは、テンションがジェットコースターの様に急降下した。


「……その内できるよな?」


「お、おう!もちろん作るよ!」


パァとヴェッジの表情が明るくなる、この子供っぽさが母性本能を擽りマダム達を虜にしているのだろう。


「ハヤテもここなら初めての恋人できそうだな!」


「……そんなものに興味など無い」


嘘つけ、さっきからそわそわしてるぞ。


「リュコは城に居るのか?」


「あぁ、きっとジェイドに会えるのを待ち侘びてるよ」


「……そうか」


ジェイドはハヤテよりも露骨にソワソワしていた、久しぶりの再会に緊張しているのだろうか。

そしてアキラ達は城へと着く。



「アキラこんなとこに住んでるのかよ」


城を見上げたヴェッジは目を白黒させていた。


「まあね、最近完成したばかりなんだ」


アキラは自慢気だ。


「ほほう、ここで恋人なんかとしっぽりやってるのかぁ……」


「ははは、後で紹介するよ」


「「「!?」」」


アキラの思わぬ言葉に3人は驚く。


「か、彼女いるのか?」


ヴェッジは問い詰める様にアキラに聞く。


「いるよ、ルクレリアという俺にはもったいないくらいの人が」


「……仲間だと思ったのに!」


ヴェッジは悲痛な声を挙げていた。

何このノリ?修学旅行かよ。


「ハヤテも何か言ってやれよ!」


「……女に惚けていると弱くなるぞ」


「んな事あるか!」


ハヤテの負け惜しみなど、全然アキラの耳には入らない。


「くそー!俺だって!」


ヴェッジはの目の奥はメラメラと燃えていた。

唐突にジェイドが話しに入る。


「……リュコには手を出すなよ」


「「「はい」」」


ジェイドのドスが効いた声色に、何故かアキラとハヤテまで返事をしてしまった。

そんなこんなでアキラ達は城の中へと入る。

その瞬間リュコがジェイドの元へ走り出した。



「ジェイドおじさん!」


リュコはジェイドに抱きつく。


「……すっかりでかくなったな」


ジェイドはリュコを優しく抱きしめ返した。


「……大きくもなるよ、あれから8年経って私は17歳になったんだから」


「……そうだな、待たせて悪かった」


「いいの、こうしてまた会えたんだから……」


「ありがとう」


ジェイドとリュコのやりとりに、アキラは目頭が熱くなる。


「ガーネットお姉ちゃんは一緒じゃないの?」


「……あれから会っていない、行方もわからない」


「……そうなんだ」


どうやらもう1人会いたい人がいる様だ、この際そのガーネットって人も探してみようかな。



「アキラ様、よくぞご無事で」


そんな事を考えているアキラに、リュコに付き添っていたゼムロがアキラに話しかける、ゼムロの後ろにはガレフが控えていた。


「いろいろあったが何とかなったよ、ゼムロとガレフもお疲れ様」


「王のお役に立てて良かったです」


ゼムロは恭しく頭を下げる。


「また何なりとご命令ください」


ガレフもゼムロの後に続いた。

少し話しをした後、ゼムロとガレフは持ち場に戻って行った。

ヴェッジとハヤテはゆっくりしたいと言うので、アキラはメイドを呼ぶ。

やって来たのは狸獣人のナスカだった。


「お初にお目に掛かりますアキラ様、私の名前はナスカと言います、この度は大変お世話になりました」


「ナスカか、無事で何よりだ、城に居るって事はここで働くのか?」


「はい、ヴィクセン様が薦めてくださいました」


「そうか、まぁ楽しくやってくれ」


「ありがとうございます」


ナスカは満面の笑みを見せる。


「じゃあ最初の仕事だ、ヴェッジとハヤテを2階の客間に案内してやってくれ」


「かしこまりました」


ナスカは一礼するとヴェッジとハヤテを連れその場を後にした。

入れ替わりでジェイドとリュコがやって来る。


「アキラよ改めて礼を言う、ありがとう」


「アキラさん、本当にありがとう」


ジェイドとリュコはアキラに深々と頭を下げた。

アキラはどこか小っ恥ずかしくなってしまう。



「気にするな、それよりこの後はジェイドに任せる仕事の説明をしたい」


「わかった、何をすれば良い?」


「ジェイドにはこの国の将軍になってもらう」


「また大それた役職だな」


「ははは、大丈夫誰も文句は言わないよ、その腕前ならね」


アキラはニカッと笑った。

その顔を見てジェイドはやれやれという感じだ。


「細かい仕事はシルヴィアに聞いてくれ」


「シルヴィア?」


「俺の従者、ちなみに超強いよ」


「ムゲン、ロイズ、ヴェルサスだけじゃなかったのか?」


「そうだよ、シルヴィアの他にもライム、ルージュ、デストがいるよ」


「とんでもねぇな、どれも強いんだろ?」


「当たり前じゃん!」


「全くおまえと言う奴は……」


あの悪夢の様な強さが他にもいると聞いて、ジェイドは疲れた顔をしていた。


「それじゃあ、早速軍務局に行こうか」


そんなジェイドを尻目にアキラは歩き出す、リュコは離れたくないのかジェイドの後ろをついて来る。



「シルヴィア居るか?」


軍務局に着いたアキラはジェイドとリュコを客間で待たせ、訓練所に行きシルヴィアを呼びに行った。

シルヴィアはカムとアレイと共に訓練に勤しんでいた。

シルヴィアはアキラに気づくと組み手を辞める。

カムとアレイは遠くからアキラに向け深々とお辞儀をする、アキラは手を挙げそれに応えた。


シルヴィアが駆け寄って来る。


「マスター、どうかなさいました?」


「強力な仲間を連れてきた、名前はジェイドって言うんだけどジェイドにはアクティースの将軍になってもらうつもり」


「そうですか、仕事が楽になりそうです」


「待たせて悪かったね、今日は顔合わせと大まかにシルヴィアがしている仕事の内容を話してあげて」


「わかりました」


話は終わり、アキラはシルヴィアを連れ客間に向かった。

扉を開け中に入る。



「お待たせ、シルヴィアを連れてきたよ」


「あぁ、そこまで待っ………」


「え?ええ!?」


ジェイドはシルヴィアを見て固まり、リュコは驚きすぎて言葉が詰まる。


「……ガーネット、なのか!?」


「ガーネットお姉ちゃんだよね!?」


2人はシルヴィアに詰め寄る、案の定シルヴィアは何の事かわからず狼狽していた。

アキラは一旦ジェイドとリュコを落ち着かせる為に、ソファーに座らせた。

そして2人から話を聞いた、ガーネットとは傭兵時代のジェイドの相棒でそのガーネットとシルヴィアの顔、体型、背丈は瓜二つ、違う所といえば雰囲気や髪色だけの様だ。



「ガーネット……どこかで……」


アキラはガーネット言うワードを、どこかで見た記憶がある事を思い出す。

うーんと言いながら記憶を辿っていると、ある本の事を思い出した。



「あ!地下研究施設だ!」


アキラはアイテムボックスから地下研究施設で見つけたヴォルマーレポートを取り出した。

そして最後のページを開く。


ーーNo.269ガーネットの適合率は100%だ、傭兵だからなのか実験に耐えれる体力もありそうだ、これで私の長い研究も終わる、とうとう娘に会えるーー


アキラはその文章をアキラとジェイドにも見せた。

そしてヴェルサスがシルヴィアを解析した内容も教える、シルヴィアは誰かの手によって作られた魔物だと。



「……まさか」


「たぶん、シルヴィアの元はガーネットっていう人に間違いないよ、シルヴィアは何か覚えてない?」


「すみません、私には何も……」


「うゔ、ガーネットお姉ちゃん……」


あまりの事に涙を流しながらリュコはシルヴィアに抱きついた、その時……。


「……これは?」


シルヴィアの目から涙が零れ落ちていた。

シルヴィアはこの現象が何なのかわからない。



「……シルヴィア」


アキラはその光景を只々見ている事しか出来なかった。

シルヴィアの涙を見て、リュコは更に涙を流した。

そしてシルヴィアは言う。



「何故目から水が出て来るのかわかりません、でも……コアの部分がとても暖かいです」


シルヴィアの中に残っているガーネットの残滓が、ジェイド、リュコとの再会を喜んで涙しているのかもしれない、だがそれは誰にもわからない。



「……また会えて良かった」


ジェイドは根拠は無いが何故か確信していた、シルヴィアの中にまだガーネットが居ると。


ジェイドの言葉にシシルヴィアは目を見開く、そして初めての笑顔を見せながら言う。



「……ただいま」


「…………」


ジェイドは言葉を失う、その笑顔はいつも隣で戦っていたガーネットそのものだったからだ。

そして涙を溜め天井を見上げる、目にゴミが入ったと言いながら。












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