第8戦記 拙者、音に聞く皇麻里奈でござる‼︎
杏花を最終自衛隊総司令部まで運んだあと、直虎と隊員たちは《《2人目》》の麻里奈が所属するアイドルグループ、SGL369が今ライブを行なっている会場を目指して宇宙へと飛び立った。
【アースドーム】
ここは、地球の衛星軌道上にあるライブ会場「アースドーム」。かつて廃棄予定だったスペースコロニーを改造した、地球を一望できる巨大なライブ会場である。
観客たち「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…‼︎」
司会者「ご来場の皆様、大変長らくお待たせいたしました‼︎ SGL369の到来のお時間です‼︎
さあ皆様、SGL369をここにお呼びしましょう‼︎」
観客たち「ベントラ、ベントラ、Space Girls‼︎ ベントラ、ベントラ、僕の推し‼︎
ベントラ、ベントラ、Space Girls‼︎ ベントラ、ベントラ、僕の推し‼︎」
ライブドームの観客たちがかけ声をかけると、盛大な爆発音と共にライブが開幕した。
ステージの最前列を飾る13人の選抜メンバー、通称「神メン13《サーティーン》」の中に麻里奈の姿があった。麻里奈は《《へびつかい座》》をモチーフとした衣装を着ていた。
髪は両サイドに綺麗に撫で下ろした艶のあるこげ茶色の髪をしている。一風変わった個性派アイドルではあるが、垢抜けた白い肌と汚れを知らない純真無垢な笑顔は、時代を色鮮やかに飾ってきた清純派アイドルを思わせるようだった。
普段は縁の青い伊達メガネをかけているが、アイドル活動の際は外している。
観客たち「わあぁぁぁ‼︎ まり〜なぁぁぁ‼︎」
観客たち「ノッチ〜‼︎ カナ〜ン‼︎ リコ様〜‼︎ ユーこり〜ん‼︎ あ〜ちゃ〜ん………‼︎」
観客たちがそれぞれの推しメンの名を叫んでいる。
総勢369人のSGL369のメンバーがステージに並ぶとオープニング曲が始まった。曲はSGL369の代表曲の一つ「GA☆RA☆XY LOVE♡」だ。
観客たち「あー--、よっしゃいくぞぉぉぉ‼ マーキュリー‼ ヴィーナス‼ アース‼ マーズ‼ ジュピター‼ サターン‼ ウラヌス‼ ネプチューン‼ プルート‼ ユニヴァーー-ス‼ わあぁぁぁぁぁ‼」
SGL369(歌)「3…、2…、1…、GO‼︎ GA☆RA☆XY‼︎ OH〜、GA☆RA☆XY MY LOVE♡ 愛を込めて〜‼︎」
観客たち「HU、HU、HU、HU…‼︎」
SGL369(歌)「そうよ〜 恒星より〜 熱い〜愛を〜‼︎」
観客たち「あ、まり〜な‼︎ Hi‼︎ まり〜な‼︎ Hi‼︎ 一番好きだよ、まり〜な‼︎ Hi‼︎ わあぁぁぁぁぁ‼」
観客たちは歌に合わせて合いの手や掛け声、MIXをコールしたりオタ芸を踊っている。
オープニング曲が終わると、神メン13が名乗りを始めた。
※皇麻里奈=以下、麻里奈と略。
麻里奈「皆のハートにスペースビーム♡ 宇宙無双の武士アイドル、まりまりまり〜な、ただ今参上♪
腕に覚えのファンの者よ、拙者と手合わせ願おうぞ♡」
観客たち「わあぁぁぁぁぁ‼︎ まりまりまり〜なぁぁぁ‼︎」
観客たち「好きだぁぁ‼︎ 愛してるよー‼︎」
麻里奈が名乗りを終え、麻里奈推しの観客たちが騒ぐ中、3階席の出口付近で直虎と隊員たちが万能双眼鏡で麻里奈の姿を確認していた。
直虎「いたわね…」
最終隊員「ええ…、最前列の左から3番目に…」
直虎「予定通りに行くわよ…」
直虎たちは、楽屋の方へ向かった。
2時間ほど経った頃ライブが終わり、SGL369のメンバーたちが楽屋へと戻って来た。
麻里奈「はぁー、今日も最高のライブでござった‼︎ のお、十兵衛‼︎」
麻里奈の側には男性のAIを搭載した、武士の姿を模したような「ペット・ギア」がいた。
そのペット・ギアの名前は「十兵衛」。麻里奈が小学生の頃からの付き合いで、どこへ行くのにも一緒だった。
十兵衛「麻里奈、麻里奈、今日モ見事ナ、戦デアッタゾ‼︎」
マネージャー「麻里奈ちゃん、お疲れ‼︎ 明日のスケジュールなんだけど……、うわぁ‼︎ ちょっと、何なんですかあなたたち⁉︎」
マネージャーと麻里奈のところへ、直虎と隊員たちが割って入った。
直虎「邪魔するわ…」
麻里奈「むむ…⁉︎ お主ら…、何者⁉︎」
十兵衛「曲者、曲者‼︎」
直虎「私たちは新日本政府の最終自衛隊。もしかして、皇麻里奈…?」
麻里奈「そう…、その通り‼︎
遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ‼︎
宇宙無双の武士アイドル、音に聞くまり〜なこと、皇麻里奈とは、拙者のことであるぞ‼︎」
麻里奈の名乗りにどう反応していいか分からず、直虎と隊員たちは少し引いていた。
直虎「す…、皇麻里奈で間違いないのね…」
十兵衛「間違イナイ、間違イナイ‼︎」
麻里奈「さてはお主ら、拙者の追っかけでござるな…? 拙者のサインが欲しいでござるか?」
直虎「いえ…、ちょっと話があるの。ついて来てくれる?」
麻里奈「よかろう…。マネージャー殿、ちょっと行ってくるでござる」
マネージャー「ああっ、ちょっと麻里奈ちゃん⁉︎」
十兵衛「小生モ、ツイテ参ルゾ」
麻里奈と十兵衛は直虎について行き、楽屋裏まで行った。
麻里奈「拙者に話とは、何でござるか?」
十兵衛「何ダ、何ダ⁉︎」
直虎「単刀直入に言うわね。麻里奈、あなたの力を私たちに貸して欲しいの」
麻里奈「拙者の力を…⁉︎」
直虎「あなたも知っている通りラニアケア超銀河団は今、ギャラクシア・ヴァース帝国を初めとした数々の敵勢力の出現で窮地に陥っている。宇宙連邦政府だけの力では到底太刀打ちできない。
そこで新日本政府の地球防衛省は最終自衛隊がいつでも緊急出動できるように、今準備を進めているの。その要となるのは、切り札である最終決戦兵器、波動氣神ジェネバスター‼︎」
麻里奈「波動氣神ジェネバスター⁉︎」
十兵衛「何ダソレ、何ダソレ?」
直虎「合体型のスーパーアーマード・ギアで、5つのアーマード・ギアが合体して一つの巨大なアーマード・ギアになるの。それを操縦できるのはジェネシス・スパイラル・コード、通称GSCが適合する者だけ。
あなたはその一つであるバスター3とGSCが一致したわ」
麻里奈「ほぉ〜、つまり拙者の力なくしてはラニアケアの平和は守れぬということでござるな」
十兵衛「守レナイ、守レナイ‼︎」
直虎「協力してもらってもいいかしら?」
麻里奈「そのような危機を見過ごすなど、武士道精神に反するというもの。よいぞ、拙者は協力するでござるぞ‼︎
だが、拙者だけで勝手に決める訳にはいかぬからなぁ…。プロデューサーの秋山先生にも相談して参らねば」
直虎「OK‼︎ さすがはIQ500の天才少女ね‼︎ 早速、立ち会ってみるわ‼︎」
麻里奈「拙者について参られよ‼︎」
麻里奈と十兵衛と直虎は、SGL369のプロデューサーである「秋山康雄」と立ち会った。
秋山康雄は、SGL369のアイドル369人のマネジメントやプロデュースを請け負う、宇宙をまたにかける名プロデューサーだ。
直虎「と、言う訳です。もちろん、作戦行動時以外は自由で、アイドル活動も今まで通り続けていただいてもかまいません。皇麻里奈の力が必要なのです。どうか、よろしくお願いします‼︎」
※秋山康雄=以下、秋山と略。
秋山「うーん…、そうですか」
秋山はしばらくうつむいて考え事をしていた。
秋山「麻里奈ちゃん、君はどうなんだい?」
麻里奈「拙者は、武士として正々堂々戦う所存でござるぞ‼︎ 本物の武士アイドルとしてデビューする時が来たのかと思うと、武者震いがするでござる‼︎」
十兵衛「小生モ、武者震イガシテキタゾ‼︎」
秋山「んー………。いいでしょう、平和のために戦うのもアイドルの役目ですからね。行ってきなさい」
麻里奈「やったぁ‼︎」
十兵衛「ヤッタ、ヤッタ‼︎ ヤッタ、ヤッタ‼︎」
直虎「ありがとうございます‼︎」
麻里奈と十兵衛は喜んで抱き合い、直虎は深々とお辞儀をした。
秋山「麻里奈ちゃん…、これだけは忘れるんじゃないよ。戦う理由は君自身で見つけ、君自身のために戦うんだ‼︎」
麻里奈「承知‼︎」
直虎(案外すんなりいったわね…。あとの二人もこの調子でいけるといいんだけど…。)
こうして、杏花・麻里奈と二人の子供たちが揃った。残すは、萌・明日美の二人と湯川の元にいる《《実験体》》だ。
果たして、萌と明日美の二人は直虎の招集に応じるのか⁉︎
【次回予告】
ナレーション:レムル・ムー
みなさま、はじめまして。わたくし、レムル・ムーと申します。わたくしの名前、覚えていただけるととても光栄でございます。
最終自衛隊のみなさま、杏花様・麻里奈様のお二人を召集されて、お次は萌様の元へ向かわれるそうですわね。
ですが、天真爛漫で自由気ままな萌様にみなさま振り回されて、苦労なされているご様子ですわ。
何事も問題なく平和的に招集できることを、わたくし、お祈りしています‼︎
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第9戦記 天真爛漫⁉︎ 気まぐれ天使、雪月萌‼︎】
と言う、お話だそうですわよ。わたくしも楽しみにしていますわ。




