第47戦記 First《ファースト》 Date《デート》
日曜日の午後、新渋谷区の新代々木公園でアンドロメダまでかけぬけ隊のミニライブが開催された。
この日も10万人近くの観客が野外の空中ステージに集まり、大盛況であった。
【新代々木公園】
盛大な爆発音とともにミニライブが始まり、メンバー5人が登場した。
麻里奈以外のメンバーの名前は、「渡部真由子」、「ショーコ・ショコラッテ」、「松尾優茉」、「ベル・ロゼ」である。
観客たちはそれぞれの推しメンの名前を愛称で叫んでいる。
観客たち「まり~なぁぁぁ、まゆゆ~~~ん、しょこPぃぃぃ、まっつぅぅぅ、ベるるぅぅぅ‼」
悠理「すごい人数だなぁ…」
ニコル「悠理、ここが空いてるぞ」
悠理「ニコル‼ 君も来てたんだ‼︎」
ニコル「まあな…」
かけぬけ隊(歌)「はじめて君と出会った時~ 遠くの星がきらめいて~」
観客たち「HU、HU、HU、HU‼」
萌「みんなどこ…?」
小百合「あら、萌様‼」
萌「小百合ちゃん‼」
小百合「わたくしと一緒に観ましょうか‼」
萌「うん」
かけぬけ隊(歌)「光が心を突き抜けてく~ 超光速 恋の予感~」
観客たち「OHーーー、Hi、Hi、Hi、Hi‼」
かけぬけ隊(歌)「星風と~ 宇宙の波に乗って~」
昇太・オタクたち「まり~な、Hi‼ まり~な、Hi‼」
かけぬけ隊(歌)「250万光年~ かなたの銀河へ~‼」
観客たち「サンダースネーク‼」
渚「きゃは、楽しそう‼」
朱音「私たちも踊らない⁉」
杏花「わ…、私はいいわ…‼」
恵美子「うふっ、杏花ちゃんって照れ屋さん♡」
かけぬけ隊(歌)「きっと、きっと、つれて行って〜‼︎ 光よりも速く〜‼︎
もっと、もっと、つれて行って〜‼︎ 流星に想いを乗せて〜‼︎」
観客たち「ロ・マ・ン・ス‼」
直虎「輝いてるわね、麻里奈」
レーチェル「ええ…」
かけぬけ隊(歌)「きっと、きっと、つれて行って〜‼︎ 天の河を越えて〜‼︎
もっと、もっと、つれて行って〜‼︎ 私と君で〜‼︎
アンドロメダまで〜〜〜‼︎」
観客たち「あー--、よっしゃいくぞぉぉぉ‼ マーキュリー‼ ヴィーナス‼」
昇太・松山・竹原・梅澤「アース‼ マーズ‼」
渚・朱音・恵美子「ジュピター‼ サターン‼」
小百合「ウラヌス‼ ネプチューン‼」
観客たち「プルート‼ ユニヴァーー-ス‼ わあぁぁぁぁぁ‼」
曲が終了すると会場は大歓声に包まれ、メンバー5人が名乗りを始めた。
※以下4名、渡部真由子=真由子、ショーコ・ショコラッテ=ショーコ、松尾優茉=優茉、ベル・ロゼ=ベルと略。
かけぬけ隊「みなさー--ん、こんにちはー--‼ 私たち宇宙人系女子アイドル‼」
麻里奈「まり~な‼」
麻由子「まゆゆん‼」
ショーコ「しょこP‼」
優茉「まっつー‼」
ベル「べるる‼」
かけぬけ隊「5人揃ってーーー‼︎ アンドロメダまでー--、かけぬけたー--い、ですっ♡ ただ今地球に到着しましたー--♡」
観客たち「わあぁぁぁぁぁぁ‼」
ミア「皇麻里奈…」
雛菊「天性のアイドル性か。同じ女子として少々うらやましいものだ…」
その後トークや握手会などのイベントが始まった。イベントが終わりに近づいてくると各々帰る準備を始めた。
明日美「麻里奈ちゃん、最高よ。あ、そろそろ悠理くんに連絡しないと」
渚「麻里奈ちゃん、可愛いかったね」
杏花「ええ、また行きたいわ」
小百合「麻里奈様…、お美しいですわ…‼」
萌「え…⁉」
竹原「昇太氏、何周したでござるか?」
昇太「3周かな」
直虎「私たちもそろそろ帰りましょうか」
レーチェル「ええ…」
悠理「ん…?」
ニコル「電話か?」
悠理「ああ、このあと待ち合わせが…。またね」
ニコル「ああ…」
悠理は明日美からv Phoneに電話がかかってきたので、人混みを離れて電話に出た。
悠理「もしもし、明日美さん」
明日美「もしもし、悠理くん。入り口の方で待ってるわね」
悠理「はい、今から向かいます」
悠理は通話を終えると、新代々木公園の入り口へ向かった。
入り口にたどり着くと、明日美は木陰の下で悠理を待っていた。
明日美「悠理くん、こっちよ‼」
悠理「あっ…⁉」
明日美は黒いレースの付いた赤いキャミソールとスカートという、大人びた服装で来ていた。悠理はいつもと違う明日美の色気と雰囲気に、少し照れていた。
悠理(明日美さん…、いつも綺麗だけど、今日はまた一段と綺麗だな…)
明日美「どうしたの、悠理くん?」
悠理「ええっと…、その…、今日の服もいいですね…」
明日美「ありがとう♡ 私が車で送っていくわ、行きましょう‼」
悠理「ありがとうございます‼」
悠理(いい匂いがする…)
悠理は明日美の車に乗車し、新千代田区にある新東京国立美術館へ向かった。
【新東京国立美術館】
新東京国立美術館は道路に面し、辺りは街路樹で囲まれ、近くには堀や公園があり、正面玄関前には旧世界展の看板が大きく掲げられていた。
車を降りると、明日美は帽子とサングラスと薄手のコートを着用して出た。
悠理「明日美さん、その格好は…?」
明日美「これはファンやマスコミの目を避けるためのものよ。私と悠理くんが一緒にいるところを週刊誌の記者たちに見られたら、面倒なことになるからね」
悠理「そうなんですか…」
明日美は株主優待券を受付の係員に見せて入場すると、しばらく歩いてからあまり目立たない場所で帽子とサングラスとコートを脱いだ。
明日美「さて、この辺まで来れば大丈夫ね。悠理くん、まずどこから周ろうか?」
悠理「そうですね、この前見た《《あの絵》》の人…、誰でしたっけ?」
明日美「アルノルト・ベックリンよ。行きましょう‼」
悠理と明日美はベックリンの絵画が展示されているコーナーから周った。
悠理「これって、《《死の島》》ですよね? 僕が知らない、同じ名前の絵が4つもありますね」
明日美「この絵はとても人気があって、ベックリンに依頼をして描いてもらった人たちが何人もいるから、5種類あるのよ」
悠理「そうなんですね。でも《《4枚目》》だけ白黒写真なのは何故でしょうかね?」
明日美「《《4枚目》》は第二次世界大戦で、燃えてしまったらしいわ」
悠理「第二次世界大戦…、うっ…」
悠理は少し立ちくらみがして、倒れそうになった。
明日美「大丈夫、悠理くん?」
悠理「ああ、ちょっと…、ライブで疲れてるだけです」
明日美「館内に喫茶店があるから、少し休憩しましょうか」
悠理「はい」
明日美は少し疲れていた悠理を気遣い、館内の喫茶店で紅茶とヴィーガンーキを食べながら一休みした。
悠理「美味しいですね」
明日美「ええ。ここはオーガニック素材を使用しているのよ」
悠理「オーガニック?」
明日美「農薬や化学物質を使わない、自然由来の食材よ。悠理くん、この前もレストランで《《野菜》》よく食べてたね。《《好き》》なの?」
悠理「何故か、自然と食べてしまうんです」
明日美「そっか。そろそろ大丈夫?」
悠理「はい。次は、この前明日美さんがオススメしてくれた画家の絵を見て周りたいです」
明日美「じゃあ、フェルメールから見に行きましょうか‼」
明日美は席を立ち会計を済ませると店を出て、フェルメール、ダヴィンチ、ゴッホ、ピカソの順に絵画を見て回ることにした。
悠理「これがフェルメールの絵」
明日美「そう、「天文学者」って言う作品よ。フェルメールの作品は数は少ないけれど、盗難事件が多発するほど彼の絵を欲しがる人は多かったの」
悠理(不思議だな…。《《死の島》》と言い、《《引き込まれる》》ようだ…)
明日美「これは「モナ・リザ」よ。旧世界で最も有名な絵と言われているわ。ダヴィンチは絵だけじゃなく、科学・医学・天文学・音楽・建築とあらゆる分野で才能を発揮したのよ」
悠理「へえ~、そんなすごい人が旧世界にはいたんですね」
明日美「「ローヌ川の星月夜」。ゴッホの代表作の一つよ」
悠理「綺麗ですね」
明日美「ええ。ただ、ゴッホの絵は彼が生きている間はあまり世間から評価されず、彼が亡くなったあとになってから評価されるようになったの。
時代や世間がゴッホの才能に追いついていなかったと考えると、やるせない気持ちね」
悠理「こんなに素敵な絵なのに、あとになってから認められるなんて、複雑な気持ちになりますね」
悠理「これが、ピカソの絵…? 何というか、一段と個性的で変わった絵ですね…」
明日美「「ゲルニカ」ね。確かにかなり個性的だけど、よく見ると絵の中から飛び出して来そうな立体感があるでしょう?」
悠理「確かに。面白いですね」
悠理はピカソのゲルニカに夢中になり、段々と絵の世界へ引き込まれていくような感覚になった。だが、同時に《《あの夢》》の中で体感した感覚が背中からゆっくりと忍び寄る気配がし、少し冷汗が出てきた。
明日美「これはピカソが「ジョルジュ・ブラック」と生み出した「キュビズム」って言う技法を使って描いているのよ。このキュビズムが当時、全く新しい技法であると話題になってね、それからピカソは20世紀最大の画家として、新西暦になった今でも数々のアーティストに影響を与えているの」
悠理「へえ…、ところでこれは…、戦争を表現しているんですかね?」
明日美「そう、ゲルニカって言う第二次世界大戦で爆撃を受けた街を題材にしているの。戦争の悲惨さを訴える、反戦と平和の象徴でもあるわ」
悠理「反戦と平和………。………っ?」
明日美「どうしたの、悠理くん⁉」
悠理の脳裏にまたあの時の《《謎の声》》が語りかけてきた。悠理は苦しそうにもがき出し、明日美は悠理を抱えた。
「イイ女連れて二人きりでデートか…? うらやましいな…」
悠理「誰だ…⁉」
「俺のことを忘れてもらっては困るな…、プロトY。俺はいつもお前のすぐ側にいるんだからな…」
悠理「僕は…、《《プロトY》》じゃない…‼ 大和悠理だ…‼」
「悪い…、悠理だったな…」
悠理「僕のところへ…、何しに来た…‼」
「忠告しに来たのさ…、もうすぐ《《来る》》からな…」
悠理「《《来る》》…⁉」
明日美「悠理くん、しかっり‼」
「ああ…、すぐそこまで近づいて来て………、なぁっ………‼」
次の瞬間、またあの時と同じ、死にゆく人々、燃える街、巨大な爆発、消滅する世界、炎と黒い煙、それらの場面が次から次へ脳裏に浮かび、悠理は苦しさのあまりに床に手をついた。
悠理「うあぁ…、あああぁぁぁ…‼」
明日美「悠理くん、大丈夫⁉ 悠理くん、悠理くん‼」
悠理「はぁ…、はぁ…‼︎ だ…、大丈夫です…。せっかくの休みなのに…、すみません…」
明日美「いいのよ、そんなの‼ 近くの公園でゆっくり休みましょう‼︎」
悠理「は…、はい…」
【北の丸公園】
悠理と明日美は新東京国立美術館を出て、「北の丸公園」でベンチに座り、ゆっくり休むことにした。
夕方ということもあり、カップルがたくさん集まっている。
男性A「おい、あれもしかして華園明日美…⁉︎」
男性B「違うだろ‼︎ 隣にいるのは15、6ぐらいのガキだぜ‼︎ 華園明日美がガキを相手にする訳ねぇよ‼︎」
明日美は何とか顔を隠してやり過ごした。悠理は隣で明日美が買ってきた水を飲んでいる。
明日美「ふぅ…、失礼しちゃうわ。悠理くんだって立派な男よ」
悠理「ありがとうございます‼︎ また、借りができましたね‼︎」
明日美「大丈夫、悠理くんが元気になってくれればいいのよ‼︎」
悠理「それにしても、静かで、風が涼しくていいところですよね…」
明日美「そうね…」
悠理「明日美さん…、何か気分がよくなってきたら………」
明日美「あら、悠理くん…、悠理くん…‼︎」
悠理は気分がよくなった途端、明日美にもたれかかるようにして眠りについてしまった。
明日美「疲れて寝ちゃったのね…、しょうがないな〜♡ でも、初めて会った時みたいね…。無邪気で整った顔…、可愛い…♡」
明日美(今なら…、ちょっとだけ…♡ そう………、今の内なら………♡)
悠理「ZZZ…」
明日美(んっ………♡)
明日美は眠りについた悠理が可愛いあまり、寝ている間にキスをしようと唇をそーっと近づけた。
その時だった。
「ヴゥゥゥゥゥゥゥゥ‼︎」
明日美「…⁉︎」
悠理「………?」
突如、鳴り出したサイレン。この出来事は《《謎の声》》が言う、もうすぐ《《来る》》何かと関係しているのか?
【次回予告】
ナレーション:オズマ・ヘンダーソン
オズマ中佐だ‼︎ 仕方なく私もここに出てやる‼︎
私を散々バカにしたGトルーパーズめ‼︎ 今回ばかりはさすがに私の身も危ないから見逃してやる‼︎
だから、人類を守るためにもしっかり働けよ‼︎
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第48戦記 訪れざる宴】
という話らしいぞ‼︎ 楽しみにしていろ‼︎




