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宇宙創戦記《うちゅうそうせんき》XTENTION《エクステンション》 本編  作者: ヒイロ・ユウ


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第46戦記 恋せよ乙女たち‼︎

 Gトルーパーズの面々が麻里奈のミニライブに行く話で盛り上がっている裏で、明日美はレーチェルに相談を持ち掛けていた。




【ミカサ・グレート艦内】


レーチェル「で、何の相談? 華園さん?」


明日美「その…」


レーチェル「恋の悩みかしら…?」


明日美「えっ…?」


 明日美は驚いて思わず頬を赤らめた。



レーチェル「大和くんのことね」


明日美「どうして分かるんですか…?」


レーチェル「ふふっ…、私は大学で心理学を専攻していた、心理カウンセラーでもあるのよ。あなたを見ていれば分かるわ」


明日美「さすが主任、お見通しという訳ですね」


レーチェル「それに私は、兵士たちの心身の健康管理も兼ねて、みんなの観察記録も取っているの。この前、みんなでヴィーガンレストランで食事をしたそうね?」


明日美「ええ、そうです。ただ…、悠理くんって、謎が多くてつかみどころが無くて、いまいちどうしていいか分からないんです…」


レーチェル「今までのことをよく思い出してみて。つかみどころのない彼でも、興味を示したものが何かあるはずよ」




-明日美の回想シーン-




 明日美は悠理たちの入学祝いに、華園財閥のグループ企業が経営するヴィーガンレストランで食事をした時のことを思い出していた。


 内装は宮殿のような造りで、グランドピアノやイベントのゲストが登壇するステージがあり、中央にあるオブジェからはゆったりと水が流れている。

 BGMは「ヨハン・セバスチャン・バッハ」の「G《ジー》線上《せんじょう》のアリア」で、一同は店内に足を踏み入れた瞬間、心が洗われるような気持ちになるのが分かった。


杏花「「東京《とうきょう》バベルタワー」の最上階じゃない‼」


麻里奈「地上2000mの300階、現代の「バベルの塔《とう》」でござるな‼」


萌「すごい景色…」


直虎「ふふ、みんな驚いているようね」


悠理「………」


 他の三人が地上2000mから見下ろす夜景に見惚れている中、悠理は中に飾られている絵画を興味深そうに見つめていた。


明日美「どうしたの、悠理くん?」


悠理「この絵に興味を惹かれるんです」


明日美「それはね、スイスの画家「アルノルト・ベックリン」の「死《し》の島《しま》」って言う作品のレプリカよ。」


悠理「《《死の島》》…。少し暗く寂しい感じがしますけど、奥深い世界が目の前に広がっていて、思わず《《引き込まれ》》ますよね。不思議ですね…」


明日美「分かるわ‼ 私も母さんがスイス人で絵が好きだから、その影響でこのレプリカを買っちゃったの‼ 悠理くんって、絵が趣味なの?」


悠理「趣味? 趣味っていうのか、よく分からないんですけれど、何か《《いい絵》》だなぁって思って」


明日美「へえ~、じゃあ今度一緒に絵でも見に行きましょうか?」




明日美「そう言えば悠理くん、旧世界の名画のレプリカに興味を示していました…‼」


レーチェル「それよ‼ 確かに彼って見た目が文化系で、繊細で感受性が高そうなところがあるからね」


明日美「ありがとうございます、主任‼」


レーチェル「頑張ってね。華園さん‼」


 明日美はレーチェルとの恋愛相談を終えると、悠理をデートに誘いに行った。ちょうど悠理はリフレッシュルームで一人で休憩しており、タイミングがよかったため、明日美は勇気を出して悠理に声をかけた。



悠理「はぁ、ここは落ち着くなぁ…」


明日美「悠理くん、ここにいたのね」


悠理「明日美さん。どうしたんですか?」


明日美「悠理くんも、日曜日の麻里奈ちゃんのミニライブ行くでしょ?」


悠理「ええ、そのつもりです」


明日美「悠理くん…、麻里奈ちゃんのミニライブが終わったあと、一緒に美術館に行かない?」


悠理「美術館…? 美術館って何ですか?」


明日美「絵とか彫刻とか色々な美術品を展示しているところよ。悠理くん、絵が好きでしょ?」


悠理「はい。何故《《好き》》なのか、自分でもよく分からないですけど…」


明日美「ちょうど日曜日に「旧世界展《きゅうせかいてん》」って言う美術展が、「新東京国立美術館《しんとうきょうこくりつびじゅつかん》」で開かれるの。

 《《死の島》》の作者、ベックリン以外にも「ヨハネス・フェルメール」や「レオナルド・ダヴィンチ」、「フィンセント・ファン・ゴッホ」に「パブロ・ピカソ」と、旧世界の有名な画家たちの絵が沢山あるのよ。


 悠理くんの好きそうな画家ばかりだからと思ったんだけど、どうかしら?」


悠理「それは行ってみたいですね」


明日美「じゃあ、日曜日の午後から行きましょうか‼︎」


悠理「はい‼︎ ところで、他のみんなも来るんですか?」


明日美「えっ…⁉︎」


 悠理の唐突な問いかけに、明日美は少し戸惑ってしまった。



明日美「えっと…、悠理くんと二人で行ってみたいなと思ったんだけど、二人きりは抵抗があったかしら…?」


悠理「いえ、そんなことないですよ。もしかしたら、他のみんなにも声をかけたのかなって思っただけです」


明日美「そう…、それならよかった。じゃあ、今週の日曜日に‼ 約束ね♡」


悠理(美術館…、どんなところなんだろう?)



直虎「明・日・美っ♡」


明日美「きゃっ‼︎ 立花司令、脅かさないで下さい‼︎」


直虎「明日美…、やるじゃない♡」


明日美「まさか、聞いていたんですか…⁉︎」


直虎「一部始終ね♡ 頑張るのよ♡」


明日美「はぁ…」



 そのあと悠理は、杏花たちがいるブリーフィングルームへ向かった。そこには直虎とレーチェルもいた。


杏花「ええっ、明日美に美術館に誘われたの⁉︎」


悠理「そうなんだ。何故二人なのかがよく分からなくて、みんなに聞いてみたんだけど…」


十兵衛「ソレハ、デートト言ウヤツダ」


悠理「デート? 何なのそれ?」


麻里奈「男女二人で食事をしたり、お出かけすることでござる。しかし、悠理殿も隅におけんでござるなぁ…」


杏花「アンタって一般常識だけじゃなく、他人の気持ちにも疎いのね‼︎」


悠理「気持ち? どういうこと?」


杏花「もういい…」


悠理「よく分からないけど、デートっていうのはいいことなのかな?」


萌「相手が誰であるか、お互いがどう思ってるかにもよるよね」


麻里奈「悠理殿の場合は、素直に喜んでよいのでござるぞ。何たって、世の男の夢である明日美殿と………。ムフフフフフ…」


直虎「容姿端麗、スタイル抜群、気品があって性格よし。おまけにお金持ちのお嬢様で、大人気セクシー系グラビアアイドルなんだから、こんなこと世の男連中が聞いたら妬み僻みの雨嵐よ」


杏花「本当。世の中に美女はたくさんいれど、明日美レベルのハイクラス女子なんてそうそういないんだから。


 でも明日美だったら、「吉井沢亮平《よしいざわりょうへい》」や「斉藤健《さいとうたける》」みたいな大人気イケメン俳優と付き合ったり、「ディップ・ジョニー」や「ピーター・ブラッド」、「レオン・D・スミス」とか、お金持ちでイケメンのスペースハリウッドスターの玉の輿に乗ることだって夢じゃないのに、何でかしらね?」


萌「好みは人それぞれだからね」


杏花「人それぞれでも、明日美のようなハイクラス女子が、悠理みたいな優柔不断で頼りなさそうな男を普通選ぶかしらね?」


麻里奈「杏花姫…、悠理殿の前で直接言うのは…」


杏花「大丈夫よ。だってホラ…、コイツ私たちの会話の意味をサッパリ分かってないから」


悠理「ん………?」


萌「確かに…」


直虎「そんなことないわよ‼︎ 悠理くんだって普段はこんな感じでも、よく見ればイケメンだし、童顔で可愛いじゃない♡」


レーチェル「そうね。それに、華園さんのように何でも器用にこなして非の打ち所がなくて、周囲から特別視されるような子って意外とそういうところがあるものよ。


 彼女だからこそ、気を遣ってしまうハイクラスなセレブやイケメン、自分を特別視してくるその辺の男よりも、大和くんのように純真無垢で互いに自然体でいられるような、心のオアシスとなる男性を求めるのかもね」


麻里奈「明日美殿ほどの強者なら守られるよりも、守りたくなるという心情になるのでござろうな」


十兵衛「母性本能、ト言ウヤツダナ」


杏花「そういうものかな…? さっ、私も福山さんの攻略法を練らなきゃ♡」


悠理「そう言えば、明日美さんはどこへ行ったのですか?」


直虎「さっき出会ったけど、親と《《連絡》》することがあるからって、どこかへ行ったわ」


 そんな会話をしながら、ミカサ・グレートは最終自衛隊総司令部へ帰還し、また元の位置に戻った。


 そして、日曜日。




【新渋谷区】


 この日の午前中、杏花は渚たちと「SHIBUYA369《しぶやサンロクキュー》」へショッピングに来ていた。


 SHIBUYA369は様々なブランドやファッションを取りそろえるファッションビルで、休日になるといつも客で賑わい、常に最新のトレンドや流行の最先端を世の中へ発信している。


杏花「いつもこんなに混んでるの?」


渚「そう、休日になればいつもいっぱい」


朱音「みんな新作や人気アイテムを手に入れるのに必死だからね」



男性客A「うおぉぉぉ、杏花・E・ティアーがいるぞ‼」


男性客B「何かのイベントか⁉ サイン貰ってこようかな~‼」



恵美子「杏花ちゃん、逃げましょう‼」


杏花「全く、ショッピングぐらいゆっくりさせて欲しいわね…」


 杏花たちは素早く二階へ上がり、男たちを振りまいた。



杏花「……………………」


 アクセサリーショップにたどり着いた杏花たち。杏花はショップに並んだ色とりどりのリボンや髪飾り、指輪やブレスレットなどを見て戸惑っていた。


渚「どうしたの、杏花ちゃん?」


杏花「なんかね、どういうのが私に似合うのか、いまいち分からないの。今までファッションとか全然気にしてなかったから」


朱音「そうなの⁉ 杏花ちゃん、せっかく背が高くてスタイルもよくて、美人なのにもったいない‼」


杏花「本当⁉」


恵美子「私たちがオススメ選んであげようか?」


杏花「お願いね‼」


渚「このピンク色のリボンなんかどう? 杏花ちゃんがいつもつけてる《《ペンダント》》に似合いそうだね」


杏花「へえ~、可愛くてオシャレじゃない‼」


 杏花は鏡で自分の姿をチェックしながらリボンを手に取った。なかなか気に入ったようだ。


朱音「それから、この指輪とブレスレットとか…」


杏花「ええっ…⁉」


恵美子「それからそれから、こんな服とかスカートとか…」


杏花「あああっ、ちょっと…‼」


 渚たちから勧められたものを全て試着してみた杏花は、鏡を見てその華美さに驚いてしまった。


杏花「………」


渚「ちょっと…、やりすぎちゃったわね…」


朱音「確かに…」


恵美子「やっぱり杏花ちゃんには、アスリートの引き締まった身体のラインを綺麗に見せる、シンプルなパンツスタイルが似合うわね」


杏花「私、このリボンは気に入ったわ‼ これにするわね‼」


渚・朱音・恵美子「本当⁉ よかった‼」


杏花(福山さん♡ 私のこと、何て言ってくれるかなぁ…♡)



ミア「……………………」


 ミアも偶然、SHIBUYA369にショッピングに来ていた。黒い帽子やサングラスで顔をしっかりと隠してファンの目に触れぬようにし、遠くから杏花を見つめていた。


ミア「たまにはリーズナブルなものをと思って来てみたが、なかなかいいものが揃ってるな」


 そこへ一人の女性がミアに近づいて来た。


ミア「雛か…」


雛菊「金曜日、京都で会談が開かれるそうだ…」


 雛菊も帽子とサングラスで顔を隠していた。白色の帽子に薄紫色のワンピースと、意外と可愛い趣味があるようだ。


ミア「それで、Dr.エビルは何と?」


雛菊「雛とミアで忍び、会談を狙え…、だ…」


ミア「分かった、それまではゆっくりと楽しもう」


雛菊「そうだな、雛は流行に疎い。服選びに付き合ってくれんか?」


ミア「いいぞ」


雛菊「かたじけない。ところで、アインの方とはどうなのだ?」


ミア「いや…、アイツとはあくまでもともに戦うパートナーという関係だ。それ以外は何もない…」



 Gトルーパーズが休日を謳歌する裏で、機甲十字軍は密かに京都での会談を狙っていた。


 最終自衛隊は、無事に会談を成功させることができるのか?




【次回予告】


ナレーション:ニコルソン・リューゲン


 次回、宇宙創戦記XTENTION‼


 ニコルソンだ…。ニコルと呼んでくれ。


 皇麻里奈のミニライブを終えたあと、悠理は華園明日美と美術館デートをするみたいだな。俺にはデートの価値というものがよく分からんが、楽しんできてくれ。


 急に邪魔者でも入って来るなんてことにならなければいいがな…。


 【第47戦記 First Date《ファーストデート》】


 と言う話だそうだ。楽しみにしておくんだな…。

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