第39戦記 新時代を背負う者たち
地球防衛省が宇宙連邦政府軍とS.I.Aに包囲される前日、国会議事堂では徳川に弱みを握られた阿蘇部が、証人喚問を受けていた。
そこには、大スクープとばかりに騒ぎを聞きつけて詰めかけるマスコミ関係者たちもいた。
【国会議事堂 本館】
徳川「総理、度重なる法を踏みにじる行為、どう説明責任をなさるおつもりですか?」
脇坂「最終自衛隊の出動に始まり、ジェネバスターの起動。独断で軍事力を行使された責任は大きいですぞ」
阿蘇部「徳川副総理…、脇坂財務大臣…‼︎」
徳川と脇坂、その他徳川派の衆議院議員たちが阿蘇部に詰め寄る。
朽木「それだけではありません」
赤座「あなたには国民を危険に晒そうとした疑いもあります」
阿蘇部「何の根拠があって言っている‼︎」
小川「根拠ならありますよ、ですよね小早川外務大臣」
阿蘇部「小早川外務大臣⁉︎」
小早川「総理、秀憲は失望いたしました」
小早川も現れ、徳川派の野党議員たちが一気に詰め寄ってきた。
小早川「秀憲が連絡を取っていた宇宙連邦政府のエージェントにより調べはついています。
最終自衛隊は機甲十字軍から亡命した科学者、湯川英一郎とコンタクトを取っていたそうですね。
世間ではその存在はまだ公になっていませんが、機甲十字軍は旧世界のナチス・ドイツの残党や、宇宙の治安と平和を脅かす危険人物から構成された組織。
その組織の者の手助けと、それを助長する最終自衛隊を動かすなど、国を守る責任者としていかがなものでしょうか⁉︎」
議員A「どうゆうことですか、総理‼︎」
議員B「説明責任を果たして下さい、総理‼︎」
阿蘇部「湯川博士は元は日本人の科学者、我が国の国民を受け入れて何が悪い‼︎ それに博士は機甲十字軍に家族を《《人質》》に取られて、強制的に研究や開発を強いられていたのだぞ‼︎」
朽木「それだけで本当に信用してもよいのでしょうか?」
赤座「長年組織にいたのなら、機甲十字軍のスパイの可能性だって、否定はできないと思いませんか?」
阿蘇部「くぅぅ………」
小川「それともう一つ…、私たちは総理の黒い噂もお聞きしていますぞ」
阿蘇部「どうせ週刊誌のゴシップ記事だろう…‼︎」
脇坂「いえ…。この前、ネオ新宿区を襲撃した星龍會の二次団体である流星組。その機甲暴力団員を逮捕し事情聴取をしたところ、襲撃の指示をしたのは総理…、あなたであると白状したのですよ。この件をどう説明されるおつもりですか?」
阿蘇部「何だと⁉︎」
議員たちがざわつき始め、国会議事堂の中に不穏な空気が流れた。
徳川「さしずめ、最終自衛隊の出動を正当化するための自作自演…、と言ったところでしょうかな?」
阿蘇部「知らん‼︎ 私はそんな連中と関わりなどない‼︎ それを言うなら徳川副総理…、私もあなた方の不穏な動きを以前から察知していましたよ‼︎」
脇坂「ほう…?」
阿蘇部「あなた方はマスコミのみならず、宇宙連邦政府のエージェントや機甲暴力団と結託してまで私を引きずり下ろす魂胆でしょう⁉︎
先の宇宙連邦政府軍との通信妨害もあなた方の仕業だな‼︎」
徳川「さて…、何の根拠があって言っているのでしょうか…?
まあ…、あなたが説明責任と一切の関与を否定なさるおつもりなら、それでも構いませんよ。その場合こちら側は対策委員会を設置し、議会と連携して連邦裁判であなたを追求する方針です。
どうなされますか、総理? これから我々は富士山防衛大臣の証人喚問も行う予定です」
阿蘇部「……………」
徳川「あなたの説明責任によっては、マスコミへの報道規制・富士山防衛大臣の証人喚問も《《考慮し直しても》》よいのですよ」
阿蘇部「ぐ…、ぐぐ………、分かった…、私が内閣総理大臣を辞任して責任を取ろう…」
全員「…⁉︎」
議員たち全員が驚いた顔をして阿蘇部の方を向いた。徳川や脇坂、一部の徳川派の議員たちは思わずニヤリと笑った。
徳川「本当に…、それでよいのですね…?」
阿蘇部「最終自衛隊とジェネバスターは防衛の要…。今、それを失うわけにはいかん…。私の辞任で富士山防衛大臣を見逃してくれるのなら、今、この時をもって私が辞任しよう…」
徳川「賢明なご判断です…。あとは私たちにお任せ下さい。新日本政府をよりよいものへ改革してゆくことをお約束いたしましょう」
衆議院議長「以上をもって、国会を閉会します‼︎」
徳川(フフフ…、政治の名門、小早川家の宇宙連邦政府との太いパイプが役に立ったな。小早川秀憲が優柔不断な政治音痴の坊やで助かったわ…)
阿蘇部は辞任を宣言すると議員たちに見守られながら、国会議事堂を出た。
外にはマスコミ関係者が待ち構えており、阿蘇部が出てくると一斉にマイクやカメラを持って押し合いながら詰めかけた。
新聞記者A「「ユニヴァース・タイムズ」です‼︎ 総理‼︎ 総理大臣を退陣されるというのは本当ですか⁉︎」
新聞記者B「一体何があったんですか、総理‼︎」
新聞記者C「総理‼︎ お話をお聞かせください‼︎」
阿蘇部(富士山防衛大臣…、気をつけるのだ。《《あの男》》は必ずや…、最終自衛隊にも手を伸ばす…‼︎)
執拗なマスコミを避けながら、阿蘇部はその場を早歩きで去っていった。
そして、時は戻る。
【最終自衛隊総司令部】
Gトルーパーズが最終自衛隊総司令部へ到着すると、そこには直虎・富士山・福山・レーチェルがおり、隊員たちが綺麗に整列していたが、みんなどことなく暗い表情をしている。
悠理「直虎さん‼︎」
麻里奈「直虎殿‼︎」
杏花「直虎、一体何があったの?」
直虎「みんな…、ごめんなさい…」
富士山「ああ、本当に申し訳ない。私はもう…、君たちの上官ではなくなったのだ」
G・T「ええっ⁉︎」
萌「うそ…?」
明日美「何があったのですか? 長官?」
Gトルーパーズの間に激震が走り、しばらくの間誰も何も言えずに立ち止まっていた。
富士山「理由は他でもない、先日の宇宙連邦政府との戦いの一件だ。狡猾で用意周到な徳川と連中は、我々が正当防衛の名目で抵抗を試みることも見越していたのだ」
悠理「そ、そんな…」
明日美「どうしてこんなことに…」
杏花「これじゃ私たちが戦った意味がないじゃない‼︎ 相手側だって最初からやるつもりだったんでしょ⁉︎ だったら…‼︎」
直虎「長官や私も証人喚問で頑張って正当防衛を主張したわ‼︎ でも相手は聞く耳すら持たなかった。」
レーチェル「「宇宙連邦政府裁判所」は、奴らの独壇場」
福山「俺たちのような一国の一軍隊の声は、届かないに等しい」
萌「やりきれないね」
麻里奈「これが大人の事情というヤツでござるか…」
十兵衛「理不尽、理不尽‼︎」
杏花「アイツら、もう許せない‼︎」
直虎「杏花、やめなさい‼︎ ここで騒いでも火に油を注ぐだけよ‼︎」
富士山「そうだ‼︎ 相手は巨大な宇宙の権力、我々だけでどうにかできるものではない‼︎」
杏花「じゃあ私たちに、これからどうしろって言うの⁉︎」
麻里奈「杏花姫、一旦冷静になるでござる‼︎」
明日美「麻里奈ちゃんの言う通りよ、何もまだ希望がなくなった訳じゃないわ‼︎」
周囲の面々に静止され、杏花は冷静になった。
悠理「僕たちが戦ってしまったから、こんな風になってしまったのかな?」
萌「えっ?」
悠理「戦わずに大人しくしていれば長官も辞任せず、何も起こらずに済んだのかなって思ったんだ」
直虎「そんなことはないわ。相手の狙いはバスターシリーズと、ジェネバスターよ。奴らの言う通りにしたら、それこそ思う壺だわ」
富士山「ああ、私もいずれこうなると覚悟はしていたが、まさかこんなに早く手を回してくるとは思わなかった。それにバスターシリーズとジェネバスター、君たちGトルーパーズは《《最後の希望》》だ。それを守り抜くためなら、私の辞任なんて安いものだよ」
G・T「長官…⁉︎」
最終隊員たち「長官‼︎」
直虎・福山・レーチェル「長官…」
直虎は涙を飲んで富士山の顔を見た。
富士山「徳川がこうして私を辞任に追い込んできたのも、全てはバスターシリーズとジェネバスターを手に入れる、その一点だ‼︎ これからはより一層巧妙な手を使って狙うだろう。
だが、もう一度言うがバスターシリーズとジェネバスター、そしてGトルーパーズは《《最後の希望》》‼︎ それだけは何としても絶対に守り抜かねばならない‼︎」
最終隊員「長官………」
富士山「おお、そろそろ時間か。これが私からの最後の言葉になる、よく聞いてくれ‼︎
私はかつて第二次宇宙大戦の英雄の一人で、星海のネルソンと呼ばれた男だ。私には今までに得た地位や名誉、戦場で培った戦闘技術や戦術眼がある。
そして、それらの豊富な実戦や人生経験から来る戦略を元に相手と駆け引きをし、技を磨き、知恵を蓄えていくことはいくらでもできる。
だが私はすでに前時代の人間、時代を創るだけの力はもうない‼ 新しい時代とはどんな時も、いつの時代も、君たちのような若者たちが創るのだ‼︎
新しい時代を創る若者たちよ、新時代を背負う者たちよ‼︎ 我々の…、人類の…、宇宙の輝かしい未来を創造するのだ‼︎
立花司令、最終自衛隊を…、Gトルーパーズをよろしく頼むぞ‼︎ 君ならば必ず彼らと彼女らをよりよい方向へ導いていける‼︎」
直虎「はい…、長官…、今まで…、お世話になったご恩は…、決して忘れません………‼︎」
直虎は涙をこらえきれなくなり、泣き崩れてしまった。
富士山「福山くん、立花司令の補佐を頼むぞ‼︎ 彼女を支えられるのは、君だけだ…‼︎」
福山「任せてください、長官…」
富士山「レーチェル博士、最終自衛隊のサポートを頼む‼︎ 隊員たちのケア、そして立花司令が道に迷った時には、側にいてやってくれ…‼︎」
レーチェル「ええ、長官」
富士山「隊員たち、君たちも立花司令とGトルーパーズのサポートを今後ともよろしく頼む‼︎ 君たちは一人一人が掛け替えのない存在‼ それを胸に各々の使命を果たすのだ‼︎」
最終隊員たち「はっ‼︎ 今までありがとうございました、長官‼︎ 今後とも、精一杯精進して参ります‼︎」
富士山「Gトルーパーズ‼︎」
G・T「はいっ‼︎」
富士山「最終決戦部隊…、ジェネシック・トルーパーズ‼︎ 短い間ではあったが、私は君たちに《《新時代の可能性》》を見た‼︎ この混沌の世界に終止符を打ち、それぞれの輝かしい未来を切り開いていくのだ‼︎」
G・T「はい、ありがとうございます‼︎」
富士山「私は本日をもって…、地球防衛省大臣を…、最終自衛隊の長官を辞任する‼︎」
直虎「みんな、長官に敬礼よ‼︎」
「パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ…」
最終自衛隊の一同が横2列に並び敬礼すると、その間を富士山は通り過ぎ、拍手で見送られながら最終自衛隊総司令部をあとにした。
杏花「本当に短かったけど、惜しい人がいなくなっちゃったわね」
萌「そうだね。長官、かわいそう」
麻里奈「長官殿の生き様…、しかと目に焼き付けたでござる」
十兵衛「武士ノ生キ様、シカトインプットシタ‼︎」
悠理「明日美さん…」
明日美「なぁに…?」
悠理「僕には難しいことはよく分からないですけど、何と言うか…、人の想いみたいなものが、こうやって人から人へつながって僕たちは今、色んな人たちに守られているんだなって思いました」
明日美「へえ〜、そうなの」
悠理「ですから、今度は僕たちがそれに応えて、新しい可能性を切り開いていく番なんですね‼︎」
明日美「うん、そうね‼︎ 偉いわ、悠理くん‼︎」
最終自衛隊の一同に暖かく見守られながら、全てを託して最終自衛隊総司令部をあとにした富士山。
去り際の富士山の表情は少し曇りがかっていたが、内心は次の時代へバトンを渡したという達成感で満ちていた。
だが、そんな空気を打ち砕くかのように、徳川やその周囲の者たちは、バスターシリーズとジェネバスターに王手をかけようとしている。
【次回予告】
ナレーション:ハインリッヒ・フォン・ゼッペラー
ゼッペラーだ。よろしくな。
いよいよハーケンローゼス13人衆がターミナル・コアに集結する訳だ。実は俺も久々の登場で少し緊張している。
相変わらずDr.エビルは何を考えているのか分からんが、これから面白くなってきそうだ。
世界はどう変わるのか…?
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第40戦記 結集‼︎ ハーケンローゼス13人衆‼︎】
と言う話らしい。楽しみだ。




