表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも台湾が日本だったら〜小雪と渚、二人の少女の物語〜  作者: Taky.Bates


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/18

第九話「隣のおじちゃん」

第九話「隣のおじちゃん」


その日の夕方。


「ただいまー!」


夜市の熱気の中、

渚が勢いよく店に入る。


「おかえりー」


「おう」


美鈴と海太が、

忙しそうに手を動かしながら返事をした。


油の弾ける音。


香辛料の匂い。


林鶏排は今日も賑わっていた。


渚はカウンターへ身を乗り出す。


「ねー、隣のおじちゃん、

もうお店やらないのかなー?」


美鈴の手が少し止まる。


「どうだろうねぇ」


少しだけ、

声のトーンが落ちた。


「一月に奥さん亡くなって、

相当ショックだったみたいだからね」


「そっか……」


「一人じゃ、

お店も出来ないだろうし」


隣の店は、

ずっと閉まっているままだった。


渚は少し考える。


そして。


「小雪がね、

バイトしたいんだって」


「へぇ?」


美鈴が顔を上げる。


「おじちゃんのお店どうかなーって」


そして渚は、

少し笑った。


「また、おじちゃんの炒飯食べたいし」


海太は黙ったまま、作業を続ける。


やがて。


「……そうだな」


低い声が返る。


「家に篭ってても良くねぇからな」


海太は手を止める。


「今日、人少ないし、

店番頼めるか?」


「いいわよ」


美鈴がすぐ頷く。


「ね、渚」


「うん!」


渚は元気よく返事をした。


海太はタオルを肩へ掛ける。


「大将の様子、

ちょっくら見てくるわ」


「いってらっしゃーい!」


親子の声が重なる。


海太の背中が、

夜市の人混みへ消えていった。


その後。


美鈴がふと渚を見る。


「そんなことより、

小雪ちゃん急にどうしたの?」


「お母さんのお墓参りに行きたいんだって」


渚は袋へ大鶏排を詰めながら答える。


「あと、

北海道のおじいちゃんとおばあちゃんの家にも」


美鈴は少しだけ目を細めた。


「そうだったの」


そして。


ぽつりと呟く。


「……本当にいい子ねぇ」


渚は少し誇らしそうだった。


「あんた小雪ちゃんのこと助けてあげなさいよ?」


「わかってるよ!」


渚はすぐ答える。


そして。


「あと、私もついて行くから!」


「えっ」


美鈴の動きが止まる。


「そんなのご迷惑でしょ!」


「大丈夫だって!」


「だいたいお金どうするの!」


美鈴が呆れた顔になる。


「お母さんたちは手伝わないからね!」


「大丈夫!」


渚は胸を張った。


「バイト頑張るから!」


「……あんたねぇ」


美鈴は呆れながらも、

少し笑っていた。


その時。


夜市の向こうから、

海太の豪快な笑い声が少しだけ聞こえてきた。

挿絵(By みてみん)

リアクションやコメントをいただけると励みになります!

応援宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ