第八話「決意」
第八話「決意」
1日の終わりを告げるチャイムが鳴った。
帰り支度を始める教室の中で、
小雪は少しだけ迷っていた。
「ねー渚」
「どした?」
渚が覗き込む。
小雪は少しだけ視線を逸らした。
そして。
「……私、バイトする」
「バイト!?」
渚が驚く。
「なんで!?
どうしたの!?」
「……お金貯めたくて」
「欲しいものでもあるの?」
小雪は少し迷ったあと、
小さく口を開く。
「お母さんのお墓参りに行きたいの」
渚の表情が少し変わる。
「あと、
北海道のおじいちゃんとおばあちゃんの家にも」
教室の空気が、
少しだけ静かになる。
「……そっか」
渚は小さく頷いた。
清明節の日。
小雪がお墓を見つめていた顔を、
少し思い出す。
すると次の瞬間。
「私に任せて!」
「え?」
「バイト見つけてあげる!」
「えぇ……」
渚はもう、
完全にやる気になっていた。
「とにかく任せて!」
「いやでも……」
「あと、私もついてく!」
「えっ」
話が飛んだ。
「お墓参り!」
「え、お金かかるよ?」
「いいの!」
渚は当然みたいに言う。
「とにかく行く!」
小雪は少し戸惑いながら、
小さく笑った。
「……う、うん」
窓の外では、
下校する生徒たちの声が響いていた。
気づけば。
台湾へ来てから、
自分の中で少しずつ何かが動き始めていた。
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