表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも台湾が日本だったら〜小雪と渚、二人の少女の物語〜  作者: Taky.Bates


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/18

第五話「龍山寺(ロンシャンスー)」

第五話「龍山寺」


夜市の熱気は、夜になっても全然消えなかった。


林鶏排の前には、行列ができている。


「小雪ちゃんごめんねー、ちょっと今日は混んでて!」


美鈴が笑いながら言った。


「い、いえ……」


小雪は店の端で小さく頭を下げる。


その時。


行列も落ち着き、渚がエプロンを外した。


「お母さん、ちょっと出かけてくるー!」


「どこ行くのー?」


「お参りー!」


「あーい、いってらっしゃーい」


軽かった。


コンビニへ行くみたいなテンションだった。


「行こ、小雪!」


「うん、どこに?」


「小雪、台湾のお寺行ったことある?」


「ないよ」


「じゃあ龍山寺

(ロンシャンスー)行こ!」


夜市を抜ける。


提灯の灯り。


人混み。


屋台の煙。


台北の夜は、まだ全然眠る気配がなかった。


「龍山寺って有名なの?」


「めっちゃ有名」


「そうなんだ……」


渚は人混みを慣れた様子で歩いていく。


その後ろを、小雪は少し急ぎ足で追いかけた。


しばらくすると。


巨大な門が見えてきた。


「……わ」


思わず声が漏れる。


提灯の灯りに照らされた寺は、昼間とは違う空気を纏っていた。


赤。


金。


龍の彫刻。


煙の匂い。


観光客らしき人も多い。


でも、普通に手を合わせている地元の人たちもいた。


「お寺……だよね?」


「うん」


「なんか日本と全然違う」


「台湾っぽいでしょ」


渚が少し誇らしそうに笑う。


境内には、線香の煙が漂っていた。


「小雪、お参りしたことある?」


「台湾では、はじめて」


「台湾の神様達にご挨拶しなきゃ!」


渚は慣れた様子で線香を持つ。


立ち膝で祈る。


その横顔を、小雪はぼんやり見ていた。


昼間みたいに笑っていないだけなのに。


渚が少しだけ、大人に見えた。


「何お願いしたの?」


小雪が聞く。


「んー?」


渚は少し考えてから笑った。


「内緒」


「なんで」


「言うと叶わないじゃん」


「ほんとに?」


「たぶん」


適当だった。


小雪は少し笑う。


その時。


風が吹いた。


線香の煙が、夜空へゆっくり流れていく。


遠くでは、まだ夜市の音が聞こえていた。


東京とも。


北海道とも。


ここは全然違う。


でも。


小雪は少しずつ、この街の呼吸へ混ざり始めていた。

挿絵(By みてみん)

リアクションやコメントをいただけると励みになります!

応援宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ